はち巻岡田@中央区銀座3-7-21
月に1度、4泊5日位の日程で上京し、美術館や博物館を巡るのを楽しみとしている。時には、昼や夕飯を老舗と言われるところを訪ねる。
候補の所番地や定休日、営業時間等を調べておいて運が良ければ入店と相成る。
室町砂場ほどの歴史ではないが、久保田万太郎や山口瞳ら文人に愛されたという銀座の小料理屋「はち巻岡田」は大正5年(1916)に創業されたというから、100年近い歴史がある。
松屋銀座の裏側で「野の花 ・司」と言う花屋と画廊に間の袋小路の突き当り。
(17時に開店、昼間は大きな提灯や暖簾が下がっていないので分からない)
銀座の裏側には、路地や袋小路が多い。
路地裏大好き人間にとって、散策の興味は尽きない。
更に、同じ場所での昼と夜で大きな違いもある。
何度かはいろうかと思いつつ、実現しなかったが、9月の上京時に夢がかなった。
居酒屋風なのだが敷居が高く感じられる、意を決して入店した。
入り口の台の上に菊正宗の四斗樽の菰被りが置かれている。
店内は、カウンター4席ほど、3つほどのテーブル席と小上がり。
テーブル席には3人のご婦人連れが、お銚子を傾けながら、静かに話している。
小生より、いくらか年上にみえるが、女3人飲みかつ食べながらの姿は羨ましい。
白木のカウンターの席が空いていたので、そちらを希望した。
目の前が厨房なので、調理の様子が眺められる。
日本酒は「菊正宗」のみ。
先代の顏写真が掲げられている。
創業以来、銀座の中で2度場所を変え、40年前から現在地に移り、今は三代目とのことだ。
店名を冠した「岡田茶わん」は定番らしい。
鶏のスープに葱の千切り。
単純なものほど難しいものはない、といわれる。
正にこの味は複雑微妙、白髪ねぎの包丁さばきも見事。
本日のお勧めだった「穴子の蒲焼」
皮がカリッと焼けて香ばしい。
江戸の料理の流れを引き継いだ味なのだろう。
店内の作りは昭和を感じさせ、銀座と云うよりは京都の小料理屋を思わせるが、
一見さんでも丁寧に対応してくれる。
そこが、老舗の良さなのだろう。
穴子を肴にお銚子2本で酔いが回った
名物料理もいろいろあるようで、もう少し、という感じも在ったが、この日は座っただけでも大満足。再来を念じて辞した。