漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その27

2024年05月24日 03時39分24秒 | 小説家志望
               

       ( ↑写真、これは「メーファールアン・フラワー・フェスティバル」で撮影したものです。タイ北部
        チェンライでの一コマです。上野公園位ある広さで、岩山やカメ、女神など、大きなモニュメント
        を作り、大規模なフラワーパークが造成されていました・・・・・《 2023年、12月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、これも、「フラワーフェスティバル」での写真です。私とカミが写っています。大勢の人で
        混雑していましたが、庭園がものすごく広いので、ゴミゴミした感じではありませんでした・・・・・
        《 2023年、12月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、ナンバープレートの無い自動車です。これもチェンライに出かける時に撮影したものです。
        よく見ると、ウインカーも変です。タイでは、こうした訳のわからない自動車を時々見かけます・・
        ・・・《 2024年、5月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、カミさんの治療のために出かけたチェンライの病院です。以前のブログでも紹介させても
        らった大学病院です。新しいのでとにかくどこを撮影しても美しいです・・・・・《 2024年、5月、
        撮影 》 )




               

       ( ↑写真、院内の受付です。広くて綺麗ですが、撮影時はお昼頃なので、混雑時間を過ぎています。
        そのため、静かな待合室といった感じです・・・・《 2023年、6月、撮影 》 )


 

               

       ( ↑写真、院内にあるフードコートです。広くて幾つもの店舗が並んでいます。味はしっかり標準以
        上なのに、値段は安いので助かります。ちなみに、タイラーメン一杯が200円です・・・・《 2024年、
        5月、撮影 》 )



         【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
                  その27


以前、日本でコロナ禍の頃に支援金やら給付金やらで、少なくとも多くの方々が一服できた事が
あったと思います。

さて、今年は定額減税給付金4万円とか‥‥‥‥

それは、結構な話なのですが‥‥‥‥全て、日本在住の日本人に限定されています。

海外で、年金で暮らしをしている貧乏日本人は、3割から4割の円安による減収に耐えて暮らして
いますが、支援も給付も減税も、一切ありません。

‥‥‥‥地獄です。( youtube「地獄海外難民ch」風セリフ )

数年前に確定申告をして、年金から自動的に差っ引かれる所得税を返してもらう方法を税務所に
相談したら‥‥‥‥

「 海外在住者は確定申告できません 」

‥‥の一言で終わり、あっさりしたものです。

税金は引かれても、給付金も減税もない‥‥‥‥つまり、日本人の海外難民に人権はないという
事なのだと思います。

今現在の日本とタイの通貨価値の差は、3倍ほどだと思いますが、30年前は10倍以上ありました。
40年前だと15倍位あったかもしれません。

つまり、だんだんと日本の経済力が弱くなっている事を意味しているのですが、この事は、日本
にいるとまったく実感できないと思います。

外国人観光客が、日本の商品( 土地も住居も株も全て含めて )が安くて安くて、笑いが止まら
ないのを「 外人さんが喜んでくれてる 」と微笑ましく思う日本人の人の好さ。

本当は、日本の全て( 国土も人間も )が安く買いたたかれているのに‥‥‥‥もうダメかもし
れないなぁ‥‥‥‥そんな溜め息ばかりの今日この頃です。


さて、3月に生まれて初めて書いた小説を「 小説すばる新人賞 」へ応募してから2ヵ月になるの
ですが、もし、この小説が出版される様なら、その時には続編を出そうと画策。

その続編が今月完成し、その次には、この応募作品が1次選考や2次選考で落選した場合のための
改訂版を今、準備しているところです。

それは、書き上げた全原稿( 400字詰め原稿用紙、約700枚 )を半分に圧縮したものにする予
定です。

この改訂版は、「 すばる 」に再挑戦するか、講談社や角川に出すかは決めていませんが、そう
ならないで済む事を切に願っているところです。

ところで、タイで隠居暮らしする今年69歳になる男が、無謀(クレイジー)な事を始めたもの
だと思われるかと思いますが‥‥‥‥

実は、実際に小説を書き始めてから、幾人かの方々に励まされ、アドバイスをいただき、添削や
重要な示唆をもらった事で書き続ける事ができたわけです。

その方々のお話をちょっと書いておきます。( 全て仮名ですが )

私一人がコツコツ頑張っている‥‥‥‥ってなイメージとは違うのです。

まず、小説は、私のアシスタント時代の物語ですので、当然、ジョージ秋山やそのスタッフた
ちのエピソード、さらに、関係者の助力なくして成立しません。

さて、私の創作を励ましてくれた人たちの事ですが‥‥‥‥

なんで、そんな人たちの話を? ‥‥と、疑問に思われるかも知れませんが、実際にとてもユ
ニークな面々です。我ながらこれはスゴイ面々だと思います。

まず最初は、社会派のライターで週刊雑誌などに連載記事を書いているH氏。次に日本文学を
海外でも講義する某大学名誉教授T先生。この先生は、私が高校時代にお世話になった恩師で
す。50年前は高校の国語の講師でした。私が描いた漫画を面白がってくれた理解者なのです。

そして、友人の創作童話作家のM氏、雑誌で童話教室を連載したり、月刊随筆誌の投稿選考員
をやったりしてます。さらに、私が新宿の美術系大学で非常勤講師をしていた時の教え子の学
生が一人、誤字脱字の添削や批評などでサポートしてくれています。

最後に、村上春樹氏と同期で同じ大学に行っていた小説家志望だったA氏。彼は、江戸川乱歩
賞で1000分の8位まで選抜された実績がある方です。最も厳しく綿密に私の文章を講評してく
れました。実は、このブログの長年の読者で、きっと、この文章もビックリしながら読んでお
られると思います。

まだ、私の小説が海の物とも山の物ともわからない段階ですので、改まった挨拶はしませんが、
もし、良い結果が出たらお知らせしたいと思っています。

どんな結果になるやら‥‥‥‥

ホントに楽しみです!



               「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その28 」へつづく・・・・
 
              ( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )
 

               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その26」へ戻る 】

 
 

 
   


【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」





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14 コメント

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応援しています (A氏)
2024-05-24 12:05:23
大学時代は、小説家志望というより、漫画家志望で、貸本屋で読んでいた水木しげるのファンでした。
紙芝居から転向した貸本漫画稼として、最初の作品がロケットマンという漫画で、以来墓場鬼太郎、悪魔くんなど、独創的な漫画でした。
yesどんの小説が売れるといいですね。漫画ではすでに3-4冊出版していますからね。
応援しています。
A氏さん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2024-05-25 02:52:03
その節は、本当にお世話になりました。

Aさん、ありがとうございました!

8月に第一次選考の発表がありますが、その時に改めてご挨拶させていただ
きます。

文章の添削、講評など、小説初心者の私に貴重なご指導をいただき本当に助
かりました。

勉強になるご示唆をいただいていますので、それを活かすように精進したい
と思います。

それにしても、小説を書くのは楽しいですね‥‥‥‥毎日、気持ちよくキー
ボードを叩いています。
初めてウズベキスタン人を八丁堀で見ました。 (しろちゃん)
2024-06-04 11:54:44
セブンで飲み物を買ったら、レジに外人がいたので国籍を聞いたら「ウズベキスタン」でした。隣の国はと聞いたら、「タジキスタン」というので、ピンとこなかったのですが、とりあえず「南がトルクメニスタン」といったら、そのとうりと喜んでいました。
今日地図で確認したら、北がカザフスタン、中がウズベキ、南がトルクメニスタンで不思議なスタン3兄弟の関係でしたが、その西側にカスピ海があって、この湖の海への出口が見当たりません。大雨が降ったらあふれるのではないかと、心配な毎日を過ごしています。
しろちゃん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2024-06-06 00:11:25
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
                       
カスピ海といえば、小さな海ですよね・・・・・

そこの水を大勢の人が利用し、汚染している現状は深刻みた
いですね・・・・・

水の問題は、タイでも同じ様にあって、私の住む地域も最近
の水不足から井戸水が枯れたりして問題になっています。

もっとも、今月辺りからやっと雨季になって雨が降り始めた
ので渇水問題も峠を越えました。(これから洪水のシーズン
ですが)

でも、また来年も深刻な事態が訪れると思います・・・・・
これは、簡単に解決できる問題じゃないので深刻です。いや、
ホントに!
ブハラの凄いハサミと料理 (しろちゃん)
2024-06-06 12:59:26
https://www.youtube.com/watch?v=zKfQnE7elVs

シルクロード感がすごいらしいです。
ウズベキスタンep3 ブハラの凄いハサミと料理
しろちゃん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2024-06-07 12:47:45
ウズベキスタンの画像をありがとうございました。

イスラム圏に旅行した事がないし、旅行したいと思った事も
ないのですが‥‥‥‥

こうしたのどかな風景を見ていると、一度行きたくなります
ね。

それにしても、ホントに旅系Youtuberって、フットワークが
良いなぁ‥‥‥‥(トークも巧い)
案外面白い (くろちゃん)
2024-06-08 10:45:24
インド旅のイッキ見版の前編 by旅慣れたおっさん

https://www.youtube.com/watch?v=apFcol0TUh4&t=5003s
くろちゃんさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2024-06-09 14:09:05
インドの旅の動画を、ありがとうございました。
 
私も旅の動画をよく見ます。
 
アメリカのゾンビ街や、インドの娼窟、タイの年金移住者、北朝鮮の隠し撮
りなど、興味深い動画が沢山あります。

多くは、その旅のテーマの奇矯さで視聴者を誘導しているものがほとんどで
すが、最近私が好きなのが・・・・・

旅は旅でも、完全にキャラクターで旅を楽しむ番組です。

ひとつ紹介しますね・・・・・

「散歩するアンドロイド」
https://www.youtube.com/watch?v=bdUNEXbc-uU
Bucha (くろちゃん)
2024-06-10 12:37:25
https://www.bbc.com/japanese/articles/cjr7xnx54l1o

虐殺から2年……ウクライナ・ブチャの傷はまだ生々しく

2024年4月10日
ウクライナに侵攻したロシア軍は2022年3月、首都キーウ郊外のブチャを占領した。部隊が撤退後、ブチャに残された死と破壊の痕跡は世界に衝撃を与えた。それから2年後、BBCのサラ・レインズフォード東欧特派員がブチャを再訪し、さまざまな傷を負った住民がどのように日常に戻ろうとしているのかを取材した。

サラ・レインズフォード、BBC東欧特派員

ルドミラさんの夫は、ロシア兵に殺された。

そしてルドミラさんは、夫の遺体を毛布にくるんで自宅の庭の隅に埋葬するしか、ほかにどうしようもなかった。夫を埋葬して、ルドミラさんは娘と共にブチャから逃げた。2022年3月のことだ。

ロシア軍はキーウ郊外の小さな町ブチャを占領し、ルドミラさんたちの家を勝手に使い始めた。庭に戦車を乗り入れ、道路の向かい側の家を指令本部にした。

あれから2年がたち、ルドミラさんはようやく、夫ヴァレリーさんの顔写真がついた大理石の墓石を、その墓に立てることができた。

ブチャが解放された後、ルドミラさんはヴァレリーさんを地元の墓地に、きちんと埋葬し直した。戦闘で破壊された夫妻の家は少しずつ再建が進んでいる。ルドミラさんはその庭に、明るい色の花を植えている。しかし、家の完成後、そこに住むのはルドミラさん一人だ。

撤退したロシア兵が残した悲惨な状態からブチャを再生し、再建しようとする取り組みが続いている。ルドミラさんたちの家の再建も、その一環だ。

Play video, "ウクライナ首都郊外に残された数々の遺体 ロシア軍車列の残骸も", 所要時間 4,04
04:04

動画説明,ウクライナ首都郊外に残された数々の遺体 ロシア軍車列の残骸も(2022年4月動画)
ブチャを奪還したウクライナ軍は、ヤブルンスカ通りに多数の遺体を発見した。道路で撃たれて死亡し、そのまま放置された人たちだ。その光景を通じて世界は、33日間の占領中にブチャがどのような惨劇に見舞われていたのか、初めて知ることになった。

「あの通りに住む人たちを支える、道義的な義務が私たちにはある。あそこで70人以上の民間人が残酷に殺され拷問されたので」。アナトリー・フェドルク町長はこう言う。

ヤブルンスカ通りとその周辺の地域は、修復され、改装され、ところによっては再建された。しかし、ロシア軍は占領中にこの地域の「ほぼすべての庭と家」を接収し使っていたのだと町長は話す。補修費の推定総額は16億ユーロ(約2640億円)に上るという。

「もちろん私たちにそんな資金はない。それでも、住民が自宅に戻れるようにするため、最善を尽くしている」

Play video, "ゼレンスキー氏、住民虐殺が疑われる首都近郊ブチャを訪問 ウクライナ戦争", 所要時間 0,55
00:55

動画説明,ゼレンスキー氏、住民虐殺が疑われる首都近郊ブチャを訪問 ウクライナ戦争(2022年4月動画)
ヤブルンスカ通りから数歩歩いたすぐ先に、ルドミラさんの家がある。

新しい家はまだ外枠ができただけだ。夏までには完成させると施工会社は約束しているものの、大工の姿をもう何日も見ていないのだとルドミラさんは話す。

夫だけでなく、家を失ってから2年がたつ。それだけに、この新居に早く引っ越したいと思っているという。

「なんとかこなそうとがんばっていますが、血圧が高くて。戦争の前はこんなことなかったのに」。こう言いながら、ルドミラさんは自宅の建築現場を案内してくれた。

「心臓のスキャンもとっています。いろいろ問題があって。全部ストレスのせい。記憶のせいです」

新居の建築現場でレインズフォード記者を案内するルドミラさん画像提供,MATTHEW GODDARD/BBC
画像説明,新居に早く戻りたいと、ルドミラさんは言う
2022年に私は、ロシアの撤退から間もなくブチャを訪れ、焼け焦げたルドミラさん宅の残骸を目にしている。庭にはまだ、酒瓶や戦闘糧食の包みが積まれていた。ルドミラさんの夫を撃ち殺した男たちが残したごみだ。

ルドミラとヴァレリーさん夫妻は、地下室に隠れていた。ヴァレリーさんはその地下室から少し出たところをロシア兵に見つかり、殺されたのだ。ルドミラさんは同じ日の夜、玄関先にうつぶせて倒れている夫の遺体を見つけた。

ヴァレリーさん殺害の事件捜査は、まだ続いている。ブチャで起きたとされる何百件もの戦争犯罪の一つだ。ルドミラさんは最近、警察に呼ばれた。新しい防犯カメラ映像が見つかり、そこに映っている兵士たちを特定できないか、質問されたという。

2年前に撮影した、ルドミラさんの自宅の様子
画像説明,2年前に撮影した、ルドミラさんの自宅の様子
「被疑者不在で訴追できるのでは? ロシアが身柄を引き渡すわけはないのは、わかっています」

ルドミラさんはこう言う。具体的に誰かが法的に夫殺害の責任を問われる可能性については、事態を現実的に受け止めている。

「私自身としてはひとりひとり、首を締め上げて、いったいなんでここに来たのか問い詰めてやりたい」と話すと、いきなり感情が込み上げたようだった。

「最低のクズ」だと、ルドミラさんは言い放った。

聖アンドリー教会の敷地は占領中、多くの市民の集団埋葬地となった。その白い壁には、今では金属製の追悼プレートが掲げられている。今のところプレートには509人分の名前が刻まれている。空白のプレートもある。町の墓地ではまだ100人以上の遺体が、身元の確認を待っているからだ。この人たちはブチャのあちこちにいったん浅く埋められ、後に改葬された。いつか誰かが、この人たちを探しに来るとの期待から、改葬の際にDNA検体が採取・保存された。

追悼の壁には、「2022年3月」という以外は命日が刻まれていないプレートもある。ブチャがロシア占領下に時期だ。その反対側には、いまだに行方が分からない数十人の人たちの名前が掲げられている。

そのリストには、ボフダン・コステレンコさんの名前もある。ボフダンさんの妻ナタリアさんに私が最初に会ったのも、2022年のことだ。かつてブチャで多くの子供が利用したサマーキャンプの敷地内で、殺害された男性5人の遺体が見つかった。その事件を、私は当時取材していた。ロシア兵に連行された夫がその一人なのではないかと、ナタリアさんは恐れていた。しかし、違った。

ブチャの追悼の壁には500人以上の名前を刻んだプレートが掲げられている画像提供,MATTHEW GODDARD/BBC
画像説明,ブチャの追悼の壁には、500人以上の名前を刻んだプレートが掲げられている
何カ月も探し続けた末に、ナタリアさんはようやく夫がロシアの刑務所にいることを突き止めた。「夫はベラルーシ経由で(ロシア・)ブリヤンスクにある第2収容所まで連行された」のだと、ナタリアさんは話す。

ロシア軍の戦争捕虜との交換を通じて帰還したウクライナ人たちの話から、ボフダンさんがやがてモスクワの南にあるトゥーラの町で、収容施設に入れられていることを知った。

「ロシアは正式に、夫が囚人だと認めたけれども、私は自分のツテを使って自力で居場所を探り当てなくてはならなかった」と、ナタリアさんは言う。

「民間人は速やかに帰還させるべきなのに、そうしない」

ボフダンさんは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、2019年に陸軍を退役した。ロシアに収監されているが民間人なので、捕虜交換の対象になる可能性は乏しいとナタリアさんは恐れている。これまでにロシアが帰還を認めた非戦闘員は、数十人だけだ。

「ブチャの民間人が大勢、行方不明のままだ。ロシアの刑務所にいるとわかっているけれども、ロシア側は認めようとしない。少なくともボフダンについては、収監していると正式に認めているだけましだ」

ナタリアさんの夫が連行されて以来、本人からは何の連絡もない。しかし、ブリヤンスクで収監されていた他のウクライナ人たちから、拷問されたと聞かされている。

「本当に厳しかったと、その人たちは言っていた。食べ物を与えられず、ひどく痛めつけられたと。電気ショックや、鉄パイプを使って」と、ナタリアさんは言う。「私はもう、どうしたらいいのかわからない。夫を自由にできない。方法がまったく見つからない」。

ナタリアさん本人は、血筋の上ではロシア人だ。今や自分の夫を違法に拘束し、虐待しているとされる国は、彼女の両親の母国だ。そして、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はナタリアのような人の存在を口実に、ウクライナ侵略を正当化した。ナタリアのような人たちを、キーウの「ナチス」政権による蛮行から救わなくてはならないのだと、プーチン大統領は主張した。

私たちが庭で話していると、周りでは子供たちがサッカーをしながら笑ったり叫んだりしている。戦前にブチャにいた住民のほとんどが、ここに戻った。ウクライナそのものから避難した大勢も含めて。

しかし、今後また事態が悪化しかねないとナタリアさんは心配している。

「プーチンが何をしているか、わかるでしょう。モスクワのテロ攻撃をウクライナのせいにして」と、3月にモスクワ近郊のクロクス・シティー・ホールで起きた襲撃事件にナタリアさんは言及した。

「全面戦争がしたいんだと思う。総動員で」

ルドミラさんの庭に咲くクロッカス
画像説明,ルドミラさんの庭に咲くクロッカス
町の反対側ではルドミラさんも、ロシアのミサイル攻撃がこのところ増えているのを心配している。建て直し中の自宅をしょっちゅう訪れては、進捗を確認すると共に、占領前の思い出を身近に感じようとしている。近所に住み着いている野良猫「ムルカ」に、食べ物を与える。ヴァレリーさんはムルカの写真を撮るのが大好きだった。あらゆることがもう耐えられないと思うときには、庭仕事をする。そうすると、少しは気がまぎれるのだという。

「ウクライナのどこもかしこも壊れて、がれきだらけ! ここブチャでは再建が進んでいて、それは本当にうれしい。でも平和ではないし、安定もしていない」

ルドミラさんは庭に整然と並んで咲く、紫色のクロッカスやブルーベル、まだ緑色をしたスイセンのつぼみを見せてくれた。続いて、ヴァレリーさんが撃たれた玄関先の前を通り、木製の門をくぐり、自ら夫を埋めた場所へと案内してくれた。そこは今では、よく手入れされた花壇に戻っていた。

「見て、チューリップがあんなにたくさん!」とルドミラさんは指さした。

「前はここは本当にきれいでした。また家の周りでぐるっと、花が咲くようになります」
くろちゃんさん、コメントどうもありがとうございました! (yes)
2024-06-11 02:04:09
ウクライナ・ブチャの虐殺事件、その記事をありがとうございました。
 
早いもので、あれからもう2年になるんですね・・・・・

この記事を書いたイギリスの記者は、実際に現場を取材し、丁寧な記事をま
とめていますね。(ちょっとNHKの
特番みたい)

最初は、キーウが陥落するかと思ったら、ウクライナが盛り返し、ロシアが
ダメかなと思ったら、今度はウクライナが武器弾薬と兵員の枯渇に苦しむ。

最初から、多くの識者が「ロシア不利」と予想したのに、資源、食料、軍事
力、人口、生産力で圧倒的に優位なロシアにとっては、ウクライナ戦争の損
失が「カエルの顔に小便」程度なのかもですね・・・・・

まったく一進一退の攻防が続き、どんどん犠牲者が増えています。

ウクライナとロシアが、それぞれ100%満足する結果はありえないと思います
ので、いずれ50対50で停戦するしかないと思いますが・・・・・

その妥協点へ向かうには、もっと多くの犠牲が必要なのでしょうか・・・・・

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