水戸室内管弦楽団と巡る『ヨーロッパ音楽紀行』
水戸芸術館音楽部門編 音楽之友社 2009年3月
市制100年を記念して開設された水戸芸術館が来年で20年を迎える。
音楽・美術・演劇の3部門を狭い敷地に併存させ、しかも、貸し会場にはしない。
という基本方針を守りながら見事に存続したものだと思う。奇跡ともいえる。
これは吉田秀和館長初め館のスタッフや行政サイドの運営のかじとり。
運営方針を理解し自分達の芸術館との認識が深まった水戸市民。
内容の素晴らしさに賛同してくれている企業の賛助金。
多くの人達の気持ちが繋がったからこそ出来たこと。
もし、という話しは、話しにならない。
しかし、もし芸術館が生まれていなかった水戸の街は?
と考えたら、ぞっとする。
今以上に寂れた街になってしまっていただろう。
関係する方々の努力に感謝したい。
今回出版された、水戸室内管弦楽団と巡る『ヨーロッパ音楽紀行』水戸芸術館音楽部門編 音楽之友社刊は
クラッシック門外漢の僕にも楽しめる内容だ。因みにクラキチさんから贈呈された。
水戸室内管弦楽団(以下MCO)は2008年5月31日から6月14日まで、ほぼ2週間のヨーロッパ公演を実施した。
MCOは1998年と2001年にもヨーロッパ公演を行い、その模様はそれぞれ書籍にまとめられている。
今回の公演は小澤征爾音楽顧問の指揮のもと、ミュンヘン、ウイーン、フィレンツエ、マドリード、パリという順で5都市を巡るツアーを予定していた。しかし、直前に小澤音楽顧問が腰椎椎間板ヘルニアのため指揮出来ないというアクシデントが起きた。
指揮者なし.という形で演奏旅行を行わざるを得なくなった。
この本は、この不測の事態をどう乗り越えたかのドラマテックな記録。
その意義を吉田秀和館長が関根哲也、中村晃楽部門の学芸員の質問に答えるところから始まる。
更に、「現地在住の日本人聞く』というページでは、ウイーンで出会った水戸出身の羽部真紀子さん(24歳)へのインタヴュー。
羽部さんは水戸一高から東京芸術大学の指揮科を卒業後、2006年ウイーン音楽大学指揮科に留学した。女性の指揮者は未だ少ない。その険しい道を選んだのは水戸芸術館でのMOCの手お子演奏会で小沢征爾指揮による演奏を聴いたことがきっかけだった。「小澤先生を身近に見ていたこと。それがなかったら指揮者になりたいとは思わなかったろう」とかたっている。
芸術館が次の世代に繋げる役割を果たしている。
訪問各都市の『街と音楽』について矢澤孝樹学芸員が記している。
『街と音楽』について出発前の2008年1月から4回にわたり水戸国際交流会館で講演会が開かれた。
その際、僕も受講したが、かなり詳しい説明であった。
本書からは、ガイドブックのように街の雰囲気が伝わって来る。
行ったことの有る街も、無い街もとても親しく感じられるように書いてある。
水戸芸術館の特色として、各部門の学芸員が芸術館内のみでなく館外の活動にも力を入れているので市民との接触が多い。
この様なことは、とても稀な例でたの都市の学芸員ではあり得ないのでは、と思う。
全ての活動は学芸員に始まる。
幸い水戸芸術館は優秀な学芸員に恵まれてきた。
勿論、専門職だからキャリアを積んで他の同様施設や教授なども転向する。
水戸芸術館に在籍した学芸員が全国で活躍しているのは、嬉しいことだ。
音楽好きでなくとも楽しめるこの一冊、是非お薦めしたい。
水戸芸術館音楽部門編 音楽之友社 2009年3月
市制100年を記念して開設された水戸芸術館が来年で20年を迎える。
音楽・美術・演劇の3部門を狭い敷地に併存させ、しかも、貸し会場にはしない。
という基本方針を守りながら見事に存続したものだと思う。奇跡ともいえる。
これは吉田秀和館長初め館のスタッフや行政サイドの運営のかじとり。
運営方針を理解し自分達の芸術館との認識が深まった水戸市民。
内容の素晴らしさに賛同してくれている企業の賛助金。
多くの人達の気持ちが繋がったからこそ出来たこと。
もし、という話しは、話しにならない。
しかし、もし芸術館が生まれていなかった水戸の街は?
と考えたら、ぞっとする。
今以上に寂れた街になってしまっていただろう。
関係する方々の努力に感謝したい。
今回出版された、水戸室内管弦楽団と巡る『ヨーロッパ音楽紀行』水戸芸術館音楽部門編 音楽之友社刊は
クラッシック門外漢の僕にも楽しめる内容だ。因みにクラキチさんから贈呈された。
水戸室内管弦楽団(以下MCO)は2008年5月31日から6月14日まで、ほぼ2週間のヨーロッパ公演を実施した。
MCOは1998年と2001年にもヨーロッパ公演を行い、その模様はそれぞれ書籍にまとめられている。
今回の公演は小澤征爾音楽顧問の指揮のもと、ミュンヘン、ウイーン、フィレンツエ、マドリード、パリという順で5都市を巡るツアーを予定していた。しかし、直前に小澤音楽顧問が腰椎椎間板ヘルニアのため指揮出来ないというアクシデントが起きた。
指揮者なし.という形で演奏旅行を行わざるを得なくなった。
この本は、この不測の事態をどう乗り越えたかのドラマテックな記録。
その意義を吉田秀和館長が関根哲也、中村晃楽部門の学芸員の質問に答えるところから始まる。
更に、「現地在住の日本人聞く』というページでは、ウイーンで出会った水戸出身の羽部真紀子さん(24歳)へのインタヴュー。
羽部さんは水戸一高から東京芸術大学の指揮科を卒業後、2006年ウイーン音楽大学指揮科に留学した。女性の指揮者は未だ少ない。その険しい道を選んだのは水戸芸術館でのMOCの手お子演奏会で小沢征爾指揮による演奏を聴いたことがきっかけだった。「小澤先生を身近に見ていたこと。それがなかったら指揮者になりたいとは思わなかったろう」とかたっている。
芸術館が次の世代に繋げる役割を果たしている。
訪問各都市の『街と音楽』について矢澤孝樹学芸員が記している。
『街と音楽』について出発前の2008年1月から4回にわたり水戸国際交流会館で講演会が開かれた。
その際、僕も受講したが、かなり詳しい説明であった。
本書からは、ガイドブックのように街の雰囲気が伝わって来る。
行ったことの有る街も、無い街もとても親しく感じられるように書いてある。
水戸芸術館の特色として、各部門の学芸員が芸術館内のみでなく館外の活動にも力を入れているので市民との接触が多い。
この様なことは、とても稀な例でたの都市の学芸員ではあり得ないのでは、と思う。
全ての活動は学芸員に始まる。
幸い水戸芸術館は優秀な学芸員に恵まれてきた。
勿論、専門職だからキャリアを積んで他の同様施設や教授なども転向する。
水戸芸術館に在籍した学芸員が全国で活躍しているのは、嬉しいことだ。
音楽好きでなくとも楽しめるこの一冊、是非お薦めしたい。