燃えるフィジカルアセスメント

総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

ピットフォール

2015-03-30 | 症例集
 今回から新シリーズ「総合診療医に必須な循環器徴候の見方」と題して考えていきましょう、今回はその抄録からどうぞ  循環器系疾患には、急性心不全のように頻度が多く、重要な疾患がある。また、頻度は少ないものの、診断の遅れが致命的となる重篤な疾患として、大動脈解離、大動脈瘤切迫破裂、肺塞栓症、心タンポナーデ、などがある。このような疾患の患者アウトカムを改善させるためには早期治療が必要であり、そのために . . . 本文を読む
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薬は怖い 3

2015-03-28 | 講演会
 前回からの続きです 症例5   60歳男性  主訴:発熱  1ヶ月前にめまい感が数分間あり、近医を受診している。MRIの結果、陳旧性脳梗塞があったため、痙攣、症候性てんかんが誘発されたのではないかと診断されカルバマゼピン、抗痙攣薬が処方されている。  2週間前より発熱が認められ、体温が39℃まで上昇した。発熱に対して抗菌薬2種類が投与されたが、効果がなかった。血圧130/80mmHg、心拍 . . . 本文を読む
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薬は怖い 2

2015-03-26 | 症例集
 前回のつづきです 症例3   80歳女性  主訴:失神  認知症のため通院中で、1ヶ月前より認知症に対する内服薬を服用していた。来院当日、自宅にて座位で食事をとろうとした直前に顔面蒼白になり、失神し、1分間で意識を取り戻した。家族が救急車をよび、搬送されている。  血圧140/90mmHg、心拍数38bpm、徐脈。呼吸数18回/分、体温36.5℃、Spo2は空内気で94%、心音は整で雑音な . . . 本文を読む
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薬は怖い

2015-03-24 | 症例集
 今回から新シリーズです、まずはじめに、薬は医師が適切に処方すれば、非常に役に立つが、使い方によってはリスクを伴う可能性がある。薬を処方する際にはつねに薬物相互作用を考える必要がある。  最近では高齢者が多いため多剤投与による副作用が問題となっている、そこで今回からいくつかの症例を紹介し、薬のリスクについて考えていきましょう。 症例1  40歳男性 主訴:発熱  1ヶ月前よりうつ病で精神科に . . . 本文を読む
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全身倦怠感 6

2015-03-22 | 講演会
 今回も前回の続きです 6 その他  表7に頭蓋内疾患の倦怠感をきたすものをあげる。 表7 倦怠感をきたし得る頭蓋内疾患      硬膜下血腫   硬膜外血腫   脳血管障害(脳梗塞、脳出血)      髄膜炎・脳炎   脳腫瘍  硬膜下血腫は局所の神経脱落症状を呈さないことがあるので注意をようする。  薬剤性の倦怠感をきたす薬剤は多い。表8。とくに高齢者に症状が出やすい。肝腎機能が . . . 本文を読む
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全身倦怠感 5

2015-03-20 | 講演会
 今回は短めですが、前回の続きです。 5 慢性臓器不全の急性憎悪  慢性の臓器不全を有する患者がさまざまな理由(感染症・内服中断など)で急性憎悪(acute exacerbation)となると倦怠感をきたし得る。慢性の心不全、呼吸不全、腎不全、肝硬変などの患者は、ウイルス感染(インフルエンザなど)でも容易に急性憎悪をきたす。急性憎悪の診療では、「なぜ」急性憎悪をきたしたかを特定することが重要で . . . 本文を読む
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全身倦怠感 4

2015-03-18 | 講演会
 前回の続きです。 4 電解質異常  脱水と同様にさまざまな疾患で中等度~高度の電解質異常となると倦怠感をきたし得る。腎臓の機能が低下している高齢者に生じやすい。電解質異常の診療では電解質異常の原因の特定とその原因治療が重要であるが、電解質異常そのものの診断と治療も必要である。主要な電解質異常の症状と所見について表5に示す。電解質異常を疑えば生化学検査で確認する。高カリウム血症は心電図で診断し . . . 本文を読む
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全身倦怠感 3

2015-03-16 | 講演会
 前回からの続きで、「criticalな疾患」について考えていきましょう 3 脱水  飲水不良、嘔吐、下痢、大量発汗、高熱などで高度の脱水になると倦怠感をきたす。口渇中枢の機能が低下している高齢者で生じやすい。脱水の診療では脱水の原因の特定とその原因治療が重要であるが、脱水そのものの診断と治療も必要である。脱水に対する徴候の検査特性について表4に示す。 表4 循環血液量減少・細胞外間質量減少 . . . 本文を読む
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全身倦怠感 2

2015-03-13 | 講演会
 前回からの続きです  表のうち、糖尿病では、無痛性冠動脈虚血(silent myocardial ischemia)をきたすことが多いので注意する。  システム・レビュー(review of systems)では、労作性の胸痛・胸部不快感を確認できることがある。また、胸痛はないが、「労作性の息切れ」を呈する患者もいる。右心室には副交感神経を刺激する受容体が多く分布しており、右冠動脈の病変によ . . . 本文を読む
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全身倦怠感

2015-03-11 | 講演会
 今回から新しいシリーズです。まずはじめに、比較的急性(数時間~数日)に発症した全身倦怠感と慢性に経過した全身倦怠感に分けていきます。救急外来では、急性に発症した全身倦怠感の患者が受診することが多いため、主として、急性発症の全身倦怠感の鑑別診断のポイントを上げていきます。  一般的に鑑別診断では、コモン(common)、重篤(critical)、治療可能(curble)の3つのCを意識していきま . . . 本文を読む
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