( この漫画は、86年にCてつや賞に応募したホラー劇画「 死亡少年 」の一部である。熱気充満
の入魂の一作・・・のつもりだったが・・・ 《 1986年 作画 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その52
漫画賞を逃したペーソスギャグ「 僕です! 」について編集員のS氏は、個人的に
気に入ってくれていました・・・。そして、私に・・・
「 この感じで昭和30年代のレトロ調のイラストを描いてみませんか・・・? 」
青年漫画誌ヤングMに連載が企画されているエッセイのイラスト( さし絵 )をや
ってみないかという話でした・・・。
私の頭は次回作( ホラー劇画「 死亡少年 」 )の事でいっぱいでしたから・・・・
『 なんだ・・・さし絵かァ・・・・ 』
私はニコニコと「 さし絵 」の話をするS氏をクールに見つめていました・・・・。
今、描いているホラー劇画に全力を傾注している私にとっては、今求められてい
る「 さし絵 」より、自分の情熱全てをぶつけて描いている「 死亡少年 」にこだ
わり続けたかったのです。
『 作者が全力で描こうとしている世界を発掘してこそ編集員なのではな
いか? 』
『 レトロイラストなら他に上手く描ける人はいくらでもいるじゃないか! 』
そんな風に考えていましたし、またかなりハッキリとその様な事を力説したので
す・・・。 事態は最悪です・・・・・。 S氏は私が喜んで「 さし絵 」の仕事
を引き受けると思っていたのに・・・予期に反して全く違うジャンルの劇画でや
っていきたいなどと強弁するしまつ。
そんな大バカを相手にS氏は戸惑っているというより、呆れ果てた・・・そんな
ところだったのではないかと思います。
こうして、ホラー劇画の熱に浮かされている私の目の前を「 さし絵の話 」は流れ
去って行ったのです・・・・・・。
私とS氏は深夜のファミリーレストランで1時間ほどを過ごしてからテーブルを離
れました。 一応、私はホラー劇画「 死亡少年 」に集中することに・・・・。
S氏が会計を済ませ、出口の所で別れ際になってから名刺を差し出します・・・。
なんだかバニラアイスをチビチビとなめる頼りない編集員・・・と思っていた私は
・・・・その名刺を見て愕然とします・・・・・・。
「 ヤングM編集部 副編集長・・・・・・! 」
一瞬で血の気が引いていきます・・・・・・ この時のS氏の白い石膏像の様なや
さしげな笑顔を前に、私は裸の子供の様におびえたのです・・・・・・・・。
「 漫画家アシスタント 第4章 その53 」 へつづく・・・
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【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
の入魂の一作・・・のつもりだったが・・・ 《 1986年 作画 》 )
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気に入ってくれていました・・・。そして、私に・・・
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青年漫画誌ヤングMに連載が企画されているエッセイのイラスト( さし絵 )をや
ってみないかという話でした・・・。
私の頭は次回作( ホラー劇画「 死亡少年 」 )の事でいっぱいでしたから・・・・
『 なんだ・・・さし絵かァ・・・・ 』
私はニコニコと「 さし絵 」の話をするS氏をクールに見つめていました・・・・。
今、描いているホラー劇画に全力を傾注している私にとっては、今求められてい
る「 さし絵 」より、自分の情熱全てをぶつけて描いている「 死亡少年 」にこだ
わり続けたかったのです。
『 作者が全力で描こうとしている世界を発掘してこそ編集員なのではな
いか? 』
『 レトロイラストなら他に上手く描ける人はいくらでもいるじゃないか! 』
そんな風に考えていましたし、またかなりハッキリとその様な事を力説したので
す・・・。 事態は最悪です・・・・・。 S氏は私が喜んで「 さし絵 」の仕事
を引き受けると思っていたのに・・・予期に反して全く違うジャンルの劇画でや
っていきたいなどと強弁するしまつ。
そんな大バカを相手にS氏は戸惑っているというより、呆れ果てた・・・そんな
ところだったのではないかと思います。
こうして、ホラー劇画の熱に浮かされている私の目の前を「 さし絵の話 」は流れ
去って行ったのです・・・・・・。
私とS氏は深夜のファミリーレストランで1時間ほどを過ごしてからテーブルを離
れました。 一応、私はホラー劇画「 死亡少年 」に集中することに・・・・。
S氏が会計を済ませ、出口の所で別れ際になってから名刺を差し出します・・・。
なんだかバニラアイスをチビチビとなめる頼りない編集員・・・と思っていた私は
・・・・その名刺を見て愕然とします・・・・・・。
「 ヤングM編集部 副編集長・・・・・・! 」
一瞬で血の気が引いていきます・・・・・・ この時のS氏の白い石膏像の様なや
さしげな笑顔を前に、私は裸の子供の様におびえたのです・・・・・・・・。
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