燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

ピットフォール 5

2015-04-09 | 症例集

 今回も循環器徴候の症例を見ていきましょう

症例4   65歳女性  主訴:左半身の脱力と構音障害

 数年前より高血圧を指摘されるも治療せず放置。

 今回、買い物中に突然、左半身の脱力を自覚し救急車にて搬送。救命士によると、左半身運動麻痺と構音障害あり、とのこと。

 バイタルサイン:血圧90/60、脈90/分、呼吸18/分、体温36.3℃。身体所見上、顔面を含む左半身筋力低下があり。緊急で撮影されたCT所見あり、右大脳半球領域における急性期脳梗塞との診断となった。

● ピットフォール

 担当医は、脳外科オンコールに相談して緊急血栓溶解療法の準備を開始した。

● その後の経過と解説

 指導医により、四肢の脈拍の触診と上肢の血圧の左右差がチェックされた。

 右トウ骨動脈脈拍弱い:右上腕血圧90/60mmHg

 左トウ骨動脈脈拍強い:左上腕血圧170/100mmHg

 「脳梗塞のみにショックなし」というクリニカルパールがある。

 このような患者では、脳梗塞以外の他の要因も考慮しなければならない。脳梗塞急性期患者では、血圧が140/90以上となる場合がほとんどである。それ未満であれば、むしろ他の疾患の合併も考えるべきである。心臓血管系の急性病態では、「対称性の破れ」がないかどうか、四肢の脈拍を触知する。脳梗塞患者は全例で血圧の左右差をチェックすべきである。急性大動脈解離が原因となって脳梗塞をきたすことがある。

 再度、詳しい問診によって、脱力感を自覚する前に激しい背部痛もあったことが判明した。さっそく、胸部造影CTで、急性大動脈解離(スタンフォードA型)と診断され、緊急で手術が施行された。

● 最終診断:急性大動脈解離:スタンフォードA型(上行大動脈より解離)

 今回は以上です、話変わって、9日の午前の東京株式市場で2000年4月以来の19.900円台まで上昇したらしいです、年内の2万円台の大台突破は確実では、との声も聞かれるそうです、実態経済とあまりかけ離れないでほしいですね、では次回に。


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