漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第5章 その13

2007年10月27日 02時19分01秒 | 漫画
( この漫画は、前回も書きました「 人殺しのメロディー 」の一コマです。郵送してもらった
 外車のパンフレットが随分と役に立ちました。《 1988年 制作 》 )
  

【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
   
 
               その13
 
 
漫画「 人殺しのメロディー 」( 28P、1988年制作 )は、幼児期に母親から
虐待・放置された主人公が、少年期にその母親を殺し、青年期に連続殺人鬼
と成っていくという・・・かなり陰鬱な作品です。
 
人生に対する否定的な思考の全てが詰まっている様な・・・とても「 新人賞 」
に応募する様な「若々しく」「新人らしい」作品とは言えないシロモノでした。
 
この作品を描く3年前( 1985年 )に付き合っていた女性にフラれた事が、作
品の陰湿な土台になっている様です・・・・。
 
今、読み返すと・・・なぜ、自分がこんな作品を描いたのか理解出来ない様な
・・・背筋が寒くなる様な気分がします・・・。
 
後にある漫画家( 故人 )に・・・
 
 「 幼児がだだをこねてスネている感じだ・・・ 」
 
と厳しく批評されました。
 
生まれた赤ん坊が後に連続殺人鬼になっていく・・・ただ、それだけの物語・
・・・。この作品を今、読み返して大変不快になるのは、技術レベルが低い
からとか、ストーリーが未熟だからとかではありません。
 
それは・・・「 殺人 」の正当化( 必然性 )を語っているからです。
 
正気を失った父親から性的暴行を受けた娘がその子供を産むところからこの
物語が始まります。・・・そして、青年となり、連続殺人を犯す主人公の言
葉で終わるラストシーン・・・・
 
 『 股広げろよぉ! 突っ込みながら殺してやるぜっ!! 』
 
人間、追い詰められると何をするか分らないものです。「 雨のドモ五郎 」で
デビューしてから、次の作品に苦しみ1年半の間いくつもの作品( 絵コンテ )
がボツになる中でたどり着いたのが、「 人殺し 」の漫画。
 
彼女にフラれた腹いせに作った様な作品・・・( 結果的には、そんな感じに
・・・ )
 
1985年、春・・・・・。彼女は世田谷区にあるS学園大学で中世文学を専攻
していました・・・。男子大学生がマイカーを持ち、女子大学生はブランド
品で身を飾る・・・そんな時代の始まりでした。もう、私の様に薄汚いジー
ンズや下駄、長髪は完全に消え去っていました。
 
彼女の父親は会社( 建設関係? )の社長でした。田園都市線沿線にある自宅
は、小高い丘の上にある真っ白の邸宅( 黒澤明の「 天国と地獄 」に出てきた
白い権藤邸とそっくり! )で、豊かな暮らしと高い教養を享受していたので
す。
 
友人の紹介で知り合い、始めは、とても会話がはずみ調子が良かったのです
が・・・元々、私と釣り合う相手では無かったのかもしれません。しかし、私
はまるで違う世界の違うタイプの人間に強く惹かれていきました。
 
初めて私のベッドで体を開いてくれた後で・・・さっさと下着を着けて、ボン
ヤリ横になっている私を見下ろしながら・・・
 
 「 私はYさんの重荷になるだけかなァ・・・ 」
 
すでに、別れの気配が始まっていたわけです・・・
 
事実、数ヶ月後に別れる事になるのですが、彼女の方から一方的に別れ話を切
り出された時は・・・自分が30歳の成人である事を忘れ、興奮と混乱の中で馬
鹿丸出しのあわてぶりを示しました。
 
長い髪を切り、見違える様に綺麗になった彼女と渋谷の喫茶店で別れた後( 捨
てられた後! )・・・。振っ切る事の出来ない自分にイライラする日々がその
後、5年間続きました。
 
今も、何で彼女に惚れたのか、彼女の何処が良かったのか・・・全然分りませ
ん・・・。人生に一度や二度こうした理不尽な恋の苦しみを誰でも味わうので
しょう・・・・
 
今では、20年前の遠い過去の記憶でしかありません。
 
しかし・・・もし今、何処かで偶然、彼女に会ったら・・・今までの人生が・
・・今の自分の全てが・・・崩壊してしまうかもしれない・・・・・・・・・
・・・ウソ、これは冗談!
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その14 」 へつづく・・・



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あきさん、サトル君、失敗だらけだフニャさん、自営業さん、良太さん、しば
さん、祐希さん、ぱるちゃん、杉岡陽子さん、マメ柴さん、ぺこたんさん、
デカイチさん、みかんさん、aaさん・・・
 
皆さんの中で、コメントが転載される事に同意できないという方は是非ご
一報下さい!
 
一応、このままですとこちらで勝手に編集(明らかな誤字の修正、絵文字の
解体そして改行等)して単行本に転載してしまいます。 どうか、ご遠慮な
く申し出て下さい!
 
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い)。どうかよろしくお願いいたします!
 
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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」




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漫画家アシスタント 第5章 その12

2007年10月19日 17時23分54秒 | 漫画家
( この漫画は、私の最後の投稿作品「人殺しのメロディー」の見開きタイトルのごく一部(!)で
  ある。表現が過激なので、全体を公開する事が出来そうもなく・・・残念!《 1988年 制作 》 )
 

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                その12

 
「 ヤングJ 」誌に投稿する最後の作品「 人殺しのメロディー 」は、何を描い
たらよいのか分らぬままに手探りしながら無我夢中で制作しました。
 
目をつぶってケンカする様なものです。力任せに手を振り回す。いくら力を込
めても手応えがない。気が付けばヘトヘトに疲れ切っている・・・・・・。
 
この作品には、いつもより多めに写真資料を使いました。その中でも思い出深
いのが、有名な外車の「 M・B 」です。
 
車体は勿論、車内の資料も欲しかったのですが・・・私は自動車の免許は元よ
り、自動車の知識も全然ありませんでしたから・・・ここは、取りあえず車の
パンフレットでも手に入れるか・・・と、お手軽に考えたわけです。( 図書館
で調べるのは面倒、書店へ行けば金がかかるし! )
 
そこで、あの有名な外車専門店「 ○ナセ 」へ電話します・・・ゴミ溜めの様な
汚い部屋にパンツ一丁でアグラをかいて・・・私は安タバコを一服・・・。
 
「 104 」で調べた「 ○ナセ 」の電話番号へ・・・私は・・・『 パンフレット
が有料だったらどうスっかなァ・・・ 』などと、考えつつ・・・・・
 
 「 あのォ・・・『 M・B 』のパンフレットか何かあったら、欲しいん
  ですが・・・ 」
 
 「 はい。ありがとうございます! 」
 
生まれて初めて聞く様なもの凄くていねいな中年男性の声である・・・!
 
 「 ご購入のお客様でいらっしゃいますね。早速、配車いたしますので
  ご試乗下さいませ! 」
 
 「 あ・・・っ! ・・・えっ? ・・・い・・・いやァ・・・そ・・
  ・・・そのォ・・・・・ 」
 
 「 お客様、ご遠慮なさらないで下さい。パンフレットよりも実際にご
  試乗いただきました方が、その良さをご実感いただけます! 」
 
 「 あ~っああ~~っ、・・・そ・・・そうォ・・・ねェ・・・ 」
 
 「 ご住所はどちらになりますでしょう・・・? 今すぐ、お車のご用
  意が出来ますが! 」
 
私は、この傾いて倒れそうなボロ下宿の前に「M・B」が横付けされる悪夢を
想像して、生きた心地がしなかった。心底、血の気が引いていく思いだった・・
・・・・!
 
住所など言えるはずない! 『 豊島区千早町1丁目○番地の加藤さま方(!)で
す 』・・・なんて死んでも言えない!
 
 「 や・・・やっぱりィ~バ・・・パンフレットだけ送って下さい! 」
 
タバコを持つ手がブルブル震える。
 
 「 かしこまりました 」
 
意外とすんなり例の如くていねいな返事が返ってきた。私はホッとして・・・
タバコをもう一口、吸おうとした瞬間・・・
 
 「 タイプはどの様なタイプをご希望ですか?」
 
私は車の事には、からきし無知だった。確かに「 M・B 」には「 E 」だの
「 C 」だのとタイプがある。そして、700万円クラス、1500万円クラスと高
級度が違う様だが・・・そんな事は知るよしもない貧乏一筋、万年オケラの私
であった・・・・。( 88年当時の私の税込み年収200万ちょっと! )
 
すでに全身、汗びっしょりになりながら・・・
 
 「 タ・・・イ・・・プゥ~・・・・・・ん~~とォ・・・・・・ 」
 
 「 ・・・・・・ 」
 
 「 と・・・取りあえずゥ・・・ウゥゥ・・・何でも・・・つ~か
  ・・・色んなのが載ってる・・・総合的な物が・・・ 」
 
 「 はい。かしこまりました! それでは・・・郵送先でございま
  すが・・・・・ 」
 
バラバラに粉砕した頭が元に戻った様な気分・・・。 とにかく、早口で自分
の名前と住所を告げて、投げ捨てる様に受話器を置いた。
 
たかが「 電話一本 」。されど「 電話一本 」である。まったく世の中、甘くな
い。( ちなみに、パンフレットは無料だったのです! ありがたや、ありがたや )
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その13 」 へつづく・・・



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漫画家アシスタント 第5章 その11

2007年10月14日 00時33分46秒 | 漫画家志望
( この写真は、東京、豊島区千早町一丁目の夜景である。私が20年前に暮らした下宿がここら
  辺にありました。《 2007年 10月 撮影 》 )
  

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               その11

 
東京豊島区千早町にあった私の下宿は大家の加藤さん( 仮名 )所有の古い2
階建て木造住宅でした。明らかに傾いている、かなり古い建物で裏手にある
4枚のガラス戸は木枠が腐っていて、木枠からガラス板が今にも落ちそうにグ
ラグラしていました。
 
それでも広さ( 3畳、4畳半、8畳、各和室 )だけは充分ありましたので、い
つも友人、知人が訪ねて来てくれました。
 
1988年、デビューから2作目に苦しんでいた頃の私の部屋には、時に漫画とは
関係のない某宗教団体の幹部とかも・・・そして、漫画関係者、Jプロスタッ
フ先輩のリョウさん( 仮名:内海遼一、岡山出身、34歳 )なども来てくれて、
結構賑やかでした・・・。(今はとても淋しく・・・)
 
薄暗い4畳半の部屋でCD( 「 雨のドモ五郎 」の賞金で買ったCD )をかけ、
漫画談義に華を咲かせます。缶コーヒー、缶紅茶、缶ココア・・・。そんな物
をチビチビやりながら、気が付けば夜が明けている・・・・。いつもそんな感
じでした。
 
この間にどんな会話をしたかは、ほとんど憶えていません。いくら長時間しゃ
べっても中身が薄かったという事なのか、夢中で楽しんだので記憶が残らなか
ったのか、どちらなのかは分りませんが・・・。
 
こうして次の漫画の話や日本の政治、世界の経済について話しながら徹夜する
のですが、月に一度は夜明けを過ぎ、また夜となり、完全に24時間フルタイム
で話し込んでいた事もありました。
 
この当時の会話には、友人のイラストレーターのオーさん( 仮名、大村亮、88
年当時31歳 )も参加してくれました。雑誌にカットなどを描いているオーさん
と初めて会った時の印象は・・・・・
 
 「 絵描きバカ( 国立大学、数学課卒の彼には失礼ですが! ) 」
 
良い意味で、絵の事しか頭にない人物・・・! 彼は、カバンに自分の作品(カ
ット・イラスト)をいつも持ち歩いていて、私にも自己紹介よりさきに・・・
 
 「 これ、描いてます 」
 
と、原稿をどんどん差し出してくるのです( 私にセールスする様に )。 大阪
からやって来たとの事で、さすがに関西人は自分を売り込むにも積極的なんだな
ァ・・・と、感心したものでした。
 
オーさんはカットとイラストの仕事でサラリーマンの平均賃金( バブル前期で
年収550万ほどか )よりかなり稼いでいましたが、本当は漫画を描きたかった
様です。そこで、いつも漫画の話に時を忘れるわけです・・・・。
 
何時しか( 2,3年後 )2人共作で漫画を描く話になりました。ダブル馬鹿がそ
ろってコケるというおそまつなお話ですが・・・。その前に私の最後の投稿作
品「 人殺しのメロディー 」について書いておきたいと思います。
 
「 壁 」で落ち込み、いくつかのコンテでも上手くいかず、人の噂話に・・・
 
 『 デビューしてから半年以内にモノにならない奴はダメ・・・ 』
 
などという言葉にドキリとしつつ、焦りまくっていた1988年( デビューして1
年! )。漫画制作には行き詰まり・・・その頃、本気で惚れていた女にはバッ
サリと斬られ( フラれ )・・・もう最後のどん詰まりで血ヘドの様な作品を描
き上げます。
 
ヤングJ誌への最後の投稿作品「 人殺しのメロディー 」・・・・・
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その12 」 へつづく・・・



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あきさん、サトル君、失敗だらけだフニャさん、自営業さん、良太さん、しば
さん、祐希さん、かれりんさん、ぱるちゃん、杉岡陽子さん、マメ柴さん、ぺこ
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漫画家アシスタント 第5章 その10

2007年10月05日 14時06分25秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、東京、目白通り目白駅前の夜である。しかし、何気ない街の夜景でも、生涯忘
  れる事のできない夜景となる場合もあるのだ。《 2007年 10月 撮影 》 )
  
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
   
                その10
 
 
「 まんが道 」などと言うモノが本当にあるのでしょうか・・・。

この言葉( 藤子不二雄作「まんが道」より )をさんざん使っているくせに今更
おかしいのですが・・・・・
 
それは「 道 」というより「 沼 」であり「 崖 」であり「 砂漠 」である。 特に
ボツ原稿をかかえ出版社回りをしたり、そのボツ原稿の次の作品にも自信が持て
ない様な時には・・・・・

どう考えても「 道 」などと言う生やさしいものではない・・・・・。
 
実は・・・デビューした直後から・・・私は迷っていたのでした。 「 雨のドモ
五郎 」で賞を取ったまでは良かったのですが、2作目の「 壁 」が不評に終わり、
1988年の1年間はまさに暗中模索といった感じでした。
 
ボツになった作品の中には、漫画編集員を主人公にした作品もありました。締め
切り間近の原稿を受け取り、深夜の街を走る編集員の物語「 ミッドナイト・ラン 」
( 1992年公開の「 夜逃げ屋・・・ 」とは無関係 )。
 
この絵コンテがボツになり、神保町から豊島区要町までトボトボ歩いて帰ったも
のです・・・・・。 落ち込んで・・・・・。
 
その時の街のネオンの輝きとヘッドライトやテールランプが風に舞う落ち葉の様
に走り去っていく・・・そんな中を一人で歩く・・・。ジットリ孤独感を味わい
ながら・・・・。
 
前作よりもつまらない物しか描けない、面白いアイデアがない・・・・・それで
も描こうとする。ゴミ箱のエサにしか成らないシロモノでもとにかく描く・・・!
 
そんな事をしていて傑作が生まれるのか・・・? 絵や発想が上達するのか・・
・・? 私の経験では「否」と言わざる得ない・・・・。 1年経っても2年経って
もいい漫画は描けない! なぜなら・・・ なぜなら・・・・・・
 
 『 実力がないから! 』
 
まさに力不足なのである。 当時の私にはそれが自覚出来ずに駄作に必死にしがみ
ついていました。 まるで、ガス欠の自動車から降りないで、やたらとアクセルを
踏み込んでいる様に・・・・・・
 
では、どうすれば良いのか・・・・・ それは、とても簡単です。勉強する事です。
我を忘れた様に読書に向かう事。 全精力を込めて乱読する。 世界の名作、日本
の国民文学・・・専門知識から広い教養。読むべき本はいくらでもあります!
 
読書に集中してゆるんだ頭を「 作家の頭 」に作り直さないとただの「 駄作製造機 」
で終わって( 歳を取って枯れ果てて・・・ )しまう・・・。
 
しかし、当時( 1988年、33歳 )の私は「 読書 」に集中する事が時間の無駄に思わ
れたのです( 毎日、少しは読んでいましたが・・・ )。 「 漫画を制作する事の方
が大事なのではないか・・・・・だいたい本なんて多過ぎるし、半年・・・1年とま
た読書に時間を取られてしまうなんて、とても出来ない事だ・・・・ 」と。
 
しかし、それは自分から逃げていたのです・・・。大事な事実から逃げていたのです
・・・・・
 
 『 私は実力のない人間だ! 』
 
・・・という事実から逃げていただけだと言う事を理解できる様になったのは、つい
最近の事です・・・・・。
 
私は「 雨のドモ五郎 」以降の作品に迷う・・・。 フラフラになりながら・・・・・
 
 
 
   漫画家アシスタント物語、血の教訓
   

  『 「糞詰まり」と「糞も出ない」とでは意味が違う。もし、後者ならば、
 
    遠回りの様に思えても「乱読」でもう一度「作家の頭」を作り直す
 
    べきである。 そうする元気もなければ、あなたも枯れススキに
 
    なればいい。 怖くはない、恥ずかしくもない・・・。 だって私も
 
    枯れススキ・・・。 仲間もたくさん待っている! 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第5章 その11 」 へつづく・・・



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       * 参考 *   
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  .............. 私(yes)のアシスタント履歴
  
  1974年昭和49年 さがみゆき先生 主に(少女系)怪奇漫画。単行本1冊分、
           4,5ヶ月のお手伝いでした。 (19歳)
     
  1976年昭和51年 かわぐちかいじ先生 この当時、氏は今ほど有名ではなか
           ったのですが、背景技術をみっちり仕込まれました。(20歳)

  1977年昭和52年 村野守美先生 漫画界一の豪傑と言われ、エピソードには
           事欠きません。たった1週間しか勤まりませんでした。(21歳)

  1978年昭和53年 ジョージ秋山先生 当時「浮浪雲」(ビックコミックオリ
           ジナルに連載)が、すごい人気で、渡哲也、桃井かおりの
           主演でTVドラマ化されていました。(23歳) 

  2017年平成29年 ジョージ秋山プロを退社、タイ・チェンマイにて隠居中。(62歳)

                    
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「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」



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