米関税にEU カナダが対抗措置 関税の応酬になる可能性も NHK 2025年3月13日 5時17分
アメリカのトランプ政権が鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動したことに対してEU=ヨーロッパ連合やカナダがさっそく対抗措置を表明しました。トランプ大統領はEUに対して「もちろん対応する」と述べ、関税の応酬になる可能性も出ており、貿易摩擦を通じた世界経済への悪影響が懸念されています。
アメリカのトランプ政権は12日から国内に輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動しました。
これに対し、EUは12日、対抗措置としてアメリカから輸入する製品に来月1日から2段階で関税を課す方針を明らかにしました。
対象はオートバイやバーボンウイスキーのほか農産物なども含まれる見込みで、日本円にしておよそ4兆2000億円相当にのぼるとしています。
また、カナダ政府も13日から対抗措置に踏み切る方針を明らかにしていて、アメリカから輸入している鉄鋼製品やアルミニウム製品など日本円にしておよそ3兆円分に25%の関税をかける方針です。
トランプ大統領は12日、ホワイトハウスで、記者団からEUに対して対抗措置をとるかと聞かれたのに対して「もちろん対応する。問題はこれまでアメリカが対応しなかったことだ。EUはアメリカを利用するために設立されたのだ」と述べ、いらだちをにじませました。
今後、関税の応酬になる可能性も出ており、貿易摩擦を通じた世界経済への悪影響が懸念されています。
関税の影響でインフレ加速の懸念も
アメリカでは関税措置の影響によってインフレが加速するという懸念が出ています。
なかでも影響が大きいものの1つが住宅です。
住宅の価格は長引くインフレで上昇し、5年前と比べて9万2000ドル余り、日本円で1300万円以上値上がりしています。
こうした中、住宅の基礎などに使われる鉄鋼製品への関税が12日から引き上げられました。
さらにトランプ大統領はカナダからの木材に関税をかける構えを見せています。
テキサス州ダラスで建築会社を経営するアラン・ホフマンさんは、資材の調達は輸入に頼らざるを得ず、さまざまな関税措置が発動されれば住宅の販売価格が2万ドル、300万円近く上昇すると試算しています。
ホフマンさんは、「コストが上昇すれば、販売価格に転嫁しなくてはならず、住宅を購入したいという人が決断するうえでハードルになる。関税が住宅市場に悪影響を及ぼすことを業界として懸念している」と話しています。
自動車産業でも関税の影響を懸念する声が高まっています。
テキサス州アーリントンには、5000人以上の従業員が働く自動車大手GM=ゼネラル・モーターズの工場があり、地域の基幹産業となっています。
アメリカ国内の自動車の販売価格は関税によって、日本円で60万円値上がりするとも試算されています。
アーリントンのジム・ロス市長は価格が上昇すれば販売が落ち込み、従業員の雇用に影響が出ることを懸念しています。
ロス市長は「生産台数が減少すれば企業はすべての従業員の雇用を維持することができなくなる。私たちは近隣諸国との関税戦争に直面しており地域社会への影響を非常に懸念している」と話しています。
米商務長官「日本や中国は鉄鋼をダンピング」
アメリカのラトニック商務長官は、12日、アメリカメディアのFOXビジネスネットワークに出演し、12日に発動した鉄鋼・アルミ関税をめぐって「世界にはダンピング(不当廉売)している国がある。日本や中国は鉄鋼をダンピングしている。鉄鋼を過剰に生産して極めて安い価格で販売し、アメリカの企業を廃業に追い込もうとしているのだ」などと主張しました。
またオーストラリアについても大量のアルミニウムを不当に安く販売していると批判しました。
その上で「トランプ大統領はアメリカの労働者、産業を守ろうとしている。われわれは鉄鋼の生産を国内に呼び戻す」として製造業の国内回帰や雇用を守るために不可欠な措置だという考えを示しました。
国連 事務総長「貿易戦争になれば全員が敗者に」
国連のグテーレス事務総長は、12日、記者会見し、トランプ政権による関税に各国が対抗措置をとり、貿易摩擦が激しくなっている現状について「われわれはグローバルな経済に生きており、すべては相互に関連している。貿易戦争になれば全員が敗者になる」と述べて懸念を示しました。
アメリカのトランプ政権が鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動したことに対してEU=ヨーロッパ連合やカナダがさっそく対抗措置を表明しました。トランプ大統領はEUに対して「もちろん対応する」と述べ、関税の応酬になる可能性も出ており、貿易摩擦を通じた世界経済への悪影響が懸念されています。
アメリカのトランプ政権は12日から国内に輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動しました。
これに対し、EUは12日、対抗措置としてアメリカから輸入する製品に来月1日から2段階で関税を課す方針を明らかにしました。
対象はオートバイやバーボンウイスキーのほか農産物なども含まれる見込みで、日本円にしておよそ4兆2000億円相当にのぼるとしています。
また、カナダ政府も13日から対抗措置に踏み切る方針を明らかにしていて、アメリカから輸入している鉄鋼製品やアルミニウム製品など日本円にしておよそ3兆円分に25%の関税をかける方針です。
トランプ大統領は12日、ホワイトハウスで、記者団からEUに対して対抗措置をとるかと聞かれたのに対して「もちろん対応する。問題はこれまでアメリカが対応しなかったことだ。EUはアメリカを利用するために設立されたのだ」と述べ、いらだちをにじませました。
今後、関税の応酬になる可能性も出ており、貿易摩擦を通じた世界経済への悪影響が懸念されています。
関税の影響でインフレ加速の懸念も
アメリカでは関税措置の影響によってインフレが加速するという懸念が出ています。
なかでも影響が大きいものの1つが住宅です。
住宅の価格は長引くインフレで上昇し、5年前と比べて9万2000ドル余り、日本円で1300万円以上値上がりしています。
こうした中、住宅の基礎などに使われる鉄鋼製品への関税が12日から引き上げられました。
さらにトランプ大統領はカナダからの木材に関税をかける構えを見せています。
テキサス州ダラスで建築会社を経営するアラン・ホフマンさんは、資材の調達は輸入に頼らざるを得ず、さまざまな関税措置が発動されれば住宅の販売価格が2万ドル、300万円近く上昇すると試算しています。
ホフマンさんは、「コストが上昇すれば、販売価格に転嫁しなくてはならず、住宅を購入したいという人が決断するうえでハードルになる。関税が住宅市場に悪影響を及ぼすことを業界として懸念している」と話しています。
自動車産業でも関税の影響を懸念する声が高まっています。
テキサス州アーリントンには、5000人以上の従業員が働く自動車大手GM=ゼネラル・モーターズの工場があり、地域の基幹産業となっています。
アメリカ国内の自動車の販売価格は関税によって、日本円で60万円値上がりするとも試算されています。
アーリントンのジム・ロス市長は価格が上昇すれば販売が落ち込み、従業員の雇用に影響が出ることを懸念しています。
ロス市長は「生産台数が減少すれば企業はすべての従業員の雇用を維持することができなくなる。私たちは近隣諸国との関税戦争に直面しており地域社会への影響を非常に懸念している」と話しています。
米商務長官「日本や中国は鉄鋼をダンピング」
アメリカのラトニック商務長官は、12日、アメリカメディアのFOXビジネスネットワークに出演し、12日に発動した鉄鋼・アルミ関税をめぐって「世界にはダンピング(不当廉売)している国がある。日本や中国は鉄鋼をダンピングしている。鉄鋼を過剰に生産して極めて安い価格で販売し、アメリカの企業を廃業に追い込もうとしているのだ」などと主張しました。
またオーストラリアについても大量のアルミニウムを不当に安く販売していると批判しました。
その上で「トランプ大統領はアメリカの労働者、産業を守ろうとしている。われわれは鉄鋼の生産を国内に呼び戻す」として製造業の国内回帰や雇用を守るために不可欠な措置だという考えを示しました。
国連 事務総長「貿易戦争になれば全員が敗者に」
国連のグテーレス事務総長は、12日、記者会見し、トランプ政権による関税に各国が対抗措置をとり、貿易摩擦が激しくなっている現状について「われわれはグローバルな経済に生きており、すべては相互に関連している。貿易戦争になれば全員が敗者になる」と述べて懸念を示しました。