音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

フェニックス (ダン・フォーゲルバーグ/1979年)

2010-09-13 | ロック (アメリカ)


このブログの記事の左サイドバーに「プロフィール-自己紹介」があり、そこに私の影響を受けたアーティストというのが書いてあるが、実は文字数の関係であと4つのアーティストを割愛してしまっている。年代別に、グスタフ・マーラー、クロード・ドビュッシー、ザ・ビートルズ、そしてダン・フォーゲルバーグである。尤も、ビートルズは音楽に関心のある人から必ずや影響はされているし、またマーラーやドビュッシーは、逆にバッハやベートーヴェンがあって・・・という意味があるから割愛しているが、どうしてもこのダン・フォーゲルバーグだけは、なんとか文字数を減らしてでも、例えば、クラシックミュージシャンはフルネーム表記をやめてもと思ったくらいだが、残念ながらダンは落としてしまった。

彼との出会いは遅くてこのアルバムが最初のきっかけだ。アメリカン・ロックというのは当時、思いっきり商業的であって例えば、イーグルスやドゥービー、リンダ・ロンシュタットなんかにも少し嫌気がさしている時代であったし、ジャクソン・ブラウンも「孤独のランナー」で、おっと随分レコード会社に妥協してしまったなと失意に至り、いよいよアメリカンロックは聴く価値のあるものがなくなってしまったと思っていた頃、丁度このアルバムに出会ったのである。元々親友が好きなアーティストであったが、アメリカンロック音痴の私としては、当時は何を聴いてもカントリーみたいに聴こえて受付なかったのだが、このアルバムだけは可なりすんなり受け入れられた。全米トップ40で、シングルカットの「ロンガー」がチャート上昇中ということもあったかもしれないし、特にタイトル曲にはどこか、レーナード・スキナードの「フリーバード」とダブったのか(1977年の飛行機事故のショックはまだ私の中の残っていた・・・)、やたらと嵌ってしまい、何処かにレーナードの幻影もこの新しく出会ったアーティストに重ねてしまったのかもしれない。そしてこのアルバムの持つ重厚さと内容の濃さ、さらに詩の美しさ、極めつけが声の美しさに関しては、なんて(当時の)アメリカのミュージシャンにしては理知的なのだろうと尊敬してしまったのである。なので、この1カ月間の間に、それまで彼の出したアルバムをすべて手に入れてしまっていた。こういうタイプのアーティストって結構多く、でもアメリカンロックの中では、過去作を一気買いしたのは、この人とスティーリー・ダンくらいだと思う。タイトル曲とシングル以外にも、「ウィッシング・オン・ザ・ムーン」、「ハート・ホテルズ」など構成の良い曲があり、とても1枚のアルバムが丁寧に作られているというところにも感動した。しかし、「フェニックス」の様な曲は力強いところが前面に出ているので別であるが、どちらかと言うとこの人の作品は、前述した曲と声の美しさに関しては類い稀であるために、どうしても失恋系バラードに耳が言ってしまう(失恋の詩ではないのに、曲の感じでそっちへ行ってしまう・・・)。そういう意味では丁度、多感な世代に出会った人であり、自分の内面の代弁、特に当時オリジナル曲を作っていて詞はかけても、音楽がうまく付けられなかった自身の才能なさの全てを、ダンに託していたのかもしれない。

それ故、影響を受けたアーティストというより、本当に好きなアーティストだったのかもしれない。残念ながら、彼は2007年に前立腺がんで56歳の若さで帰らぬ人となってしまう。本当に素晴らしいアーティストであったのに残念であるが、逆に一番良い時代だけを知っているのも良いものだと思う。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
好きでした・・・ (RS60)
2010-09-13 19:01:17
こんにちは。

turtoone、私が分かりますか。

"Das Veilchen"
で、わかるかしら。

このブログ驚きです。


ところで、turtooneはご存じないと思いますが私もダン・フォーゲルバーグ大好きでした。
だから亡くなったときはすごくショックでした。

このアルバムも新境地的で好きでした。でも他にも良いアルバムが沢山ありますよね。

是非レビュー書いてくださいね。

また来ます。



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こちらも驚き・・・?? (turtoone)
2010-10-20 15:22:42
>>RS60さま

本当にあなたですか。

こちらこそ驚きです。

これからも色々コメントをくださいね。

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