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東北 記録的大雨1週間:排水ポンプ施設が想定を上回る雨量によって能力の限界に達し、住宅地に水があふれる「内水氾濫」が起きていた

2024-08-02 03:52:50 | 災害情報
雨量想定外で排水ポンプ“追いつかず” 東北 記録的大雨1週間 NHK 2024年8月1日 20時15分

山形県と秋田県で大きな被害が出た先月25日の記録的な大雨から1週間です。

山形県では最上川が氾濫し浸水被害が発生しましたが、川沿いの地域では別の要因でも浸水被害が起きていたことがわかりました。排水ポンプ施設が想定を上回る雨量によって能力の限界に達し、住宅地に水があふれる「内水氾濫」が起きていたということです。

100年に1度を超えるような大雨のなかで
先月25日の記録的な大雨で、役場やおよそ300棟の住宅が浸水した山形県戸沢村には、村中心部の住宅地にたまった水を最上川に排水するポンプ施設が設置されています。

国土交通省新庄河川事務所によりますと、この施設は排水能力が毎秒1トンあり、大雨となった25日から26日にかけては、中断を挟みながらあわせておよそ16時間、ポンプを稼働させていたということです。

ところが記録的な大雨で住宅地にたまった想定を上回る雨水によって排水能力が追いつかず、用水路などから水があふれ出す「内水氾濫」が発生して役場や住宅など周辺一帯に浸水被害をもたらしていたということです。

また、酒田市の最上川沿いの排水施設でも同様のことが起きていて、ポンプが水につかって動かなくなったことで排水できない水がたまり、周辺の住宅が浸水する被害が出ていました。

河川工学の専門家によりますと、今回は100年に1度を超えるような雨が降り排水できる量を超えたため「内水氾濫」が起きたとみています。

河川工学が専門 東北大学の風間聡教授
「おおよそ5年に1度の頻度で起きるような内水氾濫に対して、排水ポンプ施設は水がはけるように設計されている。今後、気候変動で今回のようなことが頻繁に起こってくる。10年、50年かけてまちづくりをどうしていくのか行政と市民がみんなで考える時期に来ている」

そのとき排水ポンプ施設では
戸沢村中心部に設置されている排水ポンプ施設は、村から委託された住民がポンプの操作を担っています。

そのうちの1人で8年前から操作を行っている門脇薫さんは、先月25日の午後2時半からおよそ9時間にわたってポンプを使って住宅地にたまった水を最上川に排水し、川の水位を観測するなどしていたということです。

門脇薫さん
門脇さんは「午前中にやむと思っていた雨が降り続け、午後から最上川の水位がどんどん上がっていった。恐怖しかなかった」と当時の状況を振り返りました。

そして、戸沢村に大雨の特別警報が出るおよそ30分前の午後11時すぎ、村役場の担当者から「最上川の水が堤防を越えるかもしれない」と連絡が入り、最上川の逆流を防ぐために水門を閉めてその場から避難したということです。

門脇さんが施設の外に出た時には、すでに周りは浸水していて股下まで水につかりながら近くの村役場に避難したということです。

門脇さんは「雨の量が多すぎて、ポンプを使っても排水が追いつかなかった。民家の浸水を防ぐため排水を続けたが、命を優先して避難せざるを得なかった」と話していました。

国交省の河川事務所「ポンプも堤防も限界がある」
国土交通省新庄河川事務所によりますと、戸沢村中心部の排水ポンプ施設「古口排水機場」は住宅地の浸水を防ぐために設置されていて、排水する能力は毎秒1トンだということです。

畑井言介副所長は「住宅地に流れ込んでくる雨の量が多く、最上川の水位も上がっていた。気象が激甚化しているので、排水施設の対応だけではすべてはまかなえない。ポンプに限らず堤防も同じで限界があるので、気象の条件によっては被害が生じるおそれがあることを日頃から住民に伝え、早めに避難してもらえるよう努めていきたい」と話しています。

川の氾濫 堤防決壊が相次ぐ 地形的要因で被害拡大か
今回の大雨で山形県や秋田県では多くの河川が氾濫したり、堤防が決壊したりしました。

山形県では最上川水系の新田川、野尻川のほか、秋田県では子吉川水系の子吉川、石沢川、米代川水系の五反沢川で堤防が決壊しました。川の氾濫は山形県で22河川、秋田県で9河川、宮城県で2河川、岩手県で1河川のあわせて34河川に達し、住宅や農地などが浸水したほか、道路や川の護岸などが壊れる被害が出ました。

東北大学の風間聡教授は山形県と秋田県で調査を行い、このうち、最上川と支流の鮭川の合流する戸沢村では最上川では堤防の決壊にはいたらなかったものの、あふれた水に削られて堤防の一部が壊れていたほか、鮭川など中小河川では複数の場所で堤防が決壊していました。その要因として風間教授は地形的な特徴を指摘しています。

この地域では日本三大急流の1つとして知られる最上川をはじめ中小河川でも勾配が急なため、あふれた水の流れも速くなり、浸水による被害が広がった可能性があると分析しています。

東北の山間部は勾配が急な河川が多く、今後も流域に発達した雨雲がかかり、氾濫するとあふれた水による被害が拡大するおそれもあると指摘します。

東北大学 風間聡教授
「今まで経験したことがないような洪水が今後も東北各地で起きると考えられる。特に中小河川は必ずしも情報や対策が充実しておらず、知らないうちにあふれていることがよくある。大雨の時は外に出ず、川に近づかないのが鉄則だ」

“台風並み”の暖かく湿った空気が
気象庁によりますと、山形県新庄市では先月26日朝までの24時間に平年の7月1か月分のおよそ1.8倍の雨が降りました。

東北には、断続的に暖かく湿った空気が流れ込み、秋田県の観測点では、25日から翌26日にかけて大量の水蒸気が観測されていました。このうち、上空1500メートル付近では台風が接近した際に観測されるような高い数値だったということです。

この時期特有の太平洋高気圧の縁をまわる暖かく湿った空気のほかに、台湾付近を西寄りに進んでいた台風3号周辺の空気が遠く離れた東北の雨に影響した可能性があるということです。

気象庁は「台風の接近以外でこれほど暖かく湿った空気が東北で観測されることはあまりない。なぜこれだけ記録的な雨となったかについては詳しい分析が必要だ」としています。

2回の特別警報 警報切り替え3時間半後に
今回の大雨で、山形県では1日に2回特別警報が発表され、酒田市では警報に切り替わった3時間半後に再び特別警報が発表される異例の事態となりました。

1回目の特別警報
気象庁は先月25日午後1時すぎ、山形県に大雨の特別警報を出しました。

その後、雨が弱まったことなどから午後8時すぎに警報に切り替え、この直前の会見で気象庁は「しばらくの間は特別警報は考えにくい」と説明したほか、地元の河川国道事務所と気象台は臨時の情報で、「大雨は峠を越えた」などと伝えていました。

2回目の特別警報
しかし、発達した雨雲が次々にかかり続け記録的短時間大雨情報が相次いで発表されたほか、線状降水帯も発生したことなどから、午後11時半すぎに再び特別警報を発表し、酒田市では1日に2回特別警報が発表される異例の事態となりました。

2回目の特別警報を受けた会見
これについて、去年まで気象庁の予報課長を務めていた黒良龍太さんは、警報の発表や切り替えは観測した雨量や予測の結果にもとづいて行われるため、今回の対応は致し方なかったとしています。

また、線状降水帯を数時間前に高い精度で予測できるようになるには時間がかかる見込みで、それまでは今回と同じような特別警報の出し方になる可能性があるとしています。

このため、特別警報を警報に切り替えても気象状況が悪く災害の危険度が高い状況が続く場合は、会見などで豪雨の予測が難しいことを丁寧に説明し警戒を緩めずに防災対応をとるよう呼びかける必要があるとしています。

気象庁の予報課長を務めていた黒良龍太さん
「技術的な限界を踏まえた上で住民に防災行動をとってもらうことが重要だ。予想がまだ不十分な場合は、それを踏まえた呼びかけや解説を行っていくことが大切だ」

山形 秋田 3人が死亡 2人が行方不明
NHKが山形県と秋田県の警察などを取材したところ、大雨の影響でこれまでに山形県で2人、秋田県で1人のあわせて3人が亡くなり、山形県で1人、秋田県で1人のあわせて2人の行方が分からなくなっています。

このうち、山形県新庄市の橋の近くでは先月25日、パトカーで救助に向かっていた警察官2人が流されて行方不明となり、付近の田んぼで、巡査長だった26歳の男性警察官が死亡しているのが見つかったほか、28日には、パトカーが流された場所からおよそ1.7キロ離れた川岸で巡査部長だった29歳の男性警察官が死亡しているのが見つかりました。警察によりますと、2人は溺れて亡くなったということです。

秋田市では、雨が降り始めたあと出かけたまま行方不明になっていた86歳の男性が、先月26日、雄物川の中から遺体で見つかりました。警察は、増水した川に転落した可能性があると見ています。

このほか、山形県酒田市によりますと、記録的な大雨のあと、荒瀬川の氾濫などで大きな被害が出ている市内の大沢地区に住む86歳の女性が行方不明になっているということです。市によりますと、この女性は、先月25日の朝、家族とともに避難しようと自宅を出て川沿いの道を歩いている途中、行方が分からなくなったということです。

一方、警察によりますと、先月31日午後1時50分ごろ、この地区の荒瀬川で1人が心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。警察は、86歳の女性との関連を調べています。

また、秋田県湯沢市では、先月25日に道路工事の現場で土砂崩れが発生し、作業をしていた60代の男性1人が巻き込まれ、行方がわからなくなっています。

【山形県 被害の状況と現場】
先月25日の記録的な大雨で、山形県内ではあわせて7市町村に大雨の特別警報が出され、警察官2人が死亡したほか、86歳の女性が行方不明となっています。

また、最上川など国や県が管理する河川のおよそ40か所で氾濫が発生するなどして、日本海側の庄内地方や北部の最上地方で大きな被害が出ました。

NHKが1日午後5時までに各自治体に取材したところ、浸水被害があった住宅や小屋などは、酒田市、遊佐町、戸沢村でそれぞれおよそ300棟など、あわせて17市町村で1400棟余りにのぼっています。

また、断水は酒田市、遊佐町、鮭川村のあわせておよそ400戸で続いています。

避難所に避難している人は酒田市と戸沢村でそれぞれおよそ100人などと、あわせて6市町村で270人余りに上っていて、今後も自治体などによる被害の実態把握や住民の生活再建への支援が求められています。

新庄市 警察官たちが亡くなった2人の遺留品を捜索
記録的な大雨となった7月25日の夜遅く、新庄市本合海で救助に向かう途中のパトカーが流されました。

乗っていた新庄警察署の男性警察官2人が行方不明になり、その後、2人は見つかりましたが、死亡が確認されました。

記録的な大雨から1週間となり、現場の田んぼではパトカーは撤去されましたが、流された一般の乗用車3台は、残されたままとなっています。

1日は6人の警察官たちが稲を棒でかき分けながら、亡くなった2人の遺留品などを捜していました。

また、パトカーが流された場所からおよそ1.7キロ離れた、警察官1人が見つかった橋の近くには花などが手向けられていました。

酒田市大沢地区 住宅から土砂運び出し「できることから」
酒田市大沢地区では、地区を流れる荒瀬川が氾濫するなどして多くの住宅が浸水したり道路が崩落したりしました。

記録的な大雨から1週間となった1日も土砂や木が流れ込んだままになっている住宅が多く、住民たちは地区の人と協力しながら、スコップなどを使って土砂を自宅から外に運び出していました。

この地区に住む相蘇弥さん(53)は「諦めの気持ちもありますが、できることから始めている状況です。流木は住民の力では運び出せないため、対応を検討してほしい」と話していました。

大雨から1週間となりますが、酒田市では被害の全容を確認できておらず、長期化する避難生活や高齢者が多い地区での生活再建が課題になっています。

【秋田県 被害の状況と現場】
湯沢市 行方不明の作業員 あすから捜索へ
先月25日、秋田県湯沢市上院内の道路工事の現場で大雨による土砂崩れが発生し、作業をしていた60代の男性1人が巻き込まれ現在も行方がわからなくなっています。

現場では二次災害のおそれがあるとして発生から1週間にわたって捜索できない状態が続いていましたが、警察や消防は危険性が低くなってきたとして、2日午前8時から捜索を始めることを決めました。

警察や消防などあわせておよそ50人が活動にあたることにしています。

警察や消防は、男性が現場の近くを流れる川に落ちて流された可能性もあるとみていて、川の流域での捜索は続けています。

にかほ市 熱中症対策しながらの片付け作業
先月31日の時点で21棟の住宅が浸水などの被害を受けたにかほ市では、午前中から片づけ作業が行われていました。

にかほ市の平沢地区では、午前9時半すぎから住民やボランティアが水につかった家具をトラックに乗せて運ぶ作業が行われました。粉じんなどを吸い込む危険性があるため、マスクを着用して作業にあたっていました。

にかほ市の災害ボランティアセンターによりますと、ボランティア向けに水やスポーツドリンクなどの飲み物や汗ふきシートを用意しているということです。

また、片づけ作業を行う際の熱中症対策として、20分間活動したらその後10分は休憩をとることや、こまめに水分をとることなどをボランティアに呼びかけているということです。さらに平沢地区ではボランティア向けに公民館を休憩所として開放しているということです。

ボランティアに参加した秋田市の大学生は「きょうは気温は低いけど湿度は高いので水分補給しながら気をつけて活動しようと思います」と話していました。

にかほ市災害ボランティアセンターの佐々木三成センター長は「朝の打ち合わせでも熱中症の対策を呼びかけています。安全に活動していきたい」と話していました。

10の河川で氾濫発生
秋田県内では10の河川で氾濫が発生しました。

このうち、由利本荘市を流れる子吉川と支流の石沢川では、それぞれ数十メートルにわたって堤防が決壊しました。

さらに、▽由利本荘市を流れる西目川と久保田川▽大仙市を流れる上総川と小友川、▽三種町を流れる三種川、▽五城目町を流れる内川川、▽上小阿仁村を流れる五反沢川と仏社川でも氾濫が発生しました。

住宅被害260棟以上に
県によりますと、北秋田市で1棟が半壊し、北秋田市と由利本荘市でそれぞれ1棟が一部壊れたほか、県内各地であわせて263棟が水につかりました。

このうち床上浸水は、由利本荘市で25棟、にかほ市で9棟、上小阿仁村で7棟、横手市で3棟、三種町で1棟のあわせて45棟です。

また床下浸水は、由利本荘市で50棟、横手市で43棟、上小阿仁村で37棟、大仙市で25棟、羽後町で17棟、湯沢市で13棟、にかほ市で12棟、北秋田市で9棟、三種町で8棟、美郷町で3棟、東成瀬村で1棟のあわせて218棟となっています。

高齢者や障害者の社会福祉施設は、横手市、由利本荘市、北秋田市、にかほ市大仙市でそれぞれ1施設が水につかりました。

また、上小阿仁村で、126戸で断水しているということです。

農林水産業の被害
秋田県によりますと、これまでに水田や大豆畑などあわせて2511ヘクタールの農地が水につかったほか、あぜ道や水路が壊れるなどの被害が759か所で確認されています。

こうした農林水産業全体の被害額は40億1180万円余りとみられるということです。
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