ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

HAMLET(ハムレット) 栗田芳宏演出

2007-02-14 00:59:52 | その他の演劇

【スタッフ】
作/シェイクスピア
翻訳/松岡和子 上演台本/笹部博司 作詞/岡本おさみ
演出/栗田芳宏 音楽/宮川彬良 振付/舘形比呂一
美術/朝倉摂 照明/沢田祐二 

【キャスト】
ハムレット/安寿ミラ
ポローニアス・墓堀り/斎藤晴彦
クローディアス/沢木順
オフィーリア/堀内敬子
ホレイショー/石山毅
レアティーズ・ギルデンスターン/谷田歩
ローゼンクランツ/柄谷吾史
ガートルード/舘形比呂一

2007年2月13日(月)サンシャイン劇場 2階A席

眺める舞台面は、なにか、砂漠で見る夢、蜃気楼のような感じもした。
芝居の舞台は、当然、欧州なのですけどね。
中近東の砂漠ではなく、シルクロード方面。
翻訳の松岡さんも、正面に設置されたテントを
『モンゴルのゲルのような…』との印象を受けたようなので、
アジアンなティストが流れていたのだと思う。

(舞台床に敷かれていた)絨毯というのも、砂漠の民の代表的な手工芸品だし
旅一座のナリも、ジプシーに通じるような・・・
(ジプシーというと中近東方面のイメージだけど)
一時流行った「無国籍料理」の様相?
作者はイギリス、舞台は北欧、演出(視覚)はアジア・中近東。
ふっと「楼蘭」って単語(地名)が頭に浮かんだ。
東洋と西洋の交差。ロマンチシズムを掻き立てる名前。

栗田さんっぽい!と思ったのが、舞台正面際、中央に取り付けられていたライト。
二幕で、独白・悔恨するクローディアスの顔を照らす手法が歌舞伎の面灯り的で、
フツーに上からのスポットも当たっていたのだけど
より、この面灯り(!)の方が効いていた。
SEの入れ方もセンス良くて、栗田さんの音の使い方は好きだな~。
最後、観客の拍手がフライング気味で、余韻が味わえず残念。
(♪ちり~ん、ちり~んのとこね。)
いっそ、お能の観劇のように拍手禁止にしてくれればいいのに!
(カテコで解禁)

宮川さんの生演奏を聴けたのは大収穫!!
ご本人が演奏されること知らなかったので、本日の「サプライズ」でした♪
りゅーとぴあ能楽堂シリーズで初対面(?)の宮川さんの舞台音楽でしたが、
その手で叩く鍵盤からも粒だった音が立ち上って来て、
一音一音しっかり届き、耳が喜ぶ弾き手でした~!!

宮川さんの楽曲を歌として、そして科白として、しっかり聴かせていたのが
オフェーリアの堀内敬子さん。狂乱の場では泣かされました(/_;)
あまり、観劇中、登場人物に感情移入することはなかったのだけれど
彼女には、持っていかれました。。。
逆に、幕開けの石山さんの歌は、残念ながら私には響いて来なかった。
歌い方がリアル過ぎて。あまり、物語の導入という雰囲気が感じられず。

実際の性別を超えたキャスティングのことを指しているの?>「クロスジェンダー」
この妙を狙っているらしいけれど、
ハムレットが安寿ミラさんであることの必然が私にはよく分からなかった。
あと、ガートルードの舘形比呂一さん。
申し訳けないけれど、ぱっと見た瞬間、ショーパブのお姐さんのような
突拍子もない化粧と出で立ちにビックリ。道化の役というワケでもないのに・・・。
影絵のダンス?も理解不能に陥りました。
2階席からも、鼻の下の髭の後もアリアリ分かったし、
「女形」なのだとしたら、もっと綺麗に作って欲しいです。
ごつごつとした骨格が隠されることも無く、視覚的に非常に厳しかったです。

りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズのバンクォー、オセローで
眼を惹いた谷田歩さん。立派な体躯と口跡の良さで、存在感ありまくり。
これだけの人数で芝居する時には、そのポジションを逸脱しないように
存在する事と、役代わりが結構難しいかも・・・。

「ハムレット」という戯曲があるのは知っていたけれど、
(受験勉強の効用?よくあるでしょう?作者と作品を選べ、みたいな。)
りゅーとぴあシリーズ観るまでシェークスピアをまったく読んでいなかった私。
それでも、知らない人でも知っている?
「尼寺へ行け」と「To be, or not to be, that is the question.」の科白。
初めてライブで「尼寺へ行け」を聞けて、おっコレコレ!!とホクホクしてしまいしたが
(ホクホクする場面じゃないけど^_^;)
「To be, or not to be, that is the question.」←こっちは聞き逃した?
松岡さんはどう、翻訳されていたのかしら?

ラストの、登場人物たちが埋葬された様態で眠る姿が
一睡の夢~束の間の劇という意匠を無言で伝える。
地上を(あるいは宇宙を)流れる悠久の時間からすれば、
この生きている時間も刹那であることを知らしめているようで印象に残った。
栗田さん、限られた空間から、イメージを想起させるのが上手いなぁ~。
(と、これは後からシミジミ思う感想)
『朝には紅顔ありて夕には白骨となれる身なり』の文言も浮かんできたり
『諸行無常』を感じたり、ひとり脳内箴言集(笑)な観劇でした。

あ、あと、凄く現実的?なことで言えば、「楽屋」が何気に二重構造
(劇中劇という意味でも、実際の拵替えの場であることでも)
になっているのもツボでした。←実はこれも歌舞伎っぽくない?
目前で衣装替え、黒衣さんにカオ直してもらったりとか
アイビキ差し入れてもらって寛いだり、水飲んだりとか(笑)と同じ状況。
(ん~でも、ミラさんが髪直したり、堀内さんが水飲んだりしてるのは
折込済みかな。)

芝居日記・ハムレット
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シラノも栗田&宮川コンビなのね~楽しみじゃ。
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