漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その7

2019年09月07日 12時54分09秒 | タイ
               

       ( この写真は、私とカミさんの新しい家の建築風景です。奥の3人は女性です、タイでは建築作業
        にも多くの女性が参加します。彼女たちの日当は400バーツ(日本円で約1500円、男性なら1800
        円ほどです)・・・・・《 2019年、1月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、リビングルームです。まばらなレンガの色が気になりますが、新しいレンガよりも中古
         品の方が多く使われています・・・・・《 2019年、1月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、同じリビングルームです。1ヵ月経ってセメントで成型すると人の住めそうな感じがし
         てきます・・・・・《 2019年、2月、撮影 》 )


               

        ( ↑写真、正面玄関の反対側、つまり建物の裏側になります。左手に私の個室、正面が勝手口、洗
         面所、バスルームになります。・・・・・《 2019年、1月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、建物の裏側、上の写真と同じ場所ですが、セメントで成型すると、かなり印象が変わっ
         てきます。ただし、完成予定日が1ヵ月半後にせまっているのに、まだ屋根も床もできていません・
         ・・・・《 2019年、2月、撮影 》 )



               

        ( ↑写真、建築作業に必要な道具類ですが・・・・・・・日本のそれとは随分と違うのではないでしょうか・
         ・・・・《 2019年、2月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、ここはリビングルームになる部分ですが、床でセメントをこねています。こうした作業は
        後々、床が凸凹になってしまう原因となりました・・・・・《 2019年、2月、撮影 》 )


               

       ( ↑写真、やっと屋根材が設置されたガレージ部分。この後から作業は中断し、数十羽の野鳥が屋
        根裏に巣を作り、卵まで産み、野鳥の集合住宅が出来上がります・・・・・《 2019年、2月、撮影 》 )



       【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 

                  その7


作業員の賃金未払いの問題は前回書かせていただきましたが・・・・・・・・・・

さらに、建築資材費用さえ未払いなために予定していた資材が、送られて来ない状態が発
生しました。

2019年、3月。タイの季節は、雨の降らない乾季から、クソ熱い酷暑期へと入っていきま
す・・・・・・・・・・・

そして、ついに作業員が・・・・・・・一人も現場からいなくなります。

 「 あれ・・・・・今日はお休みなのかな? 」

・・・・・・・・などと思っていると・・・・・・・・・・

作業員は、滞納した賃金を払ってもらうまでは現場に来ない・・・・・・・・さらに、資材も一切
届かない・・・・・・・・・・・・

つまり、資材費用が未払いなために、資材会社がその搬送を中断したのです。

さっそく、問題のD氏( 契約した建築会社Dの社長 )に問い合わせると・・・・・・・・・・

 「 大丈夫ですよ、2,3日うちには全て支払いますから!アハハハハッ! 」

歪んだ基礎の上に、雑に固められたセメントの柱や壁、そして、どうにか屋根までは出来
上がっているのですが、天井ボードも電気配線も建具もない吹き曝しの廃墟の様な有様。

完成予定日の4月1日は、一ヵ月後に迫っているのに・・・・・・・・・・

着手金から基礎工事、棟上げ・・・・・・・・と、節目ごとに建設代金を分割支払いして、そのほ
とんどが支払い済みになっているのに・・・・・・・・・・( 総支払額約800万円 )

誰もいない、資材もない・・・・・・・・・・吹き曝しの廃墟の様なマイホームを見た時に腹が立つ
よりも、ゾッとする様な寒気を感じたものです。

すでにタイの季節は、一年で最も暑い酷暑期に入り、日中の気温は40度を超えるのに、な
ぜか冷たい・・・・・・・天ぷら油の様な汗が流れるのです。

こうした状態が数ヵ月経つと、熱帯の気候の中で室内は鳥や無数の虫の侵食を受けます。

屋根を支える鉄骨と壁の間には沢山の野鳥が巣を作り、コンクリートの床の上は見た事も
ない蛇の様なムカデがのたうっているのです。

まさか、建築途中で長ほうきで天井をつつきながら野鳥を追わねばならいとは・・・・・・・・・

完成予定日が近づくのに・・・・・・・・・・普通なら内装工事が急ピッチで進んでいなくてはなら
ないばずなのに・・・・・・・・・・・・

資材も、作業員もなく・・・・・・・・・進捗状況は、ほとんど変化がありませんでした。( ドア
もガラスもない廃墟のまま )

そして、ついに完成予定日を越えてしまいます・・・・・・・・・・・・こうした場合のために、遅延
罰金があるのですが・・・・・・・・1日の遅延で3000円( 労働者の2日分の日当に相当する )ち
ょっとなのですが・・・・・・・・・・

資材費用や作業員への未払い賃金、さらに、これからかかるであろう経費の金額は500万
円以上・・・・・・・・・・・つまり、遅延罰金などまったく意味がないのです。

問題のD氏は、「 今は金がない 」の一点張りで話になりません。

結局・・・・・・・賠償交渉をする事になりましたが・・・・・・・・・・

カミさんの幼馴染や友人の「 つて 」で町長や町の有力者に相談した結果、町長の自宅で
話し合う事になりました・・・・・・・・・・

町長以外にも、事務手続きなどを補佐してくれる副町長や、D氏の妻も同席しました。

D氏には、借金しかなく現金も預金もまったくないために、建築作業の継続は不可能であ
り、損害金の支払いもまったく出来ない事が分かりました。

また、町の有力者による調査では、彼の会社では複数のアメリカ人や日本人の顧客に対し
て同じ様な状況に立ち入っている事も分かりました。

私の家の場合の実質的損害金額は、300万円以上になるのですが・・・・・・・・・・それを200万
円ほどに圧縮して、さらに、月々( 15万円 )の無利息分割返済という誓約で妥協する事
になりました。

D氏は、少しでも収入があると博打に回してしまい、多くの作業費用を横領していた事に
なるので、すぐに警察に逮捕される身分なのですが・・・・・・・・・・・・

警察に訴えても、私たちに損害金が1円も戻ってくる可能性はないので、わずかですが分
割での返済に同意しました。

もっとも、正直に分割払い出来る人物とも思えないのですが・・・・・・・・・


さて、D氏が現場からいなくなって、作業の監督は誰がするのか?

資材や作業員の手配、作業の諸事、確認は誰がするのか?

専門的、技術的な問題が発生した場合( 建物の至る所で問題発生 )、どう処理するのか?

建築にはド素人の私たちにどうする事も出来ません・・・・・・・・

実は、建築途中の物件を引き継いでくれる業者さんはあまりいません・・・・・・・・・・それも、
欠陥や手抜き工事の後を引き受ける業者は皆無に近いのです。

新たに契約しようと現場を見積もりに来た「普通の業者」さんは・・・・・・・

 「 壁がダメですねこりゃ・・・・・・ 」

 「 天井が出来てませんよ・・・・・・・ 」

 「 床が歪んでます・・・・・・・ 」( 駄洒落にもならない )

 「 こりゃ酷い台所だなぁ・・・・・・・ 」

歪んだ台所の壁を指さしながら、その業者さんたちがニタニタと笑っている姿を見た時の
惨めな事ったらありません・・・・・・・・・・・・・

ざっと簡単に眺めただけで、絶望的な評価・・・・・・・・・・・つまり、見積もり金額は高額なもの
になります。

私は正直言って、同情してほしかった・・・・・・・・

 「 お気の毒に・・・・・・・私たちが格安で補修しましょう! 」

・・・・・・・・・・・・ってな事、言って欲しかった!

 「 こんな欠陥住宅作るなんて、タイ人の恥だ! ここは俺たちに任せて下さい! 」

・・・・・・・・・・・・・ってな事、言って欲しかった!

・・・・・・・しかし、「普通の業者さん」たちは・・・・・・・・・・・・

 『 こんなヤバい物件に関わってるほど暇じゃねェ~よ 』

・・・・・・・ってな、冷たい視線を私に向けるだけで挨拶もそこそこに立ち去っていきます・・・
・・・・・・・・・


結論として、完成までの追加費用の見積もり金額は1千万円!

そんな金はあるわけないので、もはや建築継続が不可能。

しかし、このまま諦められるものではなく・・・・・・・・

とにかく、自力で・・・・・残りの資金をあるだけ注入して、完成へ向かう・・・・・・・しかない!

作業員は全員継続して建築にあたり、その未払給与は全額肩代わりし、資材も不足分は
もちろん、これから先の必要な分まで全てこちらで準備する・・・・・・・・・・・・

口で言うのは簡単ですが、事実上、私とカミさんが建設会社を代行して、その現場監督
や資材調達、資材運搬、作業員人事・・・諸々、やらならなくてはならない・・・・・・・・・・と、
いうわけです!

ペンとインクしか持った事のない腕でシャベルやバケツを持ち、日中40℃の酷暑の中で、
朝8時から夕方まで建築現場を仕切らなくてならないとは・・・・・・・・・・・!

涙が出るほど情けないのを我慢しつつ・・・・・・・・・・

汗だく( 毎日、3回シャワーを浴び、下着を3回取り換える )になりながら・・・・・・・・・・
・・・・・収支決算に残高計算をする事になったのです。


こうして、格安だけれど、問題山積のまま・・・・・・・工事は継続、前進して行くのです!

そして・・・・・・・

預金通帳の残高も・・・・・・・

ゼロに向かって前進して行くのです!



        「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その8 」 へつづく・・・・


        ( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )


          ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その6」へ戻る 】



   


【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (28)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする