漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。
( この写真は、東京、目白通りを撮影したものです。 写真左手のマンションの角を奥へ入って行くと、46年前
にJ先生が仕事場にしていたマンションがあります。 ちなみに、この写真の先を少し行くと『トキワ荘』のある
ニコニコ商店街へ出ます・・・・・《 2013年、10月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その3
《 漫画家アシスタントが・・・・弟子入りに成功した日・・・・!? 》
17歳だったから出来た無茶な話・・・・・・・・突然、広島から東京のJ先生( ※参照 )の所へ来
てしまう・・・・・・・・
目白通りから少し入った中落合にあるマンションの前に倉さん( ※参照 )が乗ったタクシーが止ま
ります・・・・・・・・・
タクシーから布団を下ろし、駐車場スペースに置いてからマクラだけを抱えて先生の部屋へ向か
います。
そこは、2DKの先生の仕事場( ※参照 )・・・・・・4畳半ほどの部屋には先生のデスクがあり、6
畳の部屋は応接間になっていています。アシスタントが仕事をする場所は、別の場所( 要町のアパ
ート )になっていました。
倉さんが、マクラを抱いてドアのブザーを押した時には、まだ、仕事中のJ先生は何も知りません。
ブザーの音を聞いて、ドアを開けてくれたのは担当の編集員でした・・・・・・・
30歳位の小柄な編集員が嫌そ~な顔をして倉さんをにらみます・・・・・・・・・
『 忙しいのに・・・・・・・またわけの分からんガキが・・・・・・・ 』
・・・・・・ってな事でも考えていたのかも知れません。
編集員は仕方なく、来客者がある事を先生に伝えます・・・・・・
「 先生、中学生が来ていますよ~! 」
仕事を中断してJ先生が顔を出すと・・・・・・見覚えのない学生が一人、玄関でマクラを抱いて
立っている。
『 サインでももらいに来たのかな・・・・・? 』
・・・・・・ってな事でも考えたかもしれませんが・・・・・・倉さんにしてみれば、初めて会う
J先生に緊張して声も出ません・・・・・・・
J先生はサングラスをかけ、恐ろしいほどの威厳がありました。
二人を交互に見ながら編集員が・・・・・・
「 先生、忙しいんですから・・・・・・頼みますよ! 」
・・・・・「 さっさと対応して仕事に戻れ 」という意味である。
緊張して足が震える・・・・・高校3年生の倉さんは、年金がもらえる様になった現在の姿からは
想像も出来ないほど可愛いかった・・・・・・・・!( 中学生に見えるほどカワイイ! )
「 あの・・・・・ボク~・・・・・広島からハガキを送っていた者ですが・・・・・ 」
「 う・・・・・おめィ~か・・・・・・・!? 」
「 ボク~、広島から出てきました! 」
「 えええ~ッ・・・・・おめィ~、本当に出てきちゃったのかよ~ッ!? 」
そこで、驚いた先生は、とりあえず仕事を中断・・・・・・・・
「 ちょっと・・・・・出るか・・・・・・・・ 」
話をするために近くにある喫茶店「 エデン 」へ向かおうとしますが・・・・・・・・
「 待って下さいよ! 」
編集員は、J先生に立ちふさがる様にして・・・・・・・・
「 先生! この忙しい時に・・・・・勘弁して下さいよ~~ッ! 」
J先生は、それを適当にあしらいながらズンズン外へ出てしまう・・・・・・・・
玄関から出ていく二人の後姿を青くなって見送る編集員・・・・・・・・
「 先生! 少しにして下さいよ~ッ! 」
さらにマンションの外に出てからも、ベランダから叫ぶ編集員の声が・・・・・・・・
「 少しにして下さいよ~~ッ! 少しに~~~ッ! 」
ちなみに、この「 エデン 」という喫茶店は、山手通りと目白通りの交差点にあって、結構おしゃ
れで、目立つ建物でした。
また、近くには有名なトキワ荘もあって、多くの漫画家( と卵たち )や編集者が利用していました。
「 漫画家アシスタント 古い話で章 その4 」( 11月1日以降公開 ) へつづく・・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その2」へ戻る 】
【 ※参照 】
・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊誌同時連
載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2013年現在、70歳。1969年当時は26歳。
・倉さん・・・・・・・・北九州の小倉生まれ。14歳の時に広島へ転居。1969年に17歳でJ先生
に弟子入り後、52歳までアシスタントを務めた。現在61歳、東京練馬区石神井在住。
・仕事場・・・・・・・・東京、新宿区中落合にあるやや小さいマンションの一室、2DK。現在も
すっかり古くはなったが、当時のままマンションは存在している。
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(ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん
★ 拙ブログのうぶ主が1987年にヤングジャンプ新人賞で準入選デビュー
した作品・・・ 「 雨のドモ五郎 」
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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
( この写真は、Jプロの先輩スタッフが酔っぱらって西武線の線路上、椎名町駅近くを歩いているのを私が撮影
したものです・・・・・不謹慎だとか危険な行為だとか、怒られそうですが・・・・・まあ、若い頃にはお酒
が入ると、誰だって無茶な冗談をしたくなるものです。忘年会の帰りでかなりお酒が入っていました・・・・
ちなみに、左から二人目がAさんです・・・・・《 1989年、12月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その2
《 漫画家アシスタントが・・・・忘れられない昔の話・・・・!? 》
ボンヤリと過ごしていたら・・・・・一週間があっという間に過ぎてしまい、丸々、一回分の記
事が遅れてしまいました。
いつもこのブログを楽しみにして下さっている方々( きっと1千万人位はいる )には、失望させてし
まって申し訳ありません。
今月は、PCの不調やら取材の遅延など・・・・・色々な出来事が重なり( ゲームのやり過ぎ・・
・・・という声もあるが )申し訳ない限りです・・・・・・
さて・・・・・・
前回からのつづきですが・・・・・・
1969年当時といえば、うちのJ先生( ※参照 )が26歳。連載する漫画は週刊誌数誌「 ○らふきドン
ドン 」「 ○ロリンマン 」等々・・・・・・完全な売れっ子漫画家。翌年には、有名な「 ○ゲバ 」
や「 ○シュラ 」が発表されます。
アシスタントに成りたいとアトリエを訪れる学生や若者は沢山いた様ですが・・・・・
Aさんの様に布団を持ってやって来るというケースは初めてだったのではないでしょうか。
ちなみに、タクシーのトランクから布団を引きずり出し、自分はマクラひとつを抱えて先生のマ
ンションのドアをノックしたそうです。
前もって何の連絡もなしに無茶な事をするものですが・・・・・・
「 Yちゃん(私)、若かったのよ~あの頃はさァ~!」
・・・・・と、当時の自分を照れる様に笑うAさん。
ところで、Aさんの出身は北九州は小倉( 高校生の時に広島へ移転 )の出身 ・・・・・ですので、
Aさんではなく、倉さんいう仮名で呼びたいと思います。
17歳、卒業間際の高校を中退して漫画家の弟子になる・・・・・当時の常識から考えれば、まっ
たく無茶な話なのかもしれませんが・・・・・・・その無鉄砲なところが、まさに九州男児その
ものなのかもしれません。
もっとも、J先生には100通以上のファンレターや、自作の4コマ漫画を送っていたし、いずれ東
京へ出ていきたいとも書いておいたので・・・・・
『 先生は、きっと俺を歓迎してくれる! 』
倉さんの頭の中には、漫画家に成って錦を飾る事しか存在しませんでした・・・・・
『 俺は、夜行列車に乗って一人で東京へ行くんだ! 』
緊張と期待で青白い顔をしていた高校生が列車の中で小さくなっていた事が想像されますが・・
・・・心には大きな大漁旗を「 バタッバタッ 」と、はためかせていたのでしょう。
友達から見送られながら乗った夜行列車( 各駅停車の鈍行! )に乗ること約18時間・・・・・・
花の都か、夢の都か・・・・・・・・東京へ・・・・・・・・しかし、さっそく東京の現実に出
くわします・・・・・・・
当時の東京駅には、何人もの少年課の私服警官が地方から出てくる家出少年や少女たちを探して
いました。
駅構内をキョロキョロしながら歩く倉さんは、すぐに警官の目に入ります・・・・・・・
「 君は、どこから来たんだい? 」
家出したとは言っても、一応、親代わりの叔父さんには容認してもらっているので、広島へ連絡
してもらってすぐに警察からは放免してもらったのですが・・・・・・・・
倉さんは、東京での生活を考えて、日用品などを買い集めるために駅構内をウロウロしていたの
で、また、同じ私服警官から声をかけられます・・・・・・
「 お前、まだこんな所をウロウロして・・・・何やってるんだ? 」
心配そうに倉さんに声をかけながら、こんな忠告をしてくれました・・・・・・
「 だいたい、警察だと言うだけで、警察手帳も確認しないで信用している様じゃ、簡単
にだまされるぞ・・・・・用心しなきゃダメだぞ! 」
布団を抱きしめながら警官に礼をして駅を出ます・・・・・・
布団と雑貨品をいっぱい持った高校生をひろってくれたタクシーの運転手は、気持ちよく荷物を
タクシーに積み込むのを手伝ってくれたそうです。
「 へぇ・・・・そうかい、漫画家の弟子になるのかい・・・・・頑張りなよ! 」
列車の窓から、追いかける様に見送ってくれた友人、東京駅で声をかけてくれた警察官、名も知
らぬタクシーの運転手の激励・・・・・・・
その一言、一言を・・・・・44年も前のその一瞬の出会いを・・・・・決して忘れる事が出来な
いと倉さんは語るのです・・・・・。
初めての東京で、その新しい人生の第一歩で・・・・・・・・いい人たちとの出会いがあって・・
・・・・・・ついに問題のJ先生との対面が・・・・・・・・・・
タクシーは目白通りから中落合の住宅街を抜けて小さなマンション( 当時としては普通のサイズ )
の前に止まります。
この時、まだ、何も知らないJ先生は、締切りギリギリの状況で、編集員に監視されながら黙々
と仕事をしていたのです・・・・・・・
「 漫画家アシスタント 古い話で章 その3 」( 10月20日以降公開 ) へつづく・・・・
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【 ※参照 】
・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊誌同時連
載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2013年現在、70歳。1969年当時は26歳。
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(ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん
★ 拙ブログのうぷ主が1987年にヤングジャンプ新人賞で準入選デビュー
した作品・・・ 「 雨のドモ五郎 」
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