循環器フィジカル・ケース6
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症例6:
76歳女性
進行肺がんにて入院しながら緩和ケアを受けていた。
今回、数日前より労作時の呼吸困難があり、今朝より安静時にも呼吸困難を訴えた。臥位で呼吸困難の増悪があり。喘息の既往はなし。
バイタルサインは、血圧 90/70 mmHg、脈138 /分、呼吸 30/分、体温 36.5度。身体所見上、著明な頸静脈怒張を認めた。また、吸気時の収縮期血圧は60で、呼気時の収縮期血圧は90。
担当医は、肺癌の進行による呼吸不全と考え、血圧低下は脱水による低容量性ショックであると判断し、酸素投与と急速輸液の指示を出した。
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ピットフォール
この患者の病態は、呼吸不全と脱水でよいか?
その後の経過と解説
脱水(血管内低容量)では外頸静脈は怒張しない。
この患者では、吸気時10mmHg以上のSBP低下(この患者の奇脈のサイズは90-60=30mmHg)であり、心タンポナーデ、重症喘息などを考慮する。
身体所見上、著明な頸静脈怒張を認めたので、心タンポナーデを考える。
肺がん患者では、癌の心膜浸潤により心タンポナーデを高率に合併することが知られている。
最終診断:「心タンポナーデ」
緊急で心嚢ドレナージが施行され、症状がすみやかに軽快した。
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徳田安春 | |
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