漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その18

2022年12月07日 13時12分05秒 | 漫画家アシスタント
               

       ( ↑写真、タイ、メサローンの「チュイフォンカフェ」です。 一面の茶畑に囲まれた丘の上に立つ素
         敵なカフェです。 タイでもこんなカフェが田舎に建てられる様になりました。 さすがに凄い人
         気です・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )



               

       ( ↑写真、同じく「チュイフォンカフェ」の店内ですが、解放感に満ちたゴージャスな見晴らしです。
         いつも思うのですが、40年前までは欧米人用の小さなカフェが観光地にある程度で、タイ人のため
         のカフェなどただの一軒もありませんでした・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、ほとんど私は自分の写真を拙ブログで掲載する事はないのですが・・・・・久しぶりにお気に入り
         の一枚。 上記と同じ「チュイフォンカフェ」の店内です・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( この写真は、2017年、モーションコミックのDomixによるライブを撮影したものです。 場所は東京、
         西武池袋線の東長崎駅近くにある『テアトルらぽう』。 画面の左側に主演の声優さん、大きなスク
         リーンに漫画が映し出され、右手に他の声優さんたち演技しています・・・・・《 2017年、5月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、主演の声優さんたちによる熱演、100人(?)近くのお客さんたちにも結構評判は良かったみ
         たいです・・・・・《 2017年、5月、撮影 》 )




               

       ( ↑イラスト、「覇王の船」が単行本化されるにあたって、習作した表紙用のイラストです。 あまりイ
         ンパクトがないので、この絵はお蔵入りになりました・・・・・《 2008年頃、制作 》 )




               

       ( ↑写真、タイの精霊流し「ロイカトーン祭り」では、タイ全土の各家庭で行燈をつるしたりしてお祝い
         します・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、「ロイカトーン祭り」で有名なのが、この「コムローイ」(天燈上げ)です。 100円ほどの値
         段でキットで売られていますので、各家庭で組み立てて使用します・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、コムローイの点火です。 燃料のバームクーヘンみたいな紙ボールには油がしみこませてあ
         り、すぐに着火してゆっくり燃焼します・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、家族や近しい友人などと一緒に「家内の安全や健康、希望、宝くじの当せん、等々」を願って
         空に上げます・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、中途半端に上げると、揚力不足で落下して危険です。 最近は観光目的で大勢で一気に上げる
         事がありますが、充分に熱を貯めてから上げず、すぐに落下して事故る場合があるみたいです・・・・・
         《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、各家庭で数個のコムローイを上げます。 上空にポツリ、ポツリと小さくなってくコムローイ
         をいつまでも見上げている家族や友人たちの嬉しそうな笑顔こそ素晴らしいので、私はいつも『もう
         充分です。何も望むものはありません』と夜空に思うのです・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )






        【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 

                    その18


以前、拙ブログでも紹介させていただいたのですが・・・・・・

2008年に文庫本になった私の「 覇王の船 」( 別冊ヤングジャンプにて100p文芸シリーズとして掲載 )
という作品が2017年にDomix( 漫画に声優さんの声をのせて一コマづつ映像化 )によってライブモー
ションコミックとして公開されたのです・・・・・・

その当時( 2013年頃 )、「 YouTube 」に公開された映像が今でも「 生きて 」いるのを発見したので、
ここに改めて紹介したいと思います。( 今回は、この「 覇王の船 」音声収録についてのお話です )

ちなみに、この「 YouTube 」の動画は閲覧数100程度( 現在『いいね』は、たったの1個だけ )で、い
つ消えてなくなるか分かりませんので、興味のある方は、お早めにご鑑賞下さい・・・・・

 「 覇王の船 」( 小林多喜二作「 蟹工船 」より )


実は、このモーションコミックのアテレコ作業に私も同席させてもらっていたのです・・・・・。

2013年6月の声優さんたちの配役決定や、8月の収録など楽しい作業に立ち会えました。

まず・・・・・・

渋谷にあったメディア関係の専門学校( 現在はありません )で、数人の声優さん( 学校でアニメの声優
学習をしている学生さんたち )たちに、どの役をやってもらうかを決める作業です。

構成、演出を担当してくれる樹崎聖氏( ‘09年、月刊アフタヌーンで「 ZOMBIEMEN 」連載、漫画家、演
出家、プロヂューサー )が、予め出演者の候補を絞り込んでくれていました。

声優さんたちは、さすがに声の出し方や演技の練習を毎日されているだけあって、ド素人目には圧倒され
るばかりです。

ちなみに・・・・・・

奴隷船である蟹工船の怖い漁場監督( 主役 )・・・・・・この役を演じるのは、とても難しかったと思います。

私は、この漁場監督の言葉に「 やれッチ 」とか「 てめェッチ 」などと個性的な言い回しを設定したので
すが・・・・・・

声優さんたちからすると、こうした言葉遣いに違和感があるらしく・・・・・・

 「 イエス先生、これどこの方言なんですか? 」

別の学生さんは、蟹工船のイメージから・・・・・・

 「 東北や北海道の言葉なんですか? 」

私は、「 デタラメ 」です・・・・なんてホントの事は言えないので・・・・・・

 「 と・・・・特異な・・・・・・・人物ですので、特定の地域の言葉というわけではなく・・・・・・ 」

・・・・などと、返答に冷や汗をかいたものです。


2013年、9月、いよいよ収録が始まります。

私は、友人である創作童話作家の羽さん( 仮名:羽田ヒロ、‘13年当時57歳 )と一緒に渋谷にある録音ス
タジオへ向かいました・・・・・・

数人のアテレコを学ぶ声優志望の学生さんたちが収録ルームで待っていてくれました。

挨拶もそこそこにさっそく収録です・・・・・・

私の「 覇王の船 」がシナリオになって、各声優さんに配られています。

ゲストの私と、友人の羽さんも一緒に防音室へ入ります・・・・・・なれない設備にすっかり緊張しっぱなしで
すが、さすがに声優を演ずる学生さんたちは、日々練習しているので落ち着いています。

椅子に掛けて見ているだけなのに、映画でも見ている様なワクワク感があって、喉が渇いてきます。

 『 ・・・・よく訓練されているなぁ・・・・・・喋りが明瞭で力強い・・・・・ 』

場面が蟹工船の甲板上でのやり取りになった時、私は奇妙な事に気が付きました・・・・・・

残酷な漁場監督と、その部下である監視員たちの会話なのですが・・・・・・

ある学生が一人だけ、収音マイクから少し離れていたのです。 

シーンの変わり目で、録音が休止している時・・・・・・私は、彼にもっとマイクに近づいた方が良いのではな
いかと声をかけました。

すると彼は、ごく自然に・・・・当然の事の様に・・・・・・

 「 船の大きさからして・・・・甲板も広いと思ったんです。そこで、甲板上の広さと、他の人物たち
   との距離感を出すために、わざとマイクから少し離れていました。 」

音声だけで状況を表現する工夫を彼らなりに、考えながら収録しているわけです。( 時に、うつむいたり、
肩で息をしたり・・・ )

私は、一生懸命に演技する彼らに感心しながら収録を見つめていました。

物語はクライマックスを迎えるまで、収録はスムーズに進みました・・・・・・

ところが・・・・・・

私が想像もしない出来事が起こります・・・・・・

 「 先生もやってみませんか? 」

 「 はぁ? 」

 「 船長の役、やって下さい 」

蟹工船上では、労働者たちがストライキを起こし、漁場監督たちと闘うシーンになるのですが、そこへ船
長が登場するのです・・・・・・

私は、声優の勉強を毎日続けている彼等の様には演技出来ないし、まったく経験のない事をやって、今日
の仕事を台無しにしてしまう事を恐れて固辞しました。

その代わり、群衆が騒ぐシーンなど数ヵ所のシーンで、私と童話作家の羽さんも特別出演する事になりま
した。

 「 わ~、わ~ 」とか、「 やめろ~ 」とか、「 ストライキだ~ 」とか・・・・・・

・・・・・・マイクから少し離れた位置で騒いだのでした。

とても楽しい収録作業でした。

こんな風に、映画やアニメの制作現場が楽しいものなのかどうかは分かりませんが・・・・・・

その緊張感と、演技への集中、テーマへの肉迫、生き生きとした現場の活気・・・・・・・どれもが、貴重な体験
になりました。

でも・・・・・・

演出、プロデューサーの樹崎氏が一番喜んでる感じではありましたが・・・・・・

「 監督業 」って、一度やったら止められないかもですね。



              「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その19 」 へつづく・・・・


               ( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )


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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




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