音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

弦楽四重奏曲第12番変ホ長調 (ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

2010-10-04 | クラシック (室内音楽)
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲に関しては、このブログでこれまで、変ホ長調第10番、へ短調第11番とレビューを書いて、おっとやはりラズモフスキー無くしては先に進めないとちょっと元に戻って、ヘ長調第7番、ホ短調第8番、ハ長調第9番の鑑賞を書いた。そして今、12番に戻ってきたという順番で書いている。 しつこいようだが、ベートーヴェンは古典派音楽を完成させたという言い方よりも、ソナタ形式を極めたという . . . 本文を読む

ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調「春」 (ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

2010-07-13 | クラシック (室内音楽)
ベートーヴェンは全部で10曲のヴァイオリン・ソナタを書いていて、これは33曲(内1曲は譜面が未発見)書いたピアノソナタに比べると圧倒的に少ない。これはモーツァルトと比べると全く逆で、(但し、モーツァルトにはピアノ・ソナタに色々なパターンがあるが)概してヴァイオリンが多い、以前、このふたりの音楽家の、ピアノ・ソナタとピアノ・コンチェルトの考え方の違いを書いたように、ピアノ楽器の進化・発展と共に、 . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第9番ハ長調<ラズモフスキー第3番> (ルートヴッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

2010-04-08 | クラシック (室内音楽)
ラズ1番とラズ2番のところでも既に触れたが、この時期のベートーヴェン音楽の総括としてこの弦楽四重奏曲が作成されたということは、どうも疑いの無い事実のようだ。前後して可也有名な楽曲が揃っているみの時期であるが、どうも交響曲第3番「英雄」がその始まりで、このラズモフスキー3曲(何れも作品番号が59で統一)が、ベートーヴェンのある意味での到達点である。それが証拠に、ベートーヴェンが生涯拘ったのは、交 . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」 (フランツ・ヨーゼフ・ハイドン)

2010-04-07 | クラシック (室内音楽)
ハイドンの作品も私にとっては「食わず嫌い」だった。そもそもが私はリスナーとしてのクラシック音楽は、以前にも書いているようにベートーヴェンがきっかけである。つまり、ベートーヴェンより前の音楽家というのは、たまたま聴いた有名な曲をきっかけにその音楽家と真摯に向き合う時間があった人だけ、色々し作品の幅が広がっていく。最も顕著なのは当然モーツァルトで、彼はそれだけ入り口が多い。バッハも同様であるが、逆 . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第2番イ短調 (ヨハネス・ブラームス)

2010-03-07 | クラシック (室内音楽)
この楽曲は、作品番号でいうと弦楽四重奏曲第1番ハ長調と同じ、Op.51の2になっている。これは色々な意味でやはりベートーヴェンの弦楽四重奏曲を意識していると思われる。ベートーヴェンの初期弦楽四重奏曲である第1番から第6番までりの作品番号はいずれもOp.18で枝番で1から6になっている。また、同様に、所謂、ラズモフスキーと言われる第7番から第9番も同じ番号で、Op.59の枝番で、1から3になって . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第8番ホ短調<ラズモフスキー第2番> (ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

2010-02-22 | クラシック (室内音楽)
ベートーヴェンフリークは別として、クラシック・ファンの方々でベートーヴェンの楽曲で何が一番好きかと訊ねても、まず、このラズモフスキー3部作をあげる人はいないであろう。それだけでなくベートーヴェンの5曲のうちに入るかと言っても、例えば、「大フーガ」や13番変ロ長調は入っても、まず思いつかないに違いない。かくいう私でも、ラズモフスキーはベートーヴェンの5曲、いや十指に上げるのも難しい。しかし、矛盾 . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第7番へ長調<ラズモフスキー第1番> (ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

2009-12-08 | クラシック (室内音楽)
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の鑑賞に関しては、第10番「ハープ」から書き出したが、そのときに痛切に感じたのが、やはり作品59の3曲、所謂、ラズモフスキー四重奏曲といわれる、第7番、8番、9番が彼の最初の四重奏曲の金字塔であり、ここからベートーヴェンのこの形式における完成形がスタートするのだから、この鑑賞を先に書かないとこれ以上は前に進めないと思った。今年の7月末のことで、随分、間が空いてしまっ . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」 (フランツ・ペーター・シューベルト)

2009-12-07 | クラシック (室内音楽)
一般的に我々はベートーヴェンまでを「古典派音楽」というように習って来たので、ともするとこの古典派という言葉の印象の強さに、ロマン派とは大きな境界線になる年号があるような気がしてしまわないか。例えば、平安京が794年に遷都され平安時代が始まったような時代的な境界線である。つまりは音楽家の生年で言えば、ベートーヴェンは1770年であり、シューベルトは1797年で、この間にパガニーニやウェーバーがい . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第1番ハ短調 (ヨハネス・ブラームス)

2009-12-06 | クラシック (室内音楽)
ブラームスが交響曲を作るのにベートーヴェンの偉大な幻影に悩まされていたのは有名な話だが、実は、同じ様にベートーヴェンの偉大さに惑わされていたのがこの弦楽四重奏曲である。というか、ブラームスが作曲した交響曲と弦楽四重奏曲の内容と、更にベートーヴェンのそれを比較してみると分かるのは、交響曲においては時代の変遷や、ロマン派音楽という新風もありブラームスのほうが音楽的には優れていると思われるものが多い . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第17番変ロ長調「狩」 (ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)

2009-10-30 | クラシック (室内音楽)
ハイドン・セットのみならず、モーツァルトの弦楽カルテットの中でも、最も一般的に広く親しまれているのがこの第17番であろう。旋律も、まずこの曲を聴いて、クラシックを余りご存知ない方でも「モーツァルトの作品」だと分かるのではないかと、彼のもつ旋律の特色を大変分かり易く表現している楽曲であると同時に、良いか悪いかは別として「狩」という表題がついているのは、一般的には広く認知されやすい要因でもある。し . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第16番変ホ長調 (ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)

2009-10-29 | クラシック (室内音楽)
久しぶりにモーツァルトの鑑賞文を書く。そうそう、ハイドン・セットが途中で止まってしまったまま入院をしてしまったので。でも、病室で最低2回はこの曲を聴いたと思う。なんといっても本当に退屈な日々であったから。だが、自宅にいるのと違い、モーツァルトに関する文献や譜面が直ぐに手に入る訳ではないから、結構聴きっ放しで消化不良な部分もあった。それでも、ハイドン・セットとか、モーツァルトのピアノコンチェルト . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第15番ニ短調 (ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)

2009-09-04 | クラシック (室内音楽)
ハイドンセットの第2曲めは、全6曲の内、唯一の「短調」で書かれていて、更に、へ長調の第2楽章以外はすべてニ短調という構成である。ご存知のようにニ短調(Dminor)は、ヴァイオリンの弦の音をすべて含んでいてヴァイオリンには弾きやすい調であり、且つ、管弦楽器にとっては良く響く調であるために、「短調」の楽曲が極端に少なかった古典派時代でも、このニ短調の曲は頻繁に書かれた。モーツァルトでいえば、すぐに . . . 本文を読む

チェロソナタ第1番ホ短調 (ヨハネス・ブラームス)

2009-09-01 | クラシック (室内音楽)
ブラームスは、室内音楽に関してはかなり幅広く色々なアンサンブル形式で曲を書いているが、ご存知のように名曲が多い。ざっとあげるとピアノ三重奏曲(3曲)、弦楽六重奏曲(2曲)、ピアノ四重奏曲(3曲)、ピアノ五重奏曲、ホルン三重奏曲、弦楽四重奏曲(3曲)、ヴァイオリンソナタ(3曲)、弦楽五重奏曲(2曲)、クラリネット五重奏曲、クラリネット三重奏曲、クラリネットソナタ(ヴィオラソナタ)等々であるが、中で . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 「アメリカ」 (アントニン・ドヴォルザーク)

2009-08-30 | クラシック (室内音楽)
ヨーロッパから新大陸に渡って成功した人間は数知れないが、音楽界で言えば、このドヴォルザークがその代表であろう。しかも面白いことに普通、成功を収めたものはそのままアメリカに永住して富を得たが、また、ヨーロッパに戻ってきて名声を得た者というのはこの人ぐらいであろう。何故なら、ドヴォルザークは最初から永住の意志は無かったし、アメリカには今で言う音楽遊学のようなものであったからだ。こう考えると芸術家の価 . . . 本文を読む

弦楽四重奏曲第14番ト長調 (ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト)

2009-08-13 | クラシック (室内音楽)
モーツァルトは全部で23曲の弦楽四重奏曲を書いているが、「ロディ」という表題がついている1番を除くと、2~7番を「ミラノ四重奏曲」、8~13番を「ウィーン四重奏曲」(いずれも作曲地から)、14~19番をハイドンに献呈されたため「ハイドンセット四重奏曲」、20番は表題が「ホフマイスター」、そして21~23番がプロシア王、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈されたため「プロシア王セット」呼ばれている . . . 本文を読む