( この写真は、チェンマイの自宅で撮影した夕焼けです。携帯で夕陽を撮っても、実際の印象よりも色
彩が薄くなってしまうのが残念です・・・・・《 2021年、12月、撮影 》 )
( ↑写真、ご近所さんの住宅です。一般的な平屋住宅で、左側のピンクの建物はご主人が経営するドリ
ンクスタンド(日本のスナックみたいなもの)です。タイでは、自宅の空き地や軒下に簡単なお店
を作る事がよくあります・・・・・《 2021年、12月、撮影 》 )
( ↑写真、これもご近所さんの住宅です。青い色が特徴的ですが、タイでグリーンやオレンジ、ピンク
にイエローと、カラフルな原色で家を彩る傾向がここ10年ほどで目立つようになってきました・・・
・・《 2021年、12月、撮影 》 )
( ↑写真、すぐお隣の食材店です。日本の昔の雑貨、駄菓子屋みたいな感じです。小さいお店ですが、
いつも夕方になると野良仕事を終えた農民が賑やかにお酒をのんで楽しそうです・・・・・《 2021年、
12月、撮影 》 )
( ↑写真、3年ほど前に自宅の設計図を描いたのですが、建築会社の方で正式な図面にしてくれました。
これは、全敷地と建屋の平面図です。土地は少し変形していますが、広さは1100㎡あります・・・・・
《 2018年、撮影 》 )
( ↑写真、建屋の平面図です。E字を右横に倒した様な構造です。下が南側で、左下から浴室と個室、中
庭、中央下にリビングがって、中庭、右下が駐車場です。上が北側になります。左上から小さな個室
が2つ、シャワー室とトイレをはさんで個室が2つ、右上に大きなキッチン、ダイニング、ウッドテラ
スがあります・・・・《 2018年、撮影 》 )
( ↑写真、自宅の正面、南側の側面図です。私がデッサンした通りに建築会社の方で正式な図面にしてく
れました。左からバスルーム、個室、中庭、リビング、中庭、駐車場になります・・・・・《 2018年、
撮影 》 )
( ↑写真、自宅の正面の写真です。上の正面図の実際の写真になります・・・・・《 2021、12月、撮影 》 )
( ↑写真、自分の部屋(書斎)をデッサンしたものです。この図の右側の本棚は造作家具ですが、一部を
変更して普通の本立てを設置する様に変更しました。左下には造作家具のタンスがデッサンされてい
ます・・・・・《 2018年、撮影 》 )
( ↑写真、自宅の私の部屋です。上の立体図と同じ場所の実際の写真です・・・・・《 2021年、12月、撮影 》 )
( ↑写真、自宅の和室(?)の立体図です。床の間、天井の間接照明、障子や広縁など和風に仕上げたか
ったのですが、タイの建築会社では、床の間や広縁はもちろん、天井の間接照明すら理解してもらえ
ず、設計図とはかなり違う「奇妙な部屋」になってしまいました・・・・・《 2018年、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その12
アシスタントをやっている頃は、一戸建て住宅に住むなんて事は考えもしませんでした。( 考
えられるわけない )
自分は、死ぬまで郊外の安い築40年以上のボロ賃貸で生きるんだと・・・・そんな風に思って
いました。
日本で「一戸建て」というと、100㎡のほどの土地に2階建てで、似たような建売物件がズラリ
と並んだ風景を想像しますが・・・・・・・・それでも、「 夢の一戸建て 」なんだと思います。
私の様に、20歳位から貧乏漫画家アシスタントをやって40年、30歳の頃にはサラ金地獄に陥り、
50歳までドロドロの多重債務を味わった破産予備軍には、まさに「 夢の一戸建て 」です。
いや、夢ですら・・・・・財布の中に金が全然ないド貧乏な夢しか見られない・・・・・私にとって、「 一
軒家」などまったく縁もゆかりもありませんでした・・・・・・・・。
そんなわけもあってか・・・・・・
今自分が敷地1100㎡、建屋350㎡の注文住宅( 建築費・全財産の約1千万円 )に暮らしている事
に実感が、あまりありませんのです。
これは、何かの間違えで・・・・・・いずれ、「 そろそろ立ち退いて下さい 」とか、「 ほらほら、早く
起きろよ、仕事の時間だよ! 」と、叩き起こされるんじゃないか・・・・・・
ま・・・・・・
そんな事はともかく・・・・・・・・
今回は・・・・・・・・
3年前に私がこの家を設計し、図面や立体図を描いた時の事を書いてみたいと思います。
上記の図面や立体図を見て、漫画背景( 特に劇画 )を描いた事のある人なら、「 たいして難しく
ない 」と思われると思います。
この程度の平面図は、漫画背景で一軒家やビル街などを描く時の難しさに比べればたいした事はあ
りません。( 自動車や戦闘機なんて、もっと大変なのです )
そんなわけで・・・・・・・・
私は、かなり適当に軽~く描きましたが・・・・・・それで、ちゃんと建ってしまうんですから面白いも
のです。
最初は、簡単な平面図から始めるのですが・・・・・・
四角いベッドルームやリビング、キッチンをざっくりと描きます・・・・・・
この場合、重要な事は何処にドアと窓( 日当たりを考えて )を設置するか・・・・・・テーブルや椅子
をどのように置くのか・・・・・・そんな事を考えながら大きさや形を決めていきます。
ただ、注意しなくてはいけないのが、壁の厚みです・・・・・・仮に部屋の広さが一面4mだとすると、
左右の壁の厚み( 10cm×2 )を加えると4m20㎝になります。
この厚みまで計算して部屋を仕切っていくと・・・・・・廊下、トイレ、洗面所、隣の部屋といくつも重
なって来ると、だんだん訳が分からなくなります。
結局、壁の厚みを計算しないでそれぞれ、少し「 各室10cm 」ほど広めに考えて、後々建築会社に
正確に作図してもらおうと考えました。
今回の上記の写真には、私が描いた平面図はありません( 立体図のみアップしました )ので、建築
会社で作った図面をアップしてあります。
平面図でもう一つ重要な点があるのですが、それが「 動線 」です。
キッチンとトイレとお風呂などのドアを近くに設置すると、人の出入りが重なって危険なので、ド
アの設置には、常に人の動く「 動線 」を考えながら部屋を配置したり、ドアを設置したりする必
要があるのです。
さらに廊下を歩いている時に、突然ドアが開いてぶつかりそうにならない様に、廊下に面したドア
はスライドドアに代えたりしました。
さらに、我が家には、要介護老人が2人いるので、段差をなくしたり、車椅子や歩行器具なども計
算にいれて部屋割りやトイレ、バスの内装を考えました。
ちなみに、タイと日本の住宅の大きな違いは「 日当たり 」についての考え方なのですが・・・・・・
これが、かなり難しかったのです・・・・・・( 文化の違い、水質、電圧、治安・・・・後々、問題が多発
します )
日本とはまったく逆に日当たりが嫌われますので、親の居室を一番日の当たらない部屋にしたり、
南や西側には窓を設置しなかったり、思いっきり小さな窓しか付けなかったり、日本とは随分違
う習慣があるのです。
私は、最初に南向きを意識して( 最大限に陽の光を取り入れる事を考えて )設計したのですが、
随分と家人やその家族に怒られました。
「 この部屋、南向きじゃない、誰がこんな部屋に住むのよ! 」
ここタイでは、「 北向き 」「 日陰 」が最も贅沢で喜ばれるんですから、世界は広いものです。
それでも、私は明るい部屋を目指して、なるべくガラス窓やガラス戸を多用したのですが・・・・・・
これも、「 こんなにガラスを使ったら、すぐに壊されて泥棒が入る! 」と脅されたものです。
( 実際には、ガラスだから危ないというわけでもありません )
タイ人の太陽嫌いは、この国で暮らさないと日本人にはちょっと理解出来ないかも知れません。
夜間の照明でさえ、日本の様に食卓を明るくしただけで・・・・・
「 暑苦しい! 」
・・・・と、来客者が勝手に天井のライトのスイッチを半分切ってしまうほどです。
「 明るい食卓 」「 明るいリビング 」「 明るいわが家 」・・・・・・これこそ、日本の家、日本の家族
の理想的なイメージなのですが、世界には真逆な文化が存在しているのです。
次に、室内の立体図ですが・・・・・・
これは、もう完全に漫画背景の毎日の仕事で描いているのですから簡単です。
ほとんどの場合、一点透視図で造作家具を一緒に描きます。
この立体図に関しては、造作家具、建築業者も内装工事関係者も、私の立体図を見て関心するので、
いちいち「 日本で絵の仕事をしていたんですよ 」と説明するのが面倒なほどでした。
この立体図は、そのまま現場でコピーして各職人さんたちに配布して作業してもらいました。
電気や照明工事の職人さんたちにも、ライトの向きや設置場所などを立体図に追記したものをコピ
ーして配布したりしました。
こうした細かい指示を正確に伝える事が出来ないと、どうしても建築会社の建売住宅やそれに類す
る住宅を選択するしかなくなると思います。
実は、私の祖父は昔、東京の世田谷で「 藤和建設 」( 純和風注文建築専門、今はもうありません )
という小さな建設会社でやっていました。
晩年、肝臓がんで倒れるまで、事務所で住宅図面を引いていました。
私は、中学生の頃、この事務所と隣接するアパートに住んでいたのですが・・・・・・
夜中に、漫画を描くために祖父の製図台を無断で借用していました。
ある夜、その祖父が使う大きな木の製図台に鉛筆でデカデカと落書きをした事がありました。( 力
いっぱいに描かれた線は、取り返しのつかない傷になってしまいました )
ただ、祖父の大事な仕事机をバカな落書きで汚してしまったのに、まったく怒られた記憶がありま
せん。( 殺されるかと思っていましたが )
何で、そんなバカな事をしでかしたのか、今だによく分かりません・・・・・・
ちなみに・・・・・・
何の因縁なのか・・・・・・
この年になって、自分が住宅設計図を描くとは・・・・・・・・
これも、設計図と背景画で通じ合った不思議な縁なのかも知れません。
設計図 祖父があの世で 苦笑い
「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その13 」 へつづく・・・・
( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )
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