山クジラの田舎暮らし

岩手県北の田舎に生息する「山クジラ」です。定年後の田舎暮らしや趣味の山行きのことなど、発信していきます。

『史記〈武帝紀〉』六=北方謙三著

2012-11-05 07:35:41 | 読書

 『史記〈武帝紀〉』の第6巻を読んだ。洋野町立大野図書館の蔵書なので、相変わらず私に先行している読者のスピードが遅く、2週間に1巻しか確保できないので困っている。

 第6巻では武帝がさらに年を取り、死の影におびえながら皇帝として役割を果たすのだが、そこには独裁的な権力をふるってきた人間の孤独が色濃く反映されている。同時に、武帝のきまぐれから匈奴の戦いに敗れ、漢の降将として匈奴の舞台を率いるようになった李陵、漢の使者として匈奴におもむき降伏を拒否して厳寒の地で暮らす蘇武、腐刑を受けながら中書令として武帝近く仕え、中国の歴史を書き記す司馬遷など武帝に治世下にあって、悲喜こもごもの人生を過ごす人々が描かれていて、なかなか味わい深い。

 いよいよ次は最終巻である。武帝がどのような最後を迎え、漢が次の時代にどのようになっていくのか、それはやがて三国志の時代につながるのだが、深い興味をもっている。