音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

オン・ザ・ボーダー (イーグルス/1974年)

2009-08-22 | ロック (アメリカ)


最初に書いてしまうが、このアルバムはイーグルスの中ではベストワンである(代表曲を集めたベストでは無い)。イーグルスは「呪われた夜」や「ホテル・カリフォルニア」が有名であるが、逆の言い方をすると、この後の2枚への変遷の種子になる部分がこのアルバムには含まれている、しかも、イーグルスはそれをこのアルバムの中で予言をし、しかも悲観し、自分たちのポリシーから決別をしている。そういう意味で、最もイーグルスらしいアルバムであり、同時にそれは当時のウエストコーストを代表するということも同意義である。

イーグルスはご存知のようにリンダ・ロンシュタットのバックハンドから始まった。そして、ファーストアルバムでは、ジャクソン・ブラウンの名曲「テイク・イット・イージー」を、セカンドアルバムでタイトル曲でもあり、リンダも歌っている「ならず者」(シングルカットはされなかったが・・・)が注目され、ウエストコースト自体の知名度向上に活躍した。勿論、このアルバム、そして、ファーストアルバムもとても良いが、このアルバムではイーグルスの真の姿と、移り行く音楽性の変遷、そしてそれは自分たちの意志ではないという断りを述べているのである。つまり、この後に起こることはイーグルスの真実の姿ではないということをファンに断っているのである。まず、イーグルスの真の姿は随所にあるが、特に2曲目のJDサウザーとの共作である「You Never Cry Like A Lover」、それからカントリーっぽい「My Man」、更に、トム・ウェイツの曲である、「James Dean」、「Ol' 55」はこの当時のイーグルス自身が色々やりたかったことをやっている。次に変遷する音楽性の部分では、「On The Border」と「Good Day In Hell」で、ハードロックを試みている。これは、次のアルバムにタイトル曲にも繋がる新境地でもある。イーグルスの新しい面の打ち出しで最初は良いと思ったのだが、最後の曲を聴いて驚いた。最後の曲は「The Best Of My Love」。この曲はシングルカットされ、初めてのイーグルスの全米No.1ヒットになった彼らの代表曲であるが、この曲では「至上の愛の終わり」を歌っている。そもそもイーグルスのラブソングは結実しない愛が多いが、これは至上の愛が実らなかったといっていて、それはイコール、自分たちの本当にやりたい音楽では大成しなかったことを歌っている。それが証拠に、このアルバムは途中でプロデューサーが、グリン・ジョンズから、ビル・ジムジクに変わっていて、この曲はまだジョンズのときに録音した曲である。そして皮肉にもこの曲が彼らの初のナンバーワンヒットになったのだ。

確かに、この次アルバム「のろわれた夜」は名盤である。ロックの名盤を選べと言われたら、恐らく、私は間違いなく「呪われた夜」は入れると思う。「ホテル・カリフォルニア」は微妙だ(でも一般的には超マンモスあるバムだった)。だが、「オン・ザ・ボーダー」は選ばないだろう。だが、最もイーグルスを象徴しているアルバムであることは間違いない。要するに、私はそんなにアメリカンロックは好きではないし、イーグルスもジャクソン・ブラウンの序でみたいな感じである。だから、最もイーグルスらしいアルバムは名盤だとは思わないのである。


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