漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第7章 その7

2009年10月26日 05時48分54秒 | 漫画背景
( この写真は、単行本に掲載するつもりで撮影した仕事中の私です。 お分かりの事とは思いますが
 ・・・Jプロの仕事場です。 正面ガラスの奥がJ先生のいる個室になります。《 2008年1月、撮影 》 )  
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その7
 
 
 
自分が1ページに平均10時間近くかけた漫画作品( 20ページ以上 )が紙屑にな
るのにたったの30分とかかりません。
 
 「 これはダメですね 」
 
とか、
 
 「 つまらないね 」
 
で・・・終わり。
 
編集員だって、そんな事は、言いたくはないのかも知れませんが・・・・・
・・・言われる方はナイフで刺されるのと同じ心境になるものなのです・・
・・・・。

しかし・・・そんな悲哀も・・・10年以上たってしまった過去の出来事とし
て忘れつつある今日この頃・・・・・
 
よく人から・・・( ホントは極たまに! )
 
 「 なぜ『 漫画家アシスタント物語 』を書いているのですか? 」
 
とか、
 
 「 『 漫画家アシスタント物語 』とは何ですか? 」
 
と、聞かれます。
 
私は・・・
 
 「 重たい泡( アブク )なんです・・・ 」
 
ってな事を答えたりします・・・・
 
それは、ボツになった漫画原稿がゴミとして消えていくのと同じ様に、漫画
家アシスタントも誰も知らぬ間に消えていく・・・泡みたいなものだと・・・。
 
でも、その泡の一つ一つは・・・とても重たいのだと・・・・・
 
名前の出る漫画家先生の背後で夢だけ食って・・・そして・・・足跡さえ残
さずに黙って静かに消えて行く・・・・・
 
ホントに・・・泡です。 一つぶの泡です・・・
 
でも・・・
 
重たい・・・! 
 
絶対に重たい!
 
 
私が描いたギャグ漫画は・・・結局、誰一人笑わせる事もなくゴミ化しまし
た・・・・・・・
 
前回までに書いたS英社( ※参照 )への持ち込みの後で、J先生からの勧めも
あって「週刊漫画A」( ※参照 )の編集員氏にも見てもらいましたが・・・
 
 「 私もギャグを考えているんですよ・・・」( 編集員自身の漫画ネタ )
 
・・・と、話し始め・・・
 
 「 ・・・家族のギャグなんか、どうかと思うんですよね・・・お父さんが
  ゴルゴ13で・・・ 」
 
編集員は自分のアイデアを延々と語るのですが・・・私の原稿は机のすみに
押しやったまま見向きもしません。
 
 「 お父さんがゴルゴだからァ・・・それでェ・・・私がずっと前から温め
  てきたアイデアなんですがね・・・ 」
 
なるほど・・・しかし、どうも「 クレヨン○○ 」の延長線上にある様な話で
す・・・・・それを・・・延々と語るわけです・・・・・
 
私は・・・その話を聞きながら・・・すっかりギャグを描く気をなくし、タ
イ人と日本人との恋愛話でも描こうか・・・以前、タイで知り合った日本人
がその家族によって殺された話でも描こうか・・・・・
 
すでに頭の中がバラバラで、自分で熱中出来ないネタの尾っぽを必死に掴も
うとているのです・・・・・
 
描くために・・・描かなくてはいけないために・・・そんな強迫観念のため
に・・・描くものを捜す・・・・・・
 
もはや・・・ガソリンの切れた自動車のアクセルをガンガン狂った様に踏み
つけている猿の様になっていました。
 
 
そんなある日・・・
 
J先生が、暗い・・・真っ暗い私の顔を睨みながら・・・・・・
 
とんでもない提案をするのです・・・・・
 
地獄の底で響く様な・・・
 
例の低い声で・・・

 「 おめィ~よォ~ 」
 
 
 
            「漫画家アシスタント 第7章 その8 」 へつづく・・・


               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その6」へ戻る 】

 
 
  
【 ※参照 】
 ・S英社・・・・・・・・少年誌、青年誌、発行部数で常にトップを争う大手出版。
  1992年当時、「YJ」は発行部数300万以上。「○忍!!空手部」「○氏の隣
  人」などが連載。
 ・週刊漫画A・・・・・・週刊漫画誌の老舗。「ヤング系」に圧されて後に休刊する。

 
 

 
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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」






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漫画家アシスタント 第7章 その6

2009年10月17日 22時35分00秒 | 漫画
( この写真は、東京千代田区神保町の街並みです。この写真の場所から少し歩いた所にS英社
 のビルがあります。週刊少年J誌が600万部売れたバブル期の10年前(80年頃)は一つだったビ
 ルが今では私が知るだけでも・・・3つになっています。《 2007年6月、撮影 》 )  
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その6
 
 
 
S英社( ※参照 )の近くにある小さな喫茶店で、担当のK編集員氏( ※参照 )
は表情も変えずに「 暗黒劇画劇場 」を読み終えます。
 
「 暗黒劇画劇場 」は各4ページの7作品( 計28ページ )。完全に連載を意識し
た作品で、最初の2作品のみ仕上げて、他は下書きのまま見てもらっていた
のです。
 
「 雑踏市 」で迫力を、「 またしたのジョー 」では「 下ネタ 」を・・・・・
 
 『 きっと面白がってくれる! 』
 
そう信じていたのですが・・・・・・7作品全てが・・・・・・「 沈黙 」と
「 無表情 」の中で・・・・・・あっけなく沈没していくのです
 
「 第4作目 」「 第5作目 」「 第6作目」「 第7作目 」(「○ザエさん」のパロ
ディーですが、これだけは非公開)・・・・・・
 
どの作品にも・・・・・反応がまるでない・・・・・・
 
私はジットリと汗ばみながらも・・・気味の悪い寒気を感じていたのです・・
・・・
 
K編集員は、隣に座る女性編集員( ※参照 )に最後のページを渡し、彼女がそ
れを読み終わった時に話しかけます・・・・
 
 「 どうかな・・・・君はどう思う? 」
 
新人編集員がベテラン編集員に試される瞬間です・・・・
 
 「 ・・・・・はい。 最初は・・・何だろうこれ・・・って感じで・・・
  どうかなァ~って思ったんですけど・・・・・・ 」
 
私は、この「 ・・・ですけど 」と、キッパリ言った彼女の顔が「 菩薩如来 」
の様に見えはじめる・・・・・
 
 「 まとめて読むと・・・結構、面白いな~って・・・! 」
 
私は、菩薩様に合掌する思いで彼女を見上げます・・・・・
 
 『 ど~よ、K編集員! 』
 
私は嬉しさの中で身を乗り出す様にしてK編集員の顔を窺います・・・
 
しかし・・・
 
 「 ダメだよ、これ 」
 
『 素人は困るぜ・・・ 』といった感じで、私の原稿を手に取りながら・・・
・・・難しい表情でK編集員は話し始めます・・・・
 
その話の内容は著作権に関する事で・・・まず承諾されるわけがない( 掲載不
可 )という事でした。
 
そして、作品のネームに関して・・・キャラクターが立ってないとか、ページ
不足だとか・・・細かい事柄を一つか二つアドバイスをして・・・
 
 『 どうだい、こうやって批評するんだぜ 』
 
・・・ってな感じで、初めて満足した様に笑顔を女性編集員へ向けるのです。
彼女は私から視線をはずして小さく一声・・・
 
 「 はい・・・ 」
 
と。
 
それから・・・・・・敢然と・・・顔を上げると・・・
 
 「 でも・・・これ・・・やっぱり、面白いですよ! 」
 
・・・ってな事、言ってくれるわけもなく・・・・・
 
私は白けた雰囲気の中で冷たくなったコーヒーを静かにすするのです・・・・・

 『 何、描きゃいいッつ~~んだよ・・・ 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第7章 その7 」 へつづく・・・


               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その5」へ戻る 】

 
  
【 ※参照 】
 ・S英社・・・・・・・・少年誌、青年誌、発行部数で常にトップを争う大手出版。
  1992年当時、「YJ」は発行部数300万以上。「○忍!!空手部」「○氏の隣
  人」などが連載。
 ・K編集員・・・・・・私より1つ年下の中堅編集員、後に「少年J誌」の副編
  集長になる。
 ・女性編集員・・・大学を出たばかりの新人編集員。週刊ヤングJ編集部。
 
 

 
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漫画家アシスタント 第7章 その5

2009年10月10日 22時58分54秒 | 漫画
( この漫画は、1992年頃に描いたパロディー漫画「暗黒劇画劇場」の一部です。どこかで見た様な
  ・・・顔かもしれませんが・・・・・ただのデブボクサーとトレーナーです! どうか・・・そ
  の辺のところは、気になさらずに・・・本文の方へどうぞ・・・・《 1992年頃、作画 》 )  
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その5
 
 
 
1992年から93年にかけて・・・パロディー漫画の「 第1回 」と「 雑踏市 」を仕
上げ、さらに4,5本の下書きを描いてからS英社( ※参照 )へ持ち込みに出かけま
した。
 
自分の漫画のシナリオを考える時は、「 マンガ 」なんだけど・・・けっこう難し
い顔をしているものです。
 
しかし、この「 パロディー漫画 」のシナリオに関しては、本当に楽しかったので
す。 まさに「 自画自賛 」! 私自身・・・その破滅的( 無謀 )な作品に、なぜあ
れほどの自信を持つ事が出来たのか不思議でなりません。
 
私がS英社の「ヤングJ誌」でデビュー( 87年 )以来、ずっと担当を務めてくれてい
たK編集員( ※参照 )は、相変わらず無表情な顔に忙しい毎日のストレスを隠す様に
薄っすらと笑顔を浮かべながら私を迎えてくれました。
 
 「 コーヒーでも飲みながら見ましょう・・・ 」
 
いつもの様に、K編集員がそう言った時に・・・いつもとは違う事が起こりました
・・・・
 
 「 君も一緒に! 」
 
そう言うと、すぐ隣のデスクに座る後輩らしい女性編集員を促すのです。
 
 「 ハイ 」
 
そう言って、素直につき従う彼女は・・・今年、大学を出立てのまるでつるつるの
ゆで卵の様な女性でした。 パサパサしたセミロングの髪を振りながら、慣れない
動作で私とK編集員の後を付いてきます・・・
 
先輩編集員が実際に「 持ち込み 」にどう対応するかの実地研修だったのだと思い
ます。
 
喫茶店は近くの喫茶店・・・だったか、S英社のビル内にある喫茶店だったか・・
・・・もう忘れてしまいましたが・・・・とにかく、小さなお店で背中を丸める様
にして店のスミにあるテーブル席に3人が掛けました。
 
私は自信満々で原稿用紙を取り出します・・・
 
 「 ギャグなんですが・・・ 」
 
 「 えッ? ギャグ~ッ??? 」
 
クールなK編集員は目を丸くしながら原稿を受け取ります。 とは言っても、期待
に胸躍らせる・・・と、言うよりも・・・
 
 『 あんたがギャグを・・・・なんで・・・・?? 』
 
明らかに失望したような・・・そんな顔を原稿に向けます・・・・・
 
私は、それでも・・・
 
 『 最初のページから度肝を抜くぜ・・・フッフッフッ! 』(「 第1回 」)
 
しかし・・・・・・・・・K編集員は、驚くどころか二コリともしないでパラパラ
と原稿をめくる・・・・・・

見終わった原稿を隣に座る女性編集員にアゴで読む事を指示する。
 
私は、それでも・・・・・
 
 『 タイトルの「 第1回 」に驚かないとは・・・やっぱ、タイトルだけで「 完 」
  じゃキビシかったかな・・・・・・でも・・・「 雑踏市 」は、きっとバカ受け
  間違いなし! 』
 
K編集員は「 雑踏市 」のゴミゴミした人物の絵に見入る・・・・そして・・・・・
・・・しばし手が止まる・・・・・・と、思ったら・・・・・・・・・・・・あっさ
り、パラパラと4枚を流し読み。
 
そのまま、女性編集員の手へ・・・
 
私は、それでも・・・・・自信に満ち溢れていた・・・・・・ってなわけもなく・・
・・・さすがにイヤな脂汗がにじみ出て来ます・・・・そして、手のひらが汗でベト
ベト・・・・・
  
 『 なぜ・・・・・・・・なぜ笑わないの? 』
 
二人の編集員は冷静に・・・まずい料理を無理やり口に運ぶ様に・・・原稿を読み進
むのです。
 
K編集員は「 第3回 」( 下書き )分の原稿を読みはじめます・・・・・
 
しかし・・・K編集員の顔に笑顔はありません・・・・・・お笑い芸人が舞台で全然
笑ってもらえない時の死にたくなる様な心境は、きっとこんな感じなのではないでし
ょうか・・・・・
 
しかし・・・・・・
 
私は、それでも・・・・・・「 第3回 」に最後の望みをかけるのです・・・・・・
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第7章 その6 」 へつづく・・・


               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その4」へ戻る 】

 
  
【 ※参照 】
 ・K編集員・・・・・・私より1つ年下の中堅編集員、後に「少年J誌」の副編
  集長になる。
 ・S英社・・・・・・・・少年誌、青年誌、発行部数で常にトップを争う大手出版。
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漫画家アシスタント 第7章 その4

2009年10月03日 20時26分25秒 | 漫画家志望
( この漫画は、1992年頃に描いたパロディー漫画「暗黒劇画劇場」の一部です。タイトル場面
 ですが、出来はともかく、バカが自信を持つとこんな感じになるものです。 詳しい事は本文
 にて・・・《 1992年頃、作画 》 )  
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その4
 
 
 
作品のテーマに「 愛 」を選ぶ者は幸いである・・・。 何故ならば・・・その
テーマを選んだだけで作品の成功が半分約束されたも同然だからである・・・・
・・・( ウィリアム・シェークスピアの言葉・・・ではない )1992年当時、私は
そんな文句とはまったく無縁でした。
 
漫画だけに限った事ではないと思いますが・・・小説でも映画でも、その「 作
品 」によって、より多くの人を幸せにした者がより多くの「 幸せ 」( 喜び )を得
るものです( これは、どこかの劇作家が本に書いてた言葉です )
   
ひるがえって私の漫画には「 愛 」や「 希望 」や「 勝利 」といった明快で豊か
なテーマが乏しく・・・おまけに財布の中身も乏しく・・・精神的にも呆れるほ
どに乏しい有り様でした・・・・。( 何でこんな事を書いてるのやら・・・ )
 
「 暗黒劇画劇場 」・・・・思いっきり自分の「 排他的 」な世界に入り込んで、
その世界にユラユラと沈澱していたのです・・・・。
 
 
前回紹介しました『 雑踏市 』は、生まれて初めての時代劇でしたので、キ
ャラクターの服装、髪型などには苦心しました。多くは、私の師匠であるJ先生
( ※参照 )の時代劇作品を参考にさせてもらいました。
 
これだけ多くのキャラクターを描き込むのは、毎日背景を描く事を仕事にしてい
るアシスタントにとっては、けっこうストレスになります。
 
 『 これだけ沢山の人物を描くのって、いったい何ページ分の漫画
  を描いた事になるんだろう・・・ 』
 
・・・ってな事を考え( 愚痴り )ながら描いたのを、今でもよく覚えております。
 
ただ・・・・・
 
困難な事に立ち向かう事は、きっと良い結果( 報い )を得る・・・のではないかと
いう無意識の幻想があったからこそ、挑む事が出来たのだと思います。
 
この「 雑踏市 」の次に「 連載第1回用 」の作品として作ったのが・・・・・( か
なり読者をなめきった作品ですが・・・お目こぼしのほどを・・・ ) 

・・・・『 暗黒劇画劇場第1回 』 なのです。
 
セリフやタイトルなどは、改めて活字編集してありますが、その内容は、ほとんど
当時のままです。
 
なぜ、こんなに自信(?)に満ちていたのか・・・それは、これに続く連作を見てい
ただければ分かると思うのですが・・・・・
 
有名なアニメなどを盗作・・・・・・いや、「 参考 」にして( パロディー化 )ウキ
ウキとした心地よい創作活動に励んでいたわけで・・・その明るい精神状態が各作
品に大きなエネルギーを与えた・・・と、言えば言えなくもないと思います。
 
さて、「 暗黒劇画劇場 」の第3回目は・・・
 
例の・・・あの・・・あまりにも有名な・・・ボクシング漫画を・・・愚かにも( 恐
れ知らずにも )・・・・・
 
実は・・・・・この作品を公開するのは・・・・・・一抹の不安があるのですが・・
・・・
 
この作品を見ていただければ・・・なぜ「 暗黒劇画劇場 」がボツになったのか・・
・・・・その最大の理由をご理解いただけると思います。
 
詳しくは・・・次回・・・・・だジョ~!
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第7章 その5 」 へつづく・・・
 

               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その3」へ戻る 】

 
  
 
【 ※参照 】
 ・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には
  週刊連載6誌という逸話もある。現在は2誌に連載中。92年当時、49歳。
 
 

 
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