そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月23日(土)くさやのひもの

2012年06月23日 | 公開

 同居人がすかしたから、音こそ立てね~ェ香やは隠るる~~ゥと披講したら、殴られた。 けふここの辺に~ィ臭ひぬるかな~~ァ。

   いにしへの おならのみかは やへむぐら?

             … しげれるやどに刺激臭満つ

 

    薄く放(こ)き延べつ幕無しわあ臭い後まで匂ふ瓦斯のむら消え

                (珍無類莫迦集より、ワキガのくさい卿作)

 


6月22日(金)ささやかに論集の刊行祝賀会

2012年06月22日 | 公開

 拙共編の論集の刊行を祝し、編者4名と編集担当者相集って、盃をあげることになった。夕方の授業や、大学の業務が入り遅くなる方もあったので、20:00に寿司屋集合ということにした。寿司屋に向かう途中、9月から赴任する高校の三代前の校長をなさっていたY先生とすれ違う。就任予定のご挨拶を申しあげた。大学の茶道部会長さん(数学の先生)とご一緒だった。

 大学直近の寿司屋という選択は、あまり賢明ではなかったかも知れない。客は教職員ばっかりで、地下の宴会場では、W実業の出身者が集って放歌高吟している。

 編者筆頭の苺白書大学S教授は、明日「ときはなし文学会」の記念大会で講演されるため、NYからお着きになったばかり。今回の論集は、とにかく編集担当のYさん八面六臂の大活躍で、とても充実したものが出来上がった。Yさんへの感謝がまあ、当夜第一のテーマなのである。

 それにしても、ここの花番のねえちゃんは、大丈夫かいな? 燗酒を頼めばいちいち板場へ聞きに行くし、一等最初は、熱いといふもさらなる二合徳利を持ってくるし…。愛想がよいのは美点だが、いささか苦言を呈しておく。こうしてみると、シアトルの、カン違いの花番ねえちゃんは可愛かったなあ、などと、昔のことを想い出した。

 バイ貝の煮たのは美味かった。S先生、お気に召して、いくつも召し上がった。

 さて、2時間ほど楽しくお話しして、お開きとする。帰宅すると、M先生からお葉書が届いていた。このたびのお前の論文を読んだが、たいへん中身の濃い論で感服した…云々。嬉しさの余り、一筆さしあげたくなった…と結ばれている。ああ、研究者冥利に尽きる(感涙)。M先生は、私が修士課程1年生の冬、初めて研究発表をした折、当時は北方の某旧帝国大学教授をなさっていたのだが、わざわざ東京へお越しくださり、発表前日の懇親会の席上、今回は××君(私)の発表を聴きに来たのだとスピーチしてくださったのを、昨日のことのように思い出す。たまちいも宙に踊るよな思いをしたのだった。

 今回の論文は、書いていながら楽しくて楽しくてしょうがなかった。実は4日くらいで書き上げたため、少し書き足りないところがあって、汗顔のいたりなのだが、論述対象の作品については、新しい着眼を示し得たものと確信している。以上、いささか自讃めいてしまったが、楽しく論文を書かなくて何の研究者ぞと、偉そうなことも言ってみたい今日このごろ。


6月22日(木)ガラスの小瓶

2012年06月22日 | 公開

 朝はすごい大雨だったのだが、お昼近くにはほぼ止んでしまった。昼食は「高七」へ行く。運よくカウンターに座れた。予約でいっぱいのよし、そのうち黒人さんの大集団が、どやどやお入りになってきた。いやはや、国際的なお店であるぞなもし。7月3日の予約は、都合が生じたので延期していただいた。

 3時限の1年演習は、レポート作成に着手。研究文献を持って来てもらったが、中にはサボったヤツもいた。ともかく来週までに800字の要約文を提出すること。それから、自論展開部のアブストラクトを書かせ、最後にまえがきとまとめの書き方を教え込めば、一丁あがりとなるはず。あと1カ月ほどで、4000字のレポートを書き上げてもらわなくてはならないのだ。

 授業後は人と会ったり、打ち合わせをしたりで、16:00頃にようやくひと息つく。神楽坂へ行き、「うつわや釉」でガラスの小瓶を引き取った。ご主人のTさんはおいでにならなかったが、店員さんがお茶を淹れてくださったので、少し話し込む。もとは青山の骨董店などにお勤めだったそうである。焼き締めのすてきな小壺が目に入った。伊賀焼の若い作家さんのお作だという。欲しいなあ。6月25日にボーナスが出るというから、思い切って買っちゃおうかな…。

 「梅花亭」で金平糖を買う。ガラスの小瓶は、振り出しに見立てるのである。「緑の豆」で研究室用に神楽坂ブレンドを焙煎してもらい、「フラスコ」を覗く。やぎもとこさんとお話しした。お仕事は?と聞かれたので、噺家みたいな者ですと答える(嘘じゃないぞ)。安いものを一ついただいたら、赤紫蘇のジュースを入れてくだすった。赤紫(赤字)蘇は縁起が悪い、黒紫蘇はないのかね?と言えば、師匠、うまい!と声がかかりましたわ。

  大学に戻ると、博士論文公開審査の貼り紙が出ている。ふむふむ、…マラルメとな。摩羅ルメとはまた(股)、実に男らしい名前ですなあ…と、そばに美術史のM教授がいらしたので、申し上げたら、はははとお笑いになる。こりゃセクハラぎりぎりか?


6月22日(金)喧嘩腰

2012年06月22日 | 公開

 どうもついつい喧嘩腰になってしまうのは、まことによろしくない。性格がせっかちで、落ち着きがないせいかな。あるいは戦中派の性(さが)か博多か長崎か。オムニバス授業のコ―ディネータ先生から、学期末レポートは印刷したものをお届けするとご連絡をいただいたので、担当者ごとにweb提出にされたら如何とご進言、その際、よせばいいのに、私は紙媒体のレポートなんぞ金輪際読まんなどと書き添えたのが、お気に障ったらしい。慌てふためいて、愚生老眼のため、PC画面上で拡大して読むほうが楽なのです…と、つまらん言い訳を返信した。

 校長なんぞに就任する事は、だんだんと気が重くなってきた。赴任先高校の元校長だったE先生(教科教育法を習った恩師)から、なんだか情緒的な文面の励まし?のお葉書をいただいた。副…と名のつく役職はいくつか勤めたが、なにしろ箇所長は、これが最初で最後である。聞けば聞くほど面倒そうな学校だしなあ。理事によれば赤字もあるらしいでな(学校経営が赤字なのはフツ~である)。まあ、昔々、夜間学部の教務主任(高校で言えば教頭先生)を務めていた時、財務担当理事から、××君(私のこと)、2億円の赤字だぞよと宣告され、即座に、黒字に転ずるなんぞは実に簡単ですわいと、年間1人10万円の学費値上げを進言したところ(在籍学生数は2500だった)、そんな事を言い出す教務主任は見たことがないと、担当理事殿は呆れ果ててフリーズしてしまい、二度とそういうことは言い出さなくなった。皇軍は奇襲速攻反撃膺懲と、迂回作戦が身上である(道に迷って自滅することも多いが…ニューギニア戦を見よ!)。なお膺懲は、羊腸ではない。ソーセージは好きだけど…。

 大山巌を尊敬している。ああいう軍司令官になりたい。でも、そのためには、児玉源太郎が必要だな。このたびの校長職拝命は、鎮守府将軍陸奥守、ソ満国境の独立混成旅団長というところか。祝いに拳銃をくだすった方があるくらいだもの。

 東条英機にならぬよう、心して務めましょう。


6月22日(金)拘束

2012年06月22日 | 公開

 9月からの転任先である私立高校には、校則というものが無いのだそうだ。そうした「拘束」が無いのは結構だが、本当にそういうことでいいのだろうか?と思わんでもない。もし新任校長が制定するとすれば、英語でいきますかな。まあ、校則というより、スローガンだな。

  Be sincere, fair in your words and behavior, enthusiastic, energetic, industrious.

いうまでもなく、アナポリスに掲げられたというThe Five Reflectionsの変形だが、本歌は江田島だからな。右翼と思われるか?

 Hast thou not gone against sincerity ?
  Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds ?
  Hast thou not lacked vigour ?
  Hast thou exerted all possible efforts ?
  Hast thou not become slothful ?

 こりゃまた「古文」ですな。


6月21日(木)博論の序章

2012年06月21日 | 公開

 博士の研究指導はUちゃんの博論の序章部分の発表だった。最近、ライバル君に先んじられているという意識が彼には強くあって、その分ずいぶんと意欲的である。方向性としては、まことに結構かと思う。

 続く修士演習も、先週のやり直しから発表してもらった。結局、私が書いた評釈の線でよろしいという結論であるが、別段指導教授に迎合することもあるまいよ。(笑

 学生の研究会は、主要メンバーが教育実習中のため、本日まで休会。同居人と途中駅で待ち合わせて、手をつないで帰宅する。八百屋でもとめた姫たけのこを、そのまま焼いて食ったら、実に美味かった。


6月20日(水)教授会

2012年06月20日 | 公開

 12:15から教室会議を開き、12:55に終了(予定は13:00まで)。すぐに議事要旨を作成し、送信する。私の後任の主任もあっさりと決定する。よかった、よかった。

 14:00からは教授会。本日は学部長選挙である。詳細結果は、さすがに守秘義務があるから書けないが、予測通りの17:00直前に終了。死に体教務は議事進行が早い。ドキッとする発言をしたのは、例によって五十台半ば過ぎの「戦中派」であった。K教授のメールボックスに、拳銃のお返しをお届けしておく。お楽しみに。

 いや~、いい勝負だった。落選された御方も、惜しかった惜しかった!と、にこにこしておいでだった。治まる御代だ。

 夜はお稽古事に出る。校長は、甲調、絶好調。


6月20日(水)ゴトーさんの新作ケーキ

2012年06月20日 | 公開

 教室会議は12:15開始としたので、「Cafe GOTO」で昼食替わりにケーキを食うことにした。残念ながらタルトタタンは品切れで、前途多端だ。何やらアップル・アーモンド云々という新作があるよしで、それをお願いする。

 アーモンドケーキの台に、リンゴのスライスが乗って、そのままアップルパイに化しているような形状? 何か洒落た名前を付ければいいのに。6個が繋がっている様は、あたかも波のようである。「ハロー・アップル」という名前はどうかね?と提案したが、は、ハロー(波浪)ですか?と、取り合ってもらえなんだ。


6月19日(火)そばがき

2012年06月19日 | 公開

 先日、蜜蜂大学のN氏に、おつれあいとお出でになるのに好適なお蕎麦屋さんを紹介して欲しいと頼まれて、神楽坂の東白庵を第一に挙げたが、あそこでは「そばがき」が必食である。コースをお頼みになるなら中に入っているかもしれないけれど、そうでなければ、最初に持って来てもらうのも気がきいている。一般的な「そばがき」とはおよそ概念を異にする逸品なのだ。日曜にいらっしゃったそうだが、召し上がったかな? 事前に詳しく申し上げておけばよかった。

 父の日のプレゼントに娘がくれた品を、私は新型のペンケースかと思っていた。同居人は、お父さん分かっていないみたいだから説明してあげてと言われたそうだ。これは、リバーシブルの眼鏡ケースなのだという。

 9月から校長先生に転職することになったから、校長業務用眼鏡を準備せにゃならんと思っていた。ちなみに私は、社会的立場人格?によって眼鏡をかけ替えている。丸眼鏡は、ゲンゴロウ先生に憧れた結果で、教授職営業中の徴としている。サングラスは、組合員として活動中にかける(私は、労働組合員であるかぎりは、選択の余地なく某左翼政党に投票するしかないわけだが、選挙には当然、サングラスをかけて行く)。さて、新たに眼鏡を購入するのも辛いなあと思っていたところ、舅の遺品の中に金日成風?眼鏡があったので、こいつのレンズを取り換えればいいやと今は考えている。娘からの眼鏡ケースのプレセントは、だからちょうどよかった。ありがとう。


6月18日(月)見上ぐれば聖橋

2012年06月18日 | 公開

 朝からテンションを上げるべくダジャレを連発する。お昼過ぎには、頭の中がメルトダウン。教育実習から戻ってきたI君は、内定ももらったそうだ。有名企業ではないか! I君の卒論指導は隣のK教授なので、研究室をお尋ねして、内定もらえたそうでよかったですねと申し上げる。I君の高校時代の先生が、K教授のお弟子なのである。いやはや、狭い世界だ。

  12:30に「高七」へたどりつくと、存外空いていた。日替わり定食と、ハートランドをお願いする。ヒートランドで、ハートランドか? めっぽうかいに旨い。もはやこのお店では、私は「先生」と呼ばれている。大将に、「先生は、何がご専門で?」と尋ねられたので、「鎌倉時代のバカです」とお答えした。バカ田の教授になるより、吉本興業に入った方が、よほど儲かったかもしれん。ともあれ、ハートランドビールを置いている一事からして、ここの大将、端倪すべからざるものがあるぞなもし。なお大女将は、老母より一つ上の申年のお生まれと知る。

 A君相手の特殊演習も、修士論文の提出間際で、無理せんでいいと言うのに、1頁でもと、律儀な御仁である。和泉式部と赤染衛門の優劣論のところだけを読む。

 いつもの半分の時間で切り上がったので、東京駅まで酒を買いに行くことにした。御茶ノ水駅で乗り換え。見上ぐれば聖橋。川面のゆらめきが橋の裏側に映じていた。ここで降りて、かんだや婦゛そばへ行こうかなと、ふと思わんでもなかったのだが…。

 「賀茂金秀」純米吟醸の1升瓶を購入。考えてみれば、そこそこのワイン買うよりずっとお得な気がする。

 いよいよ給料も下がるらしい。ニューヨークの弁護士Oさんご著書を読んでいたら、pp.22-24にううむと思う事例が書いてあった。今の理事会にはアメリカかぶれがおいでだから、こういうlことを考えているのかもしれんぞ。教員組合にお伝えすべきか? 明後日の職場会は、教室会議とかちあって出られない。教授会開催日の昼休みに、職場会開くな!

 拙論文の掲載された、×××研究の第167号が刊行された。抜刷はまだ届かないので、しばしお待ちを。


6月16日(土)仙川でりんだもぢる

2012年06月16日 | 公開

 W文学会の例会へ行く。雨の中を新宿経由で仙川へ。駅の便所で事務局のS氏に出会ったので、受付で拙共編書の割引購入案内フライヤーを配布してくれるようお願いした。

 例会の開始時刻まで1時間ほどある。昼食は、「家族庵」というお店の暖簾をくぐる。名義の通り、アットホームな?雰囲気。壁に「冷やしむじな」とあった。花番の奥さんに、「むじな」って何ですか?とお尋ねすれば、「たぬき」と「きつね」とが蕎麦台の上に一緒に載っているのだそうである。昔むかし、学部の法学の講義で、狸狢事件というのを習ったなあ。それではと、その「むじな」とやらをと注文した。夫木和歌抄の項目には「狢」があって、寂蓮法師の狸の歌が載っている。巻第二十七、雑部九動物部は13046番、

   人住まで鐘も音せぬ古寺に狸のみこそ鼓打ちけれ

建久2年(1191)の末までに詠まれたことがはっきり分かる歌なのだ。狸囃子みたいな咄は、既に鎌倉時代初頭から存したらしい。いや、おもしろいなあと思い出しながら、むじな蕎麦をずずずと啜った。

 会場のS女子大への道すがら、路傍に由緒ありげな石仏?があったので、ためつすがめつ眺めていると、本日最初の発表者Oさんがお出でになったから、ご一緒する。

 会場には松野陽一先生、久保田淳先生がお見えだった。研究発表3本を聴く。OさんのH内侍論は、まあそれなりに水準の女流歌人でしたわポンという結論では、面白くもないわいな。H内侍はJ内裏歌壇においてどんな役どころを担ったのか、G仙洞歌壇に准えたらどうなるかと、後で意見を申し上げておいた。2本目は凡慮の及ぶところに非ず。前に座っていたTさんの肩をつつき、ハンドアウトをくるくる廻して見せたら、目を回していた。トリのH先生のご発表は、正直何が新しいのかさっぱり分からなかった。たしかに新資料や、豊富な用例の提示は貴重ではあったけれども・・・。文献に拙稿をあげてくださったので、質問をさせていただく。

 委員会はもめそうな気もしたが、懸案事項が解決してひと安心。ありがたいことである。むしろ財政問題が深刻で、いろいろな意見が出たが、とにかく事務処理が煩瑣とならぬよう制度化するのが肝要で、事務局を担当したことがない委員に限って絵空事のような案を言い出してくる。私も一、二発言したが、こんな老人のたわ言は、もはや容れられるものではないと悟ったわい。もう委員会に出るのはやめようかなあ。

 帰りがけ、蜜蜂大学のN氏に十条短大のF氏と連れ立って「掌庵 石はら」の扉を引いたら、ご予約ですか?と花番のねえちゃんに言われる。予約でいっぱいなのだそうだ。ところが、あきらめて別の店へと背を向けた途端、今しがた3名様のご予約がキャンセルになりましたので、どうぞと、招じ入れられる。まことにもって僥倖。

 F氏とは同世代なので、老人同士の愚痴をひとしきり。山形の酒を頼んだが、まあ美味かったな。肴はなかなか気がきいていた。蕎麦は…いささか精進が必要だろうかねえ。しかし、花番さんも老人のからみにちゃんと付き合ってくれるし、酒を飲むにはよいお店であった。