漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第4章 その11

2006年07月30日 04時32分58秒 | アシスタント
 ( この写真は、東京目白のコーキュー住宅街である。ここの近くにJ・A先生の自宅があります。
  若かった頃には目標だったこの街が、今では重苦しく・・・・《 2006年3月 撮影 》 )
    
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
  
              その11
 

アシスタントの給料がやっと、手取り10万円を越えた頃・・・・・ 1981年、
26歳の春。 10万円の給料から4畳半二間の下宿(練馬区江古田)代3万
5千円を払うと、残りは7万円弱。ここから生活費と光熱費を引くと、いくら
も残りませんでした・・・・・。

いつも月末には、質屋さんのお世話になっていました・・・ もっとも質屋
さんに持って行けるほどの質草はなく、せいぜいフォークギター( 6万円 )や、
1万円以上する高価な写真集や絵画集などをせっせと質屋さんに運び5千円ほ
どのお金を借りていたのです・・・・・・・。

女性と付き合うにしても先立つものが無いのは悲惨です。 今も昔も女が嫌
うのは貧乏臭( 特に精神的な )だからです。( もっとも、ジャニーズ系のイケ
メンなら話は別ですが・・・ )

デート代の上限が5千円ほどの私に、ドライブや旅行などは夢のまた夢。映画
館でもロードショーは避け、無料の試写会や2番館、3番館がやっとでした。 
喫茶店に入れば、コーヒー一杯でねばれるだけねばるとか・・・・

公園散歩、面白そうな街を歩く( だけ!)。 今から考えると、よくこんな薄汚
れたチンチクリンのメガネ男と付き合ってくれたものと思います。

「 女が嫌うのは貧乏臭・・・ 」という言葉とは矛盾する様ですが、積極的に
誠実に( これが大事! )チャレンジすれば、たとえ貧乏、ブ男、無教養でも女の
一人や二人はなんとかなるものです。

しかし、注意しなくてはならないのは、こちらには美顔も長身も金もないので
すから、とにかく夢だけはしっかり持っていないとアピールできるものがナァ
~ンにも無くなってしまいます。 ( 勿論、リッチなイケメンには関係のない
話です )

私は漫画同人会に入会し、そこで知り合った女性や知人から紹介された女性と
一、二回デートして関係を深めていくパターンでしたが、他の漫画家アシスタ
ントは、それぞれ独自のパターンがありました。
 
Jプロの先輩マツさん( 仮名:松村 祐樹、広島出身、27歳 )は、スナックに通い、
そこのウエイトレスと親しくなるというパターン。・・・・しかし、これは月
給の半分を飲み代に使用するというやり方でしたから大変です。お酒好きでな
いとつづきません。
 
そして、某漫画家アシスタントのA氏ですが・・・ホテル街をデートコースに
選び、近くを通りかかった時に仮病を使って、なんとかラブホテルに入り込み、
部屋のドアを閉めたその瞬間・・・ 女性に向かって・・・
 
 「 わかってンだろォ?」 と、豹変する・・・・・!

そんな危険なパターンの方もいました・・・・。 

他にスナックやパブ、居酒屋などで一人で飲んでいる人妻専門にナンパすると
いう人もいます。 テレクラ、2ショット、出会い系サイトといった「先端技
術」にこだわる人もいます。

しかし・・・・・ 絶対ナンパはしないという硬派アシスタントの方もいまし
た。その影響なのか、氏の作品中の女性キャラクターはまるで、「 お人形さ
ん 」の様で・・・・・・・・
 
 
 
   漫画家アシスタント物語、血の教訓
   

  『 貧乏、不細工、無教養。財布の中身も空ッケツ。だけど心にゃ

    夢いっぱい! そんなリッチな男心に女も惚れる( だまされる )。』
   
   
   
          「 漫画家アシスタント 第4章 その12 」 へつづく・・・



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【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」



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漫画家アシスタント 第4章 その10

2006年07月22日 22時28分36秒 | 漫画
 ( この写真は、東京練馬区江古田にある私がかつてお世話になった宇田家の2階である。朝日
  から夕日に浮かぶ富士山まで見渡せる・・・いい部屋でした。《 2006年7月 撮影 》 )
  
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
              その10
 
  
漫画の原稿を持ってはじめてガ○編集部( S林堂 )へ訪れたのは、私が高校
二年( 1972年、17歳 )の夏だったと思います・・・・・

その時、編集長のN井氏に言われたのは・・・ 

 N井編集長「 漫画を読んで面白いと思った時に、なぜ面白いのかを考
         えなくちゃダメだよ・・・・ 」 

この言葉と似た言葉をその後出会ったほとんどの漫画家から言われました。

本、漫画、映画・・・・全てについて同じ事が言えます。 「なぜ面白い
のか?」この答えのつかみ方( 浅いか深いか )によっては、その後の自分の
創作活動に大きな違いが出てきます。 もちろん、一つの作品に対するそ
の答えは人それぞれ違うと思いますが・・・・・・・・。

ボンヤリと見ているだけ・・・ 「ああ、面白かった」で終わってしまえ
ば、それで終わりです。 ある編集員は売れっ子作家との対話の中で・・・

 編集員 「 最近(新人漫画家を)、映画を見せに連れて行ったりしても、
       『面白かった』ってだけのコが多いんですよねェ 」
 
と、残念そうに言っていた事がありました。

本でも映画でも、その製作者は娯楽作品である以上は「面白い!」と、思
われるようにと四苦八苦しているわけですから、そのエッセンスを無駄に
はできません。


さらに・・・・ 日常生活の中からも学ぶ事ができます。 たとえば・・・
・・・老( 失礼!)女優の浦Bさんはテレビのインタビュー番組の中で・・・

 インタビュアー「 女優として最も心がけてらっしゃる事は何ですか?」

 浦Bさん   「 盗む事。 ホホッ・・・ 万引きじゃありませんヨ!
         出会った人から素材を頂戴するんです。 もう、アナタ
         ( インタビュアー )からも盗ませていただきましたヨ、ホ
         ホホホホッ・・・・・ 」

やさしい瞳の内側にまるで少女の様ないたずらっぽい輝きを見せて、インタ
ビュアーに微笑みかけていました・・・・・。
 
 
1980年代の中頃・・・・ 仕事が終わった深夜・・・・ Jプロの忘年会を
するために、豊島区椎名町をJ先生を中心にスタッフ一同が談笑しながら歩
いている・・・・ スナック、居酒屋、パチンコ店・・・・ ネオンの中で
・・・・ J先生は唐突に話しかけてきました・・・・・・・

 J先生  「 Y君、この瞬間もストーリーを作るんです。 今・・・みん
       なで・・・・こうして歩いている! コレで・・・・・! 
       コレで、ストーリーが一本できるンだぜェ~!」
 
小さな街のネオン街をバックに、J先生は両手を広げて示す・・・・・。
 
 
好きな女をはじめて抱く時、死ぬほど惚れた女と別れる時、いやでも精神が
「集中」するその時の感性は・・・・・ もう誰だってりっぱな「 アーティ
スト 」かもしれません・・・・・・ この事は、次回に・・・・・・・・。
   
   
   
          「 漫画家アシスタント 第4章 その11 」 へつづく・・・
   

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 ★ 拙ブログ「漫画家アシスタント物語」が単行本に!
 
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             ☆ 単行本の特徴
 
・プロローグには、本編第1章の一部が漫画化されています!
 
・全326ページ、ブログ「 漫画家アシスタント物語 」の第1章から第4章ま
 でを編集・加筆して掲載。 さらに「 後記 」を「 単行本のための終章 」
 として書き下ろし追加しました。
 
・全写真・イラスト等の総数は148点、その内秘蔵未公開写真は19点、書
 き下ろしイラストも18点ほどあります。
 
・ブログに投稿されたコメントの一部が転載されています。著者に多くの
 勇気を与えてくれた方々のコメントです。( 残念ながらその一部の方の
 みの掲載です )
 
・本編に登場する有名漫画家の名前が、大西氏と編集員堀田氏の奔走
 が効して実名表記できる事になりました。 誰の名前が出てくるかは本
 を読んでからのお楽しみ!
 
・漫画「 雨のドモ五郎 」全編を巻末に収録。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


    

 
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漫画家アシスタント 第4章 その9

2006年07月15日 04時33分05秒 | 漫画家志望
 ( この写真は、東京豊島区南長崎のN商店街である。練馬区江古田からこの道を通って目白
  の仕事場まで自転車で通いました。もう、ここには25年前の賑やかさはありません。《 2006
  年3月 撮影 》 )
    
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その9
 

漫画家志望の青年にとって、本を読む事はとても大事な事なのですが・・・
ただ、読んでいるだけでは何の意味もありません・・・・。 何を何冊読め
ば良いとか言う事もありません。

クロッキーが基本的な絵のトレーニングなら、読書は頭の柔軟体操とウェイ
トトレーニングと言ったところではないでしょうか・・・

つまり、適当にダラダラ読んでいるのは時間の無駄なのです。 これは、あ
くまで私の個人的(!)経験ですが・・・ まず、「 量 」は平均で月に7,8冊
のペース( 50を過ぎた今の私には、とても出来ません! )で。 本の種類は世
界文学を中心に種々雑多。 そして、読み方は・・・・飛ばし読みです。

本の導入部( 約4,50ページ )でその本の質を判断し、時間の無駄だと思えばじ
ゃんじゃん飛ばしてしまう事。 まあ、たいていどんな本でも一つや二つは
勉強になる事柄があるので、それをつかめば十分です。 次の本へ進みまし
ょう。 この読み方は、頭の柔軟性とスピードを鍛えます。

注意しなくてはいけないのは・・・・ 「 せっかく買った本だから、つまら
なくてもしっかり読もう 」とか、「 飛ばし読みでは頭に入らないから、全部
読もう 」といった観念にこだわってしまう事です。

これでは、頭の柔軟性やスピードを失います。 つまらない本に貴重な時間を
さいているヒマはないのです。

「 読書を楽しんじゃいけないのか? 」と思う人は、きっとステキな読書家に
なれます。 漫画家志望者にとって、「 読書の楽しみ 」など「 おつり 」に過
ぎません。 本は自分のためではなく、漫画( 読者 )のために読むのです。
  
ところで、大事な点がもう一つ・・・・。 飛ばし読みできない本もあるわけ
です・・・・。それは、人それぞれによって違うと思いますが・・・・

私の場合はドストエフスキーやトルストイ、バルザック、デュマ・・・・など・・
・・・・。これらは、しっかり読みました。とても飛ばし読みなどできません
でした・・・・。

映画についても同じような事が言えます。 当時( 1980年頃 )はレンタルビデ
オがまだなかったので、映画館によく通いました。 つまらない映画を10分以
上見る義理はありません。 それより、別の映画を見に行った方がましです。 
また、優れた映画を繰り返し何度も見る事も大変勉強になります。 

私は黒澤明の映画「赤ひげ」を池袋の文芸座に毎日朝一番から夜の終映まで3日
間見に行き続けた事があります。 冬の寒い頃で、館内の弱い暖房では、体が冷
え切り4日目はカゼをひいて寝込んでしまいました・・・・。

クロッキーで絵の基礎を磨く。読書で頭を鍛え、映画で演出を学び、音楽の中で
想像力を養う・・・・・。 まったくこれだけやってりゃ、どんなボンクラだっ
て、漫画家になれんじゃないかァ?・・・と、思うのですが・・・・・・・・。

私の様な凡人の中の凡人が・・・ まったく見込みのない漫画家志望者が・・・
・・・ 遅刻と怠惰と不善を絵に描いた様なこの私が・・・・ 一から出直す事
で、少しだけ「らしい形」が出来上がってきていたのです・・・・。デビューす
る5年ほど前でした・・・・・・・。
   
   
   
          「 漫画家アシスタント 第4章 その10 」 へつづく・・・


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漫画家アシスタント 第4章 その8

2006年07月08日 17時57分21秒 | 漫画
 ( このクロッキーは、20年以上前・・・自宅で「ポーズ写真集」などを見ながら勉強していた頃の
  一枚。《 1982年昭和57年 習作 》 )
    
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】 
 
 
  
                その8
 

J・Aプロに入って、最初に描いた漫画をJ先生に見てもらった時でした。

 「 おめィ~は何ンでィ筆使って描いてんだァ? 」

低い声で、取り調べ中の刑事の様な目をしながら私にそう聞きました。

私は以前勤めていたM先生( 『第2章その18』~『第2章その23』参照 )の絵
を意識して、背景だけではなくキャラクターも筆を使って描いていたのです。 
私はJ先生のこの質問にたいした考えもなく、気軽に( 軽薄に!)こう答えま
した。

 「 個性だァ? 個性は作るもんじゃねィ~だろォ! おめェの絵は
  『ウソ』なんだよォオオッ! 」

J先生の顔色が変わる・・・・。 当時、J先生は海へ行く事が多く( 数千万
円のクルーザーを買ったばかりの頃 )、真っ黒に日焼けしていた・・・。

一瞬、その黒い顔が赤黒くふくれた様に見えた・・・・・・・。

 「 個性だァ? おめェの絵は『ウソ』なんだよォオオッ! 」

その瞬間、私は凍りつく・・・・。そして世界中から音が消える。そして次に
色が消える。 音も色もない白黒の世界で、私は一人だけ小さなガラス
の箱に閉じ込められた様な心境だった・・・・。

一から出直さなくてはダメだ、本気でそう思いました・・・・・・。
                          ( 1979年、24歳 )


J先生がアシスタントたちにアドバイスする言葉はいつも決まっていて、そ
れを何度も繰り返し聞かされました。 その言葉とは・・・・・

一つは、よく本を読む事。そしてもう一つは、エッチする事でした。

つまり・・・・ 『 本とエッチ 』・・・・です。

 
1980年、25歳の秋。 私は引っ越した練馬区江古田の下宿で、はじめて朝
日がサンサンと射す部屋で寝起きしながら「 まんが道 」を一歩一歩進んで
いました。

この時期から本の量がどんどん増えていきました。J先生からは世界文学を
奨められていましたので、有名な作品を100作品ほど買い集め、片っ端から
読み漁っていました。

よく、「 描く気が起きない・・・ 」といって1年も2年も描かない人がいます
が、本をもっとたくさん乱読したり、毎日、映画を見たりしていると不思議
と『 自分も何か描きたい・・・・ 』( 創作意欲 )という欲求がわいてくるもの
です。

ぼんやりテレビを見ていたり、ヒマつぶしにパチンコ店でハンドルを握って
いると創作欲ではなく、物欲ばかりわいてきます。

私はこの江古田の下宿で最も多く本を読み、最も多く映画を見、そして最
も多くエッチを・・・・・・・・。 これらの事が後のデビューの大きな原
動力になったと思われます。
 
 
   漫画家アシスタント物語、血の教訓
   

  『 私はのん気にテレビをみながらスナック菓子を食べていたつもり

    だった・・・・・・ しかし、気が付くと《 怠惰 》が私 の人生

    をむさぼり食っていたのだ・・・・・ 』
 
    

          「 漫画家アシスタント 第4章 その9 」 へつづく・・・
   

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漫画家アシスタント 第4章 その7

2006年07月01日 02時22分42秒 | 漫画家
 ( この写真は、東京豊島区南長崎にあった「トキワ荘」の内部である。自分の住む「うさぎ荘」
  など顧みずにドキドキしながら撮った一枚です。明らかな家宅不法侵入です。《 1979年昭和
  54年 撮影 》 )
    
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
  

 
               その7
 
  
漫画の画力をスキルアップさせるために始めたクロッキーを自宅でやる
ようになった1980年夏。 私は豊島区南長崎のボロアパート「 うさぎ荘 」
を出て、練馬区江古田の宇田( 仮名 )家の二階に下宿しました。

宇田家の二階には、私以外に二人のフリーターと音大の学生が一人下宿し
ていました。 階下に宇田家の人々が住んでいました。

宇田家のご主人は奥さんと二人の娘さん( 学生 )がいましたが、この二
人の娘さんが時々ケンカするのですが、そのすさまじさは男のケンカとま
ったく同じで、ものすごい迫力がありました。

「 ヌァンだァ~ッ 」「 てめェ~ッ 」「 ぶっ殺してやるゥ~ッ 」「 うギャ
アアア~ッ 」 ・・・・・聞きたくもありませんでしたが、イヤでも聞こ
えてくるのです・・・・・。

私は男兄弟でしたので、女同士のケンカをまるで知りませんでしたから
「 おんなの裏側 」を盗み見た様な複雑な気持ちでした・・・・・・・。

この下宿の広さは四畳半が二間。台所付き。トイレは下宿人専用の共
同水洗( はじめて! )トイレでした。そして、二階からの見晴らしと日当
たりの良さは最高でした。 南長崎の陽の当たらないジメジメしたボロ
アパートとは、まるで別世界でした。

それまでは、万年床にボロボロのカーペット( 前住人のお古 )。そして裸
電球に薄暗くて狭い部屋。ゴミと古本の山、そして霧の様に漂うチリ、ホ
コリといった生活を送っていたのですが・・・・ この江古田の下宿生活
からはまるで変わりました。

カーペットは厚地のアステカ模様の高級品( 血の出る様な散財! )。カー
テンは大きなバラの花柄。室内の照明は和紙で作られた丸い大型のモ
ダンなライト。木製の小さなテーブルとおそろいのディレクターチェアー。

そしてなんといっても二つある部屋の一つを寝室兼仕事場にし、もう一つ
を応接間兼居間に分割させる事ができたのは、生活空間を一変させまし
た。

この事が、何を意味するか・・・・・・ 鋭い読者ならお見通しかもしれ
ませんが・・・・・・。 そうです・・・。 それまでは、とても女性を
連れ込む事など夢のまた夢だった事が・・・ 夢ではなくなったのでした
・・・! 

『 女をガンガン連れ込んで・・・ウッ・・・シッシッシッ・・・・・ 』 
・・・・これで「 感性 」が磨ける・・・・・・・・・・のかァ・・・?!
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その8 」 へつづく・・・


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