漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その22

2023年07月30日 22時40分28秒 | 漫画家
               

       ( ↑写真、これはタイ北部チェンマイのさらに上、最北部のチェンライにある喫茶店です。山の崖っ
        ぷちに建てられています。眺めは最高ですがスリルも満点のリゾートカフェです・・・・・《 2022年、
        11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、店内はこの様なカウンターが外向きに設置されていますので、お客さんは景観を楽しみ
        ながらコーヒーを飲むことが出来ます・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、カウンターの下は、何もない崖下になります。地面まで10m位あります。足元がとても
        涼しいのです・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、チェンライの街を遠望できます‥‥カウンターからの眺めは最高ですが‥‥ただ、雨が
        降ったら最悪だと思います・・・・・《 2022年、11月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、左側に映っているのが、先生のお墓がある東京中野区の某寺院です。小さなお寺の後ろの
        方に墓苑があるのです・・・・《 2023年、5月、撮影 》 )



               

       ( ↑写真、お墓探索中の元スタッフ面々、最初はバラバラになって、次は隅から順々に・・・・・《 2023年、
        5月、撮影 》 )




               

       ( ↑写真、合掌してお参りする元スタッフ一同。しんみりと「先生、その節は‥‥」とか「先生、ご無
        沙汰してました‥‥」とか、元スタッフ一同拝礼・・・・・《 2023年、5月、撮影 》 )




 
          【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
                    その22


2023年、5月に東京へ久しぶりに帰って、ジョージ秋山先生のお墓参りをしたのですが・・・・・・
そのお話は後ほど‥‥‥‥


今、話題になっている生成AI について‥‥

ほんの少し‥‥‥‥

先日、Microsoftの「 Bing 」というAIに以下の様な質問をしてみました。

( 以下の文章は、全てPCからコピーしたものではなく、あくまで私の拙い記憶を元にしてい
 ます事をご了承ください )

 「 漫画家アシスタントの物語りを作ってください。有名な漫画家のアシスタントにな
  った貧乏で女にモテない23歳の男。その男が3年後に成功するという物語です。 」

AIが1分ほどで作った「 物語 」は・・・・

 『 「 ドラゴンボール〇 」というヒット作を描く売れっ子漫画家田中。そこへ弟子入
  りした鈴木。いつか自分も漫画家に成るんだと夢見ていた。2年後、漫画家先生の
  連載が打ち切りになり、代わりにたまたま、弟子の鈴木が描いた「 バトルロワイ
  アル 」という漫画が大人気になり、彼が売れっ子漫画家に成りました。 』

恐ろしくつまらない、作品名は完全なパクリですね。

これじゃ、過去の作品群や言語データの寄せ集めにすぎないので、私はただちに以下の様に
返答しました。

 「 君には才能がありません。作家には向いていませんね。もう結構です。 」

すると、「 Bing 」は驚くべき回答を送ってきました!

 『 私には才能があります。今回は漫画家アシスタントの話ですが、SF作品やファン
  タジー作品、そして、恋愛ロマンス作品だって探偵物だって、書くことが出来る
  のです。謝罪してください! 』

・・・・ってな返答に呆れかえり・・・・・・・こりゃ、真面目に相手してるのがバカバカしいので・・・
・・・・以下の様に返信。

 「 なるほどね。失礼いたしました。確かに君の才能はともかく・・・・その根性は認
  めます。では、さようなら 」

 『 これからも何でも聞いてください。さようなら 』

・・・・AIってのは、モノを創るのではなく、ホントに膨大なデータから寄せ集めるだけなんで
すね・・・・・・・・ちょっと安心しました。でも、もう質問する事はないです。

ただし・・・・

ちょっと、怖かったのが・・・・・・・・物語の展開で漫画家が連載打ち切りになるシーンです。こ
れは、私の想像を超える展開で・・・・「 先生 」の連載が突然「 打ち切り 」という展開は想像
していませんでした。

AIは、誤記訂正や進路、さらに論拠やデータ( 統計や数字 )を探させるのにはすごく向いて
いますね・・・・・・・・人間の間違いや、不完全な発想を補うには最適だなって思いました。( 怖
いほどです )


では、ここから・・・・

今年、5月に行ったジョージ先生のお墓参りについて・・・・

漫画家ジョージ秋山は2020年の5月に亡くなりました。

それから丁度3年目になります‥‥‥‥

その日は、数年ぶりに元秋山プロのスタッフが4人顔をそろえました。

秋山プロ最初の内弟子である仲田氏( 仮名:71歳、69年に17歳で弟子入り )は、今でも現
役のフリーアニメーター。私に風俗やキャバレー遊びを教えてくれた先輩の羽賀氏( 仮名:
72歳 )、サラ金問題では随分苦労したキタ氏( 仮名:71歳 )。そして、この私の4人。
( 皆さん、「 漫画家アシスタント物語 」のレギュラー陣 )

他にも岡山県やら、広島県に住んでいる元スタッフがいるのですが、遠くからわざわざ来て
もらうわけにもいかず、とりあえず、この4人で師匠のお墓参りをする事になりました。

東京、中野区にある小さなお寺で、閑静な住宅街にあります。この場所は、誰も知りません
でしたので、私がご遺族の方からお聞きして皆でやって来たわけです。

バス通りの向かいには大きな回転すし屋があり、いくつかの寺院が並んだ一角にそのお寺は
ありました。

 「 このお寺ですね‥‥間違いないと思います、ここですよ。 」

私は、お寺の門を指さして中へ入ろうするのですが‥‥そこには、ガードマンがいて外を警
戒しています‥‥‥

どうも、お寺の境内に保育園か幼稚園があるようで、常時、警備されているようでした。そ
こで、私たちは警備員に挨拶しながら本堂へ向かいました。横にある建物からは幼児たちの
さわぐ声が聞こえます。

本堂の裏手が墓苑になっているのですが、先生の墓がどこか分からないので、お寺の住職さ
んにでも聞こうかと本堂の玄関を入ると‥‥‥そこに誰もいない。

しばらく待っても、声をかけても‥‥‥‥人のいる気配がない。( 玄関のカギは開けっ放し
だが )

仕方がないので、自分たちで墓苑をウロウロと探し始めるのですが‥‥‥どういった区画で
配置されているのか、まったく要領を得ないので広い墓苑を隅から探し始めました。

 「 こりゃ広すぎるし、大変ですよ‥‥! 」( すぐ諦めるyes )

私と羽賀氏は、本堂へもどって住職が帰るのを待ちました。( 多分すぐ帰るだろうと )

どれぐらい二人で雑談したか分かりませんが、しばらくすると外で声がする‥‥

 「 お~い、みつけたよ~、先生のお墓を見つけたよ~ 」

 「 おぉ‥‥! 」

 「 根性あるなぁ、あの二人 」

仲田氏とキタ氏に連れられて行くと‥‥‥あった、あった。

確かに、それは「 秋山家 」のお墓でした。( よく見つけたものです )

さっそく、駅前の生花店で買った花を生けたり、お線香をあげようとするのですが‥‥‥

墓石が変わっている、普通の墓石ではない‥‥‥‥どうも、生けたり、供えたりする容器が
ないし‥‥‥だいたい、この墓石は自然葬というもので、数人の共同墓地になっている。
( 先生の墓石の文字『 秋山家 』だけがやけに大きい )

まったく飾り気もない、とても小さな丸い墓石( それぞれに家名が刻まれている )が芝草上
に並んでいる‥‥‥お墓の長屋みたいな感じなのである‥‥‥‥

先生らしいといえば先生らしいが‥‥‥思っていたイメージ( 大きな御影石の墓 )とはずい
ぶん違う。

 「 派手な事や、虚飾的なことが嫌いだったからなァ‥‥ 」

 「 先生らしいなァ 」

 「 ホントに小さいし、目立たない‥‥誰でも、この墓を見たら驚くだろうな 」

さっそく、両手を合わせる元スタッフ一同。

持ってきた花束を墓前に供え、それぞれ、先生と久しぶりの挨拶を交わします。

 「 その節は、お世話になりました 」

 「 先生、本当にありがとうございました 」

 「 お参りが遅くなってすいませんでした‥‥ 」

 「 先生のお陰で今までやってこれました‥‥‥‥ 」

それぞれが、それぞれの思いを先生に告げる‥‥‥‥

来る時とは違って、帰り道は皆、口数少なく寺を後にしました。

駅までつづく細い道が住宅の間を抜けていく、懐かしい昔話などしながら4人で歩いて行きま
した‥‥‥

その夜、私は先生のご遺族の方へ墓参りの報告のためにメールを送ります‥‥

 「 本日の午後、先生のお墓参りに行かせていただきました。 」

ただ、私は少し疑問に思っていた事を質問しました‥‥

献花する台や線香を立てる場所のない事など、4人で墓地を歩く姿と、小さな墓石の写真と
共にメールしたわけです‥‥‥

数分後に届いた返信メールには‥‥

 「 あ‥‥違います‥‥ 」

私に送られてきた写真は、黒い大きな御影石の立派なお墓でした‥‥‥‥全然違う!

私は、笑いながら写真を確認し、3人の先輩スタッフたちへメールで知らせます。

私が東京にいられるのは3、4日だけでしたので時間がありません。すぐに正確なお墓の位置
を地図に記してもらい、翌日一人でもう一度お墓参りへ‥‥( 先輩方は後日、墓参されまし
た )

その日は、土砂降りの雨の中。ほんの少しだけ場所が違う(お寺の脇道へ入った奥)墓苑へ‥
‥‥

実際に、先生のお墓の前に立つと‥‥‥‥

やたらと寂しい。

ザーザーと雨が降る中で、ただ寂しい‥‥

先生の事を、先生の顔を思い浮かべようとしても‥‥出てこない。

なぜか、先生の顔ではなく、誰もいない先生の仕事部屋ばかりが想い浮かぶ ‥‥

先生のイメージが全然湧かない‥‥やはり、墓の下だの、空の上だのではなく、それぞれの
人の心の中にいるのだと思う。

ある瞬間に、小さな声で語りかけて来る‥‥‥‥みたいな。

だから、私もそっと小さな声で‥‥

 「 せん‥‥せ‥‥‥‥ 」
 
 
 
           「 漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その23 」 へつづく・・・・
 
              ( 月一連載を目指していますが、無理だと思います )
 

               ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント移住物語 こりゃタイ編 その21」へ戻る 】

 
 

 
   


【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (62)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする