読み聞かせ日記@矢野学習教室(千葉県山武市)

矢野学習教室で読んだ本をご紹介。塾の日記も。

『ルポ 誰が国語力を殺すのか』

2023年05月25日 | 保護者の方におすすめの本
日頃から教育関連の本を読んでいるのですが、先日、こちらを読みました。
 筆者は、「国語力とは、社会という荒波に向かって漕ぎ出すのに必要な『心の船』だ。語彙という名の燃料によって、情緒力、想像力、論理的思考力をフル回転させ、適切な方向にコントロールするからこそ大海を渡ることができる。」と述べています。まさに私が感じていたことが、言語化されていました。

私は1990年代後半から塾で国語を教えていますが、ここ数年、お子さんたちに急激な変化があるように感じます。
その背景には、
・両親ともに忙しく、子供と十分向き合う時間がないこと
・スマホやタブレットの普及
があると思います。

特に、スマホのゲームやSNSが発達途上の子どもの脳に与える影響には、恐怖すら覚えます。詳しくは、本書や『スマホ脳』『オンライン脳』をお読みください。
 『スマホ脳』についてのブログ記事はこちら

また、 本書には、「保護者の子供への働きかけと子供の学力の関係」という表が載っているのですが、国語の学力上位層の親と下位層の親との差が顕著だったのが、本や文化に関する項目です。
学力上位層の家庭には、本がたくさんあり、子供が小さい頃には絵本の読み聞かせをしています。また、外国の文化や博物館・美術館に行く機会も多く設けています。
学校や塾でも学ぶ機会は与えられますが、家庭の教育力の影響を痛感しました。

この本には、国語力が低いために日常生活を営むことが困難になってしまっている子供たちがたくさん登場します。一方、豊かな国語力を育む取り組みを行っている教育機関も多数紹介されています。

この中で、私が着目したのは、ある小学校での「読書郵便」という取り組みです。生徒は面白い本に出合うと、他の生徒や教員にそれを薦める手紙を書いて、ポストに投函するのだそうです。後日、手紙は相手に届けられ、そこから新たな読書体験が生まれたり、本の話題が生まれるとのことです。

私は、塾の国語クラスで小中学生を対象に、読み聞かせを行ったり、本を紹介したりしてきました。けれども、私どもの塾は大変小規模なので、私が伝えたいメッセージを届けられる相手はほんのわずかに過ぎません。
そこで、今後はこのブログを私なりの「読書郵便」として使おうと思います。
今まで通り、塾で読んだり紹介したりした本や塾の情報もお伝えしますが、私が読んで感銘を受けた本も、どんどん紹介していきます!どうぞよろしくお願いいたします。

…さて、子供たちの国語力を取り戻すために大切なこと。
それは、「読書」、「対話」、「五感を使った体験」だと、本書を読んで感じました。
最近、「論破」という言葉をよく聞くようになりましたが、カーネギーの『人を動かす』を読んでいた私は、「論破」に非常に違和感がありました。(カーネギーの『人を動かす』については、また後日、記事を書きたいと思います。)
 ある中高での哲学対話のキャプテンを務めた生徒さんが、本書で次のようなことを述べていました。
「人の話を聞くことで、相手を理解しようとする姿勢が身につく。相手の意見を尊重できるようになると、生きることがすごく楽になる。」

AIが発達してきた今、人間に求められる能力は「答えのない時代で、考え方を深めていくこと」「人間同士の絆を大切にすること」なのではないでしょうか。そのためには、当然、国語力・語彙力が必要です。本書を読んで驚いたのは、五感を使って体験することで語彙が増えるということ!五感を使った体験も、人間にしかできないことですよね。継続した自然体験も、子供時代には不可欠なようです。

そして、本書の最後に書いてあるヘレン・ケラーのたとえ。
まさに、その通りだと思います。皆様にも是非読んでいただきたいです。
「羽の生えたことば」を全ての子供に持たせるにはどうすればよいか。
今こそ、大人たちが本気で考えなければならないと思います。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村  ←いつも読んでくださりありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです!

塾教育ランキング ←こちらもクリックしていただけると嬉しいです!
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ぼくが弟にしたこと』(小4に紹介した本)

2023年05月24日 | 保護者の方におすすめの本
昨日の小4オンライン国語クラスでは、長文読解で取り上げられていたこちらの本をご紹介しました。後ほど詳しく書きますが、お子様よりも保護者の方にご紹介したと言った方がいいかもしれません。
 この本は、字も大きく挿絵もあり完全に児童書なのですが、内容は子どもに読ませるには重すぎるような気がしました。むしろ、子どもに読ませて大丈夫なのだろうかと、私は心配になりました。

ささいなことから4歳下の弟をなぐってしまった小学6年生の万里生。
そして、その行動は父親と同じ行動だということに気づきます。

この本には、父親の子どもへの暴力、両親の離婚、経済的な苦労、親の再婚など、子どもを取り巻く過酷な環境が描かれています。そして、親が決めた環境の中でしか生きられない子どもの立場が、苦しいほど分かります。
親からの暴力は、子どもにとって大きな傷となると思います。
今、この本に描かれているような立場にいる子どもがこれを読んだら、傷口のかさぶたを無理やりはがされるような気持ちになるのではないでしょうか。それとも逆に、こんな思いをしているのは自分だけではないと、励まされるのでしょうか…。
子どもに薦めるなら、まずは大人が読んで内容を確認していただきたいと思います。

ただ、大人には是非読んでいただきたい作品です。
特に、保護者や教師の皆様は、ぜひ読むべきだと思います。
大人の言葉や行動が子どもにどのような影響を与えるのか、また、円満な家庭で育っている子どもばかりではないことを知るべきです。

万里生と弟の将来が、明るいものであることを願わずにはいられません。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村  ←いつも読んでくださりありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです!

塾教育ランキング ←こちらもクリックしていただけると嬉しいです!
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『小学生の子が勉強にハマる方法』

2019年08月19日 | 保護者の方におすすめの本
先日、東京駅に行く機会がありました。
大きな駅に行くと、必ず立ち寄るのが本屋さん!
我が家の近所にはあまり大きい書店がないので、大きな駅に行くときはウキウキします♪
東京駅といえば、丸善です。
まずは深呼吸して、本のにおいを胸いっぱいに吸い込みます(怪しい人ですね…)。
昔から、本屋さんのにおいが大好きなのです。
そして、気になっていた本や、目に留まった本を片っ端からチェックしていきます。
「たまたま目に留まった本が、とても良い本だった!」というのが、リアル書店の醍醐味だと思います。

今回は、そんな素敵な出合いがありました。
 こちらは、中学受験専門塾を運営されている方が書かれた、ズバリ「勉強好きな子どもを育てる方法」です。
色々なデータの裏付けを示しながら、親が取るべき望ましい態度を教えてくれます。

この本を読んで改めて感じたことは、親が何もせず、子どもに「勉強しなさい」と言っても、子どもは勉強するようにはならないということです。

親も子どもの前で勉強したり、スーパーで買い物をしながらクイズを出したり、お手軽な知育おもちゃで一緒に遊んだり…。日常生活の中でも、色々な工夫ができますね。

また、ほめ方、叱り方、テスト結果が悪かった時にどのような言葉をかけるべきか等、子どもへの言葉がけの方法も具体的に紹介されています。

そして、目から鱗だったのは、自分の中に生まれた怒りに対する対処法。
子どもに対する怒りだけではなく、夫婦、友人など、様々な人間関係でも生かせそうな知識です。

この本には、私どもの塾や家庭で使っている、「子どもの勉強にハマらせる方法」と重なるところもあり、「この方法で間違っていなかった」ということを再確認できました。

私は一通り読んだので、次は夫に読んでもらおうと思います。
保護者の方で、この本が気になる方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声をおかけくださいね。小学生にはもちろん、中学生にも応用できるアイデアがたくさん詰まっています!
人気ブログランキング←いつも読んでいただきありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです♪
にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へにほんブログ村←こちらもクリックしていただけると嬉しいです♪
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ずぼらヨガ』

2018年02月14日 | 保護者の方におすすめの本
県立入試二日目。

午後は、多くの生徒さんが塾に来てくれました
頑張りきった生徒さんたちの顔、清々しかったです

いや~、今日は密度の濃い一日でした!
「リラックスしたい…」そんなときは、こちらの本はいかがでしょうか。
自律神経どこでもリセット! ずぼらヨガ
崎田ミナ
飛鳥新社

実は、こちらの本は塾にも置いてありまして、長時間勉強する生徒さんに簡単なリフレッシュ法を教えることも。

「リラックス」「元気が出る」「リフレッシュ」の三つの章に分かれていて、気分に応じて色々なポーズをためすことができます。

『すぼらヨガ』のタイトル通り、難しいポーズは特になく、いつでもどこでもできそうです。
ちなみに、私は寝る前に「タツノオトシゴのポーズ」や「ねじりのポーズ」をしていますが、体が気持ちよく伸びているのが分かります。運動音痴の私でも取り組めるくらい、簡単です

長時間勉強していて、頭をスッキリさせたいときは、アンテナのポーズがお勧めです
長時間同じ姿勢を続けていると、体に負担がかかりますし、集中も切れてきますので、時々リフレッシュしながら勉強してみてくださいね!

こちらの本が気になる塾生さん、保護者の皆様は、遠慮なくお声をおかけください

こちらは、今日見つけた「春」です。


人気ブログランキングへ←いつも読んでくださりありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです♪
にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へにほんブログ村←こちらもクリックしていただけると嬉しいです♪
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『小学生から「新聞」を読む子は大きく伸びる!』

2016年10月05日 | 保護者の方におすすめの本
当塾の国語クラス(小学生&中学生)では、授業の最初に新聞の記事を音読しています。

1つの記事をクラスのみんなで一文ずつ読んでいき、一文をつっかえずに読めたら1ポイントゲット!というように、ゲーム感覚で取り組んでいます。
最終的なポイント数によって、翌週の読む順番が決まるという…。(ちなみに、最高得点だった子が、次回、読む順番が最後になります。)
特にご褒美があるわけでもないのですが、お子さんたちはかなり順位を気にして(特に小学生男子)、気合を入れて読んでいます!

中学生には、新聞を読んだ後、簡単に意見を発表する時間を設けています。(3分程度)
その記事を踏まえた私からの質問に対して、どう考えるかを一言述べてもらっているのですが、考える習慣をつけてもらうのには効果的なのではないでしょうか!?
ただ、適切な質問をしないと3分という短い時間では意見がうまく出せないことがあるので、易しすぎず難しすぎない質問を与えるこちらの質問力も試されます。

授業での「新聞記事の音読コーナー」は、記事選びの段階から質問を考えるまで、意外に時間をかけているんだなぁ~ということを、今回のブログを書いて再認識。

さて、私がこんなに新聞記事の音読にこだわる理由が、こちらの本に書いてあります。
小学生から「新聞」を読む子は大きく伸びる!
池上彰
すばる舎

「成績上位の子は、日常的に新聞を読んでいます。」

という帯の言葉が示す通り、新聞を読む習慣のあるお子さんは、成績がよい傾向にあるようです。
というのも、新聞を読むことで、文章を論理的に読解する力が養われ、幅広い教養が身につくから。

読解力がないと、国語はもちろんのこと、実はあらゆる教科でつまずきます。
なぜなら、読解力がないと、教科書やテストの問題文の内容を理解できないからです。

また、新聞を読むことで、語彙力や幅広い教養も身につきます。新聞から分野を問わず様々な知識を得ているお子さんの知識量は、圧倒的だそうです。
知識偏重はいけませんが、知識がないと考えることすらできなくなってしまいます。

こちらの本の最後の章、「新聞を読む子と読まない子、人生にここまで差がつく」を読むと、積み重ねの大切さ(恐ろしさ?)を実感します。

塾に置いてありますので、興味のある保護者の方は、ぜひ読んでみてください。
人気ブログランキングへ←いつも読んでいただきありがとうございます!ランキングに参加しています。クリックしていただけると嬉しいです♪
にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へにほんブログ村←こちらもクリックしていただけると嬉しいです♪


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする