( この写真は、タイ・チェンマイにある観光地化された山岳民族の村です。赤い自動車が乗
り合いタクシー。チェンマイ市内から毎日、多くの外国人観光客が訪れます。《 1993年
1月 撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その35
タイへ旅行した事のある多くの男性が知っている場所に「 ひな壇 」と呼ば
れる娼館があります。さすがに高度成長を突き進むタイには、昔ほど、沢山
数はありませんが、その豪華さとグレードは進化している様です。
この風俗は日本の遊郭「 吉原 」の歴史にどこか似ている様な気がします・・
・・・。
私が20代の頃に行って見たバンコクのその「 ひな壇 」とは・・・・
ガラス張りの真っ赤な絨毯の大広間・・・その中でズラリと居並ぶ200人の
若い女性! その一人一人が美しいドレスを着て、「 ひな壇 」と呼ばれる
4,5段の階段に腰掛けている・・・
店に入って、その大きなガラス張りの「 ひな壇 」の前に一人で立つと、足
が震えてきます・・・
初めて来るお客さんは怖気ずいて「 ひな壇 」に近づけません。お客が女性
を見定めるというより、200人の女性から一斉に視線をあびるわけです。カ
ルチャーショックで立ちすくんでしまうのです。
この心境をどう表現したものか・・・・・例えば女性なら、両手にザラザラ
とダイヤモンドがそそがれる様な気分でしょうか・・・・・。
大きな体格の白人がホール係りの小柄なタイ人に「 もっと、近くで! 」と
背中を押されてオドオドしている姿を見かける事もありました。
1989年、1月。34歳の私は、佐々木氏( 調布市、会社代表取締役、50歳代後
半 )たちと夜食を共にした後、一人でチェンマイ市内のある娼館を訪ねまし
た。
中年オヤジのエロ談義に付きあっているよりも、一刻も早くタイ美人にご対
面したいもの・・・期待いっぱい、夢いっぱいで心臓はバクバクしていたわ
けです。
古都チェンマイにはバンコクの様な大きくて派手な娼館はありません。どこ
か田舎っぽい風情があります。(あたかも明治・大正の遊郭の様な)
夜の人通りの少ない、やたらと静かな田舎道にポツリポツリとピンク色の灯
篭が軒下にかかっています・・・そこが娼館です。( 日本の風俗街のネオン
とは全然世界が違います! )
日本の様なうるさいポン引きやわめき散らす不粋な酔客などはいません・・・
・・・。 本当に静かです。
店内には2つ3つのテーブル席。あとはガラ~ンと誰もいない20畳ほどのフ
ロアー。 私が店へ入るとフロント係りが一人で迎えてくれます。そして、テ
ーブル席に案内して、女性たちを連れて来るわけです。
『 まあ、まあ・・・来るわ、来るわ! 』
ゾロゾロゾロゾロ・・・一つのドアから、テーブル席の私の目の前に30人、40
人・・・
そして・・・私は、その中でもとびっきりの美人を自分のホテルへ・・・・・・
一晩、つまり翌日の朝まで彼女と一緒に時を過ごして、その料金は・・・
・・・2000円(18年前)ほど・・・!
・・・と、ここまでは、ごく普通の、ありきたりな流れなのですが・・・・・
私が服を脱いだ時から深刻な事態に立ち至ります・・・・・・・
馬鹿なダイエットのせいで私の体には赤い発疹が・・・ブツブツブツ・・・・。
時代はエイズ騒動の真っ最中・・・・・
私が連れて来た女性は・・・長い黒髪に色白で西洋風の顔つき、瞳が大きく口
元の可愛らしい・・・女子アナタイプの美人でした。
私としては滅多に出会えない美人を前に緊張しているのですが・・・・相手の
やさしい雰囲気に打ち解け合い・・・・BGMにボサノヴァかクールジャズでも
かけたい気分・・・・・。 と、ここまでは天国。
しかし、彼女が私のアンダーウェアーから出ている腕と胸の赤い発疹に気付い
た時に・・・氷の様な沈黙が訪れました・・・・・・。
私は彼女をまともに見る事が出来ない・・・・。 目を伏せて枕元のライトを
消そうとした時・・・。 彼女をチラッと見たその時・・・・!
泣いている!
彼女の綺麗な瞳から涙がこぼれている・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ダメだ・・・こりゃ・・・・・・』
「 漫画家アシスタント 第5章 その36 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その34」へ戻る 】
『単行本制作状況』と『お知らせ』も併せてご覧下さい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 単行本制作状況 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 印刷段階に入りました!
4月5日(土)発売に向けて、印刷段階に入りました!
単行本化のオファーをいただいた時から1年3ヶ月! やっと、本が完成い
たします!
総ページ数は320ページを越えて、けっこう厚みが出ました。写真やイラス
トなどの画像は148点、その内未公開写真が19点、書き下ろしイラストが18
点あります。導入部は漫画になっています。
ブログ「漫画家アシスタント物語」には多くのコメントをいただきました。
その全てを掲載したかったのですが、紙数の都合上、わずかしか掲載できま
せんでした・・・・これは、今回の単行本化の過程で、最も残念だった事です・・
・・・・。
そして、最後に拙作「雨のドモ五郎」の全編も付録として収録されています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
り合いタクシー。チェンマイ市内から毎日、多くの外国人観光客が訪れます。《 1993年
1月 撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その35
タイへ旅行した事のある多くの男性が知っている場所に「 ひな壇 」と呼ば
れる娼館があります。さすがに高度成長を突き進むタイには、昔ほど、沢山
数はありませんが、その豪華さとグレードは進化している様です。
この風俗は日本の遊郭「 吉原 」の歴史にどこか似ている様な気がします・・
・・・。
私が20代の頃に行って見たバンコクのその「 ひな壇 」とは・・・・
ガラス張りの真っ赤な絨毯の大広間・・・その中でズラリと居並ぶ200人の
若い女性! その一人一人が美しいドレスを着て、「 ひな壇 」と呼ばれる
4,5段の階段に腰掛けている・・・
店に入って、その大きなガラス張りの「 ひな壇 」の前に一人で立つと、足
が震えてきます・・・
初めて来るお客さんは怖気ずいて「 ひな壇 」に近づけません。お客が女性
を見定めるというより、200人の女性から一斉に視線をあびるわけです。カ
ルチャーショックで立ちすくんでしまうのです。
この心境をどう表現したものか・・・・・例えば女性なら、両手にザラザラ
とダイヤモンドがそそがれる様な気分でしょうか・・・・・。
大きな体格の白人がホール係りの小柄なタイ人に「 もっと、近くで! 」と
背中を押されてオドオドしている姿を見かける事もありました。
1989年、1月。34歳の私は、佐々木氏( 調布市、会社代表取締役、50歳代後
半 )たちと夜食を共にした後、一人でチェンマイ市内のある娼館を訪ねまし
た。
中年オヤジのエロ談義に付きあっているよりも、一刻も早くタイ美人にご対
面したいもの・・・期待いっぱい、夢いっぱいで心臓はバクバクしていたわ
けです。
古都チェンマイにはバンコクの様な大きくて派手な娼館はありません。どこ
か田舎っぽい風情があります。(あたかも明治・大正の遊郭の様な)
夜の人通りの少ない、やたらと静かな田舎道にポツリポツリとピンク色の灯
篭が軒下にかかっています・・・そこが娼館です。( 日本の風俗街のネオン
とは全然世界が違います! )
日本の様なうるさいポン引きやわめき散らす不粋な酔客などはいません・・・
・・・。 本当に静かです。
店内には2つ3つのテーブル席。あとはガラ~ンと誰もいない20畳ほどのフ
ロアー。 私が店へ入るとフロント係りが一人で迎えてくれます。そして、テ
ーブル席に案内して、女性たちを連れて来るわけです。
『 まあ、まあ・・・来るわ、来るわ! 』
ゾロゾロゾロゾロ・・・一つのドアから、テーブル席の私の目の前に30人、40
人・・・
そして・・・私は、その中でもとびっきりの美人を自分のホテルへ・・・・・・
一晩、つまり翌日の朝まで彼女と一緒に時を過ごして、その料金は・・・
・・・2000円(18年前)ほど・・・!
・・・と、ここまでは、ごく普通の、ありきたりな流れなのですが・・・・・
私が服を脱いだ時から深刻な事態に立ち至ります・・・・・・・
馬鹿なダイエットのせいで私の体には赤い発疹が・・・ブツブツブツ・・・・。
時代はエイズ騒動の真っ最中・・・・・
私が連れて来た女性は・・・長い黒髪に色白で西洋風の顔つき、瞳が大きく口
元の可愛らしい・・・女子アナタイプの美人でした。
私としては滅多に出会えない美人を前に緊張しているのですが・・・・相手の
やさしい雰囲気に打ち解け合い・・・・BGMにボサノヴァかクールジャズでも
かけたい気分・・・・・。 と、ここまでは天国。
しかし、彼女が私のアンダーウェアーから出ている腕と胸の赤い発疹に気付い
た時に・・・氷の様な沈黙が訪れました・・・・・・。
私は彼女をまともに見る事が出来ない・・・・。 目を伏せて枕元のライトを
消そうとした時・・・。 彼女をチラッと見たその時・・・・!
泣いている!
彼女の綺麗な瞳から涙がこぼれている・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ダメだ・・・こりゃ・・・・・・』
「 漫画家アシスタント 第5章 その36 」 へつづく・・・
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 単行本制作状況 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 印刷段階に入りました!
4月5日(土)発売に向けて、印刷段階に入りました!
単行本化のオファーをいただいた時から1年3ヶ月! やっと、本が完成い
たします!
総ページ数は320ページを越えて、けっこう厚みが出ました。写真やイラス
トなどの画像は148点、その内未公開写真が19点、書き下ろしイラストが18
点あります。導入部は漫画になっています。
ブログ「漫画家アシスタント物語」には多くのコメントをいただきました。
その全てを掲載したかったのですが、紙数の都合上、わずかしか掲載できま
せんでした・・・・これは、今回の単行本化の過程で、最も残念だった事です・・
・・・・。
そして、最後に拙作「雨のドモ五郎」の全編も付録として収録されています。
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「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」