こ と の 端

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負 の 螺 旋

2011-10-23 09:19:25 | Weblog
資本主義という名の経済体制は

どん詰りの

逃げ道のない袋小路

へと

追い込まれつつある


資本の論理はごく少数の勝者と

それ以外の

大多数の敗者とを明確に切り分けた

そこに生じた差が

ごく限られた少数に

豊かな暮らしを可能ならしめたその一方で

貧しさに喘ぐマスに

より強い圧力をかけている


過大な利益を獲得する少数と

それを支える喪失を余儀なくされた大多数とが

互いに相対化しあう関係を築くようになった

貧困を甘受することを強いられた階層と

その消費意欲に支えられて

収益を肥大させてきた富める者とがあることで

経済が維持されている

多数を占める階層は

世界各地で

富者に利益を提供するための

ハタラキ蜂となることを強いられている


資本制度の欠陥に対する不満の抗議は

いまや世界中に飛び火し

利益を占有する階級と

それを生み出した社会システムに対する攻撃を

一層強めるようになりつつある

この変化に対するメディアの姿勢は

一様に控えめなものであった


一部を暴徒化させるほど高まった抗議のための行動は

いまのところ

概ね

抑制された状態を保っている

問題が対立である以上

それが平衡状態へと落ち着くには

高まった軋轢を消す何らかの譲歩を

互いに

成り立たせる経過が

積み重ねられていかなければならない

有効な対策を国家が講じようとしなければ

抗議は反乱へと発展し

反逆から暴動へと進む惧れが大いに高まる

最も危惧すべき展開があるとすれば

政府による失政

ということになるだろう


失業状態に陥った数の増加は

火に油を注ぐきっかけを

潜在的に保持し続ける

利益の確保に熱中する資本を制御する立場にある一群は

より効率的な運用を目指し

状況が変化しても尚

投資先のローカル市場から

流動性の厚みを悉く奪い去ってゆく


企業はリストラを迫られ

失業者を更に増し

内部留保を取り崩すことを余儀なくされる


衰えた経済活力を復興させる政策は

企業の内部留保へと向かう意欲を高めさせただけで

労働者に対する分配にまで

効果を浸透させることができなかった

資本制度を行き詰まらせたものの根源とは

リストラによる失業者の増加だけではなく

企業の有事に対する保険となる

内部留保を吐き出せてしまった

という過去にとられた

政策のもつ拙さにあった

愚策の複合とその連鎖が

貧困を加速させたといえるだろう


乾ききった雑巾は水をなかなか吸おうとしない

疲弊しきった産業界にだけ通用する優遇措置を講じても

それは内部留保へと向かうだけで

労働者にまでは行き着かない

資本の循環を高める正のスパイラルが生まれなければ

経済の復興はあり得ない


低迷する時代を長引かせている

というその行為こそが

格差社会を際立たせているのだが

為政者はそれを己の問題とはしなかった


資本のすべてが再投資と

それによる利潤の分配へと向けられていったことから

市場を動かすための資本そのものが希薄となり

流動性の厚みを消してしまう政策を

幾重にも連ねて善しとする経過が

産み落とされるようになったのだった


経済を支えている底辺が

消費市場を成り立たせている

この階層に分配が行き届かなくなったとき

抗議と反乱の嵐が起きる


企業を内部留保に走らせている

将来に対する不安を消してやれば

労働分配率は直ちに増加することだろう

流動性の確保が容易であればあるほど

企業は内部留保に価値を置かず

投資と分配とに勤しむことができるようになる

要するに金融制度の在り方の中に

問題の本質が隠されている


有効な対策を講じることができていたなら

失業率は下がり

雇用は安定化して

出生率はプラスへと転じていた

年金制度にもよい影響が及んでいた筈なのだ


海外へと向かう富の漏出を抑える政策に転じると

投資先は国内に絞られ

企業と労働者の可処分所得は増加へと向かう

消費市場がもっと活発化するようになるのだから

相乗効果が好循環を生み出すような展開をとるだろう


このサイクルを起動させることができなければ

富は資本がもつ求心力の作用を受け

ローカル市場から脱出する

資本の制御を偏らせていた原因は

ドルを基軸通貨と定めたというその一点にある

ドルの持つ権能を国際社会が希釈しない限り

南北問題はクローバル化し

貧富の格差は尚一層拡大する


有効な投資先がローカル市場から消えてしまった国では

資本を一時的に滞在させるだけとなり

外為市場で利益を漁る外資だけを太らせる

外資の国内への流入を国が座視していれば

たちまち円高になるのは

ものの道理


見かけ上強くなった円で

見かけ上弱くなったドルを買い戻せば

それだけで差益を獲得することができるのだ

そんなことを繰り返してきたのだったからこそ

豊かな国であった日本から

流動性の厚みが消え

デフレがデフレを呼ぶ悪循環が

貧困を一層際立たせるようになったのだった

豊かだった経済大国が

これほど呆気なく

二十年という短い期間で

急速に貧しくなってしまったのには

訳がある


貧困がテロの母体であるということは

既に広く認知されている

貧困を助長し

場合によっては強制する資本制度を

先進諸国が採用してきたからこそ

世界中に格差社会を生み出しただけでなく

テロという破壊活動を

正当化するための理由を与えている

サイクルを成り立たせているメカニズムを

止めることは

不可能ではない


問題の所在を承知していれば

有効な対策を導くことは容易であろう

資本が地下資源の確保へと向かって集中すれば

温暖化はより早く悪化し

ドルの需要は高まり

その通貨価値は上昇圧力を受ける

エネルギー資源の価値が高まれば高まるほど

ドルの需要水準もまた高まる

このことは肉体のレベルで判っていることである

過剰供給されたドルは

アメリカにドル余り現象を生み出し

それがリーマンショックのきっかけとなっている


過剰流動性を安全有利に始末するには

どこか豊かな国の市場に

それを受け入れさせてしまわなければならない

滞留が一次的であればあるほど

為替市場は乱高下し易くなる

長期的な資本の滞在が可能であれば

国内市場には再投資という循環が生じ

為替市場は安定化する

トランジットで日本に降り立ったドルは

円の価値が高まったタイミングを見計らって

元のドルへと戻される

この投資に結び付かない国際間の資本移動というものが

過度の円高を推し進めてきた原動力になっている


日本の輸出産業が得てきた利益は

ドルという名の過剰流動性を押しつけられただけで

一瞬で消し飛んでしまう

その経過は留まることなく延々と繰り返されている

円高になったタイミングで

既に流入済みの資本が

元のドルへと戻ることが可能になる

この段階で円が若干値下がりするのだが

それを機に

高められた過剰流動性の優位性が高まると

ドル資本の再流入が進み

またもや円高の更新が再び起きる

この底流を加速するユーロ危機が加わったために

円の通貨価値は

必然的に高められてゆくばかりの身分となった


日本の金融機関が円の供給を間接的に行うようになれば

過剰流動性による円高の更新を止めることができる

円の供給量を円資本がもっと増やしていくと

流入済みの外国資本はドルを買い戻すことができなくなり

投資先を日本の市場へと振り向けるようになる

ドルの運用先にこと欠いたということが

円高を推し進める補助エンジンの役割を果たし

ドル安政策を普遍化させている


ドル資本に対抗するには

民族系の円資本を急ぎ設立し

流入してくるドルを

国内市場で運用するその仕組みを作りだす

というのが最善の策となる
コメント
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