中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

美を求めて

2015-05-26 23:00:24 | 芸術
 芸術家のイメージ…服装や身だしなみにこだわらず(要するにちょっときたない)、専門外の事には一切無頓着。しかし「この変人はいったい何なのだろう」と思う間も無く、ひとたび包丁を手にした途端、目つきが変わり神業を見せる料理人など。

…こういうのは憧れます。だからと言って、今の世の中、世界一の天才でもない限り、あまりひどいのは受け入れられない。インターネットで宣伝してもらうためには、身なりもこざっぱりしなければならないし、そこそこ喋れる、つまり専門外の知識とうんちくもある程度持ってないといけない。できればさらに、ルックスとファッションセンスも欲しいところ。肯定的に拡散してもらい、「いいね!」をたくさん付けられないといけないので。

 住みづらい世の中です。「ゼペットじいさん」のような、人知れず魂のこもった仕事をする職人にも憧れるのですが、それではいけないようです。


 さて最近、山形Qの成長株、Vc茂木に奨められて、北大路魯山人のエッセイを読んでいます。漫画「美味しんぼ」の悪役(?)、海原雄山のモデルにもなった、鬼の美食家ですね。

 ところで、高校生の頃、「有名人で言えば誰に似ているか?」というのを友達同士で言い合ったりしたものですが、私が一番多く言われたのが、海原雄山。…これって「有名人」でしょうか?漫画のキャラ、しかも悪役の老人。そして私は高校生。

 当時はショックを受けましたが、白髪が急増している今日この頃、鏡の自分を見て「…わかる。」と思ってしまう。当時の友人たちの慧眼に感心。

 ということで、海原雄山にはひとかたならぬ親近感を持っている私としては、北大路魯山人にも興味があります。


 「料理王国」というエッセイですが、とにかく彼の、妥協を許さない美意識が面白い。私たちがイメージする「芸術家」像そのもの。

 しかしそこで、繰り返し言われているのが、「料理人は料理にだけ通じていれば良いというものではない」ということ。料理は、鼻で味わい、目で味わい、心で味わう、「総合芸術」であるという信念です。

 包丁さばきが上手いだけでは、料理は作れない。素材を選ぶのは当然として、器を選ぶ審美眼から、料理を供する部屋の調度、客が求める「真心」にも思い至らないといけない。とにかく、あらゆる「美」に通じていなければならないのです。

 …私たち音楽家にとっても、考えるべき要素であるような気もします。しかし、美意識は一朝一夕にはならず。

 そこで学校めぐりの合間に、近隣の美術館を巡ってみようと思い立ってみました。素人には「先達」があらまほしいので、美術に造詣の深い2ndVn今井嬢に助力を頼み、いざ出発。

 スクールコンサートは、県内をくまなく移動する、せっかくの機会。少しは美意識を育てることができるのか…続きはまた、次回。

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2 コメント

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Unknown (イベンボさん)
2015-05-26 23:44:04
海原雄山、素晴らしいキャラクターです、中爺さん、ご友人の慧眼です。例えば長井のやませ蔵、蔵を美術展示にしているんですが、雰囲気があって良かったです。山形、改めて美術館でなくても、心に残る景色を楽しめそうです。
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>イベンボさん (中爺)
2015-05-27 20:41:34
 ありがとうございます。この歳になれば何とも思いませんが、高校生にスクルージのような雄山は、本人にしてみればそれなりにショックなのですよ。
 長井の蔵は知りませんでしたが、近年では昔の蔵を改装して、音楽などを楽しむサロンにしている所も多いと聞きます。演奏の場としても、あり得るかも知れません。
 新しい可能性は、この山形という田舎にもたくさんあるような気がします。「美を求める」と同時に、そういう可能性も探りたいと思っての行脚でございます。
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