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ザ・バンドがカナダのグループだということを知ったのは実は最近のことである。私はそのくらいアメリカン・ロックというのは知識としては結構いい加減なのである。ザ・バンドも実は私の親友が好きなアーティストで、彼が最も崇拝しているのはボブ・ディラン。よくこのブログでも「聴かず嫌い」のことを書くが、もしかしたら、このボブ・ディランと言うアーティストが私に取って最も聴かず嫌いだったと思う。その話はいずれまた・・・。
ザ・バンドとボブ・ディランは随分縁が深い。ザ・バンドというと、やはり何といっても「ラスト・ワルツ」になってしまうのだが、丁度、このアルバム「南十字星」くらいから略、リアルタイムで彼らの音楽も聴いていた。そもそも、なぜ、このグループがアメリカのサザン・ロックを代表するバンドなのにカナダ人プレイヤーが多いのかというのは結構面白くて、そもそもがアメリカのロニー・ホーキンスというロックン・ローラーのバックバンドとして結成しツアーに出ていたが、時代と共に落ち目になってしまい活動の拠点をカナダに移したが、そこでバンドのメンバーが次々とホームシックになってしまうという嘘みたいな本当の話で、残ったのがレボン・ヘルムだった。そこで改めて地元カナダのメンバーを募って集まったのが、ギターのロビー・ロバートソン、ベースのリック・ダンコ、ピアノのリチャード・マニュエル、ガース・ハドソン、でこれが後のザ・バンドのメンバーである。1963年まではロニー・ホーキンスのバックバンドとして活動していた。
このアルバムはザ・バンドが可なりロック音楽界でもアメリカでもそれなりの地位を築いてから発表された作品であるが、メンバーの中でもロビー・ロパートソン好きな私に取っては全曲が彼の作品であり、そういう意味でし後後からであるが最も好きな作品であった。ザ・バンドの音楽というのは、とても不思議な音を出すが、それはやはり彼らの音楽交流の広さにあるのかもしれないが、私は前出のロビーの様にとても性格の悪い鼻持ちならない輩がこんなに色々な人たちと音楽をやっているのかということも不思議だったが、それはカナダ時代のバックバンドがスタートだという境遇が関係しているのだと思う。特に、彼らはエリック・クラプトンやリンゴ・スター、マディ・ウォータースといった超大物たちのアルバムに積極的に参加、ツアーにも出演した。その中でもツアーよりアルバム制作を大事にしていたのがロビーであり、そのことによる対立が後々亀裂に繋がってしまう。但し、バンドにしか出ない音というのは、アメリカの大自然に包まれた感覚と似ていて、だから私はこのバンドをアメリカのバンドだと思ってしまったのであるが、カナダのミュージシャンによるアメリカの音楽(カナダの大自然だって素晴らしい)というより、音というものをとても大事にしてきた、言い方を変えれば、大地に根をはやした音楽を作ることを目的にしてきたグループであることがよく分かるのである。
いつもイギリス音楽を依怙贔屓して、アメリカは商業音楽でろくなバンドが無いような物言いをしているが、このバンドはその類いとは違う、だからこそネーミングも「ザ・バンド」なのだ。
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