こ と の 端

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亡 国 教 育

2016-04-17 08:02:26 | Weblog
バブル経済が破裂した当時

その事象が持つ固有の変化

の意味を

この国の指導者たちは

まったく

理解することができずにいた


当事者のすべてが

判断を停止する

という状態へと一斉に陥ってしまい

状況を把握するための調査すら

何一つできなくなっていた

この無為に過ごしていた浅はかな時間

というものが

現在の日本経済にみられる

困窮状態へと

繋がった


この時代のことを

不作為の三年と当時から

そう呼んでいた

その後失われた十年が

倍の二十年へと長期化する経過をとり

デフレ経済が

世界に先駆けて

この日本で発生する端緒となった


デフレスパイラルから決別する

という名目で

アベノミクスが導入されたのだったが

それは

経済成長率を押し下げただけだった


円安効果で輸入物価は上昇したものの

円に付随する購買力平価は

その価値を

50%低下させることとなり

一ドル80円以下にまで上がっていた円の通貨価値は

半減して

たちまち120円以上へと低下した

国民の可処分所得は

円安ドル高となったその効果で減る一方

となり

GDP成長率を却って引き下げる

という意図とは逆の効果を

日本経済へと齎した


アベノミクスは

今年

四年目を迎えたものの

インフレ目標として設定した2%の水準には

なお届かない

という低回状態から

相変わらず抜け出せない

通貨価値の下落を意味する

インフレを

政策で目指すようになった

この時代のことを

これからは

錯誤の三年

と呼ぶべきだ

物価を引き上げることだけが

インフレだと信じ込んでいる

その姿は無様で且つ

滑稽


指導体制が判断を誤り

消費税率を3%増やして

合計で8%へと

課税強化を行った

ということが経済政策を失敗

へと導いた

単にそれだけのこと


増税が経済成長を阻むことは

夙に

ケインズ効果として知られていた

財務省は我欲に囚われたまま

内閣に横車を押し続けさせようとして

日銀総裁の首を

挿げ替えさせた

マネタリーベースは

三倍以上の水準へと

その後の二年間で急速に膨張したが

国内総生産は

インフレ目標に届くどころか

一貫してそれを下回り続ける

という現況へと陥った


政権が経済政策を誤ったことは

この三年間で

既に否定できないものとなっている

量的緩和が無効であり続け

マイナス金利を更に導入しても

その成果ははかばかしくなく

相変わらず

所期の目標からは

遠ざかり続けていた


1990年四月に破裂した

日本のバブル経済は

直後の三年間を通じて

指導者に

起きている現実の変化の意味を

悟らせなかった


無益なだけの何もできないでいる

待機時間に厚みだけを与え

経済を再生する機会を

おしなべて

失っていた

そんな時代があったのだ


高い学力を誇るこの国の指導者たちは

思考力を失っていることに

その段階でさえ一向に気づかず

有効解がどこにあるのか

を探索するための

どこにも実在しない教科書を

探し求めて彷徨いつづけ

初動対策を講じるための貴重な時間を

無為に空費することで

やり過ごすことしか

できなくなっていた


バブル崩壊後の日本経済を

立て直そうとして

判断を急ぎ

300兆円規模の公共投資を行ったのだが

失われた十年を

倍にすることしかできなかったのである

この時の判断の誤りが

その後のデフレ経済を

日本へと導いた


この余りにも愚かな経過は

現状で

誰からも未だ総括されておらず

この時の当事者すべてが

己の責任を

まったく理解していないまま

経済政策を誤り続ける

その動力源となっている


学力重視の教育は

未体験の変化に対して

極めて脆い人材

の再生産

を連綿として続けながら

一向にフィードバックのかからない

欠陥を有したままの旧来のシステム

を一貫して保守し続けている


その結果の一つが

デフレ経済であったのだったが

判断を誤った自覚のない指導者たちは

アベノミクスでも

再び新たなる誤ちを

性懲りもなく繰り返し

そこから抜けだすことが

いま以て

できなくなっている


これこそが

フィードバックのかからないシステム一般が

陥る共通の事態

問題認識能力の不在は

有効解を特定することを

困難にすることができるのみ

国の一方的劣化は

まさしくその結果


問題の本質というものは

かくも単純なことがら

から作られる

学力の強化は知識の量的拡大に寄与したが

その使い方を学ぶ機会を逆に奪い

思考力とそれが生む応用能力のない

頭でっかちの指導者を

相変わらず大量生産する循環

を成り立たせてきた

民間企業では経営トップの不始末が

社会問題化する事態まで

数多く生みだすほど

高等教育を前提とした戦後の社会システムは

批判精神を育むことなく

薀蓄を大量に死蔵するだけの

教育投資で

無効な需要を

ひたすら積み上げてきた


量的緩和とマイナス金利の導入は

いずれもインフレ政策には該当せず

デフレ促進政策であることから

一歩も出られなくなっている


教育投資ばかりではなく

環境投資でもまた失敗を繰り返し

実効を伴わない温暖化防止対策で

無駄な需要に対する巨額の投資を国に行わせ

有効需要を生むはずの経済政策で

失敗を延々と引きずっていながら

損失の規模を



毎年高めつづけるようになっている


環境投資が有効な措置であったのなら

温暖化は止まっていなければならず

国民が負担するエネルギーコストの上昇分は

所得に還元されるべき給付金

または減税措置

へと間違いなく繋がっていた


有効需要の創出に

歴代の内閣が

失敗し続けてきた

ということが

この国にデフレ経済を連れてきた


環境投資が有効需要へと結びついていたのが事実なら

世界中から莫大な投資が

この日本へと押し寄せていたことだろう


それで円高になったとしても

有効な投資であるのなら

環境対策で新市場を形成することは

容易にできた


京都議定書を批准成立させていながらも

その効果を検証した

とする事実はどこにもない


名目値を積み重ねただけの

一方的な数字で作られた報告

を文明が鵜呑みにする

という経過だけが

こうして世界へと残された


過去の環境対策で

電力業界が行っている

化石燃料の輸入量削減

に寄与したとするデータは

皆無

二酸化炭素の排出源

からの直接的なデータでなければ

実効値とは判定できない


有効需要の喪失は

損失の増加にひとしい

無駄な投資が

再投資を呼び込むことなど

絶対にあり得ない


世界中の政府と指導者は

有効需要の創出に

悉く失敗した

これが

無駄な投資の累積を生み

国際経済から成長力を奪い

財政危機を経て国家破綻へと至る

負の螺旋を描かせている


世界規模に達したデフレ経済の蔓延は

認識能力の欠如

がその母体となっている

学力重視の高等教育への偏りが

国民から思考力を奪い

健全な判断をする

その邪魔を

自らの手で行わせている


盲いたる指導者は

善と信じて

国を亡ぼす
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