漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 諦めま章 その37

2013年07月25日 23時02分19秒 | アシスタント

 ( この写真は、私が暮らすマンションからもさほど遠くない南浦和の夕焼けを撮影したものです。京浜東北線沿い
  にある旨いラーメン屋で食事をした後、線路を超える高架橋の上から赤い空に感動しながら撮影しました・・・・
  《 2013年、7月、携帯で撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 
                   その37


     《 漫画家アシスタントが・・・俗説について論じる・・・!? 》


風邪にかかってから2週間が経とうというのに、まだ咳が止まらない・・・・・

熱も鼻水もすっかり症状が消えたのですが、どういうわけか空咳だけが続いています。

子供の頃に肺炎を患ったり、小児喘息になったりした事が影響しているのか、虚弱体質なのか、
一度風邪をひくと治りが遅い方なのです。そして、何故かいつも、咳だけが長く残るのです。

体質なのか年のせいなのか・・・・・

今、このブログをタイピングしている間も時々咳が出ます。

咳というやつはやっかいで、特に、満員電車の中などで咳が止まらなかったりすると、その苦
しさは耐え難いものがあります。( ゲロ吐きそうになる事もあります )

最近は、咳も少ないのですが、何時また混み合う車内で咳が出始めるかハラハラしています。

必死に咳を抑えようと息を止めると、思わず鼻から「 ウプッ 」などと苦しい息が出てしまった
り・・・・・・

無理に咳をこらえるために、腹筋に力が入った瞬間、尻の穴から「 プッ 」とガスが漏れてしま
ったり・・・・・

・・・・・・電車通いが憂鬱になる昨今です。

ちなみに、ブロンやトローチ、ヴィックスドロップなどは必需品ですが・・・・・・・気休めみ
たいなもんですね。


では、今回のお話・・・・・

先日、東京目白にあるJプロ( ※参照 )の仕事場へ出勤すると・・・・・・・

例の如く、「 本日休み 」の張り紙があり、クソ暑い目白通りを駅に戻ろうとした時に、アシス
タントの先輩氏と会ったので、一緒に駅まで歩いた時の事です・・・・・

焼かれる様な日差しと、ダラダラと背中を流れる汗・・・・・・疲れ果てた中年二人が歩く15
分ほどの間に、彼がこう訊いてきました。

 「 Y君、学校の方は行ってんのケ? 」

仕事場でも会話の少ない先輩アシスタントですが、外へ出てもあまり話す事はなかったのですが
・・・・・・・・( 年に1回か2回、喫茶店でちょっと話す程度 )

暑さをまぎらわすためか・・・・・・久しぶりに私に質問を投げかけてきました・・・・・・

 「 はぁ・・・行ってますよ・・・・ 」

私が仕事の始まるお昼の前に、一番早い1時間目の授業( ※参照 )を週に数回担当してる事は、彼
も知っていたので、まだ続いているのか質問したのだと思います・・・・・

 「 漫画の学生って、男女の比率はどうなんじゃろ~の? 」

 「 女子が・・・・7割くらい・・・・ですね 」

 「 えッ? 女の方がそんなに多いのケ? 」

 「 圧倒的に多い・・・・ですね 」

 「 やっぱり、ブスばっかりなんじゃろ~か? 」

こうした一種の俗説(?)『 漫画を描く女に美人は少ない 』は、なぜか随分と昔から語り継が
れている様ですが・・・・・・

 『 漫画を描く事と、顔の造作は関係ね~だろ! 』

などと正論を先輩にぶっ叩く勇気のない私は・・・・

 「 はぁ・・・・まぁ・・・・でもぉ・・・・可愛い子もいますよ 」

そんな返事をしながら・・・・

 『 俺にとっては・・・・若い学生たちは皆、自分の子供みたいなもので・・・・男子
   も女子も可愛いくてしょうがないんだけどな・・・・ 』
 
・・・・・そんな事も同時に頭に浮かんでいるのですが・・・・・・
 
目白駅からJR山手線で池袋へ・・・・・その車内の中でも会話が続きます・・・・・・
 
 「 そうケ~・・・・イイ女もおるんケ~ 」
 
 「 はぁ・・・・・・ 」
 
私は、イイ加減な性格なので、問題を難しく考える事を避ける様に黙っている・・・・・・
 
 「 ええなァ・・・・皆、名前なんか覚えちょるんケ? 」
 
 「 ダメですね・・・・一人か二人位しか・・・・覚えられなくて・・・・・ 」

担当する学生の総数は60人( クラスは3つに分かれている )ほどで、週一回、半年間だけの授
業では、なかなか全員の名前と顔を覚えるのは難しい。

私は、特に電話番号だの名前だのといった「 記憶する 」といった事がまるっきりダメで、20人
ほどのクラスの中で、4~5人ほどの名前と顔を覚えるのがやっとなのです。

電車のつり革につかまりながら先輩アシスタント氏は、ニヤリと笑って私に顔を向ける・・・・

 「 そりゃ・・・・いかんの~・・・・・・差別じゃの~・・・・・! 」

 「 ・・・・・・・・・・? 」

 「 可愛い子だけ覚えよるんじゃろ~がァ・・・・・悪い奴じゃの~! 」

あまりに先輩アシスタント氏が嬉しそうなので、否定する事を躊躇していると・・・・電車が
池袋に到着・・・・・
 
 「 じゃ・・・・明日 」
 
 「 おう! 」
 
そう言って、元気に宇都宮線のホームへ向う先輩アシスタント。
 
大宮の先、随分と遠くから通っている彼は、もうすぐ60歳になる・・・・・息子一人、奥さん
は数年前に逃げたまま帰らない。
 
 
 
 
        「 漫画家アシスタント 諦めま章 その38 」( 8月1日以降公開 ) へつづく・・・・


             ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント諦めま章 その風邪休養」へ戻る 】





  【 ※参照 】
  ・Jプロ・・・・・・・・漫画家J先生の仕事場。東京目白にあり、バブル期には6~7人の
   スタッフが在籍。しかし今年2013年にはスタッフ2名。連載は1誌。ちょっと淋しい今日
   この頃です。
  ・授業・・・・・・・・・東京の繁華街にある美術系大学。マンガコースの「背景美術」の
   講義を担当。非常勤講師として水曜日の朝1時限。(現在は、水曜から金曜まで各1時限を
   担当)




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ★ 単行本「漫画家アシスタント物語」にも登場したガンさん(本中では『ハアさん』)
   が描いたソープランドの実録漫画「親不孝通り」(一部)を公開中です・・・・・
   ・・・以下のバナーをクリックして漫画をご鑑賞下さい!

       特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~   




【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画家アシスタント 諦めま章 風邪休養

2013年07月12日 23時23分58秒 | 漫画

 ( この写真は、私が暮らしているJR武蔵浦和駅近くのマンションです。中央、自動車の奥一階白い窓が私の部屋
  になります。風邪をひいてからは、ずっとこの部屋で休んでおります・・・・・《 2012年、11月、撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 

                        風邪休養


今回は、風邪のためにお休みさせていただきます。( スイマセンです! )

 ゴホッ ゴホッ 

仕事場であるJプロも、学校で漫画背景を教える授業も、お休みをいただいております。

4~5日すれば元気になるかと思いますが・・・・・現在は、熱と鼻水、喉の痛みなどと格闘中
であります。

皆さまも、急に暑くなったりして、温度変化や冷たい飲み物など、くれぐれもお気を付け下さ
い!

では・・・・・・

失礼いたしますです・・・・・・

 ゴホッ ゴホッ ( わざとらしい咳 )
 
 
 
 
        「 漫画家アシスタント 諦めま章 その37 」( 7月20日以降公開 ) へつづく・・・・


             ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント諦めま章 その36」へ戻る 】

 
 
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ★ 単行本「漫画家アシスタント物語」にも登場したガンさん(本中では『ハアさん』)
   が描いたソープランドの実録漫画「親不孝通り」(一部)を公開中です・・・・・
   ・・・以下のバナーをクリックして漫画をご鑑賞下さい!

       特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~   




【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画家アシスタント 諦めま章 その36

2013年07月08日 13時40分01秒 | 漫画家志望

 ( この写真は、最近の仕事場を撮影したものです。 私の使っているデスクのすぐ横の風景です。 中央
  の人形は、J先生の有名な漫画作品のキャラクターグッズです。 携帯写真で撮影しました・・・・・
  《 2013年、7月、撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】


 

                   その36


    《 漫画家アシスタントが・・・キャラクターに同情する・・・!? 》


今回のブログのアップがすっかり遅くなってしまったのは・・・・・・最近のネタ不足が原因で
して・・・・・・・・・・・( ホントに申し訳ありませんです! )

通常、ブログというものは・・・・・皆さん、日記の様に日々起きた出来事を書きつづっている
様ですが・・・・・・( または、社会記事の感想など )

私は、どうも・・・・・・今日、何を食べたとか、どんな映画を見たとか、誰に会ったとか、そ
うした日常を日記風に書く事が出来ないというか・・・・・・・・・・書く気が起きないという
か・・・・・・・・

何故なら・・・・・・

私自身は、人の書いたブログのそうした「 日記的 」な文章を読むのが苦手ですし、大抵は斜め
読みするか、スルーしてしまう事が多いからです。

ちなみに・・・・・・

私はいつも、ブログに何を書くのかで追い詰められている様な気分で過ごしているのですが・・
・・・・・・・・・

過去の印象深い思い出も尽きてしまい・・・・・・・せめて月に一回あるかないかの面白い出来
事でも書きたいものと思っていたのですが・・・・・・・・・

その「 面白い出来事 」自体が年に何回も起きはしないし、また、仮に起こっても人様のプライ
バシーの問題やら何やら面倒が多くアップ出来ない事が多いのです。

例えば・・・・・・

学校( ※参照 )での出来事など・・・・・・ユニークな学生の話や、他の先生方の話など、書きた
くても書けない・・・・・・・・・・・もし、ブログに書こうものならただで済む訳もなく・・
・・・・・・・・

せいぜい、アシスタントの仕事( ※参照 )の話などをクビになるのを覚悟でチョコチョコと書くの
がやっと・・・・・・といった有様です。

いかに私の生活がマンネリ化した退屈な日常であるかをお察しいただけたらありがたいのですが
・・・・・・・・

・・・・・この様な言い訳で・・・・・・いつまで誤魔化せるものでもありませんので・・・・
・・・そろそろ本題に・・・・・・
 
 
今回も・・・・・・・・・極々最近の話題を・・・・・・・・・
 
でも、これ書いたら・・・・・・・・・・・・来週はどうなるんだろう( ネタが何にもない!
)・・・・・・・財布が空ッポになった時の気分に似ている・・・・・・でも書くしかない・・
・・・・・・・
 
 
ここ数年のアシスタントの仕事といえば、○学館の「 ○ッグコミック・○リジナル 」という雑誌
に連載する「 H雲 」しかありません。

それを、私ともう一人の先輩アシスタントの二人で仕上げているわけです。

先日、仕上げた「 H雲 」には、二人の中年男( 江戸の町人 )が登場しました。

その一見、風采の上がらない( バカそうな )男がなんだか私と先輩の事の様に思われたのです
が・・・・・・・

J先生( ※参照 )の漫画の背景を描いていると、時々、この登場人物は実在の誰々さんではないか・
・・・・・・とか、私の事を描いているのではないか・・・・・・・とか、考えてしまうのです
が・・・・・・・・・・

ほとんど、単なる「 憶測 」に過ぎず、作者の意図とはまったく違うものなのですが。

その日も、登場人物である二人のパッとしな男が、私と先輩アシスタントのイメージと重なった
りしました・・・・・・

漫画の中で、この二人( アゴのデカイ男と出っ歯の男 )が酒を飲みながら話し合っています・・
・・・・・・・
 
 アゴ 「 おめェカカアとやってのか? 」
 
 出っ歯「 月に2、3回な 」
 
 アゴ 「 月に2、3回もかよ 」
 
 出っ歯「 酒を飲むか、カカアとやるか、他にやることなかんべ 」
 
私がこの原稿の背景を描くわけですが・・・・・・・
 
この二人がいったいどんな場所で酒を飲んでいるのか分からないのです・・・・・・
 
 『 たぶん・・・どちらかの男の自宅だと思うけど・・・どんな家だろう・・・・・ 』

私は、原稿を持ってJ先生の個室へ向かいます・・・・・・・・・

例の如く窓に向かってデスクを置く先生に、背後から緊張しつつ声をかけます・・・・・・・・

それにしても、私は、いつも( 35年間! )先生に声をかける時に、まるで虎の尾を踏む様な緊
張を強いられるのです。
 
・・・・・・ただの一度だって気軽に声をかけた事がありません!
 
 「 ・・・・センセ・・・・・・ 」
 
虎の尾をなでる様にしながら・・・・・・

 「 ・・・・二人がいる・・・・・この部屋は・・・・・・長屋で良いのでしょうか? 」

虎は、ムックリと私にその浅黒い横顔を見せながら・・・・・・

 「 ・・・・・・う・・・・・・長屋だな 」

静かに・・・・・・聞き取りにく低音が聞こえる・・・・・・とりあえず噛み殺されなかった事
を喜びつつ・・・・・・・・・

 「 キレイな長屋ですか、それともボロ長屋ですか? 」

 「 ・・・・・・ン? 」

虎は、臭いゲップでも吐き出すように・・・・・・

 「 こりゃ・・・・・・ボロ 」

 「 はい 」

 「 こいつらなんかボロ長屋だよ! 」

「 ボロ長屋 」を予想はしていたのですが・・・・・・・・・「 こいつらなんか 」という言い方
に・・・・・・・・・・

私は何故か・・・・・・・・この二人の登場人物が他人には思えない様な・・・・・・・・・・
なんだか二人がとても気の毒な様な・・・・・・・・・・・複雑な心境になったものです・・・
・・・・・・・・・

天才的な作家にとっては、沢山の作品を量産することや、人気を取る事がそれほど難しい事だと
は思っていない様子です。( ホームラン王がホームランを打つのや、首位打者がヒットを打つの
と同じ様なものかも知れません )

面白い作品を作れるのが当たり前だと思っている。 そのため、作れない人間( 私は、極々普
通の人々だと思うが )は「 牛 」「 バカ 」「 根性なし 」「 腐れ外道 」「こいつら」などと侮
蔑されるわけです。
 
さて・・・・・・・・
 
今回の結論は・・・・・・・・・・
 
天才とは・・・・・・・・・・・・人権侵害である!
 
 
 
 
        「 漫画家アシスタント 諦めま章 風邪休養 」( 7月10日以降公開 ) へつづく・・・・


             ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント諦めま章 その35」へ戻る 】

 
 
 
  【 ※参照 】
  ・学校・・・・・・・・・私が非常勤講師として漫画背景を教えている東京某所、繁華街に
   ある美術系大学。一見すると10階ほどの商業ビルにしか見えませんが、内部は、全階、教
   室や演習室、事務室などになっています。教授として漫画家松本零士先生が教えています。
  ・仕事・・・・・・・・1978年から続けているJプロでのアシスタント業。仕事場は東京目白
   にあり、スタッフは私を含めて現在2人。連載漫画は1誌のみ。
  ・J先生・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊連載
   6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。13年現在、70歳。
 
 
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ★ 単行本「漫画家アシスタント物語」にも登場したガンさん(本中では『ハアさん』)
   が描いたソープランドの実録漫画「親不孝通り」(一部)を公開中です・・・・・
   ・・・以下のバナーをクリックして漫画をご鑑賞下さい!

       特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~   




【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする