そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月8日(金)かんだや婦゛そば

2012年06月08日 | 公開

 13:00からの1年演習は、本日からライティングのステージに入る。今のところ脱落者?は1割ほどで、こりゃ歩留まりがまことによろしい。各人の内容テーマをラフに書いて提出したものを、グループごとの質疑にかけ、キーワードを決めてもらい全員に発表させた。そして、一人ひとりに私がコメントを述べ、来週は情報検索の実習とあいなる。最終レポートは「自由に書け」ではなく、必ずテーマに沿った研究文献を探し出して、それを批判的に咀嚼しつつ自分の論を立てるという形を指定、注は必ず付けてもらう。以上の段取りは、よく理解してもらえたようだ。

 先生、私変わったでしょと、受講の女子学生の1人に言われた。いつも個性的なお召し物であることは記憶にあったが、どうも分からない。周囲の学生諸君は、すぐ分かったなァと囃し立てる。今まで金髪に染めていたのを、ナチュラルな髪に戻したそうだ。そういえばそうか。今までに一番変わっていたのは、ピンクの髪の女子学生が居たがな。でも、「バカ女」にピンクは似合わない。先生は老眼なのでな。それに、あなたのことばっかり見つめているわけぢゃないからね。演習クラスで、コンパをするらしい。担任教員がついて行くと憚りがあるから、一切関知はいたしません。

 「maruharu」の昼食はダイエットにはよいが、どうにも物足りない。無性にりんだもぢりたくなって、またぞろ古書会館のほうへ向かう。地下鉄のホームでは、偶然E学部のO教授にお逢いしたが、しきりに世を嘆いておいでだった…。さて御茶ノ水に到着すると、足は淡路坂を下り自然と「かんだや婦゛そば」へ。超超超超有名店だが、ほんとうに久しぶりだな。椅子席につき、まず常温で1本、それに「じゅんさいそば」をお願いした。今日は暑いからな。ささっとたぐって、勘定にしてもらう。ありがと~~存じます~と、例の名調子で礼を言われる。界隈もずいぶん超高層ビルが聳えてきたな。奇跡的な一角だが、風前の灯火という感じがする。

 アキバの街をメイドさんを眺めながら通り抜け、御徒町まで歩いて、吉池をのぞいたら、なんとみごとなつぶ貝が…。過日「無庵」で食した冷製の煮貝を思い出して購入。帰宅後、早速調理して、冷蔵庫で冷やし、冷たい汁を張ってみた。我ながら上出来だった。美味いものに出会うと、無性に再現してみたくなるのがおいらの癖だな。

 今までの再現レシピ最高傑作は、今は無き「ジャワ」の「スパニッシュ・オムレツ」だったが、お店はもはや跡形も面影も無い。


6月8日(金)新興古書展へ行く

2012年06月08日 | 公開

 神田の古書会館で開かれている新興古書展へ。まっさきに目に付いた版本を、同居人への土産に購入し、B堂さんにご挨拶すると、お店に珍しい短冊が入ったと言われた。また寄せていただきます。立川のI館長閣下がいらっしゃったので、お悔やみを申し上げた。RK大のOさんもおいでだった。7月には講演をさせていただきます。

 おもむろにA書店さんのコーナーへ行き、お願いしていたものを拝見する。1冊は井上宗雄先生の旧蔵本だった。院生Iさんのために確保しておいた写本も、同じく井上先生の蔵書印が捺されていた。こんなにたくさん旧蔵本が出ていて、なんだか少し悲しくなったわい。写本はボーナスが出たら引き取らせていただくことにする。

 史編のEさんたちが、徳大寺家関係資料を見ていらっしゃった。これも井上本。ただし他に先んじられたそうで、せめて披見をということらしい。若槻礼次郎の書簡があって、ちょっと欲しいような気がした。

 隣の研究室のT教授や、名誉教授の菖蒲園先生もお見えだった。出口のところでI書店の大将につかまったが、菖蒲園先生とはこの間の出来事について、ひとしきりお話をする。

 さて昼は、「神田やぶ」「まつや」にでも…と思ったが、授業があるので大学へ。「maruharu」にてセットを食う。


6月8日(金)手塩にかけた…

2012年06月08日 | 公開

 昨日は帰宅すると、K元助手から著書が届いていた。献本をしてくれた旨メールをもらってはいたが、実際に手にとってみると、感慨深いものがある。一人の研究者を育て上げるには、実に十年を要する。「あとがき」には、なかなか泣かせることが書いてあるではないか! 博士号を取らせ、その学位論文をもとに著書を出させる…K元助手の場合、いまだ教育研究の専任ポストを得ていないので、道は半ばと言うべきかもしれないが…。これほどりっぱな著書があれば、状況も必ずや好転するに違いない。ただ、人前で上手に喋る修業を、もう少し積み重ぬべし。もともと対人恐怖症だったんですとか、居直るんじゃありませんぞ。

 この御仁は2テンポほど、何でもかんでもスピード感がずれるのだが、そこがそれ、人物の美点と言えぬこともない。今までにずいぶんと、尻をぶっ叩いてきた気がするなあ(この本だってもう半月早く=学会シーズンに間に合うよう刊行されていてしかるべきだった)。彼がまだE学部の学生さんだった頃、大学内に自分のやりたい分野の専門家はあんたしかいない云々かんぬんと、突然メールを寄こしてきてこのかたの付き合いだ。やたら「…興味深い」とか、論文にアホなことを書きたがるので、弱ったものだった(ねこさんは少ない根拠で乱暴に論を立てるし、S君は突如として不機嫌になるし…汗)。まあ今年は、なにくれ面倒をみてきた元院生諸君のうち、2人就職できて、1人が本を出せたことになるから。ひと区切りがついた気がするわい。

 そしてこの秋、私もつひに極位極官に達する次第だ。そうだ、梅ちゃん先生のご論文を、ご添削申し上げにゃならんのだった。おのおのその志を遂げ、院生をして倦まざらしめんことを要す…だからな。まあ、来年度修士課程に入ってくる?代あたりまでは、しっかりと育て上げなければならんか。

 K君、藤谷和歌集のご架蔵写本については、ご本の中では触れなかったんだね? 口絵写真にでもすればよかったのに。本日は新興古書展だ。阿波国文庫旧蔵本そのほかを、一応押さえてある。ボーナス払いにしてもらうつもり。他にも私が押えて、図書館に頼んだのや、院生のIさんが購入することになった写本もある。楽しみ、楽しみ。