( この写真は、東京、雨の目白通りです。 仕事場のドアの前から撮影しました・・・同じアングルの
写真を何枚かアップした事がありますが・・・・最近、急に秋がやって来た様な・・・少し冷たい雨の風
景と懐の淋しさを重ねる今日この頃です・・・・《 2010年9月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その16
《 漫画家アシスタントが・・・喫茶店で接近遭遇する・・・! 》
私がカーテンの陰で身を縮めながら聞いた二人の男の会話は・・・
「 おい・・・やろうぜ・・・・なァ! 」
もう一方の男の声は聞こえない・・・あいまいな返事をしている様だ・・・・・
「 シャブは一回で1000万から2000万の取引だ・・・すげェ~よ!
なァ~ッ やろうぜ~! 」
やはり、もう一方の男の声は聞こえない・・・・・
二人の立ち小便が終わっても・・・まだ、しつこく「 シャブ取引 」に誘い込む話
が続いている・・・
この街(東京、池袋)に暮らしていると、いたる所でそのスジの人や、そのスジと関
係のある人と接する事になるのです・・・・。
お店( ※参照 )を開いてから2~3年した頃の事です・・・・私は、「 へいわ通り 」
( ※参照 )という商店街を少し、川越街道方面に歩いた所にある喫茶店で不思議な
会話を耳にした事があります・・・・
当時は喫茶店で、読書をしたり、このブログの原稿や漫画のシナリオを書いたり
している事が週に1~2回ありました。 さて、その会話は・・・私が坐る席から、
斜め向かいの中年男性が携帯電話にどなっている声でした・・・・
「 あれかァ・・・ならあれしろよ! 分かってんだろ、それなら・・・
あれするぞ・・・ってよォ! 」
固有名詞がまったく出てこない・・・・ほとんどの言葉が代名詞だけの不思議な
会話です・・・・男は中年太りの大柄な体格で五分刈り頭の引退した関取風、服
装はノーネクタイのスーツ姿でドッカリと椅子に掛ける・・・
本人は、周りの人間を意識しているからこそ、代名詞だけで会話しようと抑制し
ているのだと思うのですが・・・・声の大きさを抑える事が出来ない様で・・・
・・・大勢いるお客さんの中でも特に目立っていました・・・・
話の大筋は、どうも借金の取り立てを強迫的に行えという部下への指示(?)・・・
・・・そんな感じの会話で・・・・・
「 やるぞッ・・・ってよ! ・・・・あれだよ! あれッ! 出さねェ
ならあれだぞってッ! 」
普通の喫茶店( ※参照 )で、一人のお客さんが携帯電話を大声で使っていたら、お
店の人に注意されると思いますが・・・・・
この街では、この手の人に決して注意しないし、周りの人間も見て見ぬふりをす
るのが常識になっている様です。
私がこの街のある居酒屋( ※参照 )でサンマ定食を食べていた時、そのスジの人
の事を話すお客さんが居ました・・・
中年の多重債務の商店主( 私の事ではない! )といった感じの酔客が店のマスター
に話し掛けているのです・・・
「 やくざにもイイ奴がいるよ・・・本当だよ。 」
やくざの友人でもいる様な話しぶり・・・
「 でもね・・・ 」
店に私しかいないのを確認する様に辺りを見回してから・・・
「 ど~仕様もないンだよ、あいつらはッ! 」
少しづつ声のトーンが高くなって・・・
「 結局・・・『 何ンだァ~この野郎ッ! 』ってなっちゃう。 」
マスターは、黙って聞いているだけ・・・・その沈黙がなぜか不気味・・・・・
「 イイ奴でも、結局・・・ダメ。 同ンなじ・・・クズなンだよ! 」
どんな辛い思い出があるのか・・・私には推し量る事も出来ません・・・・・・
私は、ただ・・・サンマの骨から身をはがしながら・・・静かに聞いていました
・・・・・
例え・・・売れない漫画でも、自分の机に向かって黙々と原稿に向かう・・・・
・・・漫画のこと以外何も知らない人生・・・それって・・・もったいない程の
幸せなのかもしれない・・・と・・・・・
そんな事を・・・ほんの少しですが・・・・思ったりしたものです・・・・・
「 漫画家アシスタント 第8章 その17 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その15」へ戻る 】
【 ※参照 】
・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
・へいわ通り・・・・池袋北口にある地味な商店街。商店といっても惣菜屋さんや
八百屋さんなどが並ぶ賑やかさはない。赤ん坊を抱いた主婦や子供の姿は
皆無の商店街。
・普通の喫茶店・・・珈琲専門のチェーン店。長いカウンターとBOX席が5~6席あ
る平凡な喫茶店。
・ある居酒屋・・・居酒屋というより下町の定食屋といった感じの庶民的な店。小さ
なカウンターと2つのテーブル席がある。店の奥には写りの悪い旧式のテレビ
が一台。
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
写真を何枚かアップした事がありますが・・・・最近、急に秋がやって来た様な・・・少し冷たい雨の風
景と懐の淋しさを重ねる今日この頃です・・・・《 2010年9月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その16
《 漫画家アシスタントが・・・喫茶店で接近遭遇する・・・! 》
私がカーテンの陰で身を縮めながら聞いた二人の男の会話は・・・
「 おい・・・やろうぜ・・・・なァ! 」
もう一方の男の声は聞こえない・・・あいまいな返事をしている様だ・・・・・
「 シャブは一回で1000万から2000万の取引だ・・・すげェ~よ!
なァ~ッ やろうぜ~! 」
やはり、もう一方の男の声は聞こえない・・・・・
二人の立ち小便が終わっても・・・まだ、しつこく「 シャブ取引 」に誘い込む話
が続いている・・・
この街(東京、池袋)に暮らしていると、いたる所でそのスジの人や、そのスジと関
係のある人と接する事になるのです・・・・。
お店( ※参照 )を開いてから2~3年した頃の事です・・・・私は、「 へいわ通り 」
( ※参照 )という商店街を少し、川越街道方面に歩いた所にある喫茶店で不思議な
会話を耳にした事があります・・・・
当時は喫茶店で、読書をしたり、このブログの原稿や漫画のシナリオを書いたり
している事が週に1~2回ありました。 さて、その会話は・・・私が坐る席から、
斜め向かいの中年男性が携帯電話にどなっている声でした・・・・
「 あれかァ・・・ならあれしろよ! 分かってんだろ、それなら・・・
あれするぞ・・・ってよォ! 」
固有名詞がまったく出てこない・・・・ほとんどの言葉が代名詞だけの不思議な
会話です・・・・男は中年太りの大柄な体格で五分刈り頭の引退した関取風、服
装はノーネクタイのスーツ姿でドッカリと椅子に掛ける・・・
本人は、周りの人間を意識しているからこそ、代名詞だけで会話しようと抑制し
ているのだと思うのですが・・・・声の大きさを抑える事が出来ない様で・・・
・・・大勢いるお客さんの中でも特に目立っていました・・・・
話の大筋は、どうも借金の取り立てを強迫的に行えという部下への指示(?)・・・
・・・そんな感じの会話で・・・・・
「 やるぞッ・・・ってよ! ・・・・あれだよ! あれッ! 出さねェ
ならあれだぞってッ! 」
普通の喫茶店( ※参照 )で、一人のお客さんが携帯電話を大声で使っていたら、お
店の人に注意されると思いますが・・・・・
この街では、この手の人に決して注意しないし、周りの人間も見て見ぬふりをす
るのが常識になっている様です。
私がこの街のある居酒屋( ※参照 )でサンマ定食を食べていた時、そのスジの人
の事を話すお客さんが居ました・・・
中年の多重債務の商店主( 私の事ではない! )といった感じの酔客が店のマスター
に話し掛けているのです・・・
「 やくざにもイイ奴がいるよ・・・本当だよ。 」
やくざの友人でもいる様な話しぶり・・・
「 でもね・・・ 」
店に私しかいないのを確認する様に辺りを見回してから・・・
「 ど~仕様もないンだよ、あいつらはッ! 」
少しづつ声のトーンが高くなって・・・
「 結局・・・『 何ンだァ~この野郎ッ! 』ってなっちゃう。 」
マスターは、黙って聞いているだけ・・・・その沈黙がなぜか不気味・・・・・
「 イイ奴でも、結局・・・ダメ。 同ンなじ・・・クズなンだよ! 」
どんな辛い思い出があるのか・・・私には推し量る事も出来ません・・・・・・
私は、ただ・・・サンマの骨から身をはがしながら・・・静かに聞いていました
・・・・・
例え・・・売れない漫画でも、自分の机に向かって黙々と原稿に向かう・・・・
・・・漫画のこと以外何も知らない人生・・・それって・・・もったいない程の
幸せなのかもしれない・・・と・・・・・
そんな事を・・・ほんの少しですが・・・・思ったりしたものです・・・・・
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【 ※参照 】
・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
・へいわ通り・・・・池袋北口にある地味な商店街。商店といっても惣菜屋さんや
八百屋さんなどが並ぶ賑やかさはない。赤ん坊を抱いた主婦や子供の姿は
皆無の商店街。
・普通の喫茶店・・・珈琲専門のチェーン店。長いカウンターとBOX席が5~6席あ
る平凡な喫茶店。
・ある居酒屋・・・居酒屋というより下町の定食屋といった感じの庶民的な店。小さ
なカウンターと2つのテーブル席がある。店の奥には写りの悪い旧式のテレビ
が一台。
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