これが私の生きる道

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プラチナデータ・往復書簡

2011年01月22日 21時09分07秒 | 読書
図書館から相次いで予約していた本が届き
空いた時間を使って読んでいます。
その中で2つの小説の感想を書きます。

「プラチナ・データ」は東野圭吾著の作品で
DNAから身長・体重・人相まで割り出して
犯人を捕まえようというシステムに纏わるお話です。
その為には全国民のDNA情報を管理しないといけないわけで、
もしこれが実現すれば髪の毛一本から
完全に個人が特定できることになります。

もちろん物語中にはこれに反対する立場の人も現れ
双方の主張が書かれていますが
自分はどちらかというと賛成派です。
一生、犯罪に手を染めない自信があるので
他の人がこれが犯罪を抑制してくれるのならば
個人情報であるDNAを管理されても
しょうがないかなぁって感じです。

問題は二つあって、一つは自分の髪の毛とかを
どこかで盗まれて、犯行現場に置かれて
冤罪になる可能性はあるんじゃないかと思います。
たぶんDNA主導になると犯罪捜査の技術も下がると思うので
刑事の質も下がるんじゃないかなぁ。

あとそれを管理する人の問題ですね、
このお話でもそうですが、国の要人とされる人物については
このDNAのシステムから除外する
(この人たちが犯罪を犯しても犯人として検索されない)
プログラムにしてあって
現実社会でもどうせそうなるだろうなぁって感じはします。
前々から感じていたことですが
これだけ近代化が進むと
人間が人間を管理するのに限界がきている気がします、
あらゆる欲から解き放たれた超人間みたいな
生物がいるといいと思うんだけど。

さてもう一つの「往復書簡」は湊かなえ著の小説です。
「告白」のヒットで年末の紅白の審査員にも選ばれて
わが世の春を謳歌している彼女ですが
実際、売れていると思います。
図書館の予約数も軒並み3桁だし
本屋さんでは新刊はまず平積みされています。
かくいうわたくしも過去の6作品に全て目を通しました、
結論から言うと「告白」の遺産で持っている
としか言いようがありません。

今回は3つの中編からなるお話で
それぞれのストーリーに関連性はありませんが
手紙のやりとりだけで話が進んでいく点は
全て共通しています、
よって一人称の文体だけで成り立っています。
一人称のいい所は、その人のみの視点だけの描写なので
内容が分かりやすいところです。
それにラストのどんでん返し、
逆にいうとこの二つだけでもっているとも言えます。
この二つは普段あまり本を読まない人を
引きつけるにはとても効果的な方法です。

彼女の小説を読んでいると「シックス・センス」を思い出します。
当時あのトリックは新鮮で、作品もヒットしました。
しかしその後はラストのトリックにばかり
目がいくようになってしまって
それに「シックス・センス」のときのような
斬新かつ腑に落ちるようなラストじゃないと
作品自体も酷評されるようになり
ダメな監督というイメージが定着してしまったことです。

「告白」は、出だしとラストは確かに
衝撃的でインパクトはありました。
でも中盤はそれほどでもなく
その後出した作品とそれほど質的に変わらないと思うのですが
それでも「告白」は面白い作品という感想は変わりません。
だから余程筆力が上がるか「告白」を超えるインパクトがない限り
満足させることはできないでしょう。

だから一人主人公を定めて
シリーズものをやればいいと思うんですけどね。
探偵でも刑事でも何でもいいけど
話がトリックだけに集中しないで
キャラクターに分散されて逃げ場所が増えるんですが。
とはいってもまた新作が出たら読むんだろうけど・・


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