( この写真は、リョウさんが80年代に暮らした東京豊島区椎名町駅から数分の所にある目白4丁目
の住宅街です。この様な夜の街を自転車に乗って仕事場から自分のアパートまで毎日帰って行
ったのです。《 2008年11月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その11
慶応2年( 1861年 )1月23日。湯船の中で桃色になった頬に黒髪がからむ
のをその細い指ですくいながら、おりょう(龍馬の妻)が何を思っていた
かは分からない。
しかし、その静かな物思いは不審な物音によって中断する・・・。外を走
る男たち( 伏見奉行所配下の刺客 )の足音と荒い息使い・・・・
「 ・・・・・・! 」
おりょうが裸のまま風呂場を飛び出して階段を駆け上がる。おりょうが階
段に付けた濡れ足跡から湯気が立ち上っている・・・
ダダダダダ~~ッ
パシ~ッ! 襖が千切れる様に開かれると同時に・・・
「逃げてッ!」
寺田屋( 坂本龍馬が定宿にしていた )で龍馬が襲われた時には、このお
りょうの素早い対応によって龍馬は命を救われます。この時の刺客との激
闘跡として、柱の刀傷や龍馬が発砲した時の弾痕などが今も残っているの
です・・・・。
しかし、最近ハッキリした事では、この寺田屋は後に再建されたもので、
当時の建物は火事で焼失してしまったという事です。
だから現在建っている「 寺田屋 」がまったくの作り物と結論できるのか
どうかは微妙です・・・。それは、主要な柱や家具など焼け残ったものを
移築したのかもしれない・・・という仮説を否定するだけの根拠がないか
らです・・・・。
もちろん・・・ここで、おりょうが入っていた風呂だの、龍馬の弾痕だの
が全て偽物なのかどうか・・・そんな事を私が判断できる事ではありませ
んが・・・・・・。
さて・・・、この寺田屋にリョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、88
年当時33歳 )たち一行が泊まる事になります( 貸切! 一人一泊7~8千円 )
が・・・・。 どの部屋に泊まるかでもめる事になります。
それは寺田屋の2階には、龍馬が泊っていた部屋というものがあったから
です。( 一行が泊った1988年当時には、まだ寺田屋が再建されたもので
あるとは一般には考えれてはいませんでした )龍馬ファンなら誰でも泊ま
りたいと思うはずです・・・。
さっそく、ジャンケンで部屋割が決まります・・・。この時に、勝負運な
どには、からっきし弱いリョウさんが20人近くの人の中で勝ち抜いてしま
います。そして、さらに二人・・・。
合わせてこの3人で龍馬が泊っていたという問題の部屋( 寺田屋二階 )に
一泊します・・・・・。
この部屋で・・・3人が深夜・・・金縛りに合い、枕もとに血だらけの侍が
しゃがんでいる姿でも目撃したり、頭を割られた龍馬の亡霊とご対面・・・
・・・ってな話で盛り上がる様なら・・・・・このブログも私の単行本も・
・・もっと売れたかもしれませんが・・・亡霊の「ぼ」の字も出てはきませ
んでした。
実際には・・・・・
その部屋でグーグーといびきをかいて眠りつづけていました。しかし・・・
一人リョウさんは一睡も出来なかったのです・・・。( 隣に寝る人物のイ
ビキがうるさかったのもあるのですが )
暗い部屋の天井をジッと見つめながら・・・・・・龍馬暗殺の謎や今日一日
の出来事を考え続けていると・・・・。
『 俺は今、龍馬のそばにいる・・・・すぐ近くにいるんだ・・・・・ 』
・・・と、あたかも龍馬と接近している様な実感を得るのです。その重く異
様な気分のまま時間が過ぎて行きます。
そして・・・リョウさんは、夜が明けるまで頭の中にいくつものイメージを
並べていくのです・・・・
龍馬・・・暗殺・・・幕府・・・薩摩・・・長州・・・明治維新・・・軍閥
・・・財閥・・・昭和の終わり・・・・・・
ドキン、ドキン・・・と、脈打つ自分の心音でも聞く様に・・・・・
「 漫画家アシスタント 第6章 その12 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第6章 その10」へ戻る 】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★ 拙ブログ「漫画家アシスタント物語」(第1~4章収録)が書籍化!
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しイラスト18点を含む画像総数148点! デビュー漫画「雨のドモ五郎」
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【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
の住宅街です。この様な夜の街を自転車に乗って仕事場から自分のアパートまで毎日帰って行
ったのです。《 2008年11月、撮影 》 )
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その11
慶応2年( 1861年 )1月23日。湯船の中で桃色になった頬に黒髪がからむ
のをその細い指ですくいながら、おりょう(龍馬の妻)が何を思っていた
かは分からない。
しかし、その静かな物思いは不審な物音によって中断する・・・。外を走
る男たち( 伏見奉行所配下の刺客 )の足音と荒い息使い・・・・
「 ・・・・・・! 」
おりょうが裸のまま風呂場を飛び出して階段を駆け上がる。おりょうが階
段に付けた濡れ足跡から湯気が立ち上っている・・・
ダダダダダ~~ッ
パシ~ッ! 襖が千切れる様に開かれると同時に・・・
「逃げてッ!」
寺田屋( 坂本龍馬が定宿にしていた )で龍馬が襲われた時には、このお
りょうの素早い対応によって龍馬は命を救われます。この時の刺客との激
闘跡として、柱の刀傷や龍馬が発砲した時の弾痕などが今も残っているの
です・・・・。
しかし、最近ハッキリした事では、この寺田屋は後に再建されたもので、
当時の建物は火事で焼失してしまったという事です。
だから現在建っている「 寺田屋 」がまったくの作り物と結論できるのか
どうかは微妙です・・・。それは、主要な柱や家具など焼け残ったものを
移築したのかもしれない・・・という仮説を否定するだけの根拠がないか
らです・・・・。
もちろん・・・ここで、おりょうが入っていた風呂だの、龍馬の弾痕だの
が全て偽物なのかどうか・・・そんな事を私が判断できる事ではありませ
んが・・・・・・。
さて・・・、この寺田屋にリョウさん( 仮名:内海遼一、岡山県出身、88
年当時33歳 )たち一行が泊まる事になります( 貸切! 一人一泊7~8千円 )
が・・・・。 どの部屋に泊まるかでもめる事になります。
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です。( 一行が泊った1988年当時には、まだ寺田屋が再建されたもので
あるとは一般には考えれてはいませんでした )龍馬ファンなら誰でも泊ま
りたいと思うはずです・・・。
さっそく、ジャンケンで部屋割が決まります・・・。この時に、勝負運な
どには、からっきし弱いリョウさんが20人近くの人の中で勝ち抜いてしま
います。そして、さらに二人・・・。
合わせてこの3人で龍馬が泊っていたという問題の部屋( 寺田屋二階 )に
一泊します・・・・・。
この部屋で・・・3人が深夜・・・金縛りに合い、枕もとに血だらけの侍が
しゃがんでいる姿でも目撃したり、頭を割られた龍馬の亡霊とご対面・・・
・・・ってな話で盛り上がる様なら・・・・・このブログも私の単行本も・
・・もっと売れたかもしれませんが・・・亡霊の「ぼ」の字も出てはきませ
んでした。
実際には・・・・・
その部屋でグーグーといびきをかいて眠りつづけていました。しかし・・・
一人リョウさんは一睡も出来なかったのです・・・。( 隣に寝る人物のイ
ビキがうるさかったのもあるのですが )
暗い部屋の天井をジッと見つめながら・・・・・・龍馬暗殺の謎や今日一日
の出来事を考え続けていると・・・・。
『 俺は今、龍馬のそばにいる・・・・すぐ近くにいるんだ・・・・・ 』
・・・と、あたかも龍馬と接近している様な実感を得るのです。その重く異
様な気分のまま時間が過ぎて行きます。
そして・・・リョウさんは、夜が明けるまで頭の中にいくつものイメージを
並べていくのです・・・・
龍馬・・・暗殺・・・幕府・・・薩摩・・・長州・・・明治維新・・・軍閥
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