ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

八月納涼歌舞伎:第三部【法界坊】

2005-08-27 01:42:46 | 歌舞伎
火樹会の続きはちょっと休憩(笑)して、
本日(8月26日)観劇の法界坊のことなど・・・

を、書こうと思ったのですが、今日歌舞伎座で一番の収穫は
イヤホンガイド30周年記念の小冊子(無料)をゲットしたこと

通常出ている『耳で観る歌舞伎(文楽)』のパンフが
今年の4月で355号だそうで、担当の方が初号から読み直してみたら、
面白い話が沢山あり、これらのなかから選りすぐり(?)
のものを抽出しまとめたそうです。
『イヤホンガイド余話』(A)というタイトルだったので、もしかして
(B)もすでにあるのかな?私が手にした(A)は、1977~85年の
間のピックアップ記事だったのですが、
なぜか、猿之助さん関連のものが多かったのです!!
(編集者の方、猿之助ファンかしらん、と思うくらい!)

「猿之助歌舞伎」がノリにノッて台頭してきた時代だったから、
特筆すべき出来事も多かったのかもしれませんね。
この小冊子に掲載されていた猿之助さんに関する記事は

●『猿之助、奮闘の生い立ち』(1978年)
●『80年トップの男、猿之助の歌舞伎論』(1980年)
●『戦後の襲名さまざま』(十一代目團十郎、故歌右衛門、現菊五郎さんらと
 猿之助さんの襲名についての記事)(1981年)
●『七月は“三階席の月”「最高のぜいたくだネ」』
 (三階席の楽しみについて書かれている文章ですが、宙乗りを堪能しようと
 三階がお客さんでいっぱいになる、という文脈)(1981年)

 そして、若手の市川猿十郎(28)さんに聞く、という紹介文から始まり
●『猿之助大立廻りの秘密はこれだ~猿十郎さんに聞くと~』(1983年)
●『劇作家、飯沢匡氏のカブキ論』(1984年)の中に、
 「猿之助ケレン芝居大いに結構」という章があります。84年はまだ
 スーパー歌舞伎上演以前ですが、猿之助さんの演出がフランスにまで
 (@コックドール)進出しているとの記述があります。

【歌舞伎写真館】には
●『1978年4月歌舞伎座の皐月闇宇都宮峠立ち廻りの場』
アンマの文弥(猿之助さん)を、居酒屋の十兵衛(吉右衛門さん)が、
親切ごかしに暗闇の峠道で案内、懐の金を刀で脅して奪おうとしたが、
文弥はお堂に逃げ込もうとする。それを悪党の仁三(猿之助さん二役)
が、やぶのうしろやお堂の中でじっと見聞きしている、という場面を
多重露出で撮影した、六枚の連続写真。

●『鏡山再岩藤の宙乗り』(年月表示なし)
 (77~85年内だと、歌舞伎座では78年7月、85年に7月に上演)

あと、上記、猿十郎さんに聞く~の立ち廻りの記事に、
猿之助さんの『弁天小僧の大屋根の立ち廻り』の写真があります。
・・・・ということで、ホント、猿之助さんのものが、
結構な割合を占めておりました。

プチ・ウンチク的な話も掲載されていて、
たとえば、『昔の劇場は現在のように立派ではなく、小屋がけで、
火事が一番怖かったので「火」という言葉は忌み言葉だった。
だから、火の字は一切使わない。千秋楽の「秋」は「火」が
あるから、芝居ではわざわざ千龝楽と変えている。』など。

ツケ打ちさん、鳴物さん、衣装さんのお話なども、
「解説」的なものでなく、実際携わっている方の「実感」、
役者さんでいうなら「芸談」のような感じで語られていて。
う~ん、収穫でした\(^o^)/

で、法界坊ですが、串田演出は三人吉三の時の照明が個人的には
好きだったのですが、今回も、それと似た青と赤の当て方が@三囲
「軽くヤバイ」(笑)←観た方限定、楽屋落ち~(~o~)
宙乗り後のサーチライト?(っぽい)での時間稼ぎ(爆)も、
ちょっと意味ありげに思ってしまい、まんまと騙されました。
(単にホントに時間稼ぎなだけだった(~_~;))
面灯りは、無理めだったかな・・・。一階後列で観ていましたが
双眼鏡を使っても効果が分かりにくく、
雰囲気だけ、となってしまいました。これはもう少しキャパの小さい
小屋で漆黒を作らないと、その本来の効果は上がらないかも。

歌舞伎役者の肉体で、ストレートプレイのような
ドタバタをさせる意味が(野田さんにしても串田さんにしても)私は
イマイチ、良く分からないのですが・・・(ちょこっと、アクセント
としてやる、って感じでなく、ずっとやっているので・・・(~_~;))
大詰の所作事で、力技(ちからわざ)で歌舞伎に戻って行きましたけど
ここが、一番興味深く観れた部分でしたが、やや冗長?
と思ってしまった後、あ~でも、猿之助さんも、お芝居は大サービス、
まだ、やるか!?ってくらい、お腹一杯やっていたなぁ~とか、
ふと思ったり。。。
超ファンだったら、勘三郎さん、もっともっと!!と思ったかな(笑)

趣向という意味でも、やっぱり面白いのは、双面に入ってからでした。

序幕冒頭、ぢゃらちゃらと笑わせるような芝居をやっていたのですが
イマイチ、客席が冷えていた。(観客は、熱心には観ているのだけど。
―補助席まで出る大盛況―)けれども、
勘三郎さんが、花道揚幕から登場されると、バッと温まり始めました~。
あんなナリにハゲつけてても(笑)オーラを背負っての登場です

【追記】
上記文中の「軽くヤバイ」ですが、今、若いコたちの間で
「ヤバイ」=良い、惹かれる、魅力的というような肯定的な意味で
使われているらしい、と聞き、私は「(照明が)良かった」の意で
使用しておりますが、久々にカニリカさんちのブログを読んでいたら
CMでは、ヤバイ=まずい、と従来の意味のようですね?

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