( この写真は、東京千代田区神保町の街並みです。この写真の場所から少し歩いた所にS英社
のビルがあります。週刊少年J誌が600万部売れたバブル期の10年前(80年頃)は一つだったビ
ルが今では私が知るだけでも・・・3つになっています。《 2007年6月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その6
S英社( ※参照 )の近くにある小さな喫茶店で、担当のK編集員氏( ※参照 )
は表情も変えずに「 暗黒劇画劇場 」を読み終えます。
「 暗黒劇画劇場 」は各4ページの7作品( 計28ページ )。完全に連載を意識し
た作品で、最初の2作品のみ仕上げて、他は下書きのまま見てもらっていた
のです。
「 雑踏市 」で迫力を、「 またしたのジョー 」では「 下ネタ 」を・・・・・
『 きっと面白がってくれる! 』
そう信じていたのですが・・・・・・7作品全てが・・・・・・「 沈黙 」と
「 無表情 」の中で・・・・・・あっけなく沈没していくのです
「 第4作目 」「 第5作目 」「 第6作目」「 第7作目 」(「○ザエさん」のパロ
ディーですが、これだけは非公開)・・・・・・
どの作品にも・・・・・反応がまるでない・・・・・・
私はジットリと汗ばみながらも・・・気味の悪い寒気を感じていたのです・・
・・・
K編集員は、隣に座る女性編集員( ※参照 )に最後のページを渡し、彼女がそ
れを読み終わった時に話しかけます・・・・
「 どうかな・・・・君はどう思う? 」
新人編集員がベテラン編集員に試される瞬間です・・・・
「 ・・・・・はい。 最初は・・・何だろうこれ・・・って感じで・・・
どうかなァ~って思ったんですけど・・・・・・ 」
私は、この「 ・・・ですけど 」と、キッパリ言った彼女の顔が「 菩薩如来 」
の様に見えはじめる・・・・・
「 まとめて読むと・・・結構、面白いな~って・・・! 」
私は、菩薩様に合掌する思いで彼女を見上げます・・・・・
『 ど~よ、K編集員! 』
私は嬉しさの中で身を乗り出す様にしてK編集員の顔を窺います・・・
しかし・・・
「 ダメだよ、これ 」
『 素人は困るぜ・・・ 』といった感じで、私の原稿を手に取りながら・・・
・・・難しい表情でK編集員は話し始めます・・・・
その話の内容は著作権に関する事で・・・まず承諾されるわけがない( 掲載不
可 )という事でした。
そして、作品のネームに関して・・・キャラクターが立ってないとか、ページ
不足だとか・・・細かい事柄を一つか二つアドバイスをして・・・
『 どうだい、こうやって批評するんだぜ 』
・・・ってな感じで、初めて満足した様に笑顔を女性編集員へ向けるのです。
彼女は私から視線をはずして小さく一声・・・
「 はい・・・ 」
と。
それから・・・・・・敢然と・・・顔を上げると・・・
「 でも・・・これ・・・やっぱり、面白いですよ! 」
・・・ってな事、言ってくれるわけもなく・・・・・
私は白けた雰囲気の中で冷たくなったコーヒーを静かにすするのです・・・・・
『 何、描きゃいいッつ~~んだよ・・・ 』
「 漫画家アシスタント 第7章 その7 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その5」へ戻る 】
【 ※参照 】
・S英社・・・・・・・・少年誌、青年誌、発行部数で常にトップを争う大手出版。
1992年当時、「YJ」は発行部数300万以上。「○忍!!空手部」「○氏の隣
人」などが連載。
・K編集員・・・・・・私より1つ年下の中堅編集員、後に「少年J誌」の副編
集長になる。
・女性編集員・・・大学を出たばかりの新人編集員。週刊ヤングJ編集部。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化!
詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙サイト 「WEB漫サイ」 に漫画家志望青年物語「雨のドモ五郎」「壁」
などを「解説」と共に無料公開中!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
のビルがあります。週刊少年J誌が600万部売れたバブル期の10年前(80年頃)は一つだったビ
ルが今では私が知るだけでも・・・3つになっています。《 2007年6月、撮影 》 )
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その6
S英社( ※参照 )の近くにある小さな喫茶店で、担当のK編集員氏( ※参照 )
は表情も変えずに「 暗黒劇画劇場 」を読み終えます。
「 暗黒劇画劇場 」は各4ページの7作品( 計28ページ )。完全に連載を意識し
た作品で、最初の2作品のみ仕上げて、他は下書きのまま見てもらっていた
のです。
「 雑踏市 」で迫力を、「 またしたのジョー 」では「 下ネタ 」を・・・・・
『 きっと面白がってくれる! 』
そう信じていたのですが・・・・・・7作品全てが・・・・・・「 沈黙 」と
「 無表情 」の中で・・・・・・あっけなく沈没していくのです
「 第4作目 」「 第5作目 」「 第6作目」「 第7作目 」(「○ザエさん」のパロ
ディーですが、これだけは非公開)・・・・・・
どの作品にも・・・・・反応がまるでない・・・・・・
私はジットリと汗ばみながらも・・・気味の悪い寒気を感じていたのです・・
・・・
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新人編集員がベテラン編集員に試される瞬間です・・・・
「 ・・・・・はい。 最初は・・・何だろうこれ・・・って感じで・・・
どうかなァ~って思ったんですけど・・・・・・ 」
私は、この「 ・・・ですけど 」と、キッパリ言った彼女の顔が「 菩薩如来 」
の様に見えはじめる・・・・・
「 まとめて読むと・・・結構、面白いな~って・・・! 」
私は、菩薩様に合掌する思いで彼女を見上げます・・・・・
『 ど~よ、K編集員! 』
私は嬉しさの中で身を乗り出す様にしてK編集員の顔を窺います・・・
しかし・・・
「 ダメだよ、これ 」
『 素人は困るぜ・・・ 』といった感じで、私の原稿を手に取りながら・・・
・・・難しい表情でK編集員は話し始めます・・・・
その話の内容は著作権に関する事で・・・まず承諾されるわけがない( 掲載不
可 )という事でした。
そして、作品のネームに関して・・・キャラクターが立ってないとか、ページ
不足だとか・・・細かい事柄を一つか二つアドバイスをして・・・
『 どうだい、こうやって批評するんだぜ 』
・・・ってな感じで、初めて満足した様に笑顔を女性編集員へ向けるのです。
彼女は私から視線をはずして小さく一声・・・
「 はい・・・ 」
と。
それから・・・・・・敢然と・・・顔を上げると・・・
「 でも・・・これ・・・やっぱり、面白いですよ! 」
・・・ってな事、言ってくれるわけもなく・・・・・
私は白けた雰囲気の中で冷たくなったコーヒーを静かにすするのです・・・・・
『 何、描きゃいいッつ~~んだよ・・・ 』
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1992年当時、「YJ」は発行部数300万以上。「○忍!!空手部」「○氏の隣
人」などが連載。
・K編集員・・・・・・私より1つ年下の中堅編集員、後に「少年J誌」の副編
集長になる。
・女性編集員・・・大学を出たばかりの新人編集員。週刊ヤングJ編集部。
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