
スペインとポルトガル大規模停電 復旧も鉄道遅延など影響続く NHK 2025年4月29日 21時21分
スペインやポルトガルなどで28日に発生した大規模な停電について、ポルトガルに続いてスペインも国内の電力供給が復旧したと発表しました。
ただ、鉄道などの公共交通機関ではダイヤの大幅な乱れが続いていて、大型連休を利用して現地を訪れた日本の観光客にも影響が出ています。
管理会社 “サイバー攻撃の可能性はない” 暫定的な調査結果
停電の原因について、スペインの送電網の管理会社は、サイバー攻撃の可能性はないという暫定的な調査結果を明らかにしました。
サンチェス首相 サイバー攻撃の可能性も排除せず調査の方針
一方、スペインのサンチェス首相は、日本時間の午後8時からの記者会見で、「いかなる仮説も排除しない」と述べ、サイバー攻撃の可能性も排除せず詳しい調査を行う方針を示しました。
そのうえで「電力網の電磁記録の調査などを始めている」と述べ、サイバーセキュリティーの分野でも当局が調査に乗り出したとしています。
スペインとポルトガルでは28日の昼ごろから大規模な停電が発生し、政府が非常事態を宣言するなどして電力の復旧にあたってきました。
このうち、ポルトガルの政府が、日本時間29日、国内の電力供給が復旧したと発表したのに続いて、スペインの送電網の管理会社も日本時間の29日午後6時の時点で電力供給が復旧したと発表しました。
一方、スペインの公共交通機関ではダイヤが大幅に乱れるなど混乱が続いています。
首都マドリードにあるターミナル駅のアトーチャ駅では、停電の発生から一夜明けても列車の遅延が相次ぎ、出発や案内を待つ観光客や地元の人たちであふれかえっていて、なかには大型連休で現地を訪れた日本からの観光客の姿もありました。
また、現地では電車に閉じ込められるなどの影響もあったということですが、マドリードにある日本大使館によりますと、日本の観光客から「停電で電車が運休となり、困っている」といった相談が寄せられ、宿泊施設を案内する対応を取ったということです。
停電はフランスの一部でも発生し、各国政府は原因の究明を急いでいますが、ロイター通信などはスペインとフランスとの間を結ぶ送電線で接続の不具合が発生したと伝えています。
首相「15ギガワットの電力 わずか5秒間で失われた」
スペインのサンチェス首相は28日、国民向けの演説の中で「技術者から聞いている話では、28日午後0時33分に15ギガワットの電力がわずか5秒間で失われた」と述べ、国内の電力需要の6割程度が一瞬にして失われたことを明らかにし、技術者などが原因の究明を急いでいると説明しました。
日本人観光客「街が混乱していて心配」
マドリードにあるターミナル駅のアトーチャ駅では、停電の発生から一夜明けても列車の遅延が相次ぎ、出発や案内を待つ観光客や地元の人たちであふれかえっていました。
日本から大型連休の観光でスペインを訪れているという26歳の日本人男性も、乗る予定だったバルセロナ行きの列車が大幅に遅延し、駅にとどまっていました。
男性は「地下鉄も止まっていて、ここの駅に来るまで3キロくらい歩きました。いまも街が混乱していて心配です」と話していました。
また、28日に停電が起きたときの状況については「きのうマドリードに着いて食事をしていたら突然停電が起きて街が真っ暗になった。きのうは全然インターネットも通じず、スペイン語ができないので何もわからない状態でした」と話していました。
マドリード在住スタッフ「電話通じず インターネット動かない」
NHKが契約するスタッフで、スペインの首都マドリード在住のホセマヌエル・インザさんは、停電が発生した時の様子について「パソコンを使って仕事をしていましたが、電話をかけようとしても通じない、インターネットも動かない、待っていても何の情報も得られず、電気で動くものはすべてとまってしまいました」と話しました。
インザさんは状況を確かめようと車でマドリード中心部に向かいましたが、渋滞に巻き込まれ、ふだんは15分ほどの場所に着くのに1時間半ほどもかかったということです。
また、中心部の様子について「信号が消えて町じゅうが混雑していました。地下鉄も動かない状態で、バスの停留所には行列ができ、銀行や店は閉まってサービスが止まっていました」とした上で「人々は何が原因なのかと互いに尋ね合っていましたが、まだ分からない状態です」と不安が広がっている様子を語っていました。
インザさんが撮影した映像には、道路が車で渋滞し、信号が消えた状態で、人々が左右を確認しながら渡る様子がうつっています。
インザさんは「スペイン全土でこれだけ長く続く停電は、記憶にあるかぎり起きたことがないと思います。電気やインターネットがないと生活できないし、これから夜になるのでパニックになるかもしれません。長く続くと、スーパーなどに泥棒が入るようなことも起こるかもしれず怖いです」と話していました。
旅行客「本当に驚いている」
イギリスからスペインを訪れていた男性は、停電の影響で公共交通機関が大幅に遅れ、乗る予定だった飛行機に間に合わなかったということで、空港内の出発カウンター付近で座り込んでいました。
男性は「テニスの試合を見た後、マドリードの中心部に戻るのに3時間、そこから空港まで2時間かかりました。停電の影響が広範囲に及んでいて、本当に驚いています」と話していました。
専門家「日本でも原因分析を」
スペインとポルトガルで発生した大規模な停電について、電力システムに詳しい東京電機大学の加藤政一名誉教授に話を聞きました。
現在、スペイン政府が原因の究明を急いでいますが、加藤名誉教授は「スペインで電気の供給力が一挙に不足し、足りない分をフランスから送ってもらおうとしたところその量があまりにも大きくなり、断線などを起こさないために送電が止まってしまったことで結果的に大規模な停電に至ったのではないか」という見立てを示しました。
加藤名誉教授によりますと、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの活用を進めているスペインでは、停電が起こらないようにする先進的なシステムを取り入れているということで「今回の停電はこれまで考えられていた事故以外のいくつかの事故が不幸にも重なったのではないか」と話していました。
その上で「日本でも再生可能エネルギーの発電量の比率を高めていくことを考えた場合、風力や太陽光の発電が止まっても安定的に電力を供給できるようルール作りが行われれば、類似の事故はかなり少なくなるはずだ。今回の停電の原因について日本でもしっかり分析する必要がある」と指摘しました。
また、大規模な停電が起きた場合、30分や1時間では復旧せずに長時間続くと考えて行動する必要があると話していました。
スペインやポルトガルなどで28日に発生した大規模な停電について、ポルトガルに続いてスペインも国内の電力供給が復旧したと発表しました。
ただ、鉄道などの公共交通機関ではダイヤの大幅な乱れが続いていて、大型連休を利用して現地を訪れた日本の観光客にも影響が出ています。
管理会社 “サイバー攻撃の可能性はない” 暫定的な調査結果
停電の原因について、スペインの送電網の管理会社は、サイバー攻撃の可能性はないという暫定的な調査結果を明らかにしました。
サンチェス首相 サイバー攻撃の可能性も排除せず調査の方針
一方、スペインのサンチェス首相は、日本時間の午後8時からの記者会見で、「いかなる仮説も排除しない」と述べ、サイバー攻撃の可能性も排除せず詳しい調査を行う方針を示しました。
そのうえで「電力網の電磁記録の調査などを始めている」と述べ、サイバーセキュリティーの分野でも当局が調査に乗り出したとしています。
スペインとポルトガルでは28日の昼ごろから大規模な停電が発生し、政府が非常事態を宣言するなどして電力の復旧にあたってきました。
このうち、ポルトガルの政府が、日本時間29日、国内の電力供給が復旧したと発表したのに続いて、スペインの送電網の管理会社も日本時間の29日午後6時の時点で電力供給が復旧したと発表しました。
一方、スペインの公共交通機関ではダイヤが大幅に乱れるなど混乱が続いています。
首都マドリードにあるターミナル駅のアトーチャ駅では、停電の発生から一夜明けても列車の遅延が相次ぎ、出発や案内を待つ観光客や地元の人たちであふれかえっていて、なかには大型連休で現地を訪れた日本からの観光客の姿もありました。
また、現地では電車に閉じ込められるなどの影響もあったということですが、マドリードにある日本大使館によりますと、日本の観光客から「停電で電車が運休となり、困っている」といった相談が寄せられ、宿泊施設を案内する対応を取ったということです。
停電はフランスの一部でも発生し、各国政府は原因の究明を急いでいますが、ロイター通信などはスペインとフランスとの間を結ぶ送電線で接続の不具合が発生したと伝えています。
首相「15ギガワットの電力 わずか5秒間で失われた」
スペインのサンチェス首相は28日、国民向けの演説の中で「技術者から聞いている話では、28日午後0時33分に15ギガワットの電力がわずか5秒間で失われた」と述べ、国内の電力需要の6割程度が一瞬にして失われたことを明らかにし、技術者などが原因の究明を急いでいると説明しました。
日本人観光客「街が混乱していて心配」
マドリードにあるターミナル駅のアトーチャ駅では、停電の発生から一夜明けても列車の遅延が相次ぎ、出発や案内を待つ観光客や地元の人たちであふれかえっていました。
日本から大型連休の観光でスペインを訪れているという26歳の日本人男性も、乗る予定だったバルセロナ行きの列車が大幅に遅延し、駅にとどまっていました。
男性は「地下鉄も止まっていて、ここの駅に来るまで3キロくらい歩きました。いまも街が混乱していて心配です」と話していました。
また、28日に停電が起きたときの状況については「きのうマドリードに着いて食事をしていたら突然停電が起きて街が真っ暗になった。きのうは全然インターネットも通じず、スペイン語ができないので何もわからない状態でした」と話していました。
マドリード在住スタッフ「電話通じず インターネット動かない」
NHKが契約するスタッフで、スペインの首都マドリード在住のホセマヌエル・インザさんは、停電が発生した時の様子について「パソコンを使って仕事をしていましたが、電話をかけようとしても通じない、インターネットも動かない、待っていても何の情報も得られず、電気で動くものはすべてとまってしまいました」と話しました。
インザさんは状況を確かめようと車でマドリード中心部に向かいましたが、渋滞に巻き込まれ、ふだんは15分ほどの場所に着くのに1時間半ほどもかかったということです。
また、中心部の様子について「信号が消えて町じゅうが混雑していました。地下鉄も動かない状態で、バスの停留所には行列ができ、銀行や店は閉まってサービスが止まっていました」とした上で「人々は何が原因なのかと互いに尋ね合っていましたが、まだ分からない状態です」と不安が広がっている様子を語っていました。
インザさんが撮影した映像には、道路が車で渋滞し、信号が消えた状態で、人々が左右を確認しながら渡る様子がうつっています。
インザさんは「スペイン全土でこれだけ長く続く停電は、記憶にあるかぎり起きたことがないと思います。電気やインターネットがないと生活できないし、これから夜になるのでパニックになるかもしれません。長く続くと、スーパーなどに泥棒が入るようなことも起こるかもしれず怖いです」と話していました。
旅行客「本当に驚いている」
イギリスからスペインを訪れていた男性は、停電の影響で公共交通機関が大幅に遅れ、乗る予定だった飛行機に間に合わなかったということで、空港内の出発カウンター付近で座り込んでいました。
男性は「テニスの試合を見た後、マドリードの中心部に戻るのに3時間、そこから空港まで2時間かかりました。停電の影響が広範囲に及んでいて、本当に驚いています」と話していました。
専門家「日本でも原因分析を」
スペインとポルトガルで発生した大規模な停電について、電力システムに詳しい東京電機大学の加藤政一名誉教授に話を聞きました。
現在、スペイン政府が原因の究明を急いでいますが、加藤名誉教授は「スペインで電気の供給力が一挙に不足し、足りない分をフランスから送ってもらおうとしたところその量があまりにも大きくなり、断線などを起こさないために送電が止まってしまったことで結果的に大規模な停電に至ったのではないか」という見立てを示しました。
加藤名誉教授によりますと、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの活用を進めているスペインでは、停電が起こらないようにする先進的なシステムを取り入れているということで「今回の停電はこれまで考えられていた事故以外のいくつかの事故が不幸にも重なったのではないか」と話していました。
その上で「日本でも再生可能エネルギーの発電量の比率を高めていくことを考えた場合、風力や太陽光の発電が止まっても安定的に電力を供給できるようルール作りが行われれば、類似の事故はかなり少なくなるはずだ。今回の停電の原因について日本でもしっかり分析する必要がある」と指摘しました。
また、大規模な停電が起きた場合、30分や1時間では復旧せずに長時間続くと考えて行動する必要があると話していました。