”ロシア南部 ウクライナのドローン 高層ビルに衝突”
【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月27日の動き) NHK 2024年8月27日 22時13分
ロシア軍の大規模攻撃で7人死亡 ウクライナ軍 越境攻撃を続ける
ロシア軍は26日、ウクライナ各地にミサイルや無人機による大規模な攻撃を行い、ウクライナ非常事態庁によりますと7人が死亡し、47人がけがをしたほか、各地のエネルギー施設にも被害が出ました。
これについてウクライナ空軍のオレシチュク司令官は、ロシア軍が使用したミサイル127発と無人機109機のうち、ミサイル102発と無人機99機を撃墜したとしています。
また、ウクライナ非常事態庁によりますと、27日の朝までに行われたロシア軍の攻撃で、東部ドニプロペトロウシク州のクリビーリフで2人が死亡し、5人がけがをしたほか、南部ザポリージャ州でも2人が死亡し、4人がけがをしたということです。
一方、ウクライナ軍はロシア西部で越境攻撃を続けていて、ウクライナのゼレンスキー大統領は26日「この1日でわれわれは、より多くを管理下に置いた」と述べて成果を強調しました。
ウクライナのメディアによりますと、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は27日、ロシア西部クルスク州への越境攻撃で、これまでに1294平方キロメートルの地域と100の集落を掌握したほか、ロシア軍兵士594人を捕虜にしたと明らかにしました。
これに対しロシア国防省は26日、ウクライナ軍を撃退する作戦を続けていると発表したほか、ロシア西部クルスク州の知事代行はこれまでに13万人以上が避難したと明らかにしています。
“ロシアの大規模攻撃 来春にかけての長期間攻撃の始まり”
ロシアがウクライナに大規模攻撃を行ったことについて、ロシアの軍事に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠准教授は、今回の攻撃で多く使われたのは巡航ミサイルだとした上で「ロシアの巡航ミサイルの生産能力は正確にはわかっていないが、1か月に数十発とみられている。7月以降はロシアの空爆が非常に低調になっていたので、決定的な局面で使うという意図でミサイルを使わずにためていたのだろう」と述べました。
そして、ロシアはこれまでも冬を迎える前に激しい攻撃を行っていたとして、今回の攻撃は来年の春にかけてのロシアによる長期間にわたる攻撃の始まりだという見方を示しました。
また小泉准教授は、重要なエネルギー施設への攻撃によって、停電や断水が発生していることについて「戦争が始まってから2年半が過ぎて、ウクライナ人の中でも確実に『疲れた』『うんざりだ』という声が高まっている。それを加速させる期待があったのだろう」と述べ、生活に影響を与えるインフラを破壊することで、ウクライナ市民に心理的なダメージを与えるねらいもあると指摘しました。
一方で今回の大規模攻撃が、ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州での越境攻撃に対する報復なのかどうかはわからないとしています。
小泉准教授は、今後の焦点について「クルスク州の作戦で、何らかの形でウクライナが利する着地点があるのか。また、ドネツクなど東部戦線でロシアの進撃を止められないとなると国の半分ほどを占拠される可能性が出てくるため避けないといけないが、その能力があるかどうかだと思う」と述べました。
”ロシア南部 ウクライナのドローン 高層ビルに衝突”
AP通信は、26日にロシア南部のサラトフ州でウクライナのドローンが高層ビルに衝突する様子をとらえた映像を配信しました。
映像はロシアのメディアがSNSに投稿したもので、撮影した男性が「ビルに衝突した」などと驚いた様子で叫ぶ声も入っています。
AP通信は地元当局の話として、サラトフ州で26日、ウクライナのドローンによる攻撃で4人がけがをしたと伝えています。
志位議長 ウクライナ侵攻終結向け “和平実現の重要性” 訴えへ
共産党の志位議長は、29日からドイツなどヨーロッパ3か国を歴訪し、国際会議に出席してロシアによるウクライナ侵攻の終結に向け、国連憲章などに基づく和平実現の重要性を訴えることにしています。
共産党の志位議長は27日記者会見し、29日から来月10日までの日程で、ドイツとベルギーそれにフランスのヨーロッパ3か国を歴訪すると発表しました。
このうちドイツでは国際会議に出席し、ことし4月に党がまとめた提言を踏まえ、ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けて、国連憲章や国際法などに基づく和平実現の重要性を訴えることにしています。
また、NATO=北大西洋条約機構や日米同盟などによる軍事同盟が強化されていると指摘し、軍拡に反対する姿勢を強調する考えです。
共産党によりますと、議長や委員長がヨーロッパを訪れるのは35年ぶりだということで、各国で左派政党の幹部との会談も予定しています。
志位氏は「ウクライナ侵攻は、即時に和平交渉を始める道理があり、交渉の目的や原則をはっきりさせることが必要だと発言するつもりだ」と述べました。
米大統領補佐官 “最も強いことばで非難”
ロシア軍が26日、ウクライナ各地でミサイルや無人機による大規模な攻撃を行ったことについて、アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は記者団に対し「ロシアがウクライナに対する戦争を続け、ウクライナの人々を暗闇に陥れようとする取り組みを最も強いことばで非難する」と述べました。
そのうえで、ウクライナに対して欧米各国などとともに防空システムなどの供与を続けるほか、ロシアが破壊したエネルギー施設の修復のために電力設備の提供を急増させていると強調し「ウクライナに対するわれわれの支援は揺るがない」と述べました。
上川外相「極めて深刻に受け止め 強く非難する」
上川外務大臣は閣議のあとの記者会見で、ロシア軍が26日、ウクライナに大規模な攻撃を行ったことについて「市民の犠牲が出ており、極めて深刻に受け止めている。民間人や民間施設への攻撃は国際法違反であり、断じて正当化できず強く非難する」と述べました。
一方、ウクライナ軍によるロシア西部への越境攻撃について「わが国としても大きな関心を持って情報収集を進めている。情勢は刻一刻と変化し流動的だが、不断に情報の収集と分析を行っていきたい」と述べました。
北方領土のロシア人関係者 軍事侵攻地域で死亡
ロシア極東サハリン州の南クリル地区は26日、ウクライナへの軍事侵攻で、北方領土のロシア人関係者が死亡したと発表しました。
死亡したのは、2016年から2018年まで北方領土の国後島、色丹島、歯舞群島を事実上、管轄する南クリル地区のトップを務めたコンスタンチン・ブタコフ氏です。
発表では「今月20日、ウクライナへの特別軍事作戦が行われている地域で死亡した」としています。
ブタコフ氏は、北方領土の元島民などが故郷の島を訪れる「北方墓参」や「ビザなし交流」などで、国後島で受け入れを担当していました。