( この写真は、私がアシスタントをしている目白のJ・Aプロ内部です。私の席の向かい側にあたるデ
スクです。丁度、仕事が終わってスタッフが帰宅した時に撮影しました。《 2008年2月頃、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その29
「 単行本の印税について・・・話があるんですが・・・ 」
私は担当の編集員М氏( ※参照 )に、「 サイコホスピダー 」( ※参照 )の印税
と原案となる本の著者であるT氏( ※参照 )の印税について質問したのです・
・・・・
「 私の印税が12%なのは、確かだと思うのですが・・・T氏の原案料は
どの位になるのですか? 」
この質問にМ氏は、どうもスッキリとした返答がありません・・・・・その
内容はおおよそ以下の様な感じでした・・・・・
「 それは、Yさん(私)が心配する事ではなくて、うち( 出版サイド)と
Tさんとの問題ですから・・・ 」
そう言われて私は、一瞬・・・ホッとしたのですが・・・・・次の言葉が・
・・・・
「 でも、Yさんの方で、何か・・・お礼を出すのでしたら・・・うち
の方では構いませんが・・・・ 」
私はこの時、本が完成したら・・・いくらかの謝礼( 数万円 )を用意してお
けば大丈夫かな・・・・と、判断したわけです。
『 具体的な交渉事は、編集部にまかせるかな・・・ 』
・・・そう、自分で納得したのが・・・大きな間違いでした・・・・・。
「 漫画 」は「 趣味 」ではなく「 ビジネス 」ですから、お金に関する事
は、好き嫌いを問わず明文化しておくべきだったのです・・・・・
私の小さな脳ミソにとって深刻だったのは・・・お金の問題よりも漫画制
作の進行が遅れている事でした。第一、お金( 印税 )といってもワクワク期
待できるほどの印税ではありませんでしたし・・・・・。
J先生の所でアシスタントの仕事をし、自宅に帰って単行本の仕事をする
・・・はじめの締め切りだった「 1年半 」はとっくに過ぎてしまい・・・
・・・気持ちが焦るばかりの2年目( 1995年 )に突入・・・・・
私は、この長期戦の中でどうしても「 集中力 」を維持できませんでした( ゲ
ームに明け暮れた時期、そして、時間ばかりかかる作業への苛立ちなど )。
それでも、編集サイドからの「 催促 」なンぞもまるでなく・・・( 私に遠
慮していたのかもしれませんが・・・ )。
緊張感や集中力を維持するために、私は原稿の制作と仕上げをまとめてや
るのではなく、少しづつ個別にやる事にしました。
それは、一ヶ月に一度、出来た分だけの原稿を編集部へ持ち込むやり方で
した。
こうして、毎月原稿を届ける事で張り合いもできペースがグッと上がるので
すが、それでも遅れ過ぎている事に変わりはありません。
漫画のクライマックスの場面では、数ページ、先輩アシスタントに助けても
らったりしながらバタバタと最終コーナーを走っていたのです。
実は・・・この頃・・・T氏との関係は、あまり良い状態ではありませんで
した・・・・。
私のT氏への感情に変化があったのです・・・・・
私はあくまで仕事の範囲で接していたつもりだったのですが・・・T氏の気
持ちは違っていたのです・・・私への対応が「 同志 」とか「 弟子 」とか
「 パシリ 」とかいった感じの印象がありました。・・・つまり、「 取引相
手 」という関係を越えていたのです・・・・。
ある日、T氏が築地でいい塩鮭の切り身を買ったから分けて下さるとの事で、
T氏の自宅まで電話で呼び出されたのですが・・・
埼玉県の浦和から何本もの電車を乗り継いで目黒にある氏のアパートまで出
掛けて、一切れか二切れの塩鮭の切り身を頂いて帰る・・・・・
このブログをお読みの読者の中には、そんな事、「 今、忙しいです 」って断
ればいいじゃないか・・・と、思われる方もあるでしょうが・・・・・これ
が、請負仕事の辛いところなのです。
どうしても・・・断れない・・・・「 NO 」と言えない哀しい渡世・・・・!
「 漫画家アシスタント 第7章 桜満開 特別休養 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その28」へ戻る 】
【 ※参照 】
・編集員М氏・・・・S出版社編集員。私の担当編集員。全共闘世代の元ラガ
ーマン。ガッチリとした体格と筋金入りのガッツマンだが気立ての優しい好
人物。93年当時40歳代。
・「サイコホスピダー」・・・「○魔の精神病棟」を原案にした私の漫画単行本。
・T氏・・・・・・・・・洋画家。J大学の特待生として欧州留学、後に画家として、
アメリカなどで活躍、ロックフェラー家とも親交がある。そのIQはズバ抜け
て高い。私が漫画化した「○魔の精神病棟」の著者。93年当時49歳。
・漫画業界の実態・・・・・単行本が出れば、数千万円~数億円の印税が入る
という例は実際にはほとんどなく、9割以上の単行本は、その印税総額が
百万円前後にすぎない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化!
詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙サイト 「WEB漫サイ」 に漫画家志望青年物語「雨のドモ五郎」「壁」
などを「解説」と共に無料公開中!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
スクです。丁度、仕事が終わってスタッフが帰宅した時に撮影しました。《 2008年2月頃、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その29
「 単行本の印税について・・・話があるんですが・・・ 」
私は担当の編集員М氏( ※参照 )に、「 サイコホスピダー 」( ※参照 )の印税
と原案となる本の著者であるT氏( ※参照 )の印税について質問したのです・
・・・・
「 私の印税が12%なのは、確かだと思うのですが・・・T氏の原案料は
どの位になるのですか? 」
この質問にМ氏は、どうもスッキリとした返答がありません・・・・・その
内容はおおよそ以下の様な感じでした・・・・・
「 それは、Yさん(私)が心配する事ではなくて、うち( 出版サイド)と
Tさんとの問題ですから・・・ 」
そう言われて私は、一瞬・・・ホッとしたのですが・・・・・次の言葉が・
・・・・
「 でも、Yさんの方で、何か・・・お礼を出すのでしたら・・・うち
の方では構いませんが・・・・ 」
私はこの時、本が完成したら・・・いくらかの謝礼( 数万円 )を用意してお
けば大丈夫かな・・・・と、判断したわけです。
『 具体的な交渉事は、編集部にまかせるかな・・・ 』
・・・そう、自分で納得したのが・・・大きな間違いでした・・・・・。
「 漫画 」は「 趣味 」ではなく「 ビジネス 」ですから、お金に関する事
は、好き嫌いを問わず明文化しておくべきだったのです・・・・・
私の小さな脳ミソにとって深刻だったのは・・・お金の問題よりも漫画制
作の進行が遅れている事でした。第一、お金( 印税 )といってもワクワク期
待できるほどの印税ではありませんでしたし・・・・・。
J先生の所でアシスタントの仕事をし、自宅に帰って単行本の仕事をする
・・・はじめの締め切りだった「 1年半 」はとっくに過ぎてしまい・・・
・・・気持ちが焦るばかりの2年目( 1995年 )に突入・・・・・
私は、この長期戦の中でどうしても「 集中力 」を維持できませんでした( ゲ
ームに明け暮れた時期、そして、時間ばかりかかる作業への苛立ちなど )。
それでも、編集サイドからの「 催促 」なンぞもまるでなく・・・( 私に遠
慮していたのかもしれませんが・・・ )。
緊張感や集中力を維持するために、私は原稿の制作と仕上げをまとめてや
るのではなく、少しづつ個別にやる事にしました。
それは、一ヶ月に一度、出来た分だけの原稿を編集部へ持ち込むやり方で
した。
こうして、毎月原稿を届ける事で張り合いもできペースがグッと上がるので
すが、それでも遅れ過ぎている事に変わりはありません。
漫画のクライマックスの場面では、数ページ、先輩アシスタントに助けても
らったりしながらバタバタと最終コーナーを走っていたのです。
実は・・・この頃・・・T氏との関係は、あまり良い状態ではありませんで
した・・・・。
私のT氏への感情に変化があったのです・・・・・
私はあくまで仕事の範囲で接していたつもりだったのですが・・・T氏の気
持ちは違っていたのです・・・私への対応が「 同志 」とか「 弟子 」とか
「 パシリ 」とかいった感じの印象がありました。・・・つまり、「 取引相
手 」という関係を越えていたのです・・・・。
ある日、T氏が築地でいい塩鮭の切り身を買ったから分けて下さるとの事で、
T氏の自宅まで電話で呼び出されたのですが・・・
埼玉県の浦和から何本もの電車を乗り継いで目黒にある氏のアパートまで出
掛けて、一切れか二切れの塩鮭の切り身を頂いて帰る・・・・・
このブログをお読みの読者の中には、そんな事、「 今、忙しいです 」って断
ればいいじゃないか・・・と、思われる方もあるでしょうが・・・・・これ
が、請負仕事の辛いところなのです。
どうしても・・・断れない・・・・「 NO 」と言えない哀しい渡世・・・・!
「 漫画家アシスタント 第7章 桜満開 特別休養 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その28」へ戻る 】
【 ※参照 】
・編集員М氏・・・・S出版社編集員。私の担当編集員。全共闘世代の元ラガ
ーマン。ガッチリとした体格と筋金入りのガッツマンだが気立ての優しい好
人物。93年当時40歳代。
・「サイコホスピダー」・・・「○魔の精神病棟」を原案にした私の漫画単行本。
・T氏・・・・・・・・・洋画家。J大学の特待生として欧州留学、後に画家として、
アメリカなどで活躍、ロックフェラー家とも親交がある。そのIQはズバ抜け
て高い。私が漫画化した「○魔の精神病棟」の著者。93年当時49歳。
・漫画業界の実態・・・・・単行本が出れば、数千万円~数億円の印税が入る
という例は実際にはほとんどなく、9割以上の単行本は、その印税総額が
百万円前後にすぎない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化!
詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙サイト 「WEB漫サイ」 に漫画家志望青年物語「雨のドモ五郎」「壁」
などを「解説」と共に無料公開中!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」