米 大統領補佐官・カービー
【随時更新】イスラエル パレスチナ 中東情勢(9月30日) NHK 2024年9月30日 19時22分
イスラエル軍が、隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及し、緊張が高まる中、イスラエル軍は一連の攻撃では初めて、レバノンの首都ベイルートの市街地を空爆したと伝えられています。
アメリカのバイデン大統領は、全面戦争は「避けなければならない」として、イスラエルのネタニヤフ首相と近く協議する考えを示しました。
※中東情勢に関する日本時間9月30日の動きを中心に、随時更新してお伝えします。
イスラエル軍 ヒズボラの拠点を空爆と発表
イスラエル軍はレバノン東部のヒズボラの拠点を空爆したほか、レバノン側から発射された無人機1機を撃墜したと30日に発表し、27日の空爆でヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害したあとも、双方の攻撃の応酬が続いています。
一連の攻撃についてレバノン保健省は、過去2週間ほどでレバノンでは子どもや女性を含む1000人以上が亡くなったとしています。
イスラエル軍 レバノンの首都ベイルート空爆 市街地では初か
欧米の複数のメディアによりますと、30日未明にはレバノンの首都ベイルートの市街地に空爆があり、アパートなどが被害を受けたということです。
現場は交通の要衝で商店などが多く集まる場所だと伝えられていて、イスラエルによる一連の攻撃で、ベイルートの市街地に向けて空爆が行われたのは初めてとみられます。
イスラエル軍はこれまでのところ、この空爆について言及していませんが、パレスチナの武装グループは幹部3人が殺害されたと発表しました。
アメリカ バイデン大統領 “全面戦争避けなければ”
こうした中、アメリカのバイデン大統領は29日、記者団から「全面戦争は避けられるのか」と問われたのに対し「それは本当に避けなければならない」と述べました。
そして、イスラエルのネタニヤフ首相と近く協議する考えを示しました。
イスラエル軍が、ヒズボラに対する地上作戦の可能性に言及し、紛争の拡大が懸念される中、外交による事態の打開を図れるかが焦点です。
カービー大統領補佐官 “ヒズボラの指揮系統 ほとんど壊滅状態“
ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は29日に出演したABCテレビの番組のなかで、ヒズボラの状況について「指揮系統はほとんど壊滅状態にある。過去数日のあいだにイスラエルによって数千のミサイルと無人機を破壊されており、いま現在のヒズボラはつい1週間前のヒズボラとは異なることは疑いようがない」と述べました。
そのうえで「ヒズボラはテロ組織であり、イスラエルは国民と国土、主権に対する脅威を取り除く権利と責任を有する。同時に、全面戦争に発展することを防ぐために緊張を緩和する方法を見つける必要がある」と述べ、外交による事態打開を模索していくべきだという考えを改めて強調しました。
攻撃の応酬続き緊張高まる イスラエル軍フーシ派にも空爆
イスラエル軍は29日、レバノンの首都ベイルート郊外のほか、レバノン南部では武器庫などヒズボラの拠点およそ45か所に空爆を行ったと発表しました。
一方レバノンからは、およそ20発のロケット弾がイスラエル北部に発射され、ほとんどを迎撃したなどと発表しました。
イスラエル側がレバノンでの地上作戦の可能性に言及する中、攻撃の応酬が続き緊張が高まっています。
イスラエル軍は29日、ヒズボラの本部で最高指導者ナスララ師を殺害した27日の空爆について新たな発表を行い「この攻撃で20人以上のテロリストも殺害した」としたほか、ヒズボラの本部は複数の民間の建物の地下にあり、近くには国連の学校もあったとしています。
ロイター通信などは、この攻撃の現場からナスララ師の遺体が見つかったと29日伝えています。
こうした中イスラエル軍は29日、イエメンの反政府勢力フーシ派が使う港や発電所などを空爆したと発表しました。
イランが支援するフーシ派は前日の28日「ガザ地区とレバノンの防衛のため」などとして、弾道ミサイル1発をイスラエル最大の商業都市テルアビブの空港に向けて発射し、イスラエル軍はこれをイスラエル領外で迎撃したとしていて、紛争の拡大が懸念されています。