( この漫画は、前回につづいて「覇王の船」の一部(2ページ目)である。 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その26
漫画家志望の人なら、たとえ金が無くても、恋人が無くても、学歴がなくて
も、知性も教養も才能も体力も無いドン詰まり人間でも・・・自分の机だけ
は持っている。
たとえそれが、ビール瓶ケースであろうと、コタツであろうと、自分の漫画
を描く机だけは誰でも必ず持っている・・・。
この机と自分・・・たった半畳ほどの小さなスペースに漫画人生の全てが凝
縮されていると言っても過言ではないだろう・・・・・。
宇宙戦争、地底探検、ホラーにファンタジーに世界を駆ける恋・・・漫画の
全世界の発祥の地が、たった半畳のセコくて汗臭いこの「聖域」なのである。
( 特に物書きは無精者が多く、座布団なども小汚く、不潔である )
ここまで読まれた方は、Zライトの灯りでコツコツと原稿に向かう若者の姿
を想像されておられるでしょう・・・。 しかし・・・コツコツ真面目に創作
に励むほど根性のある人はごく少数(?)。
たいていは・・・鼻クソをほじったり、フケだらけの髪をかきむしって原稿
の上にパラパラと落ちるそのフケの量を調べたり、目をつぶって耳そうじをす
る、その耳かきの動きに全神経を集中させていたり・・・・。
どんな音楽をBGMにするかCDをガチャガチャと入れ替える事に10分、20
分とかかったり・・・。 必要もない資料を捜す事に1時間も2時間もつぶして
しまったり・・・・。
とにかく、アタフタ、オロオロ、キョロキョロとまるでハツカネズミの様に落
ち着きがないのである。
その上、浮気者。 「 浮気者 」というのは、つまり・・・自分の机で作品を構
想するのではなく、喫茶店や図書館( 今ならネットカフェ? )・・・あたり
に出かけて、そこでストーリーを考えたりするのである。
自分の机以外の所で仕事をした方がサクサクと仕事がはかどってしまう辺りが
実に不思議なところで、多くの物書きがセッセとこの「浮気」な日々を送って
いるのである。
私も小林多喜二の「 蟹工船 」を漫画化する時に、随分と「 浮気 」をしたもの
です。 自分の下宿ではなく、わざわざ自転車に乗って20分かけて図書館に出か
けて作品のシナリオや絵コンテを描いたりしたものです( 喫茶店を利用する金
がありませんでした・・・ )。
図書館といっても本を読むわけではなく、自習室で受験生などに混じって漫画
のストーリーを書くわけです。 10代の学生さんに混じって30男がノートにセッ
セと漫画の構想やシナリオを書くのは少し恥ずかしいのですが、それが返って
プレッシャーになって作業に集中出来るわけです。
『 ちょっと、鼻クソでもほじるか・・・ 』とか、『 んじゃ、自慰こくべェ・・
・・・ 』とか、『 寝む~ッ! 』とか考える事がまったく無いのです。
もっとも、漫画の作画( ペン入れ、仕上げ等 )となると多くの道具が必要にな
るので、自宅以外ではなかなか作業出来ません。しかし、それでもこの「浮気」
は大変に有効(!)なわけです。
実は・・・・こうして、この「 漫画家アシスタント物語 」( 下書き )を書い
ておりますのも、東京池袋4丁目にあるとても静かな喫茶店「 M 」なのであり
ます。
ここには、飛騨高山の民芸品に囲まれて老マスターが一人、お客である私が一
人。 静かに童謡のBGMが流れる中・・・サラサラと私のボールペンが動いた
り、止まったり、震えたり・・・・・・。
「 漫画家アシスタント 第5章 その27 」へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その25」へ戻る 】
注意 : お知らせも併せてご覧下さい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 単行本の表紙について・・・
通常、表紙というのは著者が描いても稿料はもらえないそうです。 私は
自分で描くよりも、専門のデザイナーに依頼した方が良いのではないか
と思い、担当編集員H氏にその旨を伝えてあるのです。
一応の構想は、参考として私のアイデアを提出していますが・・・・・さて・・・
どうなることやら・・・・・
数日後に、そのデザイナー氏と初めて打ち合わせをする事になっておるの
ですが・・・・・・
せっかく私の本の表紙を描いてくれるのに(正直、嬉しい!)・・・あ~だ、こ
~だと注文を付けるのもいかがなものか・・・・と思われ・・・・少し不安が・・・
・・・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その26
漫画家志望の人なら、たとえ金が無くても、恋人が無くても、学歴がなくて
も、知性も教養も才能も体力も無いドン詰まり人間でも・・・自分の机だけ
は持っている。
たとえそれが、ビール瓶ケースであろうと、コタツであろうと、自分の漫画
を描く机だけは誰でも必ず持っている・・・。
この机と自分・・・たった半畳ほどの小さなスペースに漫画人生の全てが凝
縮されていると言っても過言ではないだろう・・・・・。
宇宙戦争、地底探検、ホラーにファンタジーに世界を駆ける恋・・・漫画の
全世界の発祥の地が、たった半畳のセコくて汗臭いこの「聖域」なのである。
( 特に物書きは無精者が多く、座布団なども小汚く、不潔である )
ここまで読まれた方は、Zライトの灯りでコツコツと原稿に向かう若者の姿
を想像されておられるでしょう・・・。 しかし・・・コツコツ真面目に創作
に励むほど根性のある人はごく少数(?)。
たいていは・・・鼻クソをほじったり、フケだらけの髪をかきむしって原稿
の上にパラパラと落ちるそのフケの量を調べたり、目をつぶって耳そうじをす
る、その耳かきの動きに全神経を集中させていたり・・・・。
どんな音楽をBGMにするかCDをガチャガチャと入れ替える事に10分、20
分とかかったり・・・。 必要もない資料を捜す事に1時間も2時間もつぶして
しまったり・・・・。
とにかく、アタフタ、オロオロ、キョロキョロとまるでハツカネズミの様に落
ち着きがないのである。
その上、浮気者。 「 浮気者 」というのは、つまり・・・自分の机で作品を構
想するのではなく、喫茶店や図書館( 今ならネットカフェ? )・・・あたり
に出かけて、そこでストーリーを考えたりするのである。
自分の机以外の所で仕事をした方がサクサクと仕事がはかどってしまう辺りが
実に不思議なところで、多くの物書きがセッセとこの「浮気」な日々を送って
いるのである。
私も小林多喜二の「 蟹工船 」を漫画化する時に、随分と「 浮気 」をしたもの
です。 自分の下宿ではなく、わざわざ自転車に乗って20分かけて図書館に出か
けて作品のシナリオや絵コンテを描いたりしたものです( 喫茶店を利用する金
がありませんでした・・・ )。
図書館といっても本を読むわけではなく、自習室で受験生などに混じって漫画
のストーリーを書くわけです。 10代の学生さんに混じって30男がノートにセッ
セと漫画の構想やシナリオを書くのは少し恥ずかしいのですが、それが返って
プレッシャーになって作業に集中出来るわけです。
『 ちょっと、鼻クソでもほじるか・・・ 』とか、『 んじゃ、自慰こくべェ・・
・・・ 』とか、『 寝む~ッ! 』とか考える事がまったく無いのです。
もっとも、漫画の作画( ペン入れ、仕上げ等 )となると多くの道具が必要にな
るので、自宅以外ではなかなか作業出来ません。しかし、それでもこの「浮気」
は大変に有効(!)なわけです。
実は・・・・こうして、この「 漫画家アシスタント物語 」( 下書き )を書い
ておりますのも、東京池袋4丁目にあるとても静かな喫茶店「 M 」なのであり
ます。
ここには、飛騨高山の民芸品に囲まれて老マスターが一人、お客である私が一
人。 静かに童謡のBGMが流れる中・・・サラサラと私のボールペンが動いた
り、止まったり、震えたり・・・・・・。
「 漫画家アシスタント 第5章 その27 」へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その25」へ戻る 】
注意 : お知らせも併せてご覧下さい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 単行本の表紙について・・・
通常、表紙というのは著者が描いても稿料はもらえないそうです。 私は
自分で描くよりも、専門のデザイナーに依頼した方が良いのではないか
と思い、担当編集員H氏にその旨を伝えてあるのです。
一応の構想は、参考として私のアイデアを提出していますが・・・・・さて・・・
どうなることやら・・・・・
数日後に、そのデザイナー氏と初めて打ち合わせをする事になっておるの
ですが・・・・・・
せっかく私の本の表紙を描いてくれるのに(正直、嬉しい!)・・・あ~だ、こ
~だと注文を付けるのもいかがなものか・・・・と思われ・・・・少し不安が・・・
・・・・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」