そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月22日(金)ささやかに論集の刊行祝賀会

2012年06月22日 | 公開

 拙共編の論集の刊行を祝し、編者4名と編集担当者相集って、盃をあげることになった。夕方の授業や、大学の業務が入り遅くなる方もあったので、20:00に寿司屋集合ということにした。寿司屋に向かう途中、9月から赴任する高校の三代前の校長をなさっていたY先生とすれ違う。就任予定のご挨拶を申しあげた。大学の茶道部会長さん(数学の先生)とご一緒だった。

 大学直近の寿司屋という選択は、あまり賢明ではなかったかも知れない。客は教職員ばっかりで、地下の宴会場では、W実業の出身者が集って放歌高吟している。

 編者筆頭の苺白書大学S教授は、明日「ときはなし文学会」の記念大会で講演されるため、NYからお着きになったばかり。今回の論集は、とにかく編集担当のYさん八面六臂の大活躍で、とても充実したものが出来上がった。Yさんへの感謝がまあ、当夜第一のテーマなのである。

 それにしても、ここの花番のねえちゃんは、大丈夫かいな? 燗酒を頼めばいちいち板場へ聞きに行くし、一等最初は、熱いといふもさらなる二合徳利を持ってくるし…。愛想がよいのは美点だが、いささか苦言を呈しておく。こうしてみると、シアトルの、カン違いの花番ねえちゃんは可愛かったなあ、などと、昔のことを想い出した。

 バイ貝の煮たのは美味かった。S先生、お気に召して、いくつも召し上がった。

 さて、2時間ほど楽しくお話しして、お開きとする。帰宅すると、M先生からお葉書が届いていた。このたびのお前の論文を読んだが、たいへん中身の濃い論で感服した…云々。嬉しさの余り、一筆さしあげたくなった…と結ばれている。ああ、研究者冥利に尽きる(感涙)。M先生は、私が修士課程1年生の冬、初めて研究発表をした折、当時は北方の某旧帝国大学教授をなさっていたのだが、わざわざ東京へお越しくださり、発表前日の懇親会の席上、今回は××君(私)の発表を聴きに来たのだとスピーチしてくださったのを、昨日のことのように思い出す。たまちいも宙に踊るよな思いをしたのだった。

 今回の論文は、書いていながら楽しくて楽しくてしょうがなかった。実は4日くらいで書き上げたため、少し書き足りないところがあって、汗顔のいたりなのだが、論述対象の作品については、新しい着眼を示し得たものと確信している。以上、いささか自讃めいてしまったが、楽しく論文を書かなくて何の研究者ぞと、偉そうなことも言ってみたい今日このごろ。


6月22日(木)ガラスの小瓶

2012年06月22日 | 公開

 朝はすごい大雨だったのだが、お昼近くにはほぼ止んでしまった。昼食は「高七」へ行く。運よくカウンターに座れた。予約でいっぱいのよし、そのうち黒人さんの大集団が、どやどやお入りになってきた。いやはや、国際的なお店であるぞなもし。7月3日の予約は、都合が生じたので延期していただいた。

 3時限の1年演習は、レポート作成に着手。研究文献を持って来てもらったが、中にはサボったヤツもいた。ともかく来週までに800字の要約文を提出すること。それから、自論展開部のアブストラクトを書かせ、最後にまえがきとまとめの書き方を教え込めば、一丁あがりとなるはず。あと1カ月ほどで、4000字のレポートを書き上げてもらわなくてはならないのだ。

 授業後は人と会ったり、打ち合わせをしたりで、16:00頃にようやくひと息つく。神楽坂へ行き、「うつわや釉」でガラスの小瓶を引き取った。ご主人のTさんはおいでにならなかったが、店員さんがお茶を淹れてくださったので、少し話し込む。もとは青山の骨董店などにお勤めだったそうである。焼き締めのすてきな小壺が目に入った。伊賀焼の若い作家さんのお作だという。欲しいなあ。6月25日にボーナスが出るというから、思い切って買っちゃおうかな…。

 「梅花亭」で金平糖を買う。ガラスの小瓶は、振り出しに見立てるのである。「緑の豆」で研究室用に神楽坂ブレンドを焙煎してもらい、「フラスコ」を覗く。やぎもとこさんとお話しした。お仕事は?と聞かれたので、噺家みたいな者ですと答える(嘘じゃないぞ)。安いものを一ついただいたら、赤紫蘇のジュースを入れてくだすった。赤紫(赤字)蘇は縁起が悪い、黒紫蘇はないのかね?と言えば、師匠、うまい!と声がかかりましたわ。

  大学に戻ると、博士論文公開審査の貼り紙が出ている。ふむふむ、…マラルメとな。摩羅ルメとはまた(股)、実に男らしい名前ですなあ…と、そばに美術史のM教授がいらしたので、申し上げたら、はははとお笑いになる。こりゃセクハラぎりぎりか?


6月22日(金)喧嘩腰

2012年06月22日 | 公開

 どうもついつい喧嘩腰になってしまうのは、まことによろしくない。性格がせっかちで、落ち着きがないせいかな。あるいは戦中派の性(さが)か博多か長崎か。オムニバス授業のコ―ディネータ先生から、学期末レポートは印刷したものをお届けするとご連絡をいただいたので、担当者ごとにweb提出にされたら如何とご進言、その際、よせばいいのに、私は紙媒体のレポートなんぞ金輪際読まんなどと書き添えたのが、お気に障ったらしい。慌てふためいて、愚生老眼のため、PC画面上で拡大して読むほうが楽なのです…と、つまらん言い訳を返信した。

 校長なんぞに就任する事は、だんだんと気が重くなってきた。赴任先高校の元校長だったE先生(教科教育法を習った恩師)から、なんだか情緒的な文面の励まし?のお葉書をいただいた。副…と名のつく役職はいくつか勤めたが、なにしろ箇所長は、これが最初で最後である。聞けば聞くほど面倒そうな学校だしなあ。理事によれば赤字もあるらしいでな(学校経営が赤字なのはフツ~である)。まあ、昔々、夜間学部の教務主任(高校で言えば教頭先生)を務めていた時、財務担当理事から、××君(私のこと)、2億円の赤字だぞよと宣告され、即座に、黒字に転ずるなんぞは実に簡単ですわいと、年間1人10万円の学費値上げを進言したところ(在籍学生数は2500だった)、そんな事を言い出す教務主任は見たことがないと、担当理事殿は呆れ果ててフリーズしてしまい、二度とそういうことは言い出さなくなった。皇軍は奇襲速攻反撃膺懲と、迂回作戦が身上である(道に迷って自滅することも多いが…ニューギニア戦を見よ!)。なお膺懲は、羊腸ではない。ソーセージは好きだけど…。

 大山巌を尊敬している。ああいう軍司令官になりたい。でも、そのためには、児玉源太郎が必要だな。このたびの校長職拝命は、鎮守府将軍陸奥守、ソ満国境の独立混成旅団長というところか。祝いに拳銃をくだすった方があるくらいだもの。

 東条英機にならぬよう、心して務めましょう。


6月22日(金)拘束

2012年06月22日 | 公開

 9月からの転任先である私立高校には、校則というものが無いのだそうだ。そうした「拘束」が無いのは結構だが、本当にそういうことでいいのだろうか?と思わんでもない。もし新任校長が制定するとすれば、英語でいきますかな。まあ、校則というより、スローガンだな。

  Be sincere, fair in your words and behavior, enthusiastic, energetic, industrious.

いうまでもなく、アナポリスに掲げられたというThe Five Reflectionsの変形だが、本歌は江田島だからな。右翼と思われるか?

 Hast thou not gone against sincerity ?
  Hast thou not felt ashamed of thy words and deeds ?
  Hast thou not lacked vigour ?
  Hast thou exerted all possible efforts ?
  Hast thou not become slothful ?

 こりゃまた「古文」ですな。