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夏の猛暑などから選手の安全を守る対策 → 高野連が7イニング制導入の本格議論開始へ

2024-08-02 23:06:17 | スポーツ
選手の安全を守る 7イニング制導入の本格議論開始へ 高野連 NHK 2024年8月2日 19時17分

夏の猛暑などから選手の安全を守る対策として高野連=日本高校野球連盟は、試合をこれまでの9イニング制から7イニング制に変更を検討するワーキンググループを設け、今後の導入に向けた議論を本格的に始めることになりました。

高校野球では、これまで延長のイニング数の制限やタイブレークの導入のほか、試合途中に体を冷やして休める「クーリングタイム」の設置、さらにこの夏には気温が上がる時間帯を避けて、試合を午前と夕方に分けて行う2部制を一部の日程で計画するなど、安全対策が講じられてきました。

こうした中、高野連は2日、理事会を開いて暑さが厳しさを増す中でさらなる対策を図ろうと、試合をこれまでの9イニング制から7イニング制に変更することを検討するワーキンググループを設置し、導入に向けた議論を本格的に始めることを決めました。

高野連によりますと、ワーキンググループでは高校野球の元監督やスポーツ健康科学の専門家など11人のメンバーで幅広く意見を交わすことにしていて、これまで6月と7月の2回にわたって会合を開き、協議を始めているということです。

今後、甲子園球場で行われる春と夏の全国大会だけでなく、地方大会を含めた通年の高校野球を対象に、7イニング制導入のメリットとデメリットを議論し、広い視点で日本の高校野球に役立つかどうかを検討していくということです。

高野連ではことし12月に開かれる理事会で、ワーキンググループで整理した内容を報告するとしています。

7イニング制が導入されることになれば、試合時間が短縮され観客を含めた暑さ対策につながる一方、試合の戦い方や選手の出場機会にも影響が出るとみられ、高校野球のあり方をめぐる議論の行方に注目が集まりそうです。

海外の高校生年代の試合 7イニング制
国際大会や海外の高校生年代の試合ではすでに7イニング制で実施されているほか、国内でもコロナ禍に開催されたことがあります。

高野連=日本高校野球連盟によりますと、海外ではアメリカやドミニカ共和国、台湾、韓国、オーストラリアなどで、高校生年代の試合は7イニング制で実施されています。

日本の高校野球では、2020年に新型コロナウイルスの影響で夏の全国高校野球が中止になるなかで行われた地方の「独自大会」で、休校期間で十分な練習ができていない選手の負担を考慮して、京都や埼玉など一部の大会で7イニング制が取り入れられました。

高校以上のカテゴリーの大会は原則、9イニング制で行われていますが、日本の社会人野球では試合時間を短縮して競技の普及につなげようと、去年から一部の大会を7イニング制で行う実証実験が始まっています。

これまでも負担を減らす対策
高校野球ではこれまでも、選手の負担を減らすためさまざまなルールや対策が講じられてきました。

高校野球ではかつて延長のイニングに制限がなく、1933年の夏の甲子園では大会史上最も長い延長25回まで続いた試合もありました。

その後、1人のピッチャーが多くの球数を投げることなどが問題となり、延長は、1958年の夏の甲子園から18回まで、2000年からは15回までとし、決着がつかない場合は、引き分け再試合としていました。

2018年からは、延長戦で決着をつけやすくするため、延長13回からノーアウト一塁・二塁で攻撃を始めるルールで「タイブレーク」が導入されました。

さらに去年からは、タイブレークを始めるイニングを延長10回からに早めて対策を進めています。

試合間隔を空ける対策も取られています。

2013年の夏の甲子園からは、全国大会で試合がない休養日が設けられました。

現在は、センバツで2日、夏の甲子園で3日の休養日が日程に含まれているほか、都道府県や地区の大会でも3日間続けての試合にならないよう日程が組まれています。

また2020年からは、1人のピッチャーの投球数を1週間で500球以内とする球数制限が導入されました。

暑さが年々厳しくなる中、近年は夏の全国高校野球で地方大会を含めて、さまざまな暑さ対策が取られています。

夏の甲子園では、去年から5回終了後に「クーリングタイム」を導入し、選手たちが冷房の効いたスペースで10分間の休息をとれるようにしたほか、今月7日に開幕することしの大会では、試合を午前と夕方に分けて行う「2部制」を一部の日程で初めて導入します。

高野連 井本事務局長「高校野球が岐路に立っている」
日本高校野球連盟の井本亘事務局長は「われわれは日本の高校野球が大きな転換点で、岐路に立っていると考えている。気候が大きく様変わりする中で、社会環境の変化を加味しながら考えていかなくてはいけない。社会の状況に合った形でこれからも高校野球をずっと続けていかなくてはいけない」と話していました。

大阪桐蔭 西谷監督「現場の声も聞いてもらいたい」
7イニング制の検討について大阪桐蔭高校の西谷浩一監督は、「私個人としては9イニングやってもらいたいというのが正直な気持ちだ。8回、9回はすごく大事ですし。いろんな角度から話していくことはいいことだと思うので、議論をしてもらって、現場の声も聞いてもらいたい」と話していました。

報徳学園 大角監督「進化していくべきで議論は必要」
7イニング制の検討について兵庫の報徳学園の大角健二監督は、「どの競技でも社会の流れの中で進化していくべきで、こうした議論は必要なことだと思う。いい部分もあれば寂しい部分もあるが、いろいろなかたに野球を長く、気軽に楽しんでもらうということを考えたときにいい案ではないかと思う」と前向きに受け止めていました。

導入によるメリットとデメリット
7イニング制の導入はどのようなメリットとデメリットが考えられるのか、高野連はセンバツ高校野球と夏の全国高校野球を過去5大会にさかのぼり、ピッチャーの投球数とバッターの打席数を示しました。

このうちピッチャーの投球数について、夏の甲子園で完投した投手は
▽1試合の平均で130.8球を投げていますが
▽8回以降で平均27球を投げていて、全体のおよそ2割を占めています。

ピッチャー全体では
▽1試合の平均で143.2球
▽8回以降が30.4球と傾向に大きな変化は見られません。

高校野球では、2020年から1人のピッチャーの投球数を1週間で500球以内とする球数制限が導入されるなど、対策がとられてきましたが、7イニング制が導入されれば、さらなる負担軽減につながる可能性がありそうです。

一方、夏の甲子園の各チームの打席数です。

▽1試合平均で39.2打席ですが
▽8回以降が8.6打席を占めています。

このデータでは、バッターボックスに立つ機会が選手1人当たり1打席分少なくなる計算で、選手の出場機会にも影響が出るものとみられます。

ワーキンググループではこうした高野連のデータなどを参考にしながら、7イニング制のメリットとデメリットについて、幅広く意見を交わすことにしています。

識者「有効な暑さ対策だ」
東京オリンピックの暑さ対策に携わるなど、スポーツの現場に詳しい大阪公立大の岡崎和伸教授は「現在の9イニング制に比べれば、7イニング制の方が熱中症のリスクは低減することが考えられる。試合の時間は確実に短くなると思うので、暑い時間帯に実施しないといけない試合の数を減らすことが可能だと思うし、涼しい時間帯に実施する試合数を、これまでより多くすることも場合によっては考えられる。暑い環境で競技をしないといけない機会を減らす意味では、有効な暑さ対策だ」と受け止めました。

その一方で「7イニング制になった場合でも、熱中症の危険性が大幅に減るわけではない。暑い環境で運動しないといけない状況に置かれるのであれば、事前に十分な暑さ対策を準備していくことが、引き続き重要な課題だ」と訴えていました。
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