漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 古い話で章 その46

2015年03月26日 07時43分27秒 | アシスタント

 ( この写真は、前回から引き続いて西武池袋線の沿線の街の写真です。 駅前から歩いて5分の所に沖田さんが暮ら
  すマンションがあるのですが、その近くの通りを撮影したものです。 通りには、最近建てられたらしいビルが沢
  山出来ています。 そして緑も多くて、なんだか新鮮な街並みです・・・・・・・・《 2015年、3月、撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
  
                     その46
 
 
     《 漫画家アシスタントが・・・・・汚い話に熱くなる・・・・・!? 》
 
 
アシスタントの仲田さん( ※参照 )がJ先生( ※参照 )からその背景をほめられた話を、仲田さん自身
は知らなかったのですが・・・・・・・・

私が昔のそんなエピソード( 前回の『 その45 』 )があった事を告げると・・・・・・・・

 「 私の絵が『 汚い 』って、ど~ゆ~事なの? 」

・・・・・と、何やら不満そうでしたが・・・・・・・・本人は、「 キレイ 」でなおかつ、「 上
手 」な背景画を描いていたつもりだったみたいです。
  
ま・・・・・それはともかく・・・・・・・・
 
今回は、「 汚い 」つながりで・・・・・・・・
 
1970年前後の仲田さんの生活についてお話をしたいと思います。
 
仲田さんのお風呂嫌いは、仲間内でも有名で・・・・・・・事あるごとに・・・・・・・
 
「 仲ちゃんは風呂へ入らないからなァ~! 」
 
・・・・・と、誰もが苦笑いをするのです。
 
噂では、一年間風呂へ入らなかった事もあるそうです。
 
いったい、一年間風呂へ入らない人間がどんな臭いになるのか・・・・・・・想像するだけで酸っ
ぱいものが喉の奥からわいてきそうです!

私は、今年で63歳になる仲田さんにそんな話題を向けてみると・・・・・・・
 
 「 一年入らなかったなんて、そんな事はないよッ! 」
 
・・・・・と、さすがにムッとした表情で・・・・・・・私もこりゃ失礼な事を言ってしまったと、
ちょっと後悔する・・・・・・・のですが・・・・・・・

 「 盆と暮れ、年に二回は入っていたよッ! 」
 
私は、持っていたドリンクバーのグラスを落としそうになったのですが・・・・・・・仲田さんは、
何事もなかった様に静かに・・・・・・・
 
 「 盆と暮れ、実家に帰った時には風呂に入ったからね 」
 
私は、ちょっと自分の頭に熱が起こるのを感じながら・・・・・・・
 
 「 たった・・・二回・・・ですか・・・・・・・それは、ちょっとヒドイというか何と
   いうか・・・・・・ 」

私の言葉が少し感にでも触ったのか・・・・・・仲田さんはコーヒーが苦いなといった表情で・・
・・・・・
 
 「 風呂に入らないからって、どこか痛くなったりするかい? 」
 
 「 そ・・・そりゃ、まぁ・・・・・痛くはならない・・・です・・・・・が・・・・・ 」
 
私は、この会話に嬉しさと、奇妙な不快感を同時に感じながら・・・・・・・
 
 「 でも・・・・・・・でも、頭や体がかゆくなって嫌じゃなかったですか? 」
 
 「 かゆかったら、かけばイイじゃないか! 」
 
 「 そ・・・・・そりゃ・・・・・・・まぁ・・・・・・・ 」
 
 「 お風呂に入ったって、次の日にはかゆくなるって事だってあるでしょ!? 」
 
 「 ・・・・・そ・・・そりゃ・・・・まぁ・・・・・・・ 」( 絶句 )
 
私は、この話題がこんな議論に進んでいく事をまったく予想していませんでした・・・・・・・

ただ、仲田さんが恥ずかしそうに恐縮するだけの話題だと思っていたのです・・・・・・・

それなのに、論理的には仲田さんが完全に正しいので・・・・・・・私はリングサイドに追い詰め
れられる気分に・・・・・・・
 
 「 お風呂に入らなくても、死にはしないでしょ! 」
 
 「 ・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・ 」

 「 お風呂に入らないからって、死んだ人がいますか!? 」
 
 「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
 
私は、ここでロープを背にしてその反動を利用しながら、クロスカウンターを・・・・・・・

 「 でも・・・・・・・でも、それじゃ女にはモテないですよね!? 」

 「 ・・・・・・・・・・・! 」

 「 匂うし、臭いだろうし! 」( フックだボディだ )

 「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・! 」

 「 お風呂に入らないからって、何かイイ事があるわけじゃないですよね!? 」( ボディだチンだ! )
 
 「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
 
私は、ここ( 仲田さんが現在暮らす、西武池袋線某駅近くのファミレス )へ議論をしに来たのではな
く、あくまで取材に来たのだという事を思い出します・・・・・・・
 
しばらくの沈黙の後で、話題を変えたわけですが・・・・・・・
 
やっぱり、次回も・・・・・・・
 
ちょっと汚れたお話がつづきます・・・・・・・
 
 
 
       「 漫画家アシスタント 古い話で章 その47 」( 4月1日以降公開 ) へつづく・・・・
 

             ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その45」へ戻る 】

 
 
 
 
  【 ※参照 】
 ・仲田さん・・・・・・・・・(仮名)1969年当時、17歳、横浜出身、高校を中退、家出してJプロへ入る。 
  現在は、フリーのアニメクリエーターとして「ポケモン」などの原画を制作している。
 ・J先生・・・・・・・・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊
  連載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2014年現在、71歳。1969年当時は26歳。
 
 
 
 

 
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   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
   
 ★ 拙作、文庫本『 劇画 蟹工船 覇王の船 』も発売中!
   詳しくは・・・ 《アマゾンのネット通販》
 
 ★ 「漫画家アシスタント物語 4章の31~」に書かせてもらったガンさん
   (ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
   中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん

 ★ 拙ブログのうぶ主が1987年にヤングジャンプ新人賞で準入選デビュー
   した作品・・・ 「 雨のドモ五郎 」

 ★ 「漫画家アシスタント物語 第6章の10~」に書かせていただいた
   リョウさんが描いたイラストを公開中です・・・ 「 龍馬さんとボク 」

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【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




 
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漫画家アシスタント 古い話で章 その45

2015年03月13日 07時49分11秒 | アシスタント

 ( この写真は、本編に登場する仲田さんが利用する西武池袋線の某駅改札口です。 ここまで自宅から私を迎えに来
  てくれることもあります。 まだ新しい建物で、改札の前は小奇麗なショッピングモールになっています・・・・
  ・・・・《 2015年、3月、撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 
                   その45
 
    《 漫画家アシスタントが・・・先生の評価に不満をもつ・・・!? 》
 
 
絵の技術とは難しいもので、呑気に同じ様なレベルの絵を描いていても上手にはならないもので・
・・・・・・難しい絵に挑戦して挫折や習得を繰り返してやっと少しだけ成長するものなのです。

アシスタントもはじめの3ヶ月ほどは、怒られながら辛抱して成長するものですが・・・・・半年
もすると少し慣れてきてダレてしまう事も多いわけです。
 
1年もすると先輩風を吹かしたりして偉そうな態度を見せますが・・・・・・技術的には成長が止
まってしまっている事に本人が気付いていなかったりします。

J先生( ※参照 )は、そんな状態の仲田さん( ※参照 )に忠告をしたのだと思いますが・・・・・・
・・・・
 
 『 成長してねィ~んだよ! 』
 
・・・・・・・という一言はきつかったと思います。
 
その言葉に傷付いてから40年以上になるのに、まだハッキリとその時の事を思い出せるのですから。
 
特に物書きにとって、比較されるのは辛いものです・・・・・・・そんな事は、誰だって一度や二
度、経験するとは思いますが・・・・・・・。

18歳になっていた仲田さんにとって、中学生と比較された事は相当屈辱的だったのではないかと思
われます・・・・・・
 
私は、以前、描いた原稿をS学館の「 ○ックコミック 」の編集員に見てもらった時に、師匠であるJ
先生と比較されて・・・・・・・
 
 「 J先生は素晴らしいのになァ~ 」
 
・・・・・・・なんて言われてうんざりさせられた記憶があります。
 
 
1970年からは、仲田さんと他に二人のスタッフ( ※参照 )の合計3人のアシスタントで忙しく仕事を
していました。
 
仕事中は、先生はまったく喋りませんし、また仕事以外のプライベートな時間でもアシスタントた
ちと仲良くお茶を飲むといった事もなかったのです。
 
黙っていれば、勉強もしない、漫画も描かない・・・・・・・そんな弟子たちに、たまにはハッパ
をかける事もありましたが、厳しい批評ばかりしていたわけではありません。
 
ある日、仲田さんがいない時に先生はスタッフ全員の絵( 仕事で描いた背景画 )をデスクに並べたそ
うです・・・・・・・
 
デスクの前に立つスタッフ最年長の20歳の加川さんと、17歳で最年少のKさん。
 
二人は、先生が原稿を並べて一枚一枚を比べながら語りだすその言葉に緊張します・・・・・・・
 
 「 この絵が一番よく描けている 」
 
J先生がそう言って取り上げた一枚の原稿用紙を、二人は・・・・・・・加川さんとKさんは、「 俺
の絵か! 」と思って覗き込みますが・・・・・・・
 
その原稿は、加川さんのでもKさんの絵でもなく、一番汚れた仲田さんの原稿でした。
 
最年少とはいえ技術的には最も高いレベルだったKさんは、まったく意外( 心外 )だといった表情で
先生を見つめます。
 
二人とも、どうして上手でもなく、手垢だらけの仲田さんの汚い原稿を「 一番よく描けている 」な
んて言ったのだろうと不思議でならないわけです・・・・・・・
 
加川さんもKさんも、ただ・・・・・・・
 
 「 はぁ・・・・・・・ 」
 
とか
 
 「 えぇ・・・・まぁ 」
 
とか、不服そうな生返事を返します・・・・・・・
 
 『 なんで、この汚ね~絵が、一番良い絵なわけ? 』
 
先生は、不服そうな二人にいちいち説明はしませんでした。
 
ただ黙っていました。
 
実は・・・・・・・
 
仲田さんは、一生懸命描いたのですが・・・・・・・片手で描くためにどうしても原稿が汚れてしま
っていたのです。
 
 
 
     「 漫画家アシスタント 古い話で章 その46 」( 3月20日以降公開 ) へつづく・・・・
 

           ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その44」へ戻る 】

 
 
 
 
  【 ※参照 】
 ・J先生・・・・・・・・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊
  連載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2014年現在、71歳。1969年当時は26歳。
 ・仲田さん・・・・・・・・・(仮名)1969年当時、17歳、横浜出身、高校を中退、家出してJプロへ入る。 
  現在は、フリーのアニメクリエーターとして「ポケモン」などの原画を制作している。
 ・二人のスタッフ・・・・一人は19歳でJプロへ入った加川さん、後に独立して連載を持つが短期間
  で連載が打ち切られてから随分と苦労した後にカムバックする。もう一人は、16歳で入った最
  年少のKさん、後にJプロ背景画の大黒柱になる。有名漫画家からもヘッドハンティングされそ
  うになったほどの実力者。
 
 
 
 

 
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   (ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
   中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん

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漫画家アシスタント 古い話で章 その44

2015年03月05日 03時02分15秒 | 漫画家アシスタント

 ( この写真は、J先生の最初の弟子になった仲田さんが現在利用している西武池袋線の某駅前ロータリーです。 池
  袋から急行電車で40分ほどの所です。 3月に入ったとはいえ、まだまだ肌には冷たい雨が降っています・・・・
  《 2015年、3月、撮影 》 )
 
 
  【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】

 
 
                    その44

     《 漫画家アシスタントが・・・同じ事の繰り返しに飽きる・・・!? 》


若い頃によく家出した仲田さん( ※参照 )は、その放浪癖がおさまらないままJ先生( ※参照 )の所に
弟子入りします。
 
この当時も何度目かの家出をしていますが、数日で実家に戻るのでJ先生の仕事を週に一日しかしな
くても、生活に困る様な事はありませんでした。
 
こう書くと、なんだか相当に「 イイ加減な男 」「 C調な奴 」に思われるかも知れませんが、まっ
たくその通りなのです。
 
ただ、その事にまだ気づかないでいたのがJ先生だった訳です。
 
 『 片腕が不自由なのに本気で漫画家になろうと頑張っている可愛い奴 』
 
・・・・・・・・そんな誤解をしていた様にも思われます。
 
ですから、面接の日にも堂々と「 週に一日だけしか仕事をしません 」( 単なるわがまま )と宣言し
た事を・・・・・・・・
 
仲田さんの強い意志と感じたのか、やさしく受け入れてくれました。
 
今、普通の人( 健常者 )がこんな事言ったら・・・・・・・・
 
「やさしく受け入れてくれ」るかどうかは、はなはだ疑問です。
 
 
さて、J先生の最初のアシスタントとなった仲田さんの給料は・・・・・・・・・・5千円ほど。
( 1970年当時のサラリーマンの初任月給は4~5万円位 )

週に一回だけの仕事ですから、少なくても仕方がないのですが・・・・・・・それよりも、週に一
回だけの仕事では、とてもノルマをこなせないわけで・・・・・・それは大変だったと思います。
 
このままでは仕事が間に合わないと判断してJ先生は、すぐにアシスタントを追加しなくてはならな
くなります。
 
そこでやって来たのが19歳の加川さんと16歳のKさんでした・・・・・・・・・・この二人に関して
は拙ブログの『 その23 』あたりに書いてあります。

ちなみに、仲田さんは仕事が嫌いで週に1日しか来なかったわけではありません。( 極々軽い気持ち
だったのは確かなのですが )
 
あくまでも漫画家になるために仕事をしているので、週に一回でも先生の後姿を見ながら仕事が出来
れば十分だったわけです。
 
毎日、毎日、同じ様な仕事を繰り返す日々には耐えられなかった様です。
 
 『 背景だけ描くために生きるなんて冗談じゃない! 』
 
注意していただきたいのは、沖田さんは『 漫画家になりたい 』のではなく、『 漫画家になる 』つも
りでいた事です・・・・・・・・・・・

今でもそうなのですが・・・・・・・・『 漫画家になりたい 』人は、沢山いても『 漫画家になる 』
つもりの人は少ないものです・・・・・・・・同時にこの事は決定的な意味も持っています。
 
 
さて、J先生は、始めに仲田さんには簡単な斜線の練習しかさせませんでしたが、徐々に背景画や仕
上げをまかせてくれる様になりました。

この頃になって、他にアシスタントが二人加わり、Jプロも漫画家の仕事場らしい雰囲気が出てきま
す・・・・・・
 
J先生が描くキャラクターは、顔が真っ黒( ベタ )の場合が多く、背景よりもこの顔や体に塗るベタの
方が主な仕事だったりします。
 
当然、アイスタントたちは・・・・・・・・
 
 「 またかァ・・・・・ベタが多いなァ 」
 
・・・・・などとボヤくわけです。
 
アシスタント同士は、仕事中に会話をする事があるのですが・・・・・・・・・・J先生は、まった
く喋りません。
 
フスマ1枚、隔てているのですが・・・・・・・・・一言も話さないこのスタイルは、45年経った今
でも同じです。
 
アシスタントの仕事にもすっかり慣れてき頃、仕事場に一人の少年( 中学生 )が訪ねて来る様になり
ました。
 
J先生のファンであり、漫画家志望であるために、自分の描いた原稿を持ってJプロにやって来るわけ
です。
 
まったくの素人・・・・・・・普通の中学生ですから、その画力は稚拙なものでしたが・・・・・
・・・熱心に先生のアドバイスを聞いていました。
 
仕事場に勤める様になって半年ほどした仲田さんに先生は言いました・・・・・・・・
 
 「 おめィ~は、ちっとも成長しねィ~な! 」
 
確かに、背景画の技術が低レベルなまま変わらないのですから、仲田さんは言い訳も出来ぬまま沈
黙します・・・・・・・・・・
 
 「 よく仕事場に原稿持って来るあの子供だってよォ~、少しづつ上達してるのによォ~ 」
 
 「 ・・・・・・・・・・ 」( 沈黙というより沈没 )
 
 「 おめィ~はよォ・・・・・・・・全然、成長してねィ~んだよッ! 」
 
 
 
     「 漫画家アシスタント 古い話で章 その45 」( 3月10日以降公開 ) へつづく・・・・


           ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント古い話で章 その43」へ戻る 】

 
 
 
 
  【 ※参照 】
 ・仲田さん・・・・・・・・・(仮名)1969年当時、17歳、横浜出身、高校を中退、家出してJプロへ入る。 
  現在は、フリーのアニメクリエーターとして「ポケモン」などの原画を制作している。
 ・J先生・・・・・・・・・・・・・・・有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年には週刊
  連載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。2014年現在、71歳。1969年当時は26歳。
 
 
 
 

 
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 ★ 「漫画家アシスタント物語 4章の31~」に書かせてもらったガンさん
   (ブログ本では『ハアさん』)が描いたソープランドの実録漫画を公開
   中です・・・ 特別寄稿「 親不孝通り 」 第40話お父さん

 ★ 拙ブログのうぶ主が1987年にヤングジャンプ新人賞で準入選デビュー
   した作品・・・ 「 雨のドモ五郎 」

 ★ 「漫画家アシスタント物語 第6章の10~」に書かせていただいた
   リョウさんが描いたイラストを公開中です・・・ 「 龍馬さんとボク 」

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