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史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

海津

2010年05月13日 | 岐阜県
 海津市には、高洲藩の領地が含まれる。大垣まで新快速を乗り継ぎ、大垣で養老鉄道に乗り替える。養老鉄道は、サイクルトレインといって、電車に自転車を載せられるユニークな取り組みで知られる。この日も通学の学生やサイクリングを楽しむ家族連れなどがサイクルトレインを利用していた。裏を返せばそれだけ電車が空いているということである。昼間はだいだい一時間に一本しか走っていない。欲をいえば、もう少し本数を増やしてもらいたいが、一人も立っている乗客がいないような現状を見ると、それも無理な注文かもしれない。
 養老鉄道で揺られること三十分で駒野の駅に着く。ここからは駅のレンタサイクルを使って、史跡を回る。


養老鉄道

(城跡公園)
 城は歴史の交差点である。史跡を訪ねているうちに、自然と全国の城を歩くことになった。“城専門”という友人は、もう何百も城を訪ねている。その手の専門家には及ばないが、私も幕末関連の城を訪ねて、その数ようやく百に達した(中にはあまり幕末に関係のない八王子城なども含まれるが…)。百番目は長岡城か五稜郭辺りで達成したいと考えていたが、そううまくいくものでもなく、結局思いがけなく海津城が百番目の記念の城になった。しかし、城跡というにはあまりに何も残っていない。城跡公園というからにはもう少しそれらしいものが置かれているかと期待したが、近所の公園と何ら変わりのない小さな公園である。


城跡公園


高洲小学校 二本松

 高洲小学校、高洲稲荷神社、明誠高校のある場所がかつての城跡と推定される。主水橋の南に小さな公園が作られており、そこに海津城の概要が記されている。

 高洲小学校門前に聳え立つ二本の松は、藩校日新館にあったものが移植されたものという。藩校日新館は文久年間(1861~63)に開かれたものである。


主水橋

(高洲稲荷神社)


高洲稲荷神社

 高須稲荷神社も城の遺構である。高須松平家は江戸在府が認められていたため、松平義建の高須帰藩は生涯二度に過ぎない。従って海津市にはほとんど義建の遺品が残されていないが、高須神社には義建の筆による扁額が残されている。

(海津市歴史民族資料館)
 平成五年(1993)に完成したという歴史民族資料館は、この小さな街には過剰なほど、立派な建物である。海津城跡には一切城郭など残っていないが、その代わり歴史民族資料館は城と呼んでもおかしくないほどのものである。


海津市歴史民族資料館

 一階と二階の常設展示は、やはり当地の土地柄、治水の歴史が主題となっている。三階には高洲藩主の屋敷が再現されている。


高洲藩主の屋敷

(行基寺)


行基寺

 駒野駅から行基寺まで、自転車で十五分もかからない。国道から寺までの参道は急な坂になっている。私は深く考えもせず、自転車を手で押しながら坂を上ったが、思いのほかきつかった。行基寺に行き着いたときには汗が迸り、息も絶え絶えという状態であった。苦労して来た甲斐があって、ここからの眺望は抜群に素晴らしい。


行基寺より海津市内を見下ろす

 行基寺は、高洲藩主の菩提寺となっており、初代から十二代まで(ただし三代、五代、十一代、十三代を除く)の墓が並べられている。高洲四兄弟の父、義建の墓は向かって左手にある。その右にはわずか二歳で世を去った十二代藩主義端(よしまさ)の墓がある。


高洲歴代藩主の墓


芳潤院殿前中書大卿羽林次将
建譽魁翠秉斎大居士 神儀
松平義建の墓

 義建は、寛政十一年(1799)に江戸小石川の水戸藩邸に生まれ、兄篤之助が文化六年に亡くなったため、小石川から四ツ谷の高須藩邸に移り、天保三年十代高須藩主となった。子女に恵まれ、六人の男子はそれぞれ大名家を継いだ。
 次男義恕(よしくみ)は、宗家尾張徳川家を継いだ慶勝、五男義比(よしちか)は高須家を継いだのち、慶勝のあとを継いで茂徳と名乗り、隠居後、一橋家を継いで茂栄(もちはる)となった。三男鎖之丞は石見浜田藩主松平武成(たけしげ)、七男銈之允(けいのすけ)は会津藩主容保、八男欽之助は桑名藩主松平容敬、十一男義勇(よしたけ)は十三代高須藩主となった。また、一女幸姫は十三代米沢藩主上杉茂憲に嫁している。
 高須藩主としては勧農、治水に尽くした。義建は、文久二年(1862)八月、世を去った。享年六十四。


泰巖院殿瑞譽秀光映琳大童子神儀
松平義端の墓

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