( この漫画は、前回、前々回、前々々回に引き続き・・・私が描いた『A○○○』の一部分です。
場面は、主人公の母親が男の脳ミソを食べるシーンです。この様な絵は、お嫌いな方も多いか
と思いますが・・・これっきりですのでご容赦下さい。《 1993年頃、作画 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その12
友人のオーさん( ※参照 )が描く事になった単行本のテーマは・・・代用監獄。
「 代用監獄 」とは、警察の留置場の事です。
それが・・・自白偏重の裁判システムをバックに警察署内での長期間の取り調
べが冤罪を生むとして問題になってから随分と長い歳月が経ちます・・・。
この社会問題を扱った本を漫画化したのが「 ○画代用監獄 」( ※参照 )で原作は、
○野功氏。そして、作画はイラストや挿絵を仕事にしていた私の友人オーさんだ
ったのです。
私は、この本のスクリーントーンの削りなどを少しだけ手伝っていたのですが・
・・・・この単行本が出版された経緯に大変興味がありました。
それは、この本が原作者によってその企画がS出版社( ※参照 )に持ち込まれた
からです。 つまり、漫画原稿を漫画出版社に持ち込むのではなく、私が任意に
選んだ本をその本の出版社に「 漫画化企画 」として持ち込む事だって可能なの
ではないか・・・と。
漫画出版社と関係なく、私の漫画を世に出すチャンスがあるのだ・・・と・・・
・・・・そう目論んだのです・・・。
以前、このS出版社から出ていた某精神病院を告発した本が、私は好きだったの
で・・・
『 ひょっとして・・・この本を俺の手で漫画化する事も・・・・ 』
・・・と、考えた私は、オーさんの紹介という形でS出版社へ原作となる本を持
って出かけたのです・・・
それにしても・・・見ず知らずの・・・どこの馬の骨とも知らぬ奴が突然現れて、
漫画の単行本を描かせてくれと言って実現するのかどうか・・・
半信半疑ながら・・・私は電話で「 書籍漫画化 」の企画を簡単に説明して、とり
あえずアポを取りました・・・・・
ここから始まる「物語」は、「第6章」と同じ様にその内容や人物、場所、時間な
どを若干、変更してあります。
読まれる方は、これが事実なのか虚構なのか判断に戸惑うかと思いますが・・・
・・・・仮に演出や虚構であっても、実際に起きた出来事から極端に違う事が書
かれているわけではありません・・・
ただ、「第6章」の様に登場人物に取材して書いた訳ではありません。まったく、
私個人の立場から主観的に書かれていますので・・・地雷を踏むように実在の人
物からクレームを受ける可能性はかなり高いと思います・・・・
では・・・・・ゆっくりと・・・・・・・地雷原へ・・・・・・・・
1992年12月。さいたま市に住む私( 38歳 )は埼京線の北戸田駅からS出版のあ
る千代田区御茶ノ水へ向かいました。
JR線の御茶ノ水駅から順天堂大学病院の脇を通って本郷の方へ数分歩くとビルの
谷間に、小さなS出版の本社ビルがあるのです・・・ホントに小さいビルなので
通り過ぎてしまいそうな程でした・・・。
社内で紹介された編集員のМ氏は、その後数年間に渡って、私の漫画制作を見守っ
てくれる事になる人物です。
М編集員は小さな椅子にガシャリと腰かけます。おびえた様に背中を丸める私とは
対照的に、体育会系のガッシリした大柄な人でしたが、優しく静かな物腰と人の良
さそうな笑顔を見せくれます・・・。ですから私は、緊張する事も無く要件を切り
だす事が出来ました。
「 この本を漫画化したいと・・・ 」
すると、待ちきれない様に・・・М編集員が・・・
「 実は、うち( 当社 )でも本の漫画化をシリーズにしたいと考えて
いたところなんです 」
「 ・・・! 」
これは、いい感触だ! 何か巧く行きそうだ! ・・・最初だけはいつも調子の良
い私です。
「 あの『 劇画○用監獄 』を漫画化シリーズの第1弾として、次の
企画をどうしようかと考えていたところなんです 」
まるで計った様なタイミングの良さ!
そこに、М編集員の上司であるメガネの編集局長(?)が・・・
「 あの本( 精神病院を告発した本 )なら、漫画にしたら売れますよォ
・・・きっと! 」
そう黒ぶちのメガネの奥にある小さな目が嬉しそうに笑っている!
私たちは、金脈でも発見した山師の様に・・・・
話が盛り上がっていきました・・・・
「 漫画家アシスタント 第7章 その13 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その11」へ戻る 】
【 ※参照 】
・オーさん・・・・・・仮名:大村亮、関西出身、イラストレーター・・・でも漫画
家に憧れてもいた人物。実際、児童学習誌などに解説漫画を掲載。93年
当時、36歳。
・「○画代用監獄」・・・・・・・・警察署の留置施設での人権侵害をSF仕立ての
劇画にして、分かりやすく解説された社会問題劇画。93年2月出版。週
刊連載6誌という逸話もある。現在は2誌に連載中。93年当時、50歳。
・S出版社・・・・・・・・社会問題、思想書籍などを中心に扱う左派系で有名な
出版社。(正確には出版社ではありませんが、このブログでは仮名使用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化!
詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
★ 拙サイト 「WEB漫サイ」 に漫画家志望青年物語「雨のドモ五郎」「壁」
などを「解説」と共に無料公開中!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
場面は、主人公の母親が男の脳ミソを食べるシーンです。この様な絵は、お嫌いな方も多いか
と思いますが・・・これっきりですのでご容赦下さい。《 1993年頃、作画 》 )
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その12
友人のオーさん( ※参照 )が描く事になった単行本のテーマは・・・代用監獄。
「 代用監獄 」とは、警察の留置場の事です。
それが・・・自白偏重の裁判システムをバックに警察署内での長期間の取り調
べが冤罪を生むとして問題になってから随分と長い歳月が経ちます・・・。
この社会問題を扱った本を漫画化したのが「 ○画代用監獄 」( ※参照 )で原作は、
○野功氏。そして、作画はイラストや挿絵を仕事にしていた私の友人オーさんだ
ったのです。
私は、この本のスクリーントーンの削りなどを少しだけ手伝っていたのですが・
・・・・この単行本が出版された経緯に大変興味がありました。
それは、この本が原作者によってその企画がS出版社( ※参照 )に持ち込まれた
からです。 つまり、漫画原稿を漫画出版社に持ち込むのではなく、私が任意に
選んだ本をその本の出版社に「 漫画化企画 」として持ち込む事だって可能なの
ではないか・・・と。
漫画出版社と関係なく、私の漫画を世に出すチャンスがあるのだ・・・と・・・
・・・・そう目論んだのです・・・。
以前、このS出版社から出ていた某精神病院を告発した本が、私は好きだったの
で・・・
『 ひょっとして・・・この本を俺の手で漫画化する事も・・・・ 』
・・・と、考えた私は、オーさんの紹介という形でS出版社へ原作となる本を持
って出かけたのです・・・
それにしても・・・見ず知らずの・・・どこの馬の骨とも知らぬ奴が突然現れて、
漫画の単行本を描かせてくれと言って実現するのかどうか・・・
半信半疑ながら・・・私は電話で「 書籍漫画化 」の企画を簡単に説明して、とり
あえずアポを取りました・・・・・
ここから始まる「物語」は、「第6章」と同じ様にその内容や人物、場所、時間な
どを若干、変更してあります。
読まれる方は、これが事実なのか虚構なのか判断に戸惑うかと思いますが・・・
・・・・仮に演出や虚構であっても、実際に起きた出来事から極端に違う事が書
かれているわけではありません・・・
ただ、「第6章」の様に登場人物に取材して書いた訳ではありません。まったく、
私個人の立場から主観的に書かれていますので・・・地雷を踏むように実在の人
物からクレームを受ける可能性はかなり高いと思います・・・・
では・・・・・ゆっくりと・・・・・・・地雷原へ・・・・・・・・
1992年12月。さいたま市に住む私( 38歳 )は埼京線の北戸田駅からS出版のあ
る千代田区御茶ノ水へ向かいました。
JR線の御茶ノ水駅から順天堂大学病院の脇を通って本郷の方へ数分歩くとビルの
谷間に、小さなS出版の本社ビルがあるのです・・・ホントに小さいビルなので
通り過ぎてしまいそうな程でした・・・。
社内で紹介された編集員のМ氏は、その後数年間に渡って、私の漫画制作を見守っ
てくれる事になる人物です。
М編集員は小さな椅子にガシャリと腰かけます。おびえた様に背中を丸める私とは
対照的に、体育会系のガッシリした大柄な人でしたが、優しく静かな物腰と人の良
さそうな笑顔を見せくれます・・・。ですから私は、緊張する事も無く要件を切り
だす事が出来ました。
「 この本を漫画化したいと・・・ 」
すると、待ちきれない様に・・・М編集員が・・・
「 実は、うち( 当社 )でも本の漫画化をシリーズにしたいと考えて
いたところなんです 」
「 ・・・! 」
これは、いい感触だ! 何か巧く行きそうだ! ・・・最初だけはいつも調子の良
い私です。
「 あの『 劇画○用監獄 』を漫画化シリーズの第1弾として、次の
企画をどうしようかと考えていたところなんです 」
まるで計った様なタイミングの良さ!
そこに、М編集員の上司であるメガネの編集局長(?)が・・・
「 あの本( 精神病院を告発した本 )なら、漫画にしたら売れますよォ
・・・きっと! 」
そう黒ぶちのメガネの奥にある小さな目が嬉しそうに笑っている!
私たちは、金脈でも発見した山師の様に・・・・
話が盛り上がっていきました・・・・
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【 ※参照 】
・オーさん・・・・・・仮名:大村亮、関西出身、イラストレーター・・・でも漫画
家に憧れてもいた人物。実際、児童学習誌などに解説漫画を掲載。93年
当時、36歳。
・「○画代用監獄」・・・・・・・・警察署の留置施設での人権侵害をSF仕立ての
劇画にして、分かりやすく解説された社会問題劇画。93年2月出版。週
刊連載6誌という逸話もある。現在は2誌に連載中。93年当時、50歳。
・S出版社・・・・・・・・社会問題、思想書籍などを中心に扱う左派系で有名な
出版社。(正確には出版社ではありませんが、このブログでは仮名使用)
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