goo blog サービス終了のお知らせ 

漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第8章 その27

2010年12月29日 05時23分47秒 | アシスタント
( この写真は、タイ古式マッサージの施術風景を撮影したものです。足を中心とした全身マッサージ
 による、血行促進とストレッチによる整体効果によって『痛気持ち良く』体調を整えます。《 2009年
 1月、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】 
 
 
 
                その27  
  
    《 漫画家アシスタントが・・・妻の目撃証言を書く・・・! 》
 
 
2時間のタイ式マッサージをしっかり受けて7900円という価格は、都内主要駅近くで
は一番安い価格( ※参照 )だったと思います。
 
それでも・・・
 
 「 ヌキはね~のかよ? 」
 
と、追加のサービスを要求するお客さん( ※参照 )や・・・
 
 「 あなたが一番、イイ人! 大好きデス! 」
 
などと白々しいウソでお客さんの気を惹くマッサージ師さん( ※参照 )たち・・・・・
・・・の話ではなく・・・
 
今回は、お店( ※参照 )の上( マンションの2階 )に住む、C国人の夫婦( ※参照 )が起こ
した事件(?)について書いてみたいと思います・・・・
 
ママさん( ※参照 )がお客さんからの電話を待つ控室の真上( 2階 )には、C国人の
夫婦が住んでいました。私は、直接この夫婦と挨拶を交わした事はないのですが・・
・・・たまに、大きな声でケンカをするのでその存在を意識せざる得ませんでした・
・・・。
 
その日( 2007年の春 )・・・お店を開店( お昼頃 )して少ししてから、例の如く上で
夫婦喧嘩が始まったそうです・・・・・( 当日、私はアシスタントの仕事で、お店に
は出ていませんでした )
 
明らかに奥さんの方が逆上して大きな声で叫び続けたそうで・・・・・ただ、日本語
ではないので何を言っているのかは分かりません。( タイ人であるママさんにその内容
は当然、分かりません )
 
夫婦喧嘩とはいえ、こちらはお客さん商売をしていますので・・・・・
 
 「 ヤダなァ~、困ったデス~・・・うるさいデス~・・・ 」
 
と、ママさんやマッサージ師さんたちが不快感と好奇心の入り混じった気持ちで苦笑
いをしていますと・・・・
 
ママさん達がいる控室の真上のベランダに逆上したC国人の奥さんが出て来て・・・
 
 「 ○×△□~~ッ! 」
 
大きな叫び声と共に、何かを外へ投げたのです・・・外はすぐ小さな路地になってい
て、向かい側にラブホテルがあるのですが、ホテルとこのマンションとの中間辺りに
それが落ちて来たわけです。
 
 「 うるさいナ~ 」
 
と、窓から外をにらんでいたママさんが、落ちて来たモノに気付きます・・・
 
 「 あっ! ゴールド・・・!? 」
 
どうも、上の奥さんが逆上して旦那さんから贈られた金のネックレスを投げ捨てた様
なのでした。
 
当然、ママさんは、キラキラと金色に輝く重そうなネックレスに目が惹きつけられま
す・・・
 
しかし、ここで・・・意外な人物が登場します・・・・・( 真打登場です! )
 
マンションの向かいにあるラブホテルから、この騒動に頭に来ていたもう一人の人物
・・・・・・ラブホテルの社長の登場です!
 
毎朝( お昼前 )、自分のホテルの前をホウキで掃除したり、水をまいたりしているので
私もよく見かける中年のメガネをかけたオヤジさんです。
 
いつも安っぽい白シャツに綿パン、サンダルというラフなスタイルが印象的な・・・・
・・・志村けんに似た感じの人物・・・・
 
この社長さんが、マンションの2階をにらんでいた時に、ホテルの前の路上に金のネッ
クレスが落ちて来たわけです・・・
 
この時、同時に・・・ママさんと社長は、このネックレスに視線を落とします・・・
・・・そして、次の瞬間・・・・・・
 
 「 あっ! 」
 
ママさんが思わず声を出します・・・
 
社長が数歩、ネックレスに近づいたかと思うと・・・・・素早くそのネックレスを拾
って自分のズボンのポケットへねじ込んだのです・・・・・
 
その場面をママさんは、口を開けたまま呆然としながら見つめています・・・・( 社長
は、向かいのビルの一室に目撃者がいる事を知りません! )
 
社長は、ポケットに手を突っこんだまま軽い足取りで自分のホテルへ帰って行きまし
た・・・・・
 
もちろん、2階ではまだケンカが続いている様なのですが・・・少しすると・・・・・
 
2階のC国人の奥さんが寝間着姿のまま道路に出て来たのです・・・・
 
そして、向かい側にあるラブホテルの玄関先に仁王立ちになると・・・・・
 
 「 私のネックレス、返してクタサイッ! 」
 
と、大きな声で叫び出したのです・・・・・
 
すぐに、先ほどの社長が玄関先に出てきます・・・・・若干あわてた様子の社長に右
手を突き出しながら・・・・・
 
 「 おまえ、ネックレス返してクタサイッ! 」
 
こう詰め寄る奥さんに、社長は・・・・・
 
 「 何ですか? 」
 
と、完全にトボケている・・・!
 
 「 おまえ、取た、私、見たヨ! 」
 
 「 え? 何を? 」
 
騒ぎの第2ラウンドが始まりました。 ママさんとマッサージ師さんたちは、1階ベラ
ンダに出て怖々この押し問答を観戦し始めます。
 
 「 おまえ、トロポーたッ! 」
 
そして・・・
 
 「 タレか~ッ! 警察、警察呼んてくたサ~~イッ! 」
 
どんどん、昂奮していく奥さん・・・・・ついに・・・・本当に警官がやって来ます!
 
 「 こいつ、トロポーてスッ! 捕まえてクタサイッ! 」
 
警官は面倒臭そうに・・・
 
 「 あなたが何か盗ったのですか? 」
 
 「 いえ、何も盗ってません 」
 
 「 トロポー! おまえトロポーたッ! トロポーットロポーッ! 」
 
警官は昂奮する奥さんを抑える様に詰問します・・・
 
 「 彼が家に入って盗んだんですか? 」
 
 「 違うヨ、私、投けた、こいつ、盗たッ! 」
 
 「 投げたァ・・・? 何を・・・? 」
 
 「 ネックレスたヨッ! 」
 
 「 ネックレスを?・・・なぜ? 」
 
 「 怒ったからたヨ! ケンカしたからたヨ! 」
 
 「 誰と? この人とケンカしたの? 」
 
 「 違うヨ、こいつトロポーた! 私が投けた、こいつトロポーッ! 」

 「・・・・・・・・」

警官が社長に何か問いただそうするが、社長は「 さっぱり分かりません 」といった
表情で首をかしげる。

 「 こいつ、盗たァ!、こいつ盗たァあああ~~~ッ 」

 「 まぁ、まぁ・・・・・ 」

 「 トロポー! トロポーおおおお~~~ッ! 」
 
結局・・・
 
警官は、逆上して叫び続ける寝間着姿の奥さんを無理やりパトカーに乗せて連行。
 
社長さんは、最後まで冷静な態度とみごとな演技力を発揮してゴールドをゲット。
 
今でも、毎朝、白いシャツに綿パン姿の社長さんが真面目にラブホテルの前を掃除して
います。
 
・・・マジメな方なんですね・・・きっと。
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第8章 お正月休養 」 へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その26」へ戻る 】

 
 
 
 【 ※参照 】
 ・価格・・・・・・・4~5年前、新宿や池袋のタイ式マッサージの価格は、一般に2時
  間で1万円ほど。割引きがあっても8千円から9千円が相場でした。
 ・お客さん・・・30歳位~60歳代の男性が中心。4人に1人は女性のお客さん。ネ
  ット広告や無料情報誌の広告などを見て来てくれました。平均客単価は1万円。
 ・マッサージ師さん・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3
  人のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイ
  では、めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持って
  いる。
 ・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
  エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
  めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・C国人の夫婦・・・詳しい事はわかりませんが・・・30~40歳代の夫婦(?)。
 ・ママさん・・・私の妻。タイマッサージ店を切り盛りする。タイのチェンマイ出身。
  1995年に結婚して来日、とても明るいが・・・いったん怒ると鬼より怖い。酒を飲
  んだら乱暴者。でも、タイマッサージの技術はピカイチ。
 
 
 

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化! 
   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
   
 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
  ○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画家アシスタント 第8章 その26

2010年12月21日 04時15分51秒 | 漫画家
( この写真は、目白の仕事場から池袋駅へ歩いて行く途中にある公園です。いつも仕事の終わりは夜
 の9時前後なります。少し淋しい夜の公園を横目にしながら池袋のネオン街へ・・・《 2010年11月、撮
 影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                その26  
  
    《 漫画家アシスタントが・・・タヌキを発見する・・・! 》
 
 
水商売というものが、水( ビールや水割りなど )を売る稼業なのですが、「 ウソ 」
も売っているのだという事は以前にも書かせていただきました。
 
つまり、働く女性たちの「 ウソ 」について書いてきたわけです。 そして、その
「 ウソ 」に傷ついてしまう人( 多くは男性客 )もいるのです・・・・中には、「 女
性不振 」に陥る人までいたりします。
 
今回は、男性・・・男のお客さん( ※参照 )について書いてみたいと思います。・・
・・結局・・・・・男も女も・・・・・・タヌキとキツネみたいなものなのです・
・・・・・
 
 
そのお客さんは初老( 60歳前後、都知事風 )の大柄な人で、いかにも高そうなスーツ
を着ていました。 私が応接室でメニューを見せようとするとアゴを横に振る様に
して「 メニューなんて知ってるよ 」といった態度を示しつつ・・・
 
 「 レック( マッサージ師を指名 )で・・・ローション3時間(18000円)・・・ 」
 
革の長財布からピン札の2万円を出してテーブルの上に投げる様に置きます。
 
大柄な体格のせいなのか・・・その声の低さのせいなのか・・・人を威圧する様な、
横柄で冷徹な印象を与えるお客さんでした。
 
どんな仕事をしている人かは分かりませんが・・・いつも人をアゴで使う事に慣れて
いる・・・そんな職業が想像されます・・・
 
私はお釣りを渡して個室へ案内します・・・・
 
 「 お待たせいたしました・・・こちらのお部屋になります・・・・・ 」
 
・・・と、頭を下げても、このお客さんは逆にアゴを上げて、少しのけ反りながら最
高裁判事様のご入廷といった感じで個室へ入って行きます・・・・・
 
個室の広さは3畳間よりも少し小さめで、ちょっと薄暗く他の部屋とはパーテーショ
ン( つい立 )やカーテンで仕切られています。
 
その部屋の奥でマッサージ師( ※参照 )のレックさん( 30歳位、南国風の美人 )がタイ
風の礼( 合掌しながら少し頭を下げる )をしながら、このお客さんを迎えます。
 
人を緊張させるタイプのお客さんと狭い個室で3時間も一緒にいる事のストレスを想う
と・・・
 
 『 マッサージ師さんたちも大変だな・・・疲れるだろうなァ・・・・1分でも
   肩がこるよ・・・・・ 』
 
などと思わずにはおれませんでした・・・・・
 
しかし・・・次の瞬間、その考えが覆されます・・・・・
 
さっきまで偉そうだった紳士が、レックさんの前で突然四つん這いになると・・・・
・・・子猫の様な声で・・・・・
 
 「 レックちゃ~~ん・・・・また、来まチたヨォォ~~~んッ! 」
 
レックさんの膝や太ももにしゃぶり付く姿は、ヘビの様な・・・子ブタの様な・・・・
 
私は、後ろ手にカーテンを閉めながら・・・タヌキが人間に化けていた事を知らされ
るのです・・・・・
 
こうした例は決して珍しくはありません・・・・・( ホント、結構多いのです )
 
特に60歳から70歳の初老の方に多い様です・・・・
 
「 エッチ 」だとか「 スケベ 」だとか・・・私は若い人ほど元気で抑制心が弱くブレ
ーキが効かないのではないかと思っていたのですが・・・・・
 
実は・・・・・老人の方が、はるかに「 スケベ 」で「 イヤラシイ 」のです。逆に若
い人( 20代、30代 )の方が礼儀正しくおとなしいく施術を受ける傾向が顕著なのです。
 
70代の老人が「 おサワリさせろよ~ 」「 イクの見てくれよ~ 」「 ヌイてくれよ~ 」
などとイチモツを大きくしておねだりする姿を想像すると・・・・・大日本帝国がア
メリカに負けたのもうなずけます・・・・と、言うのは冗談ですが・・・・・
 
このスケベさこそ、日本人の平均寿命を押し上げている生命力の源泉なのかもしれま
せん・・・・・と、言うのも冗談なのですが・・・・・
 
今回は、バカとスケベは、治らない・・・と、いうお話でした。
 
 

            「 漫画家アシスタント 第8章 その27」  へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その25」へ戻る 】

 
 
 

 【 ※参照 】
 ・お客さん・・・30歳位~60歳代の男性が中心。4人に1人は女性のお客さん。ネ
  ット広告や無料情報誌の広告などを見て来てくれました。平均客単価は1万円。
 ・マッサージ師・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人の
  お客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイでは、
  めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 
 
 

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化! 
   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
   
 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
  ○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画家アシスタント 第8章 その25

2010年12月12日 03時45分17秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、お店があった池袋北口にある「へいわ通り」という少し淋しい商店街の夕暮れ時です。《 2010年11月、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その25  
  
   《 漫画家アシスタントが・・・赤字経営にもがく・・・! 》
 
 
お店( ※参照 )の開店から4年目・・・2008年の秋・・・・・
 
 「 サニヤ( ※参照 )が辞めないなら、私が辞めるから・・・ 」
 
タウさん( ※参照 )は、押入れの整理ボックスから私物を取り出しながら、背
中で私に訴えました・・・
 
 「 社長( ※参照 )、ホントに辞めるよ・・・いいのね・・・・・ 」
 
ここで、私が・・・・・彼女に取りすがって・・・・・
 
 「 や・・・辞めないでくれッ! 」
 
とでも頼めば・・・事態は違う方向へ向かったかもしれませんが・・・・・私
は沈黙で応える事しか出来ませんでした・・・
 
 『 辞めたいなら辞めるしかない・・・やっぱり、サニヤさんは悪くない
   ・・・ 』
 
・・・などと・・・・・私は、口にしないまま・・・・ただ黙っていたのです
・・・・・
 
私は、この時には、ただタウさん一人が辞めるだけだと思っていました・・・
しかし・・・・・翌日には、タウさんと仲の良かった一人がお店に出勤して来
ません・・・・・
 
そして、それから、他のマッサージ師さん( サニヤさん以外 )の携帯電話にタウ
さんから電話がかかってきます・・・・・
 
 「 社長はサニヤだけが大事なんだ! 」
 
 「 そんな所、辞めちゃいなよ! 」
 
 「 もっと稼げる店があるよ! 」
 
こうしたトラブルはお店の士気を激減させます・・・・・サニヤさんともタウ
さんとも距離を置いていたマッサージ師さんの二人が、一週間ほどして出勤し
なくなってしまいました・・・・・
 
ところで・・・辞めたマッサージ師さんたちが、何処へ行くのかというと・・
・・・
 
同じ池袋にある他のマッサージ店で仕事をしているのです。私の店でマッサー
ジ技術を磨いた若い人、そして、ママさん( ※参照 )から技術を伝授されたベテ
ランまで・・・・すっかり他のお店に持って行かれてしまいました・・・・・
 
毎日、苦労して育てた優秀な人材まで他店に取られる事の損失は・・・まさに、
致命的でした・・・・・
 
まさか、一人の従業員の復讐によって、お店が潰されそうになろうとは・・・
・・・まったく、想像もしていませんでした・・・・・。
 
これからが・・・本当の「 商人根性 」を問われる土壇場・・・・・私もママ
さんも、こうなった以上は、あくまでサニヤさんを中心にしてお店を盛り返し
てやると決意します・・・・・
 
とは言っても・・・サニヤさん一人では、まったく経営にはなりません・・・
・・タイマッサージの技術者など簡単に道でスカウトするわけにもいきません
し・・・・・
 
急に雑誌や新聞に求人広告を出しても、求職者がやって来てくれるのは1ヶ月以
上先になるわけです・・・・・
 
お店の売り上げは、あっという間に5割減・・・6割減へ・・・・・ド赤字経営
へと滑落していきます・・・・・・
 
しかし、この急場をしのげたのは、池袋の隣、大塚でアジア食材の雑貨店を経
営しているタイ人の奥さん( ※参照 )のお陰でした・・・・
 
この雑貨店の奥さんと私のお店のママさんが仲良しだったので、ママさんの危
機を知った彼女が一肌脱いでくれるわけです・・・・
 
この奥さんには、一人息子( 日本の大学へ通うおネエ系イケメン )がいたのです
が、タイ式マッサージの技術を持っていました。その彼を、学校の合間を縫っ
てお店へ出る様に促してくれたのです。
 
 
サニヤさんが施術中の時には・・・

 「 お客様、今、セラピストが男性しかいないのですが・・・よろしい
   ですか・・・? 」
 
と、恐る々々尋ねますと・・・・可愛い女の子に施術されるのを楽しみにして
いるお客さんは・・・・・
 
 「 えッ? 男かよ・・・・じゃ、いいや・・・ 」
 
・・・そう言ってサッサと帰ってしまいます・・・・・しかし・・・・・・
 
 「 ああ、そう・・・いいですよ別に・・・・・ 」
 
・・・と、快くマッサージを受けて下さるお客さんも中にはおられて随分と助
かりました・・・・・。
 
一日に一人でも、こうしたおっ客さんがいてくれた事で・・・どうにか、お店
が潰れずに済んだのでした・・・・・
 
女性のマッサージ師さんが揃い、経営が元の状態に戻るのに3ヶ月かかりました
・・・・
 
 
元は私のミスから始まった事ですが・・・・・小さなヒビ割れが大きな崩壊をも
たらす事もあるというお話でした・・・・。
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第8章 その26 」 へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 その24」へ戻る 】

 
 
 
 【 ※参照 】
 ・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
  エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
  めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・サニヤ・・・・仮名、26歳のアイドル風タイ人女性。私が経営したタイ式マッサー
  ジ店で指名№1の人気マッサージ師。
 ・タウさん・・・仮名、32歳の姉ご肌のタイ人女性。お店では、指名№2の明るいマ
  ッサージ師。
 ・社長・・・・・・お店の代表で漫画家アシスタント。つまり、このブログの著者であ
  る私。
 ・ママさん・・・私の妻。タイマッサージ店を切り盛りする。1995年、タイのチェン
  マイ出身。1995年に結婚して来日、とても明るいが・・・いったん怒ると鬼より怖い。
  酒を飲んだら乱暴者。でも、タイマッサージの技術はピカイチ。
 ・マッサージ師さん・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人
  のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイでは、
  めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 ・奥さん・・・池袋の小さなアジア雑貨の経営者。小柄で可愛い48歳のタイ人女性。
  旦那は影の薄い日本人だが、彼女は向田邦子に似た文人風美人。
 
 
 

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化! 
   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
   
 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
  ○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漫画家アシスタント 第8章 その24

2010年12月06日 22時39分15秒 | 漫画家志望
( この写真は、私が経営したお店が入っていたマンションの裏側です。画面の右側には池袋北口の
 ラブホテル街があり、夜になると赤やピンクのネオンの光が窓から差し込んで来ました・・・。《 20
 09年某月、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その24  
  
     《 漫画家アシスタントが・・・指名№1をかばうが・・・! 》
 
 
どうしてなのか・・・その理由は、分かりませんが・・・・水商売などでは、女の子
( コンパニオン、フロアレディ、セラピスト・・・ )の手取り分とお店の取り分とは
五分五分の場合が多い様です。
 
お店の女性一人が売り上げる金額の半分が本人の手取り給料という事になるわけです。
 
つまり、お店の粗利益は、女性従業員の数に比例して大きくなります。さらに、一人
で数人分の売上げを稼ぎ出す「 №1 」はお店にとっては事実上の生命線とも言える重
要な存在になります。
 
 
私が代表を務めるお店( ※参照 )にとっての最大の危機は、お客さんのトラブルや不況に
よる減収ではなく・・・この「 生命線 」とも言えるマッサージ師さん( ※参照 )たちの
トラブルでした。
 
これは、前回も紹介した・・・少女の様に可愛いサニヤさん( 仮名、26歳、お店の指
名№1 )に関わるトラブルです・・・・
 
以前も書きましたが、常に「 №1 」と「 №2 」は緊張状態にあるのですが、仮にその
どちらかが傷ついて離脱しても、時間が経過するとまた新たに同じ様な問題が持ち上が
ります・・・・つまり、キリが無いのです。
 
年に一回や二回は、こうした問題が発生します・・・・・。
 
さて・・・・・
 
事の発端は、私のミスにありました・・・・・
 
お店の開店から4年目・・・2008年の秋・・・・・
 
通常、マッサージ師さん達の接客は、順番が決まっていて、その日その日に順番が入れ
替わり、各人の接客量に不公平が無い様に調整されています。
 
ところが、私がお店番をしたその日・・・・この順番を間違えてしまうのです・・・
・・・・
 
お客さんの身体を拭く蒸しタオルの準備に汗をかくほど、その日の夕方から夜にかけて、
やたらと忙しく・・・・
 
来店したお客さん( ※参照 )を応接室から個室へ案内した私は、施術を終えて控室に戻ろ
うとするサニヤさんに・・・
 
 「 次は・・・・・サニヤさん! 」
 
 「 え? ・・・私? 」
 
彼女は少し・・・戸惑った表情・・・この瞬間に運命が決まります・・・・・
 
 「 はい、サニヤさんですよ 」
 
彼女は、今来たお客さんが待つ個室へタオルや着替えなどを抱えて小走りで向かいます
・・・・
 
しばらくしてから・・・・・
 
お店では、サニヤさんに次いで指名の多いタウさん( 仮名、32歳、指名№2、姉ご肌の
女性 )が昂奮して私のところへやって来ます・・・・
 
 「 社ッ長~~ッ! 違うよ~~ッ! 」
 
 「 ・・・はァ・・・? 」
 
 「 順番~~ン違うッ! サニヤじゃないヨッ! 私ダヨッ! 」
 
あわててスケジュール表を確認・・・確かに・・・順番を間違えている! しかし、も
う施術が始まっている段階でマッサージ師の入れ替えは出来ない・・・・
 
無理に入れ替えようにも、施術が始まっている以上、それ自体にギャラが発生している
わけです・・・・「 間違えたから、マッサージを止めて控室に帰って下さい 」とは言
えないわけです。
 
 「 ゴメン! 間違えた! 」
 
・・・通常なら、社長が頭を下げて謝罪すれば済む話なのですが・・・・この時は、予
想もしない方向へ問題が展開していきました・・・・
 
 「 社長が謝る事ナイッ! 」
 
 「 ・・・? 」
 
 「 サニヤは、自分の順番じゃない事、知ってるハズ・・・それなの
   に・・・・・! 」
 
この瞬間から・・・お店が戦場になりました・・・・
 
「 №1 」の孤独というのでしょうか・・・・あっと言う間に「 サニヤは悪い女 」「 サ
ニヤは汚い 」などと他のマッサージ師さんたちと共にタウさんは口撃を開始します。
 
それまであった緊張感に目をつぶっていた私もバカだったのですが・・・それにしても、
このうっかりミスがこれほど重大な結果を生むとは想像もしませんでした・・・・
 
マッサージ師さんたちは、サニヤさんに対してタウさんを中心とした連合軍( タウさん
含む4人 )が闘争を開始します。
 
その日の夜・・・終業時間が近づいた頃に・・・・
 
タウさんが一人、私に向かって切り出します・・・・・
 
 「 社長、サニヤとは一緒に仕事なんかデキナイヨッ! サニヤを
   クビにしてヨッ! 」
 
サニヤさんが犯罪行為でも犯したならクビにも出来ましょうが・・・何も悪い事はして
いない・・・そう考えた私は・・・・・
 
 「 サニヤさんは悪くないでしょ・・・ 」
 
・・・私は、何とかタウさんを説得しようとしますが・・・・
 
 「 サニヤと一緒じゃ仕事デキナイッ! 」
 
私は、それでも・・・・・小さな声でサニヤさんをかばいつづけますが・・・・・次の
瞬間・・・・
 
 「 社長・・・ 」
 
 「 ・・・・・? 」
 
 「 サニヤひとりで仕事デキナイヨ! 」
 
鋭い目つきで私を睨みます・・・
 
私は言葉を失います・・・
 
 『 №1を切れるわけね~~だろ! 』
 
私の目がそう語っていると悟ったタウさんは・・・
 
 「 フン・・・ 」
 
・・・と、アゴを上げて見下すような視線で私を一べつ・・・・・
 
その日から連絡を断ってしまいます。
 
そして一週間後には、サニヤさん以外の全てのマッサージ師さんが居なくなっていたの
です・・・・
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第8章 その25 」 へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第8章 引っ越し休暇」へ戻る 】

 
 
 
 【 ※参照 】
 ・お店・・・・・・池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からの
  エスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始
  めた施術院。(風俗店ではありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・マッサージ師さん・・・お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人
  のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業・・・タイでは、
  めずらしくありません。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 ・お客さん・・・30歳位~60歳代の男性が中心。4人に1人は女性のお客さん。ネット
  広告や無料情報誌の広告などを見て来てくれました。平均客単価は1万円。
 
 
 
 

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ★ このブログ「漫画家アシスタント物語」が書籍化! 
   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
   
 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
  ○ 送料がかかってしまいますが・・・ 《アマゾンのネット通販》
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




コメント (31)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする