音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

ロンリーハート ~90125~ (イエス/1983年)

2013-01-23 | ロック (プログレッシヴ)
正直、このイエスサウンドには驚いた。前作「ドラマ」で、メンバーが大きく変わったものの、サウンド的には軌道修正を図れたと共に、イエスの伝統的な部分を継承しつつ、新しい段階に入れたらと筆者的には感じていたからである。だが、どうも一般の音楽評論家には受けがよくなかったし、その大きな原因として、イエス=ジョン・アンダーソンという図式が彼らに根付いていたのも事実で、同時にリックも一緒に退団したわけだ。こ . . . 本文を読む

ドラマ (イエス/1980年)

2012-04-11 | ロック (プログレッシヴ)
このブログだったか、何処かにだったか忘れてしまったが、私が良くこのバンドの事を論ずるのに、こういう言い方をしている。「イエスはジョンのバンドでもリックのバンドでもない。クリス・スクワイアこそがイエスそのものである」と。これは私が4本の弦楽器が好きだということだけではなく、少なくともデビューから1980年代までのイエスの活動を辿っていると、自ずと導かれるのがこの回答なのである。私がそう結論づけた . . . 本文を読む

究極 (イエス/1977年)

2012-03-14 | ロック (プログレッシヴ)
正直なところイエスの作品でなにが一番良いかと聞かれると可也返答に困る。それは、モーツァルトやビートルズのそれとは違って、誰でもが知っているという物凄くポピュラーなアーティストでもなく、また、私にとっては結構特別なアーティストでもあるから。ある意味では、ブラームスとかマーラーのそれと似ている。なにがお薦めかと聞かれたら、その相手の音楽の好みを聴いてみる。Kポップのファンだったら、「イエスを貴方 . . . 本文を読む

アニマルズ (ピンク・フロイド/1977年)

2012-03-08 | ロック (プログレッシヴ)
自他共に認める大のピンク・フロイド・ファンであるが、実はこの作品はその中にあっても特別である。私はリアル・タイムで最初に出会ったフロイドの作品が前作の「炎~あなたがここにいてほしい」であることは何度かこのブロクにも書いた。そして、その後この作品が出るまでの約2年間の間に、名作「狂気」、「原子心母」などの過去作品をすべて聴いた。はじめはランダムであったが、その後ファーストから続けて聴いたりした。 . . . 本文を読む

炎~あなたがここにいてほしい (ピンクフロイド/1975年)

2012-01-10 | ロック (プログレッシヴ)
この作品に関しては以前にレビューを書いたのであるが、昨年秋にピンク・フロイド全作品のリマスター盤が発売になった際に主要作品は手にいれた(BOXは、がさばるので止めた)が、当然この1枚は入っていて、いい機会なのでちょっとレビューを書きなおそうと思った。やはりこの作品はどうしても前作「狂気」と比較されてしまうのは当然のことながら、発表前からの宿命である。なにしろ、前作はビートルズのデビュー以来の衝 . . . 本文を読む

狂気 (ピンクフロイド/1973年)

2010-09-12 | ロック (プログレッシヴ)
「原子心母」がプログレッシプ・ロックの夜明けならば、このアルバムはまさにプログレの新たな旅たちである。この間、僅か3年間で、ブログレッシブ・ロックはフロイドに寄って誕生し、フロイドによって完成した。しかしそれはこのプログレスという言葉が象徴しているように新たなる旅たちを生む、要はフロイドはそのためにこのアルバムでこの音楽を確立し完成させたのである。 考え方にもよるが、私はフロイド自体は、「神 . . . 本文を読む

雲の影 (ピンクフロイド/1972年)

2010-09-09 | ロック (プログレッシヴ)
バルベ・シュローデル監督がデビュー作「モア」に続いて再びピンク・フロイドを音楽に起用した1972年の作品。映画のタイトルは「ラヴァレ」で日本での公開はずっと後のことであった。フロイドにとっては2枚めの映画音楽である。「モア」を担当したことによりこのバンドは自分たちの音楽を客観的にみれたのだと思う。「モア」とこのアルバムの間にも、ミケランジェロ・アントニオーニの「砂丘」という映画作品の音楽提供も . . . 本文を読む

おせっかい (ピンク・フロイド/1971年)

2010-09-08 | ロック (プログレッシヴ)
「原子心母」は、まさにプログレッシブ・ロック音楽の本当の意味での幕開けであった。このアルバムが音楽界に様々な影響を与えたことは、限がないので取り上げたら大変だから割愛するが、それは百聞ならぬ、このアルバムを「一聴」して頂ければ、殆どの人がこの音楽コンセプトに圧倒されるように、自身で体験して頂ければお分かり頂ける。とかも、このことに関して言えばその体験は、恐らく、「狂気」や「ザ・ウォール」よりも . . . 本文を読む

太陽と戦慄 (キング・クリムゾン/1973年)

2010-09-07 | ロック (プログレッシヴ)
第2期キング・クリムゾンの第1弾アルバムである。 デビュー以来、常に真摯に音と向き合ってきたロバート・フィリップを中心としたキング・クリムゾンは、一方で「アイランズ」を発表後のツアーにおいては既に崩壊状態であった。理由は一重に音楽性とそれを実現するための高度な音楽テクニック、さらにはプログレッシブ要素を表現することのできる心理的な描写力と高いモチベーションのそれぞれを維持しつづけるという難題 . . . 本文を読む

フォックストロット (ジェネシス/1972年)

2010-09-04 | ロック (プログレッシヴ)
「ナサリー・クライム」に続いてジェネシスの傑作が続いた。この作品こそ、それまで確かに音楽性や演奏技術が高いが、どこかこじんまりと纏まっていたジェネシスが、大きくスケールアップしたアルバムである。 ロックバンドとは面白いもので、突然、このジェネシスの様にスケールが大きくなってしまうケースがあるが、大概それは本人たちよりも商業音楽化した時代のバンドはプロモーションであって、やっている音楽は変わっ . . . 本文を読む

トリロジー (エマーソン、レイク&パーマー/1972年)

2010-09-03 | ロック (プログレッシヴ)
デビュー以来の快進撃で、成功をおさめていたEL&Pは日本でも多くのファンを獲得し、ついに来日をした。この作品はその「来日記念盤」になった作品である。どちらかというと「動」のイメージがあった彼らであったが、その中では大変珍しく全体的に「静」で構成・脚色された作品である。 彼らの名声は「タルカス」と「展覧会の絵」で世界中に轟いたといえよう。特に日本での人気はウナギ登りであった。日本人というのは一 . . . 本文を読む

ウマグマ (ピンク・フロイド/1969年)

2010-09-02 | ロック (プログレッシヴ)
プログレバンドの作品評価というのはとても微妙で、プログレ音楽の中で名盤とされるものであっても、実は、そのミュージシャンを主体とすると、実は余りそうでは無かったりするものが多い。その極端な例がこのピンク・フロイドであり、彼らには、「狂気」と「ザ・ウォール」という全世界で何1000万枚も売ってしまったモンスターアルバムを2枚も持っているだけに(こんな記録を持っているプログレバンドはない、いや、プログ . . . 本文を読む

こわれもの (イエス/1972年)

2010-09-01 | ロック (プログレッシヴ)
プログレッシブ・ロックを代表するバンド、イエスが大きく飛躍をしたと同時にその確固たる存在を音楽界に位置付けることになった、イエスのみならずロック音楽の歴史においても記念すべき重要な1枚である。実は、当ブログではレビューが前後してしまったが随分前に書いている「危機」が、所謂「名盤」という名前に相応しく、殆どの評論・解説書ではそうなっているが、それはフロイドの「狂気」をそのように言うのと同じで、イ . . . 本文を読む

アイランズ (キング・クリムゾン/1971年)

2010-08-31 | ロック (プログレッシヴ)
キング・クリムゾン第1期のラストを飾るアルバムである。「飾る」と敢えて言ったのは、この作品は一般的に評価も人気も高くないが、私の持論である「宮殿塾」の最後、閉鎖に伴い、その集大成として価値のある作品だと個人的に評価しているからである。 まずアルバムに関して述べると、作品の全体はピート・シンフィールドがホメロスの叙事詩「オデッセイア」からその世界観のヒントを得ている。ピート・シンフィールドは「 . . . 本文を読む

ナサリー・クライム (ジェネシス/1971年)

2010-08-30 | ロック (プログレッシヴ)
この作品は発売当初は「怪奇骨董音楽箱」(現在でもサブタイトルの様であるが)という邦題がついていたが、これは1曲目の「ミュージカル・ボックス」を勝手に和訳したのだろうか分からないが、いずれにしても、当時新しいプログレバンドとして何とか話題にしたかったという意図が伺える。 何といっても、このアルバムと次作品の「フォックストロット」がジェネシスの音楽的最高潮期である。そしてその殆どが、ピーターガブリ . . . 本文を読む