
( この写真は、タイ中西部にあるカンチャナブリの戦争記念館です。人物は私、汽車は実際に使われて
いたものです。記念館には主にタイとビルマを結ぶ鉄道建設と戦闘やイギリス兵捕虜とその虐待に関
する資料が展示されています。欧米からの観光客以外にも中国、韓国などからも観光客がやって来ます。
全体に老朽化が進み資料も汚れています。こうした記念館に日本政府も積極的に資金援助する懐の深さ
を見せる事が対日感情を良くすると私は考えているのですが・・・・・《 2020年、11月、撮影 》 )

( ↑写真、チェンマイの自宅です。ほとんど私がデザイン、設計しました。写真右側の明るい部分がリ
ビングルームです。60インチのテレビがあるのですが、あまり見る事はありません。もはやテレビの
時代ではなく、皆が個々にモバイルでインターネットを楽しむ時代なんですね・・・・《 2020年、2月、
撮影 》 )

( ↑写真、上の写真と同じく自宅を撮影した写真です。中央のボンヤリと灯の見える部屋がメインベッ
ドルームです。その左側の明るい部分がバスルーム、さらにその奥20mほど裏庭になります・・・・
《 2020年、2月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
先生との思い出 4 ( 前半 )
ちょっと恥ずかしい話だけど、誰でもSEXはしますよね。
男性は、出会う女性の8割に欲望を感じる・・・・・って話を聞いた事もあります。
私の師匠だったジョージ秋山などは「 男なんて結局、ヤル事しか考えてねィ~んだよ! 」
などとよく言っていました・・・・・・・・・・( 実際は数え切れな程聞きました )
それほどではないにしても、この「 当たり前の行為 」が「 ちょっと恥ずかしい 」わけ
です。
どんな漫画家だって風俗で遊んだりするのは当たり前の事だし、いわんや若い漫画家アシ
スタントが給料をもらったらその夜には、ソープランドへ行く事しか頭になくなるのはご
く自然なわけです。
仕方がありません・・・・・・・・ちょっと恥ずかしいけど。
ところが・・・・・・・・
どうも、お偉い漫画家先生方の文章には「 初体験 」や「 風俗 」の話が出てこない。
ときわ荘時代の昭和30年代初期にはまだ「赤線」が東京中の至る所に存在していたはずな
ので、その手の話はいくらでもあったはずなのです。
「 ちょっと恥ずかしい話 」がゴロゴロと・・・・・・・・!
ちなみに、ときわ荘からなら池袋の赤線街までバスや自転車ですぐだし、歩いてだって行
かれます。
「 児童漫画 」という看板のせいもあったのか、下半身の話題を意図的に避けられているの
か、大御所といわれる先生方、性欲の欠片もないお堅い紳士ばかりだったのか・・・・・・・・
でも・・・・・・・・漫画でメシを食っていこうなんて人間に聖人なんているわけもなく・・・・・・・・
・・・・・・ってなわけで、今回は師匠とアシスタントたちが初めて吉原( 東京のソープランド
街 )へ遊びに行った時の話を記したいと思います。
当時私は20代の半ば、多くの先輩たちは30歳前後、師匠は30代後半、皆さん下半身に欲望
があふれている・・・・・・・・股間の袋から臭ってきそうな野郎どもです。
1980年頃の事ですので、今から40年も前の話・・・・・・・・
細かな出来事や会話の内容など、かなりいい加減な記憶で書いてますので、不正確、曖昧な
点が多々あるかも知れません( いや、絶対ある )・・・・・・・・・その辺の所はご容赦下さい。
80年代の初め、日本は74年のオイルショックから立ち直り、バブル景気が始まる頃・・・・・・・・
秋山プロでも週刊誌が「 ギャラ 」( 少年キング )、「 ピンクのカーテン 」( 週漫画ゴラ
ク )、「 シャカの息子 」( 少年ジャンプ )、それ以外に「 浮浪雲 」( 隔週ビッグコミ
ックオリジナル )の連載がありましたから、かなり忙しい時期だったと思います。
師匠の原稿料、印税収入などの合計が年1億円を超えた頃・・・・・・・
忘年会は目白の日本料理店で、師匠の奥さんや子供たち、年長のアシスタントの奥さん、先
輩アシスタントAさんの婚約者なども参加する賑やかな宴会でした・・・・・・・・・・・・・
さて、二次会は、奥さんたちとは別の場所へ男性陣だけ( 先生含めて7人 )で行くという事
になったわけです・・・・・・・・・・・
「 二次会で飲み直すからよ 」
・・・・・・とか何とか言って、( 計画通り )吉原へ出発するわけです。
先輩アシスタントの中には一週間後に結婚式を控えている( さっきまで婚約者も一緒だった )
Aさんもいたのですが・・・・・・・・
「 おめィ~ど~すんだ? 」
「 はい、お供します 」
・・・・・と、A先輩がニコニコと答えていたのが印象に残っています。
目白通りで2台のタクシーに分かれて吉原へと向かいます・・・・・・・・
先生と先輩アシスタント一人、そして私は、後続のタクシーで先発組に続きます・・・・・・・・目
白の住宅街で西武池袋線を越えるのですが・・・・・・・・先発したタクシーが踏切を越えた時に
「カンカンカンカン」と遮断機が下りてしまい、後続の私たちは先発したタクシーに取り残
されます。
後ほど、吉原で合流すれば良いのでそれはさして問題ではないのですが・・・・・・・・
「 吉原に連れて行ってやりたかったんだよなァ・・・・・・・・吉原なんて初めてだろ~? 」
タクシーが池袋のネオン街を過ぎる頃にウキウキした気分で師匠が話し出します。
きっと、漫画の「 浮浪雲 」の様に・・・・・・・・主人公の雲さん( 問屋場の頭 )が駕籠かき衆の
若者たちを連れて遊びに出かける粋なイメージがあったのかも知れません。
「 吉原なんて初めてだろ~? 」と嬉しそうに話しかける師匠に、シラケ気分の私は・・・・・・
「 いえ、行った事があります 」
「 はあ? 」
「 3,4回かなぁ 」
「 なんだァ・・・・おめィ~、初めてじゃねィ~のかよ! 」
「 はい 」
「 俺ィより詳しいんじゃねィ~か!? 」
「 フ・・・・・・・・ 」( 風俗雑誌等でリサーチ済みな私は薄ら笑い )
「 つまらねィ~~な~~、俺ィはおめィ~に吉原を教えてやろ~って楽しみにしてた
のによ~~ッ! 」
「 スイマセン 」( 笑いながら )
「 俺ィがおめィ~に教えてもらう事になるのかよ! 」
本当にガッカリしている師匠は、「 つまらねィ~な~ 」を連発・・・・・・・タクシーはあっとい
う間に浅草の国際通りから吉原方面へ少し寂しい通りを進みます。
吉原といっても結構広い・・・・・・・・吉原交番の前を通って仲ノ町通りを進むと数え切れないほ
どのソープランドの看板が目に入ってきます・・・・・・・・・・。
現在でも、「 金瓶梅 」「 夕月 」「 角海老 」等々・・・・、40年も前にあったお店が今も営業
しているのです!
このコロナ禍の中でも100店以上のお店があるという吉原の普遍的な強さには驚きます・・・・・
さて・・・・・・・・・
貧乏臭いアシスタントが4人、角町通りとの交差点で案山子のように立っています・・・・・・・・・
・・・・・・それが、先発組だとすぐに分かって合流します。
「 今日はY( 私 )に付いて行こうぜ、こいつが一番良い店知ってそ~だからよ! 」
・・・・・などとイヤミな事を言って笑う師匠・・・・・・・・
「 まず、一杯ひっかけねィ~とよ 」
師匠の一言で全員師匠の後に続いて歩き出します・・・・・・・・そして、フラフラ、ゾロゾロと路
地を入ってすぐの所にある「P」というスナック( バーかも? )へ・・・・・・・・
店内は、白い内装で黒の長いカウンター席、中年で蝶ネクタイ姿のバーテンさんが二人、他
には女の子もお客さんも見当たりません。
30分ほどお酒を飲んで、ではそろそろ・・・・・・・・・という感じで師匠から軍資金( 各人に2万
円ほど )をもらって、アシスタントたちはソープへお遊びに出かけます。
ただ、師匠はこのスナックが落ち着くらしく、ソープへは行かずにウイスキーを飲み続けて
いました。
アシスタント全員、2時間ほどしたら同じこの店「 P 」に集合する段取りです。
ちなみに、2万円というのは当時の吉原では普通の料金でした。
格安クラスだと1万円ほどで、中級が2~3万円、高級店で4~6万円です。
私の様な安月給取( 手取り月給11~13万円 )では、格安クラスでしか遊べませんから2万
円なら軍資金としては十分でした。
私は、アシスタントの一人と一緒に吉原ではまだ新しい方のお店へ出かけたのですが・・・・・・
・・・・・そのお店の名前は忘れてしまいました。
「 オレンジ 」何とか・・・・・・・・ってな名前だったかと思いますが、付いたソープ嬢の事はよ
く覚えています。
ショートカットで目が大きく、年齢は私より3.4歳上で・・・・・・・・
40年も経っているのに、たった一回会っただけなのに・・・・・・・・何故、彼女の事を覚えている
かというと・・・・・・・・・・
会ったその瞬間から、彼女の発する異様な雰囲気が強烈だったからです。
「 お上がりなさいませ~~ッ! 」
「 服、全部脱いじゃってね~~ッ! 」
「 この店、初めてですか~~ッ? 」
「 今日は、とっても忙しかったんですよ~~アハハハ~~ッ! 」
やたらとテンションが高い・・・・・高過ぎる!
高音で、早口にまくしたてる・・・・・・・・普通ではない・・・・・・・・これは、覚せい剤をやっている
に違いない・・・・・・・・と。
でも、まぁ・・・・・・・・イ~んですけどね・・・・・・・・・ヤル事さえ、しっかりやってくれれば・・・・・
・・・・・・
「 あたしが上になってもイイですか~~? ヨイセッ! 」
ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドスッ!
ピュピュ~ッ
暑くもないのに汗をかく・・・・・・・気味の悪いひと時を過ごして、同じ店で遊んだアシスタント
と外へ出る。
通りを戻り、待ち合わせのスナック「 P 」へ向かう途中、そのアシスタントが真剣な顔で話し
始める・・・・・・・・
「 あの店、ボッタクリらしいですよ! 」
「 え? さっきのソープが? 」
「 違いますよ、スナックPですよ、先生が待っているスナックですよ! 」
「 ええええッ!? 」
「 さっき、付いたソープ嬢が言ってたんですよ・・・・・あの店は悪質なボッタクリ店だって! 」
「 P 」へ戻る前に、しばらく店の外で待機、戻ってくる先輩たちと合流・・・・・・・・・・
「 それは、ヤバいなぁ・・・・・・・・ 」
店の中には先生と先に戻った先輩アシスタントが何も知らずに飲んでいる・・・・・・・・・・
30分前までの浮かれ気分が、一気に沈鬱なモードへ落ち込んでいく・・・・・・・・・・
「 ホントに、ヤバいぜ・・・・・・・・・・ 」
「 とにかく、早く先生を店から出さないと! 」
せっかく、楽しそうな先生の気分を台無しにしてしまう事を想うと・・・・・・・無性に腹が立つ!
「 いったい、いくら取られるんだか・・・・・・・・・・ 」
「 7人分だぜ・・・・・・・・ 」
「 いざとなれば、人数的にはこっちの方が多いんだし・・・・・・・・・ 」
「 あああ・・・・最悪! 」
私たちは「 P 」のドアを恐る恐る開ける・・・・・・・・・・
ギィィィィィ
「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 先生との思い出 その4(後半) 」 へつづく・・・・
( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )
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