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漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第5章 その26

2008年01月25日 23時32分59秒 | 漫画家志望
( この漫画は、前回につづいて「覇王の船」の一部(2ページ目)である。 )
     
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

  
  
               その26
 
 
漫画家志望の人なら、たとえ金が無くても、恋人が無くても、学歴がなくて
も、知性も教養も才能も体力も無いドン詰まり人間でも・・・自分の机だけ
は持っている。
 
たとえそれが、ビール瓶ケースであろうと、コタツであろうと、自分の漫画
を描く机だけは誰でも必ず持っている・・・。
 
この机と自分・・・たった半畳ほどの小さなスペースに漫画人生の全てが凝
縮されていると言っても過言ではないだろう・・・・・。
 
宇宙戦争、地底探検、ホラーにファンタジーに世界を駆ける恋・・・漫画の
全世界の発祥の地が、たった半畳のセコくて汗臭いこの「聖域」なのである。
( 特に物書きは無精者が多く、座布団なども小汚く、不潔である )
 
ここまで読まれた方は、Zライトの灯りでコツコツと原稿に向かう若者の姿
を想像されておられるでしょう・・・。 しかし・・・コツコツ真面目に創作
に励むほど根性のある人はごく少数(?)。
 
たいていは・・・鼻クソをほじったり、フケだらけの髪をかきむしって原稿
の上にパラパラと落ちるそのフケの量を調べたり、目をつぶって耳そうじをす
る、その耳かきの動きに全神経を集中させていたり・・・・。
 
どんな音楽をBGMにするかCDをガチャガチャと入れ替える事に10分、20
分とかかったり・・・。 必要もない資料を捜す事に1時間も2時間もつぶして
しまったり・・・・。
 
とにかく、アタフタ、オロオロ、キョロキョロとまるでハツカネズミの様に落
ち着きがないのである。
 
その上、浮気者。 「 浮気者 」というのは、つまり・・・自分の机で作品を構
想するのではなく、喫茶店や図書館( 今ならネットカフェ? )・・・あたり
に出かけて、そこでストーリーを考えたりするのである。
 
自分の机以外の所で仕事をした方がサクサクと仕事がはかどってしまう辺りが
実に不思議なところで、多くの物書きがセッセとこの「浮気」な日々を送って
いるのである。
 
私も小林多喜二の「 蟹工船 」を漫画化する時に、随分と「 浮気 」をしたもの
です。 自分の下宿ではなく、わざわざ自転車に乗って20分かけて図書館に出か
けて作品のシナリオや絵コンテを描いたりしたものです( 喫茶店を利用する金
がありませんでした・・・ )。
 
図書館といっても本を読むわけではなく、自習室で受験生などに混じって漫画
のストーリーを書くわけです。 10代の学生さんに混じって30男がノートにセッ
セと漫画の構想やシナリオを書くのは少し恥ずかしいのですが、それが返って
プレッシャーになって作業に集中出来るわけです。
 
『 ちょっと、鼻クソでもほじるか・・・ 』とか、『 んじゃ、自慰こくべェ・・
・・・ 』とか、『 寝む~ッ! 』とか考える事がまったく無いのです。
 
もっとも、漫画の作画( ペン入れ、仕上げ等 )となると多くの道具が必要にな
るので、自宅以外ではなかなか作業出来ません。しかし、それでもこの「浮気」
は大変に有効(!)なわけです。
 
実は・・・・こうして、この「 漫画家アシスタント物語 」( 下書き )を書い
ておりますのも、東京池袋4丁目にあるとても静かな喫茶店「 M 」なのであり
ます。
 
ここには、飛騨高山の民芸品に囲まれて老マスターが一人、お客である私が一
人。 静かに童謡のBGMが流れる中・・・サラサラと私のボールペンが動いた
り、止まったり、震えたり・・・・・・。
 
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その27 」へつづく・・・



 ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その25」へ戻る 】


 
                  注意 : お知らせも併せてご覧下さい!
 
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ 単行本の表紙について・・・
 
通常、表紙というのは著者が描いても稿料はもらえないそうです。 私は
自分で描くよりも、専門のデザイナーに依頼した方が良いのではないか
と思い、担当編集員H氏にその旨を伝えてあるのです。
 
一応の構想は、参考として私のアイデアを提出していますが・・・・・さて・・・
どうなることやら・・・・・
 
数日後に、そのデザイナー氏と初めて打ち合わせをする事になっておるの
ですが・・・・・・
 
せっかく私の本の表紙を描いてくれるのに(正直、嬉しい!)・・・あ~だ、こ
~だと注文を付けるのもいかがなものか・・・・と思われ・・・・少し不安が・・・
・・・・・・。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  

【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
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          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




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漫画家アシスタント 第5章 その25

2008年01月19日 19時06分24秒 | 漫画
( この漫画は、1991年3月にヤングJ誌別冊に掲載された100P長編読み切り「覇王の船」の
  第1ページ目である。 )
   

【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
   
               その25
 
 
漫画賞の受賞者など、編集部が抱える新人たちをどうやって一人前( 売れる )
の漫画家に育て上げるかは、さぞかし難しい問題だと思う。
 
「 新人育成プログラム 」(?)みたいなものは、いくつかあると思いますが、
その中の一つに月刊誌での「 100ページ長編文芸作品制作 」があったわけです。
 
私も将来、連載漫画を描くためのプロセスとして、このプログラムに参加させ
てもらうチャンスを得ました。
 
ヤングJ誌の担当編集員のK氏に勧められたのは、小林多喜二の「 蟹工船 」。
ここで少し・・・この作品について書いておく事にします・・・・
 
時は大正時代から昭和へ・・・日本が軍国主義の下、ソ連領海と接する海域
( カムチャツカ沖 )で操業する蟹漁船が舞台となります。
 
「 蟹工船 」とは、蟹を獲る小型船舶を装備した大型母船の事です。獲った蟹
は母船内にある缶詰工場ですぐに製品化されます。
 
物語はこの「 蟹工船 」で働く多くの労働者と工船を取り仕切る管理者( 会社 )
との葛藤を描いています。長時間の重労働、それでも追いつかない過酷な生産
ノルマ。 虐げられる当時の労働者たちの姿が克明に表現されます・・・・
 
しかし、労働者たちはついに団結してストライキへ・・・! しかし・・・その
ストライキは国策としての蟹漁に反抗する事だとして日本海軍によって鎮圧さ
れる! ・・・だいたいこんな感じの物語です。
 
1989年冬・・・私が31歳でデビューしてから、早3年が経とうとしていました
・・・・。「蟹工船」の漫画化が決まって、あせる様に10代の頃に読んだこの
作品をもう一度読み直してみました・・・。
 
はじめに担当編集員から「 100ページ 」と聞いた時には「 長すぎるんじゃない
の・・・ 」と思っていた気分が、原作を再読して「この話、100ページで収ま
るのか・・・?」という不安に変わってきました。
 
そして、最も重大な問題に突き当たります・・・・。 それは主人公です。「 蟹
工船 」にはこれといった主人公( 正義のヒーロー )がいません。だいたい登場
人物のほとんどは無名の労働者ばかり・・・・
  
漫画の場合は主人公が必要ですので、その主人公をどうしたら良いか考えなくて
はなりませんでした。
 
ある日、私の師匠であるJ先生と「 蟹工船 」漫画化の話をしていると・・・
 
 「 プロレスでやれ! 」
 
1980年代は「 北斗の拳 」やプロレスの長州力、前田日明などの全盛時代でした。
ですから、正義と悪が真っ向対決する単純なストーリーでまとめる事をJ先生に
勧められたのです。
 
小林多喜二には特定の主人公を設定しない事で作中人物の労働者たちと搾取者た
ちという大きな社会的対立構造を物語にしているわけです。 ですから、どうして
も私が漫画的演出上、主人公とそれに対立する特定の悪玉を設定せざる得ません
でした。
 
そして、机に向かってシナリオを書き出すと・・・・
 
困った事に・・・正義のヒーローよりも、悪のヒーローに気持ちが引かれてしま
うのです・・・・・。 「 弱者の味方、正義の労働者 」・・・よりも・・・「 軍
国主義、独占資本の鬼、植民地主義の悪魔 」・・・そんな悪のヒーローの方が
「 正義の味方 」を圧倒してしまうのです・・・!
 
そこで、私は「 正義のヒーロー 」をあきらめ「 植民地主義 」という大きな船に
乗った「 強欲のヒーロー 」を主人公にしようと考えました。
 
小林多喜二の本来の意図とはズレてしまうのですが・・・私のそうした脚色を、
担当の編集員K氏は・・・
 
 「 イイと思いますよ・・・。 むしろ、脚色された方たがイイと・・・ 」
 
私はタイトルも「 覇王の船 」と変え、ストーリーも悪役の主人公が自由に動き
回る事で、原作とは全然違う世界を描く事にしました。
 
残酷な現場監督が若い少年労働者をいたぶろうとするエピソードなどを・・・・
 
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その26 」 へつづく・・・



 ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その24」へ戻る 】


 
 
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ 拙ブログ「漫画家アシスタント物語」(第1~4章収録)が書籍化!
   全326ページ。第1章の一部漫画化! 秘蔵未公開写真19点、描き下ろ
   しイラスト18点を含む画像総数148点! デビュー漫画「雨のドモ五郎」
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漫画家アシスタント 第5章 その24

2008年01月11日 18時45分33秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、東京都中央区にある築地警察署の写真である。小林多喜二が拷問によって
  撲殺された旧築地署(京橋署)から昭和41年に移転。写真の庁舎は平成5年に改築され
  たものである《 2008年、1月撮影 》 )
  

【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
   
                その24
 
 
漫画家アシスタントと平和運動、反戦運動が関係する事など普通はない・・・
と、思っておられる方が多いでしょう。
 
しかし、意外と多くの漫画家、漫画家志望者が関わっています。 それは・・・
興味が有る無しに関わらず、政治的な団体のビラ、機関誌のさし絵やイラスト
等を依頼される事が多いからです。
 
そうした事がきっかけになって、公安から調査されたり、団体内部の情報提供
( スパイ )の依頼を受けたり・・・・。
 
「 政治なんて関係ねェ! 」 「 ただ漫画を描いているだけさ・・・ 」・・・そ
う思っていても・・・・誰にでも火の粉が降りかかって来る可能性はあるのです。
 
「 そんな事は昔の話だ 」と、思われるかもしれませんが・・・つい最近も自衛
隊がイラク戦争に反対する団体を「 調査 」している事が暴露されていました。
つまり・・・今も昔も・・・・・といった感じなわけです・・・・・。
 
 
日本における国際的( 国家的 )な事件・・・例えば・・・
 
韓国の大統領候補が日本のホテルから誘拐されたり、日本人女性が海外へ拉致
誘拐されたり、オウムが毒ガスをばらまいたり・・・・。その時、公安はいっ
たい何をやっていたのか・・・?
 
平和運動や反戦運動をしている人間をスパイして何をするつもりだったのか・
・・・。
 
警察官僚機構の中でも「 公安(警視庁公安部) 」はエリートコースと聞きま
すが、その彼等がせっせと左翼集会参加者の写真を撮りまくったり、未成年者
をだましてスパイに仕立て上げたり・・・結果として無意味な情報書類を山の
様に築いていく・・・・・
 
そして上級管理職に成り、たっぷりと退職金をもらって天下って行く・・・・
・・・・。 
 
 
警察官に殴られた中江君の叫び・・・
 
 「 僕じゃな~~いッ! 」
 
機動隊員に歯を折られた南さんが離さなかった血だらけのカメラ・・・。
 
そして、東京築地署で拷問によって撲殺された小林多喜二・・・。 私の中では、
それらが一つの線上に並んでいます。
 
消そうとしても消すことの出来ない炎の様になってメラメラと燃えているので
す。 そして、それらの炎の先に多喜二の「 蟹工船 」がありました・・・・・
 
 
S英社ヤングJ誌の担当編集員のK氏・・・
 
 「 Yさん(私)、小説を漫画にしてみませんか・・・? 」
 
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その25 」 へつづく・・・



 ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その23」へ戻る 】


 
                  注意 : お知らせも併せてご覧下さい!
 
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★単行本に掲載される漫画について・・・
 
掲載予定の漫画は「雨のドモ五郎」ですが、それ以外に本編を一部漫画化
したものを掲載できる予定です。
 
はじめ私はイラストを数点載せるだけでよいのではないかと思ったので
すが・・・・・
 
 「是非、漫画を!」 「Yさん、漫画で見たいんです!」
 
と関係者に強く勧められ・・・・・若干ではありますが・・・・・申し訳程度・・・
ではありますが・・・・・・・ほんのチョットではありますが・・・・・・・・ごく一部、
本編を漫画化しております!
 
  
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漫画家アシスタント 第5章 その23

2008年01月05日 00時28分09秒 | 漫画
( この写真は、東京JR線高田馬場駅近くの商店街である。 この通りの先を右に曲がって
  しばらく歩くと下落合に出る・・・。 この写真は、本編とは直接関係ありません。
  《 2008年、1月撮影 》 )
   

【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

  
   
               その23
 
 
南さんの絶叫は夜の街に響きました・・・。
 
表通りから裏道へ入り、さらにビルとビルのすき間に連れ込まれた南さん
( 仮名:南浩志、1968年当時19歳、東北出身 )の叫び声は、通行人の注
意をひくのに充分でした。
 
南さんを袋叩きにしていた二人の男は、その背後に人の気配を察知すると
まるで、紙クズでも捨てる様に南さんを投げ出して走り去ったのです。
 
南さんは、この二人が私服警官か刑事だと信じています・・・。勿論、警
察手帳を見たわけでもありませんから確認は出来ません・・・。 しかし
・・・・・
 
体格の良さとその生真面目なしゃべり方、ケガ人でも平気で暴行できる冷
徹さ・・・南さんが『 私服だ! 』と直感しても不思議ではありません。
 
偶然、体格の良いサラリーマンが二人で暇つぶしにデモ隊の落ち武者狩り
をやっていた可能性よりも、私服警官が南さんを新宿から付けていたと考
える方が自然だと思われます・・・・・。
 
路地裏で真っ赤なボロ雑巾の様に横たわる南さんを誰も助けてはくれませ
んでした。 血み泥になりながらも・・・南さんは、決して長兄から譲れれ
たカメラを離しませんでした・・・・・・

しかし、そのカメラも半壊し、赤黒い血がこびりついています・・・・ま
るで南さんを守るためにカメラも重症を負っているかの様に・・・・・・
 
南さんは全身の激痛に耐えながら、自力で下落合のアパートに帰ります・
・・・・すぐに病院に駆け込む事も考えましたが、警察(?)から命を狙
われている自分をいったい誰が救えるのか・・・・?  病院へ行って、そ
こから警察に連絡されたら・・・・・その先の事を考えると南さんは病院
へ行く事すら恐ろしくなったのです。
 
 『 警官がオレを殺そうとしているのに、いったい誰を信じられるだろ
  う・・・・? 医者だって信じられない! どいつも、こいつも信じ
  られない! 人間なんて誰も信じられない! 』
 
南さんはアパートの自室で1週間以上寝たきりで過ごしたそうです。全身
の激痛と悪寒に震えながら起き上がる事が出来ませんでした。
 
友人の一人に食事の世話を頼み、一歩も外へ出ることなく一人布団にくる
まって震えていたのです・・・・・
 
かろうじて助かった「 命 」を胸に抱きしめる様にして・・・・・
 
 
南さんとは2,30年お会していません。お互いに白髪の混じる年になりま
した。今現在、私は30年の漫画家アシスタント人生を送り、南さんはデザ
イン会社の代表に・・・。そして、デザイン会社の仕事以外にも漫画関係
の仕事もこなしているそうです・・・・・。
 
 
先日、新年のあいさつメールの中に・・・私の書いた「 新宿騒乱 」につ
いて・・・・・・
 
 「 正確には『 10.21 国際反戦デー 』で、この日初めて「騒乱罪」が
  適用されました・・・ 」
 
そう、メールでご示唆をいただきました。 メールの差出人は南さんでした。
 
学生運動は大学の自治や自由( 国家及び国家権力の介入の阻止 )から、さ
らには反戦運動( 安保粉砕、ベトナム戦争反対、米空母寄港阻止・・・等 )
へと広がりを見せていました。
 
今現在、問題になっている多くの社会矛盾に対してクールになっている学生
や若い労働者を・・・
 
 「 今の沈静化したムードは逆に怖い・・・ 」
 
と、メールには記されてありました。 南さんのデリケートな感性から、
「 警告 」を突きつけられた思いでした・・・。
 
 
 
             「 漫画家アシスタント 第5章 その24 」 へつづく・・・



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