日頃から教育関連の本を読んでいるのですが、先日、こちらを読みました。
筆者は、「国語力とは、社会という荒波に向かって漕ぎ出すのに必要な『心の船』だ。語彙という名の燃料によって、情緒力、想像力、論理的思考力をフル回転させ、適切な方向にコントロールするからこそ大海を渡ることができる。」と述べています。まさに私が感じていたことが、言語化されていました。
私は1990年代後半から塾で国語を教えていますが、ここ数年、お子さんたちに急激な変化があるように感じます。
その背景には、
・両親ともに忙しく、子供と十分向き合う時間がないこと
・スマホやタブレットの普及
があると思います。
特に、スマホのゲームやSNSが発達途上の子どもの脳に与える影響には、恐怖すら覚えます。詳しくは、本書や『スマホ脳』『オンライン脳』をお読みください。
『スマホ脳』についてのブログ記事はこちら。
また、 本書には、「保護者の子供への働きかけと子供の学力の関係」という表が載っているのですが、国語の学力上位層の親と下位層の親との差が顕著だったのが、本や文化に関する項目です。
学力上位層の家庭には、本がたくさんあり、子供が小さい頃には絵本の読み聞かせをしています。また、外国の文化や博物館・美術館に行く機会も多く設けています。
学校や塾でも学ぶ機会は与えられますが、家庭の教育力の影響を痛感しました。
この本には、国語力が低いために日常生活を営むことが困難になってしまっている子供たちがたくさん登場します。一方、豊かな国語力を育む取り組みを行っている教育機関も多数紹介されています。
この中で、私が着目したのは、ある小学校での「読書郵便」という取り組みです。生徒は面白い本に出合うと、他の生徒や教員にそれを薦める手紙を書いて、ポストに投函するのだそうです。後日、手紙は相手に届けられ、そこから新たな読書体験が生まれたり、本の話題が生まれるとのことです。
私は、塾の国語クラスで小中学生を対象に、読み聞かせを行ったり、本を紹介したりしてきました。けれども、私どもの塾は大変小規模なので、私が伝えたいメッセージを届けられる相手はほんのわずかに過ぎません。
そこで、今後はこのブログを私なりの「読書郵便」として使おうと思います。
今まで通り、塾で読んだり紹介したりした本や塾の情報もお伝えしますが、私が読んで感銘を受けた本も、どんどん紹介していきます!どうぞよろしくお願いいたします。
…さて、子供たちの国語力を取り戻すために大切なこと。
それは、「読書」、「対話」、「五感を使った体験」だと、本書を読んで感じました。
最近、「論破」という言葉をよく聞くようになりましたが、カーネギーの『人を動かす』を読んでいた私は、「論破」に非常に違和感がありました。(カーネギーの『人を動かす』については、また後日、記事を書きたいと思います。)
ある中高での哲学対話のキャプテンを務めた生徒さんが、本書で次のようなことを述べていました。
「人の話を聞くことで、相手を理解しようとする姿勢が身につく。相手の意見を尊重できるようになると、生きることがすごく楽になる。」
AIが発達してきた今、人間に求められる能力は「答えのない時代で、考え方を深めていくこと」「人間同士の絆を大切にすること」なのではないでしょうか。そのためには、当然、国語力・語彙力が必要です。本書を読んで驚いたのは、五感を使って体験することで語彙が増えるということ!五感を使った体験も、人間にしかできないことですよね。継続した自然体験も、子供時代には不可欠なようです。
そして、本書の最後に書いてあるヘレン・ケラーのたとえ。
まさに、その通りだと思います。皆様にも是非読んでいただきたいです。
「羽の生えたことば」を全ての子供に持たせるにはどうすればよいか。
今こそ、大人たちが本気で考えなければならないと思います。
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